契約法務
Contract――――
法令用語の基本|「及び」「並びに」と「又は」「若しくは」
今回は、法令用語ということで、「及び」「並びに」と「又は」「若しくは」の意味を取り上げてみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「及び」「並びに」(andの意味)と、「又は」「若しくは」(orの意味)は、だいたいどんな解説でも、最初の方の話は日常感覚でわかりますが、話が進むにつれて意外とよくわから ...
法務業務の内容|契約書の作成・審査
「法務の仕事ってどんなことをしているのか?」ということは、意外と弁護士でも実はよくわかっていないことがあるのでは、と思うことがあります。 管理人は法律事務所でイソ弁として働いてから、いわゆるインハウスローヤー(企業内弁護士)に転じたんですが、当時は、法務部が具体的にどんなことをしているのか、法務の仕事の全体像はどんなものなのかといったことは、正直なところよくわかっていませんでした(想像出来なかった、というか)。 ざっくりと、契約書見たり、労務管理とか債権管理とかしてんのかなあ、といった漠然としたイメージは ...
法令用語の基本|「する」「とする」と「ものとする」
今回は、法令用語ということで、「ものとする」の意味を見てみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書を読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「ものとする」は、なんとなく使い勝手がいいので契約書でもつい多用しがちですが、いま一度、法令用語としての意味もチェックしてみたいと思います。 法令用語としては、「するものとする」で、「する」・「とする」と一 ...
M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-前提条件
今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち前提条件について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 前提条件とは まずはそもそも前提条件とは何なのか?という話から。 ”前提条件”というからには何かの前提なわけですが、何の・・前提条件かというと、取引実行の・・・・・前提条件です。なので、取引実行条件ともいいます。 取引実行というのはい ...
法令作成の基本|条文の対句構造と「あっては」の意味
今回は、法令作成ということで、条文の文章の対句構造について見てみたいと思います。 法令作成には一定の決まった型みたいなものがありますが、当ブログでは、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 「あっては」と対句構造 法令では、文章を簡潔にするために、対句の構造が用いられている場合が多くあります。 普通に読むだけでも対句になっていることはなんとなく頭に入るようになっていますが、改めて意識しておくと、 ...
契約の一般条項|不可抗力条項
今回は、契約の一般条項ということで、不可抗力条項について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 不可抗力条項とは 不可抗力とは、実は決まった定義はないですが、一般的には、契約当事者にとって予見できず支配の及ばない外部的な事情のことを指します。 大きくは、天災など自然的なもの(自然災害)と、戦争など人為的なものが考えられます。 ちなみに、不可抗力 ...
コンプライアンス法務
Compliance―――――――
迷惑メール防止法を勉強しよう|特定電子メールとは
今回は、迷惑メール防止法を勉強しようということで、特定電子メールの定義について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 特定電子メールとは 「特定電子メール」とは、迷惑メール防止法で、規制の対象となる電子メールを指す用語です。 感覚的にいうと、いわゆる”広告宣伝メール”ですが(あるいは”商業メール”)、定義は法2条2号に定められています。 二 特定電子メール 電子メールの送信(国内にある電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設 ...
ビジネスと弁護士法(総論)|非弁行為該当性の判断ポイント
今回は、ビジネスと弁護士法ということで、弁護士法に関連したビジネスの遵法性検討の仕方について見てみたいと思います(管理人の個人的見解です)。 弁護士法といっても主に非弁行為の禁止の部分のことですが、業務独占はあたかも業法の参入規制のように機能しますし(要するに入口の問題という点で共通)、また非弁のパターンには「周旋」の禁止というのもあるので、ビジネスの遵法性検討の際には案外よく出てきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 非弁行為の禁止 非弁行為の禁止とは、ざっ ...
消費者契約法|債務不履行責任・不法行為責任の免責条項
今回は、消費者契約法ということで、債務不履行または不法行為による損害賠償の免責条項(法8条1項)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 免責条項の無効 消費者契約法8条1項は、債務不履行または不法行為による損害賠償を全部免責する条項を無効としています。 また、一部免責であっても、それが故意または重過失に基づく損害賠償を免責するものである場合には、やはり無効としています。 ▽法8条1項 (事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)第八条 ...
ステマ規制|適用範囲-適用対象者と適用時点
今回は、広告法務ということで、ステマ規制の適用対象者と適用時点について見てみたいと思います。 本記事では、世の中に存在するステマ関連のルール全般ではなく、景品表示法上の不当表示として新たに指定されたステマ告示のことを、ステルスマーケティング規制(ステマ規制)と表記しています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 ステマ規制の適用対象者 ステマ規制の対象となるのは、商品・サービスを供給する事業者(広告主)です。 企業から広告・宣伝の依頼を受けた広告代理店、インフルエン ...
犯罪収益移転防止法|法人の本人確認方法-非対面の場合
今回は、犯罪収益移転防止法ということで、法人の本人確認方法のうち非対面の場合について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線などは管理人によるものです。 法人の本人確認方法(非対面の場合)-規則6条1項3号 法人の本人確認方法(非対面の場合)は、最初に全体をざっと見ておくと、以下のようになっています。 本人確認方法 確認ソース 申告 条文 ①申告+確認法 登記情報(登記情報提供サービスから)の確認のみ 代表者からの申告 規則6条1項3号ロ ②申告+確認+送付法 登記情報(登記情報提 ...
