契約法務
Contract――――
契約の一般条項を勉強しよう|契約の有効期間
今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、契約の有効期間について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 一回的契約と継続的契約 契約の有効期間を定める必要があるのは、継続的契約の場合です。 継続的契約には、わかりやすい例でいうと、賃貸借契約や業務委託契約などがあります。契約に基づく給付が継続的に行われるものになります(賃貸借は”貸し続ける ...
法令用語を勉強しよう|「することができる」と「しなければならない」
今回は、法令用語を勉強しようということで、「することができる」と「しなければならない」の意味を取り上げてみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 「することができる」の意味 「することができる」は権利 法令用語としての「するこ ...
法令作成を勉強しよう|定義づけの仕方と略称
今回は、法令作成を勉強しようということで、定義づけの仕方と略称を取り上げてみたいと思います。 法令作成には一定の決まった型みたいなものがありますが、当ブログでは、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 定義づけの仕方 定義は、ざっくりいうと、法文や契約書のなかで使用する用語の意味をはっきりさせるために書くものです。 定義づけの仕方としては、 最初の方に定義規定を置く 個々の規定の中で括弧書きによ ...
法令用語を勉強しよう|「削る」「改める」「加える」
今回は、法令用語を勉強をしようということで、「削る」「改める」「加える」について見てみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「削る」「改める」「加える」は一部改正法で使われる法令用語ですが、契約書でも、修正覚書などを作成するときに役に立つケースがありますので、取り上げてみたいと思います。 ではさっ ...
契約の一般条項を勉強しよう|債務不履行による損害賠償請求(填補賠償の要件)
今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、損害賠償条項に関連して、填補賠償の法律上の要件について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 填補賠償の要件(民法415条2項) 民法415条2項は、「債務の履行に代わる損害賠償」(填補賠償)の請求をすることができる場合を定めており、 履行不能の場合(1号) 履行拒絶(確定的履行拒絶)の場合(2号 ...
契約の一般条項を勉強しよう|期限の利益喪失条項
今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、期限の利益喪失条項について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 期限の利益とは 期限の利益とは、期限が到来するまで債務の履行を請求されないという債務者の利益のことです。 例えば、貸金の返還債務や代金の支払義務などについて期限が設けられている場合、その猶予期間内であれば、債務者は、債権者から請求を ...
コンプライアンス法務
Compliance―――――――
景品表示法を勉強しよう|有利誤認表示-二重価格表示の類型
今回は、景品表示法を勉強しようということで、二重価格表示とその類型について見てみたいと思います。 消費者庁HPにも簡潔な解説ページがあります。 二重価格表示|消費者庁HP ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 二重価格表示とは 二重価格表示とは、要するに、”何かの価格と比較して、価格がそれよりも安い”とする表示のことです。 価格その他の取引条件について有利性を偽った表示は有利誤認表示と呼ばれ、景表法5条2号で禁止されています。 では、二重価格表示はどういう場合に有利誤 ...
広告法務|No.1表示に関する広告ルールの概要
今回は、広告法務ということで、No.1表示に関する広告ルールについて全体像を見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 No.1表示に関する広告ルール 日常生活の中でも「○○部門売上5年連続ナンバー1!」といった広告はよく見かけます。 このように、事業者が自らの商品やサービスに関して「No.1」「第1位」「トップ」「日本一」などと表示するものをNo.1表示と呼びます。 つまり、ランク付けを利用して、他の事業者との比較上の優良性(=品質が良い)や有利性 ...
インハウスローヤー転職と非弁の論点(前編)|転職活動時の注意点
今回は、インハウスローヤー転職と非弁の論点について書いてみたいと思います。 非弁の論点は、座学の時代には「法曹倫理」とかナントカいった科目で若干触れるだけで、「そんな話、そうそう無いでしょうよ…こんなこと勉強して何になるんじゃろ」と思うものの(管理人の当時の正直な心情)、実務になってみると意外とそこそこ出会うことになるのが非弁の論点です。 ※非弁行為があるという意味ではなく、非弁に抵触しないよう論点を検討すべき場合がある、という意味です。以下のいくつかの例も、それが非弁行為という意味ではなく、その論点があ ...
