契約法務
Contract

――――

契約書本文

契約の一般条項を勉強しよう|債務不履行による損害賠償請求(填補賠償の要件)

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、損害賠償条項に関連して、填補賠償の法律上の要件について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 填補賠償の要件(民法415条2項) 民法415条2項は、「債務の履行に代わる損害賠償」(填補賠償)の請求をすることができる場合を定めており、 履行不能の場合(1号) 履行拒絶(確定的履行拒絶)の場合(2号 ...

契約書本文 法制執務

法令作成を勉強しよう|「あっては」と対句構造

今回は、法令作成を勉強しようということで、条文の文章の対句構造について見てみたいと思います。 法令作成には一定の決まった型みたいなものがありますが、当ブログでは、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 「あっては」と対句構造 法令では、文章を簡潔にするために、対句の構造が用いられている場合が多くあります。 普通に読むだけでも対句になっていることはなんとなく頭に入るようになっていますが、改めて意識 ...

契約書本文

契約の一般条項を勉強しよう|チェンジ・オブ・コントロール条項

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、チェンジ・オブ・コントロール条項について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 チェンジ・オブ・コントロール条項とは チェンジ・オブ・コントロール条項(COC条項)は、支配権の移動に関する条項です。 例えば、取引相手方が競合他社に買収されるとか、支配権の移動により取引相手方の信用が低下する(背後に ...

契約書本文

契約の一般条項を勉強しよう|契約の有効期間

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、契約の有効期間について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 一回的契約と継続的契約 契約の有効期間を定める必要があるのは、継続的契約の場合です。 継続的契約には、わかりやすい例でいうと、賃貸借契約や業務委託契約などがあります。契約に基づく給付が継続的に行われるものになります(賃貸借は”貸し続ける ...

契約書の形式 法制執務

法令作成を勉強しよう|定義づけの仕方と略称

今回は、法令作成を勉強しようということで、定義づけの仕方と略称を取り上げてみたいと思います。 法令作成には一定の決まった型みたいなものがありますが、当ブログでは、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 定義づけの仕方 定義は、ざっくりいうと、法文や契約書のなかで使用する用語の意味をはっきりさせるために書くものです。 定義づけの仕方としては、 最初の方に定義規定を置く 個々の規定の中で括弧書きによ ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-コベナンツ(ポスト・クロージング事項)

今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち誓約事項(コベナンツ)について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です コベナンツには、クロージング(取引実行)の前か後かで、大きく ①プレ・クロージング事項(取引実行前の誓約事項。プレクロ事項)②ポスト・クロージング事項(取引実行後の誓約事項。ポスクロ事項) がありますが、本記事は②の話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるもので ...

他の記事も読む

コンプライアンス法務
Compliance

―――――――

独占禁止法

独占禁止法を勉強しよう|不公正な取引方法-地位の不当利用

今回は、独占禁止法を勉強しようということで、不公正な取引方法のうち地位の不当利用(=優越的地位の濫用)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 地位の不当利用のグループ 地位の不当利用(=優越的地位の濫用)には、法定類型と告示類型の両方があります。 法定類型には、①取引に関係ない商品・役務の購入(購入要請)、②金銭役務・経済上の利益提供(利益提供要請)、③取引条件の不利益変更の3つがあります(法2条9項5号)。 告示類型は、④取引の相手方に ...

犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法を勉強しよう|自然人の本人確認方法(対面の場合)

今回は、犯罪収益移転防止法を勉強しようということで、顧客等が自然人の場合の、本人特定事項の確認方法(対面の場合)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 自然人の本人確認方法(対面の場合) 自然人の本人特定事項の確認方法は、規則6条1項1号に定められています。 対面の場合の確認方法は、1号のうちイ~ニになります。 ▽規則6条1項1号(※【 】は管理人注) (顧客等の本人特定事項の確認方法)第六条 法第四条第一項に規定する主務省令で定める方法 ...

下請法

下請法を勉強しよう|資本金区分(取引の主体に関する要件)

今回は、下請法を勉強しようということで、適用要件のうち取引の主体に関するもの、すなわち資本金区分について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 資本金区分(取引の主体に関する要件) 下請法では、資本金の大小を”優越的地位”の判断基準としていて、資本金の額が、親事業者と下請事業者を画する基準となっています。 ざっくり結論をいうと、画する基準には、 3億円基準(3億円の前後で分ける) 5000万円基準(5000万円の前後で分ける) 1000万円基準( ...

下請法

下請法を勉強しよう|親事業者の禁止行為-有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止

今回は、下請法を勉強しようということで、親事業者の禁止行為のうち有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止について見てみたいと思います。 下請法の適用対象になったとき、親事業者には以下のような11の禁止事項が課せられます。 【親事業者の11の禁止事項】(4条1項のグループ)①受領拒否の禁止②下請代金の支払遅延の禁止③下請代金の減額の禁止④返品の禁止⑤買いたたきの禁止⑥購入・利用強制の禁止⑦報復措置の禁止(4条2項のグループ)⑧有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止 ←本記事⑨割引困難な手形の交付の禁止⑩不当な ...