景品表示法|景品規制-総付景品制限の適用除外
今回は、景品表示法ということで、総付景品規制の適用除外について見てみたいと思います。 なお、懸賞・・景品規制には適用除外といったものはないので、総付・・景品規制に特有のものになります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 総付景品規制の適用除外(総付制限告示第2項) 総付景品規制については、景品類に該当する場合であっても・・・・・・・・・・・・・・・一定の場合には規制を適用しない、とする適用除外があります。 全部で4つの除外事由があり、 商品の販売・使用やサービス提 ...
コーポレート法務
Corporate―――――
公益通報者保護法|公益通報の要件-通報の主体、内容、目的
今回は、公益通報者保護法ということで、公益通報の4つの要件のうち、①通報の主体、②通報の内容、③通報の目的について見てみたいと思います(④通報先の要件については次の記事にて)。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 通報の主体 通報の主体(つまり保護される人)は、 労働者:つまり、通報時現在において雇用されている人 退職者:ただし、退職後1年以内の通報に限る 役員:ただし、外部通報の場合には、原則として内部での調査是正措置を前置することが必要 となっています。 以下、 ...
ファンド法務|投資ビークルの種類(会社型SPV・契約型SPVなど)
今回は、ファンド法務ということで、投資ビークルの種類について見てみたいと思います。 いろいろなビークルがあって混乱しがちな部分ですが、大まかに分類しておくと意外とすんなり頭に入ります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 投資ビークルの種類 投資ビークルというのは、投資ファンドを組成するときにその中心となるものです。 投資ファンドは投資家から資金を集めてプールし、それを専門家(ファンドマネージャー)が運用する仕組みですが、この受け皿となるのが投資ビークルです。 基本 ...
合同会社法務|業務執行社員・代表社員・職務執行者
今回は、合同会社法務ということで、合同会社の管理のうち業務執行社員・代表社員・職務執行者について見てみたいと思います。 これらは合同会社の管理(運営)に関する基本事項ではありますが、いまひとつわかりにくい感じがつきまとう部分であるように思いますので、なるべくイメージがしやすくなるようにまとめていきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 業務執行社員とは 業務執行社員は、業務執行権をもつ社員のことです。 読んでそのままですが、会社法の文言としては「業務を執行する」 ...
グループガバナンスと法務|取引先管理と契約ワークフロー
今回は、グループガバナンスと法務ということで、取引先管理と、契約ワークフロー(以下「契約WF」)について見てみたいと思います。 これは特に企業グループにおける管理体制に限った話ではないですが(一社単位でも普通に必要)、グループでの管理体制を考える際にテーマになることもあるかと思いますので、ここで見てみます。また、管理人の個人的見解です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 取引先管理 取引先管理の要点は、 法人の実在性の確認 与信審査 反社チェック の3点にまとめる ...
公益通報者保護法|事業者における内部通報制度の位置づけ(体制整備義務など)
今回は、公益通報者保護法ということで、事業者における内部通報制度の法的位置づけについて見てみたいと思います。 令和2年改正によって新設されたものが多いですが、記事の後半部分では、令和2年改正前の内容にも参考として言及しています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 内部通報制度の法的な位置づけ 内部通報制度の整備は、従業員が300人を超える事業者の場合には法的義務となっています(300人以下の事業者の場合は努力義務)。 memo 令和2年改正前は体制整備は法的義務 ...
組織再編|新設分割-労働契約承継法の手続(5条協議・2条通知など)
今回は、組織再編ということで、新設分割における労働契約承継の手続について見てみたいと思います。 会社分割につき労働契約承継の特例を定めるものとして、労働契約承継法(「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」)により規定されています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 労働契約承継法とは 最初に、労働契約承継法が何のためにあるのか?という位置づけについて確認してみます。 まず、労働契約の承継には、本来は労働者の個別の承諾が必要です(民法625条1項参照)。 ▽民 ...
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イソ弁・インハウスローヤー(企業内弁護士)・独立開業など色々やってきた管理人が、いち法律職として見てきた景色を綴るブログです。法律業務の知識や転職経験などをできるだけわかりやすくアウトプットしています。
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【動画の概要】
この動画では、「特定〇〇」の一般的な用法について触れた後、犯罪収益移転防止法(マネロン防止法とでもいうべき法律)における「特定事業者」「特定業務」「特定取引」の意味について解説しています。
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「特定〇〇」は、用語の定義づけの際に使われる立法技術です(立法に際して特に創作した用語を定義する場合によく使われる。石毛正純「法制執務詳解《新版Ⅱ》」81頁等参照)。法務にも身近な例としては、「特定商取引法」や「特定電子メール法」などが挙げられます(比較的最近だと、フリーランス法の「特定受託事業者」なども)。
が、実際問題として、普通に日本語として読んだときに意味がわからない(語感から意味が浮かんでこない)というデメリットもあります。その典型のひとつが、犯罪収益移転防止法です。
この法律では、「特定事業者」「特定業務」「特定取引」というふうに、「特定〇〇」という用語が3つも出てきます。内容的には、
”特定事業者は、特定業務のうち特定取引については本人確認をはじめとした取引時確認を行う義務がある”
といった内容になるのですが、普通に日本語として読んだときには全く意味がわかりません。
なので、こういうときは、ひとまず語感から意味を想像することは諦めて、「適用対象〇〇」という位の意味で捉えておいて、少し理解が進んでから「こういう意味で”特定”なんだな」という形で自分の中に落とし込むのがスムーズだと思う、という話をしています。