下請法を勉強しよう|親事業者の禁止行為-有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止
今回は、下請法を勉強しようということで、親事業者の禁止行為のうち有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止について見てみたいと思います。 下請法の適用対象になったとき、親事業者には以下のような11の禁止事項が課せられます。 【親事業者の11の禁止事項】(4条1項のグループ)①受領拒否の禁止②下請代金の支払遅延の禁止③下請代金の減額の禁止④返品の禁止⑤買いたたきの禁止⑥購入・利用強制の禁止⑦報復措置の禁止(4条2項のグループ)⑧有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止 ←本記事⑨割引困難な手形の交付の禁止⑩不当な ...
資金決済法を勉強しよう|資金移動業-利用者保護に関する規制
今回は、資金決済法を勉強しようということで、資金移動業のうち利用者保護に関する規制について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 利用者保護措置(法51条) 資金移動業者は、利用者に対する情報提供など利用者保護措置を講じる義務があります。 ▽法51条 (利用者の保護等に関する措置)第五十一条 資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明、手数料その他の資金移動業に係る契約の内容についての情報の提供 ...
犯罪収益移転防止法を勉強しよう|「犯罪による収益」とは
今回は、犯罪収益移転防止法を勉強しようということで、この法律でいう「犯罪による収益」について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 「犯罪による収益」とは 「犯罪による収益」とは、簡単にいうと、犯罪によって得た財産のことです。 JAFICの「犯罪収益移転防止法の概要」にわかりやすい文章がありますので、以下抜粋して引用してみます(※疑わしい取引の届出(法8条)に関する解説のなかの文章)。 ▽JAFIC「犯罪収益移転防止法の概要」15-《特定業務にお ...
コーポレート法務
Corporate―――――
M&A法務|株主間契約(SHA)-タグ・アロングとドラッグ・アロング
今回は、M&A法務ということで、株主間契約(SHA)のうちタグ・アロング(Tag-along)とドラッグ・アロング(Drag-along)について見てみたいと思います。 ※株主間契約のSHAというのは、Shareholders Agreementの略です 株主間契約では「対象会社の運営・ガバナンスに関する事項」と「株式の処分に関する事項」が規定されることが多いですが、本記事は後者に関する内容になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 株式の処分に関する ...
ファンド法務|信託受益権化
今回は、ファンド法務ということで、対象資産の信託受益権化について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 対象資産の信託受益権化 SPVの仕組みにおいて、信託はそれ自体が契約型ビークルとして利用されますが(▷参考記事はこちら)、それ以外にも、対象資産をSPCに譲渡する際に信託受益権化しておくという形でよく利用されます。 つまり、SPCが対象資産の現物・・を保有するのではなく、元の保有者(以下オリジネーター)が対象資産を受託者(通常は信託銀行)に信託 ...
開示制度|適時開示-決定事実に関する開示
今回は、開示制度ということで、適時開示(取引所規則に基づく開示)のうち決定事実に関する開示について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 決定事実の開示時期 決定事実とは、会社が決定した重要事実のことで、決定後直ちに開示することとされています(上場規程402条、403条)。 実務上、遅くとも決定した日のうちには開示しなければなりません実際の時刻としては、その日の取引時間の終了後(引け後)に開示されることも多いかと思います(適時開示ガイドブック第1 ...
組織再編|吸収合併-事前備置書類
今回は、組織再編ということで、吸収合併手続における事前備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事前備置書類とは 吸収合併を行う会社(合併当事会社)は、株主や債権者などの利害関係者に対し判断の資料を提供するため、一定の書類を合併契約承認の株主総会の前などに本店に備え置く義務があります。 この書類を、事前備置びち書類と呼びます。要するに、事前の情報開示です。 他の手続として「事後備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事後」かと ...
インサイダー取引規制|会社関係者の禁止行為(全体像)
今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、会社関係者のインサイダー取引規制について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、本記事では、前者の全体像をざっと見てみます。 ① 会社関係者の禁止行為(金商法166条)←本記事② 公開買付者等関係者の禁止行為(金商法167条) ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 会社関係者のインサイダー取引規制(金商法166条) 会社関係者のインサイ ...
