契約法務
Contract

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契約書本文

契約の一般条項を勉強しよう|期限の利益喪失条項

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、期限の利益喪失条項について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 期限の利益とは 期限の利益とは、期限が到来するまで債務の履行を請求されないという債務者の利益のことです。 例えば、貸金の返還債務や代金の支払義務などについて期限が設けられている場合、その猶予期間内であれば、債務者は、債権者から請求を ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-コベナンツ(ポスト・クロージング事項)

今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち誓約事項(コベナンツ)について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です コベナンツには、クロージング(取引実行)の前か後かで、大きく ①プレ・クロージング事項(取引実行前の誓約事項。プレクロ事項)②ポスト・クロージング事項(取引実行後の誓約事項。ポスクロ事項) がありますが、本記事は②の話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるもので ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-前提条件

今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち前提条件について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 前提条件とは まずはそもそも前提条件とは何なのか?という話から。 ”前提条件”というからには何かの前提なわけですが、何の・・前提条件かというと、取引実行の・・・・・前提条件です。なので、取引実行条件ともいいます。 取引実行というのはい ...

契約一般 法務一般

法務業務の内容-契約書の作成・審査

「法務の仕事ってどんなことをしているのか?」ということは、意外と弁護士でも実はよくわかっていないことがあるのでは、と思うことがあります。 管理人は法律事務所でイソ弁として働いてから、いわゆるインハウスローヤー(企業内弁護士)に転じたんですが、当時は、法務部が具体的にどんなことをしているのか、法務の仕事の全体像はどんなものなのかといったことは、正直なところよくわかっていませんでした(想像出来なかった、というか)。 ざっくりと、契約書見たり、労務管理とか債権管理とかしてんのかなあ、といった漠然としたイメージは ...

契約書本文 法制執務

法令用語を勉強しよう|「認める」と「おそれがある」

今回は、法令用語を勉強しようということで、「認める」と「おそれがある」を見てみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「認める」や「おそれがある」は、条件文にある要件の認定に影響を与える可能性もあり得ますので、いま一度、まとめて意味をチェックしてみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字 ...

契約書本文

契約の一般条項を勉強しよう|危険負担-法律上の原則

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、危険負担条項に関連して、危険負担の法律上の原則について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 危険負担とは 危険負担というのは、内容がイメージしづらい言葉ですが、ここにいう「危険」とは、双務契約において、債務者の帰責事由によらずに契約の目的たる給付が履行不能になる場合の損害のことを指します。 典型 ...

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コンプライアンス法務
Compliance

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犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法|確認記録の記録事項

今回は、犯罪収益移転防止法ということで、確認記録の記録事項について見てみたいと思います。 特定事業者は、取引時確認を行った場合には、確認記録を作成し、7年間保存しなければらならない(法6条)とされており、これを確認記録の作成・保存義務といいますが、その確認記録に何を記録するのか、という話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 確認記録の記録事項(規則20条1項) 確認記録に何を記録するのか(=記録事項)については、規則20条1項各号に定められています。 ▽犯収法 ...

犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法|取引時確認-本人特定事項の確認とは

今回は、犯罪収益移転防止法ということで、本人特定事項の確認について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 本人特定事項の確認とは まず最初に、本人特定事項というのは何なのか?ということを確認しておきたいと思います。 本人特定事項というのは、 自然人の場合①氏名②住居③生年月日法人の場合①名称②本店又は主たる事務所の所在地- のことです。 要するに、「どこ・・の誰・ですか?」というのを確認すれば本人を特定できるわけです(法人もそう)。自然人の場合は ...

法律コラム 消費者契約法

感覚でわかる規約づくり|免責条項の無効って結局どうなってるの?

感覚でわかるシリーズ。 今回は、規約づくりと消費者契約法について。 規約づくりと消費者契約法(免責条項の無効) 消費者契約(B to C)の規約をつくるとき、事業者になるだけ有利な内容を考えるとしても、あんまり都合のいいことばかり書きすぎると何らかの法令に抵触することがあるので、気をつけないとなー、というのが頭にあるものです。 その代表例が消費者契約法で、なかでも免責条項の無効を定める法8条は、重要といっていいでしょう。 しかし、長いんですよねこれが。 ▽消費者契約法8条 クリックで開きます (事業者の損 ...