下請法

下請法を勉強しよう|親事業者の禁止行為-返品の禁止

今回は、下請法を勉強しようということで、親事業者の禁止行為のうち返品の禁止について見てみたいと思います。 下請法の適用対象になったとき、親事業者には以下のような11の禁止事項が課せられます。 【親事業者の11の禁止事項】 (4条1項のグループ)①受領拒否の禁止②下請代金の支払遅延の禁止③下請代金の減額の禁止④返品の禁止 ←本記事⑤買いたたきの禁止⑥購入・利用強制の禁止⑦報復措置の禁止(4条2項のグループ)⑧有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止⑨割引困難な手形の交付の禁止⑩不当な経済上の利益の提供要請の禁 ...

景品表示法

景品表示法を勉強しよう|表示規制-優良誤認表示

今回は、景品表示法を勉強しようということで、表示規制のうち優良誤認表示について見てみたいと思います。 消費者庁のHPにも、優良誤認全体についてのわかりやすい解説ページがあります。 参考リンク 優良誤認とは|消費者庁HP ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 優良誤認表示(法5条1号) 不当表示のうち優良誤認表示の禁止は、法5条1号に定められています。 ▽法5条1号 (不当な表示の禁止)第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当 ...

他の記事も読む

コーポレート法務
Corporate

―――――

M&A 各種契約書

M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-補償条項

今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち補償条項について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 補償条項 補償(indemnification)は、契約上の義務違反や表明保証違反があった場合に相手方の損害を填補することです。 要するにお金の問題であり、その意味では損害賠償請求と同様ですが、法的性質としては一種独特のものと考えられ ...

公益通報者保護法

公益通報者保護法を勉強しよう|事業者における内部通報制度-法的位置づけ

今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、事業者における内部通報制度の法的位置づけについて見てみたいと思います。 令和2年改正によって新設されたものが多いですが、記事の後半部分では、令和2年改正前の内容にも参考として言及しています。 ▽令和2年改正の内容についてはこちら ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 内部通報制度の法的な位置づけ 内部通報制度の整備は、従業員が300人を超える事業者の場合には法的義務となっています(300人以下の事業者の場合は努力義務) ...

公益通報者保護法

公益通報者保護法を勉強しよう|規制の仕組み(全体像)

今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、規制の仕組み(全体像)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 法の目的・内容 「公益通報者保護法」(平成16年法律第122号)は、これが正式名称となっています。 法律の分量としては実は22条までしかなく、もし全部を読んでもそれ程の分量はありません(ほかの法律に比べればという意味)。 法の目的は、以下のとおりとされています。 ▽法1条 (目的)第一条 この法律は、公益通報をしたことを理由とす ...

開示制度

開示制度|企業内容の開示-継続開示

今回は、開示制度ということで、企業内容の開示(法定開示)のうち継続開示について見てみたいと思います。 有報などは特に意識しなくても体感値的に残ってくるような内容も多いですが、どこに何が書いてあるかは案外把握しないままのこともあったりしますので、そのあたりも確認しながら見てみます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 継続開示が必要な理由 継続開示というのは、有価証券が流通する場面での情報開示のことです。 発行開示が「発行市場(primary market)」に対応す ...

インサイダー規制

インサイダー取引規制|情報受領者の禁止行為

今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、情報受領者の禁止行為について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、情報受領者の禁止行為は、これらの者から第1次的に情報を受けた者に対する規制になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 情報受領者 情報受領者とは、会社関係者や公開買付者等の関係者から重要事実の伝達を受けた者のことで、例えば家族、同僚などです。 情報自体はいくらで ...

SPC

ファンド法務|投資ビークルの種類

今回は、ファンド法務ということで、投資ビークルの種類について見てみたいと思います。 いろいろなビークルがあって混乱しがちな部分ですが、大まかに分類しておくと意外とすんなり頭に入ります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 投資ビークルの種類 投資ビークルというのは、投資ファンドを組成するときにその中心となるものです。 投資ファンドは投資家から資金を集めてプールし、それを専門家(ファンドマネージャー)が運用する仕組みですが、この受け皿となるのが投資ビークルです。 基本 ...

他の記事も読む

法務の基礎
Basics

法制執務

法令用語を勉強しよう|「当該」の使い方

会社法 法務一般 開示制度

開示制度|会社法に基づく開示-決算公告

法務一般

法務の基礎を勉強しよう|期間の計算

労務管理
Labor

法改正 非正規雇用等

同一労働同一賃金①|働き方改革関連法と均等待遇・均衡待...

法改正 非正規雇用等

同一労働同一賃金②|パート・有期労働者の場合(均等待遇...