公益通報者保護法を勉強しよう|公益通報の効果(公益通報者の保護)
今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、公益通報の効果(公益通報者の保護)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 解雇の無効など 労働者の場合(法3条) 公益通報の効果の1つ目は、公益通報したことを理由とした解雇の無効です(3条)。 ▽法3条 (解雇の無効)第三条 労働者である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に定める事業者(当該労働者を自ら使用するもの ...
「ひき逃げ」って法律的にはどういうもの?
芸能人で俳優の方の件が話題になっていますが、以前は女性アイドルの方の事件も話題になったりして、ひき逃げの事件はたまにニュースになっている印象があります。 「ひき逃げ」という呼び方はよく聞きますし、ニュースでもそのように報道されますが、これは法律的には何なのか?ということを書いてみたいと思います。 なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 道交法上の救護義務違反 結論からいうと、「ひき逃げ」というのは社会的な通称で法律上の名称ではなく、法律上は、道路交通法上の救護義務違反・報告義務違反と ...
発信者情報開示制度の改正論|11月最終取りまとめ案
ネット誹謗中傷の問題に関して、発信者情報開示制度の改正論が引き続き注目されていますが、総務省の「発信者情報のあり方研究会」から、先日、11月を目途と言われていた最終取りまとめの案が出されていました。 ニュースとしては、たとえばこちら。 ▽ネット中傷、訴訟しなくても投稿者を開示 総務省が検討|朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASNCD6G17NCDULFA018.html 最終とりまとめ(案)の原文はこちらから。 ▽発信者情報開示の在り方に関する研究会(第10回 ...
誹謗中傷と批判的な表現の判断基準って?
ネット誹謗中傷の議論が高まるにつれて、どんなものが誹謗中傷になるんだ?とか、批判や意見じゃなくて違法になる表現ってどんななんだ?という悩ましい問題が意識されるようになってきているように思います。 「誹謗中傷」というのは法律上の用語ではないので、誹謗中傷=直ちに違法な表現、という意味で使われているのか、誹謗中傷のなかに、違法なものとそうでないものがあるのか、外縁がはっきりしないですけど…。このへんは言葉の問題で人によって違うと思いますので、深入りしないでおきます。 ここでは、自分の整理も兼ねて、民事責任と刑 ...
誹謗中傷への法的対処って?
クソリプという言葉とともに、誹謗中傷への法的措置が話題に上ることが増えてきましたね。 管理人も対処したことがありますが(法律事務所と企業内の両方)、法的対処の流れについて簡単な記事にしてみました。 ※本記事は2020年1月23日作成の記事で、その後法改正がされています 法的対処は2段階を経る 加害者の特定、つまり住所氏名の開示に至るまでには、2段階あって、 ①書き込みからIPアドレスを特定(=媒体に開示請求)②IPアドレスから住所・氏名を特定(=プロバイダに開示請求) となります。 ①はわりと簡単ですが、 ...
箇条整理シリーズ|いじめ防止対策推進法
実務や理論を箇条書きで整理する,「箇条整理」シリーズ。 今回は,いじめ防止対策推進法について。 触れる機会があったので、ほんの触りだけだが整理しておきたいと思う。 「いじめ」の定義 いじめの上記定義は極めて広いものになっている。 反復性、継続性、顕著性、重大性、一方性、などなど、範囲に絞りをかける要素はいくつか考えられると思うが、いずれも入っていない。 これは、いじめの有無が疑われる場合の学校側の対処として「今回の件は~だから、いじめには該当しない」という形での反論がなされ、解決を阻むことが多かったからと ...
最判令和2年7月21日|リツイート事件最高裁判決と最近の裁判例
一週間ぐらい前の判決になりますが、リツイートの法的責任に関連する最高裁判決がありました。 これは、リツイートのアカウントにも発信者情報の開示請求を認めたところが話題になっていたものです。 また、もう少し前にはリツイートに名誉毀損の成立を認めた高裁判決も出ていましたので、本記事では、この最近の2つの司法判断について見てみたいと思います。 なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 最判令和2年7月21日-リツイートにも開示請求を認めた事例 判決の内容 ニュースとしては、たとえばこちら。一審 ...