消費者契約法

消費者契約法を勉強しよう|サルベージ条項の無効

今回は、消費者契約法を勉強しようということで、サルベージ条項の無効(法8条3項)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 サルベージ条項とは サルベージ条項とは、ある条項が法律に違反し全部無効となる場合に、その条項の効力を法律によって無効とされない範囲に限定する趣旨の文言が記載された条項のことです。 例えば、 「法令に反しない限り」「法令で許される範囲において」etc といった留保文言があります。 消費者契約法は、このようなサルベージ条項の ...

弁護士法

弁護士法|非弁行為の禁止(法72条)-構成要件と刑事罰

今回は、弁護士法を勉強しようということで、非弁行為の禁止(法72条)について見てみたいと思います。 非弁行為の要件と違反の効果(刑事罰)について、全体像をまとめていきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 非弁行為の禁止 非弁行為の禁止とは、ざっくりいうと、弁護士以外の者が事業として他人の法律事務を処理することを禁じるものです。 弁護士法72条に規定されています。 ▽弁護士法72条 (非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は ...

資金決済法

資金決済法を勉強しよう|資金移動業とは

今回は、資金決済法を勉強しようということで、資金移動業の定義について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 資金移動業とは(法2条2項) 資金移動業とは、銀行等以外の者が為替取引を業として営むことです(法2条2項)。 ▽資金決済法2条2項 2 この法律において「資金移動業」とは、銀行等以外の者が為替取引を業として営むことをいう。 これは、銀行法により、本来、為替取引は銀行等しか行えないようになっているところ、昨今のキャッシュレス決済サービスなどの ...

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コーポレート法務
Corporate

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組織再編

組織再編|吸収合併-株主総会決議と略式・簡易合併

今回は、組織再編ということで、吸収合併の手続のうち、株主総会決議と略式・簡易合併(株主総会決議が不要となる場合)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 吸収合併契約承認の株主総会決議 吸収合併契約を締結した後、通常、株主総会決議で承認する必要があります。 これは原則としていわゆる特別決議になります(会社法309条2項12号)。特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、そのうち3分の2以上の賛成を得る必要がある決議です。 ▽法309 ...

内部通報 法改正

改正公益通報者保護法|令和2年改正

令和2年に公益通報者保護法が改正されましたので、その内容をざっと見てみたいと思います。 ニュースとしては、例えばこちら。 ▽‪内部告発「裏切り者に制裁」後絶たず…16年ぶり法改正も、通報者が守られない理由 |弁護士ドットコム‬https://news.line.me/articles/oa-bengo4com/de323fe82e73 このあたりのコメント(大森景一弁護士のコメント)に言い尽くされていますし、このニュースを見れば大体わかりますので、ブログで書く意味ないんじゃないかという話もありますが(笑) ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-MAC条項

今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうちMAC条項について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 MAC条項とは MACとは何かというと、Material Adverse Changeの略で、対象会社(譲渡する株式の発行体のこと。以下同じ)に重大な悪影響が及ぶような変化のことです。 materialは「著しい」、adverseは ...

組織再編

組織再編|新設分割-事後備置書類

今回は、組織再編ということで、新設分割手続における事後備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事後備置書類とは 新設分割を行った場合、分割当事会社は、設立会社(分割により設立される側)の成立後、一定の書類を本店に備え置く義務があります。 この書類を、事後備置びち書類と呼びます。要するに、事後の情報開示です。 他の手続として「事前備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事後」かというと、分割の効力発生日よりも前と後、です 事後 ...

インサイダー規制

インサイダー取引規制|会社関係者の禁止行為(全体像)

今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、会社関係者のインサイダー取引規制について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、本記事では、前者の全体像をざっと見てみます。 ① 会社関係者の禁止行為(金商法166条)←本記事② 公開買付者等関係者の禁止行為(金商法167条) ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 会社関係者のインサイダー取引規制(金商法166条) 会社関係者のインサイ ...

開示制度

開示制度|適時開示の仕組み(全体像)

今回は、開示制度ということで、適時開示(取引所規則に基づく開示)の仕組みについて見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 適時開示の仕組み(全体像) 適時開示は、取引所規則に基づく情報開示のことで、 決定事実に関する開示 発生事実に関する開示 決算情報に関する開示 という3つの種類があります。 ①は重要事実を決定した場合、②は重要事実が発生した場合、③決算の内容が定まった場合に、それぞれ適時開示を行う必要があります。 適時開示の根拠規定は、取引所規 ...