非正規雇用等

間接雇用等の類型|労働者供給・職業紹介と職業安定法

情報管理
Information

個人情報保護

個人情報保護法を勉強しよう|保有個人データに関する義務

個人情報法務

プライバシーポリシーの作り方|共同利用条項

個人情報保護

個人情報保護法を勉強しよう|個人関連情報の定義

知的財産
IP

商標法

商標法を勉強しよう|類似性の判断

著作権法

著作権法を勉強しよう|実演家の権利-報酬請求権、二次使...

商標法

商標法を勉強しよう|商標の登録要件-自他識別力

法務転職

弁護士の転職物語②|エージェントの付き方

転職するときはエージェント会社に登録する、という話を前回書きましたが、エージェント会社によって担当者の付き方が違うことを補足したいと思います。 自分が経験した中では担当者の付き方に2種類あって、 企業側に担当者がついている場合(求人案件によって担当者が決まっている) 応募者側に担当者がつく場合(求職者に1人の担当者がつく) があります。 「企業側に担当者がついている場合」は、こちらが出した履歴書や職務経歴書を見て、求人案件の担当者からめいめい連絡がきます。 案件紹介のスピードはこちらの方が早いですが、違う ...

法務転職

弁護士の転職物語⑩|弁護士業界のもう一つの変化

弁護士業界に起きていると思う2つめの変化を挙げたいと思います。 転職活動をするなかでもいろんな弁護士に会いましたが、別に世間で有名になっていなくても、従来なかったような多様な働き方を切り拓いている弁護士が数多くいます(単に自分がこれまで知らなかっただけという可能性もありますが)。 例えば、もともとある業界で働いており、その後ロースクールに行って弁護士になり、途中、公認会計士にもなり、別業界のインハウスにもなって、最終的にその元々いた業界に特化した弁護士として独立し活動している人。 (どういうイメージでその ...

法務転職

【弁護士の転職】面接の準備③|会社情報の調査

今回は、弁護士の転職活動ということで、面接準備の情報収集のうち、会社情報の調査について書いてみたいと思います。 ではさっそく。 会社情報の調査のタイミング 応募の際に会社情報についてはざっと見ていると思いますが、応募の段階、つまり書類選考をパスするかどうかわからない段階では、それほど詳細に見ていない場合が多いと思います(少なくとも管理人はそうです)。 もしそうであれば、面接準備の段階で、具体的な会社情報の調査が必要になります。 応募前に詳しく調査する人もいる  エージェントから届くたくさんのリコメンドの中 ...

法務転職

【弁護士の転職】職務経歴書の書き方③|注意点-悪目立ちすることはやめておこう

今回は、弁護士の転職ということで、最初の転職の頃のお悩み、職務経歴書の書き方について書いてみたいと思います。 職務経歴書の書き方について、当ブログでは、 ① 内容面② 形式面③ 注意点④ 採用側から見た景色 の4つの記事に分けて書いています。 本記事は、3つめの、③注意点についてです。 注意点ー悪目立ちすることはやめておこう 例1)長すぎる職務経歴書 長すぎる職務経歴書は、悪目立ちするのでやめておいた方がよいと思います。 管理人が見たことがあるものの中では、7~8ページ書いているものがありましたが、さすが ...

法務転職

【弁護士の転職】インハウスローヤーのメリット・デメリット

巷にはインハウスローヤーのメリットとかデメリットを書いたネット記事がいくつかあるみたいなので、今回は、それについて書いてみたいと思います。 とはいえ、メリット・デメリットというより、管理人としては、インハウスと外部弁護士は、対比的(対照的)というか、対になっているみたいな側面を感じることがあるんですよね。 なので、一概にどちらがいいというものではないかなと思っているので、基本的には好みの問題という感じになります。 規模感が違う 企業も規模によりますし、法律事務所(以下「事務所」)も規模によるわけなので一概 ...

法務転職

弁護士の転職物語④|面接で大事なこと

前回、「何で今のところやめるんですか?」という質問が重要であると書きましたが、もうひとつ、面接において大事だと思うことを書きたいと思います。 それは、 「ありのままの自分を見せるのは良いことではない」 ということです。 言い換えると、面接のときに聞かれた質問に対して、自分の思うところを正直にありのまま答えればそれでいい、というのは、面接に対する良い臨み方ではない、ということです(異論もあるとは思いますが)。 「ありのままの自分を見せる」というのは、いわば料理に例えると、泥も落とさず火も通していない野菜を相 ...

他の記事も読む

このサイトについて

このサイトはどんなサイト?

イソ弁・インハウスローヤー(企業内弁護士)・独立開業など色々やってきた管理人が、いち法律職として見てきた景色を綴るブログです。転職や法律業務の知識、経験などをできるだけわかりやすく発信していきたいと思っています。

最新の投稿

動画 ‐ YouTube

音声配信