【転職後の話】業界によるバックオフィスのまとまり具合の違い
管理人は何回か転職しているのですが、いくつか会社にいくと、なんかバックオフィスがバラバラだな、と思うことがあります。 大ざっぱな傾向をいうと、保守的(コンサバ)な業界の企業ほどまとまりがよく、新しい業界の企業ほどまとまりが悪い、という感じがします。 (※)自分ひとりの経験なのでサンプルが少ないことを前置きしつつ、ですが(汗) なんでこうなるんだろう、とか、どうすればいいんだろう、ということを考えてみました。 バックオフィスのまとまり具合の違い 保守的な企業は、働かないおじさんが相当数生息していて、どう見て ...
インハウスローヤー転職と非弁の論点(前編)|転職活動時の注意点
今回は、インハウスローヤー転職と非弁の論点について書いてみたいと思います。 非弁の論点は、座学の時代には「法曹倫理」とかナントカいった科目で若干触れるだけで、「そんな話、そうそう無いでしょうよ…こんなこと勉強して何になるんじゃろ」と思うものの(管理人の当時の正直な心情)、実務になってみると意外とそこそこ出会うことになるのが非弁の論点です。 ※非弁行為があるという意味ではなく、非弁に抵触しないよう論点を検討すべき場合がある、という意味です。以下のいくつかの例も、それが非弁行為という意味ではなく、その論点があ ...
2020年転職トレンド振り返り・最近のインハウスローヤーの変化
2020年も終わりということで、最近周りから聞いたり自分で感じたりした、今年の転職トレンドの傾向を書いておきたいと思う。 3つあって、うち2つはやはりコロナ関連で、3つめは、最近小耳に挟んだインハウスの変化傾向である。 副業解禁やリモート化は進んでいるが意外と遅いorリバウンドも 1つ目はコロナの影響で、いわずもがなの感もあるが、テレワークの推進や副業解禁などである。非常な勢いで一時期進んでいたようなイメージがある。 が、ここで言いたいのは、意外と変化スピードは遅い(ゆっくり)みたいである、ということであ ...
弁護士の転職物語⑤|インハウス転職のネガティブ面
今回はインハウス転職の、ややネガティブな面を指摘したいと思います。 最近はインハウスローヤー(組織内弁護士)の数も急激に増え(自分もその1人だったわけですが)、JILA(ジャイラと読む。日本組織内弁護士協会)の会員も増えて、「インハウス盛り上がってる!」という風潮です。 それはそれで結構なことですし、よくもわるくも何らかの変化は生まれるだろうと思います。 ただ、なぜ現在こういう風に世の中が動いているのかというと、それは残念ながら端的にいって、弁護士の大量発生による弁護士の値崩れです。 要は会社で勤務すると ...
弁護士の転職物語⑬|10年後の自分をイメージ
転職活動についてまたひとつ思い出したことがあるので書いておきたいと思います。 インハウスから転じて独立する前に、今後、独立するのと転職するのとどっちが自分にとっていいのだろうかと、転職活動も行いました。最終的には独立を選びましたが、選択肢の洗い出しをしておくというか、そういう意味で活動しました。 即、独立を選ばなかったのは、もしかして仕事が面白く感じないのは、仕事が面白くないからではなくて、一緒に働いている人が面白くないだけではないか、という気もしたからです(いわゆる”働かないオジさん”、”選べない上司” ...
新しい弁護士像|「法務弁護士」というような概念
ちょっと突然妄想じみたことをいうが、昔から何となく、「法務弁護士」というような概念が出来ればいいんじゃないかなと思っている。 紛争処理もするし平時の法務の処理もする、それが1人の人間の中で混じり合っているようなイメージの。 昔ロースクール時代に、ロースクールの理念として「理論と実務の架橋」ということが言われていて(掛け声倒れだが…)、実務家教員と学者教員が一緒になって行う「◯◯系実務」みたいな単位があった。が、そこで行われている事は、理論の部分を学者教員が説明した後、「じゃあここから先は◯◯先生にお願いし ...