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間接雇用等の類型|労働者派遣と労働者派遣法

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個人情報保護法|法制の全体像とOECD8原則

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プライバシーポリシーの作り方|前文

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IP

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著作権法|実演家の権利-実演家人格権

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弁護士の転職物語⑥|インハウス転職のポジティブ面

今回はインハウス転職の、ポジティブな面を指摘したいと思います。 それは端的にいうと、「法律事務所ではできない経験ができる」ということです。(※ここでは「法律事務所」=「紛争処理」という前提) 法務にいくというと、よく周りからある反応は、「紛争のことよくわかってないと法務もできないでしょ」というものですが、それは違うと思います。 違う、とまでいうと言い過ぎなのですが、法務には法務固有の性質のようなものがあって、紛争からの逆算だけを考えれば良い訳ではありません。 トラブルになったときはこうだから…というのは考 ...

法務転職

インハウスローヤーに向いている人・向いていない人

今回は、インハウスローヤーに向いている人・向いていない人、という話を書いてみたいと思います(もちろん、管理人の個人的意見)。 働き方で一般的に大事にされること 働き方については、一般的には、 何をして働くのか 誰と働くのか 報酬(見返り)はなにか が大事なのだろうと思っていますが、弁護士など士業の場合は、 「一国一城の主」を重視するのか というのを、前提条件的に重視している人も多いだろうと思います。 「一国一城の主」は、その点を重視している人にとってインハウスローヤーは選択の余地がないわけですが、通常は、 ...

法務転職

【弁護士の転職】転職エージェント選び|士業特化型エージェント

過去記事では転職話のアクセスが多かったので、今回は、弁護士の転職ということで、転職エージェント選びのうち分野特化型エージェントについて見てみたいと思います。 最初の転職だと、 応募する会社(or事務所)をどうやって探すか?  エージェントを利用して探すとして、どのエージェントを選んだらいいのか?  と、迷うかもしれません。 ネットで検索すればわかることかもしれませんが、管理人の実際の体験を交えつつ、独断と偏見でお伝えしたいと思います。 応募する会社をどうやって探すか まず、応募する会社(or事務所)をどう ...

法務転職

【弁護士の転職】転職エージェント選び|新しい転職サービス

今回は、管理人自身の転職活動のことを思い出しつつ、比較的新しい転職サービスについて見てみたいと思います。 3回目の転職活動では、分野特化型や一般型の転職エージェントに加えて、比較的新しい転職サービスにもちょっとだけ手を出してみました。 未利用のものも含めて、知っているものを並べてみたいと思います。まあ、ネット検索すればわかることですし、もう知ってるよ、という方も多いかもしれませんが、一応。。。 ビズリーチ(bizreach) 実際使ってみて特徴的だったのは、やっぱりビズリーチかなと。 ▽ 選ばれた人だけの ...

法務転職

【弁護士の転職】インハウスローヤーのメリット・デメリット

巷にはインハウスローヤーのメリットとかデメリットを書いたネット記事がいくつかあるみたいなので、今回は、それについて書いてみたいと思います。 とはいえ、メリット・デメリットというより、管理人としては、インハウスと外部弁護士は、対比的(対照的)というか、対になっているみたいな側面を感じることがあるんですよね。 なので、一概にどちらがいいというものではないかなと思っているので、基本的には好みの問題という感じになります。 規模感が違う 企業も規模によりますし、法律事務所(以下「事務所」)も規模によるわけなので一概 ...

インハウスローヤー

【転職後の話】企業内部から見た外部弁護士の見え方

数年間インハウスをやらせていただいたので、振り返ってみた感想などを書いてみたいと思います。 昔何かの記事で、”法務部のあるような企業の社員は弁護士を見る目があるから、弁護士は、顧問をする際には心してかからねばならない”というような内容の文章を見たことがあります。 が、管理人としては、自分が入ってみて、そうでもないのでは…?と思ったというのが本音です。 そうでもないというと少し言い過ぎかもですが、半分当たりで、半分はずれという感じがします。 というのは、法務部の人間であっても、顧問先の弁護士がやっている訴訟 ...

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イソ弁・インハウスローヤー(企業内弁護士)・独立開業など色々やってきた管理人が、いち法律職として見てきた景色を綴るブログです。法律業務の知識や転職経験などをできるだけわかりやすくアウトプットしています。

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