感覚でわかる民事訴訟法|”歴史的証明”って何やねん
感覚でわかるシリーズ。 今回は、”歴史的証明”って何やねん?です。 民事訴訟法の勉強をしていると、「証明」概念の説明で、 「訴訟上の証明は、蓋然的な証明で満足するほかなく、いわゆる歴史的証明で足りる」 というような記述がありますよね。 最初に目にしたときには、歴史的証明って何やねんっ(*゚∀゚)っという感じですよね。管理人はそうでした。 これは要するに、訴訟上の証明というのは、現在ある痕跡から過去の事実を推認しているにすぎない、ということです。 だから、自然科学のような証明(数学の公式のような、1+1=2 ...
弁護士が自由なのは「一国一城の主」だから?
弁護士になったのは,「一国一城の主」になりたかったから。「やっぱり自由がいいよね!」という話を聞くことが多かった気がする。 でも,弁護士が自由っていうのは,本当にそういう意味なのだろうか?猫も杓子もみんなそう言ってるなーと思いつつ,自分としては全くといっていいほどそういう感覚はなかったし,そういう話を聞いても自分の中から何も反応はなかった。 一国一城の主=自由業,っていうのは,なんだか単純すぎませんかね?もちろんそれを目指して頑張る人がいるのは全く良いことだし,かっこいい人もいっぱいいる。 ただ,異なる考 ...
感覚でわかる法令入門|法律第○○号(法律番号)って何やねん
感覚でわかるシリーズ。今回は、「法律第○○号」って何やねん、です。 契約書でも、法律の名称を書くところでたまに見かけたりしますが、これは何なのか?という話です。 正式名称は「法律番号」 法律第○○号というのは、正式には法律番号といいます。年号もつきますので、例えば「令和△年法律第〇〇号」みたいになります。 これは何かというと、単に「何年の」「何番目に」公布された法律か、というナンバリングをしているだけです。 国会で成立した法律すべてに振られる管理No.のようなものと思っておけばよいです。別に法律の話でなく ...
東京高判令和2年11月5日|モバゲー免責条項事件判決
今回は、先日、モバゲー免責条項事件の東京高裁判決(令和2年11月5日)が出ていたので、これについて見てみたいと思います。 免責条項というのは、要するに損害賠償責任を免除する条項のこと(債務不履行に基づく損害賠償責任と不法行為に基づく損害賠償責任がある)で、全部免責のケースや一部免責のケースがあります。 会員資格取消措置などをとったことで損害が生じても損害賠償には一切応じない、とするモバゲー規約の条項は、消費者契約法に違反する(事業者の全部免責を定める不当条項にあたる)との内容です。 ▽モバゲー規約、二審も ...
ビジネスと弁護士法|弁護士マッチングサービス
今回は、ビジネスと弁護士法ということで、弁護士マッチングサービスについて見てみたいと思います。 弁護士法といっても主に非弁行為の禁止の部分のことですが、非弁行為には有償での「周旋」(仲介、あっせんのこと)の禁止というパターンもあるので、ビジネスの遵法性検討の際には案外よく出てきます。 すっかり一般的になった弁護士マッチングサービスにもこの論点は存在し、少なくともメジャーな事業者はその整理をした上でビジネスを行っているわけですが、案外それを知らない人(あるいは知っていても中身は知ろうとしない人)もいたりいな ...
発信者情報開示制度の改正論|11月最終取りまとめ案
ネット誹謗中傷の問題に関して、発信者情報開示制度の改正論が引き続き注目されていますが、総務省の「発信者情報のあり方研究会」から、先日、11月を目途と言われていた最終取りまとめの案が出されていました。 ニュースとしては、たとえばこちら。 ▽ネット中傷、訴訟しなくても投稿者を開示 総務省が検討|朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASNCD6G17NCDULFA018.html 最終とりまとめ(案)の原文はこちらから。 ▽発信者情報開示の在り方に関する研究会(第10回 ...
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