契約法務
Contract――――
M&A法務|株主間契約(SHA)-先買権と優先交渉権
今回は、M&A法務ということで、株主間契約(SHA)のうち先買権と優先交渉権について見てみたいと思います。 ※株主間契約のSHAというのは、Shareholders Agreementの略です 株主間契約では特に「対象会社の運営・ガバナンスに関する事項」と「株式の処分に関する事項」が規定されることが多いですが、本記事は後者に関する内容になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 株式の処分に関する規定-先買権と優先交渉権 株式引受契約(SHA)では、株式 ...
契約の一般条項を勉強しよう|期限の利益喪失条項
今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、期限の利益喪失条項について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 期限の利益とは 期限の利益とは、期限が到来するまで債務の履行を請求されないという債務者の利益のことです。 例えば、貸金の返還債務や代金の支払義務などについて期限が設けられている場合、その猶予期間内であれば、債務者は、債権者から請求を ...
契約の一般条項を勉強しよう|チェンジ・オブ・コントロール条項
今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、チェンジ・オブ・コントロール条項について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 チェンジ・オブ・コントロール条項とは チェンジ・オブ・コントロール条項(COC条項)は、支配権の移動に関する条項です。 例えば、取引相手方が競合他社に買収されるとか、支配権の移動により取引相手方の信用が低下する(背後に ...
M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-サンドバッギング条項
今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうちサンドバッギング条項について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 サンドバッギングとは サンドバッギング(sandbagging)とは、ざっくりいうと、表明保証違反があったときに、表明保証の相手方がその違反につき悪意であっても(あるいは有過失であっても)表明保証責任を追及することができる ...
契約の一般条項|契約の有効期間
今回は、契約の一般条項ということで、契約の有効期間について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 一回的契約と継続的契約 契約の有効期間を定める必要があるのは、継続的契約の場合です。 継続的契約には、わかりやすい例でいうと、賃貸借契約や業務委託契約などがあります。契約に基づく給付が継続的に行われるものになります(賃貸借は”貸し続ける”、業務委託 ...
法令用語の基本|「その他」と「その他の」の違い
今回は、法令用語ということで、「その他」と「その他の」の違いについて見てみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書を読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「その他」と「その他の」は、ほとんど同じに見えますが、実は、法令用語としての意味には違いがあります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 「その他」の ...
コンプライアンス法務
Compliance―――――――
景品表示法|規制の仕組み(全体像)
今回は、景品表示法ということで、規制の仕組み(全体像)について見てみたいと思います。 景品表示法は、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」(昭和37年法律第134号)といい、その名のとおり過大な景品提供や不当表示を規制するものです。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 独占禁止法との関係 景品表示法が規制する分野は、元々、独占禁止法の「不公正な取引方法」のうち不当な顧客誘引として規制されています。 景表法は、独禁法のその部分の補助立法であるといわれています。 その ...
景品表示法|表示規制-有利誤認表示の全体像
今回は、景品表示法ということで、表示規制のうち有利誤認表示について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 有利誤認表示とは 有利誤認表示とは、不当表示のひとつで、要するに、価格その他の取引条件について有利性を偽る表示のことです。 消費者庁HPに、有利誤認についての簡潔な解説が載っています。 有利誤認|消費者庁HP 有利誤認表示の禁止(景表法5条2号) 有利誤認表示の禁止は、景表法5条2号に定められています。 ▽景表法5条2号 (不当な表示の禁止) ...
下請法|親事業者の義務-3条書面の交付義務
今回は、下請法ということで、親事業者の義務のうち発注書面(3条書面)の交付義務について見てみたいと思います。 下請法の適用対象になったとき、親事業者には以下のような4つの義務が課せられます。 【親事業者の4つの義務】① 発注書面の交付義務 (第3条) ←本記事② 取引記録書類の作成・保存義務 (第5条)③ 支払期日を定める義務 (第2条の2) ④ 遅延利息の支払義務 (第4条の2) その中で、本記事は黄色ハイライトを引いた箇所の話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるもの ...
資金決済法|資金移動業-利用者保護に関する規制(資金決済法に基づく表示など)
今回は、資金決済法ということで、資金移動業のうち利用者保護に関する規制について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 利用者保護措置(法51条) 資金移動業者は、利用者に対する情報提供など利用者保護措置を講じる義務があります。 ▽法51条 (利用者の保護等に関する措置)第五十一条 資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明、手数料その他の資金移動業に係る契約の内容についての情報の提供、利用者から ...
ビジネスと弁護士法|離婚協議書の自動作成サービス
今回は、ビジネスと弁護士法ということで、離婚協議書の自動作成サービスについて見てみたいと思います。いわゆるグレーゾーン解消制度において照会と回答がなされた例になります。 弁護士法といっても主に非弁行為の禁止の部分のことですが、業務独占はあたかも業法の参入規制のように機能しますので(要するに入口の問題という点で共通)、ビジネスの遵法性検討の際には案外よく出てきます。その一例として、という話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 離婚協議書の自動作成サービス 照会対 ...
景品表示法|表示規制-「表示」の定義(定義告示と運用基準)
今回は、景品表示法ということで、表示規制における「表示」の定義について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 「表示」の定義 景表法2条4項 表示規制における「表示」はどんなものを指すのか?というと、これについては、景表法2条4項に定義が定められています。 ▽景品表示法2条4項 4 この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示 ...
コーポレート法務
Corporate―――――
合同会社法務|業務執行社員・代表社員・職務執行者
今回は、合同会社法務ということで、合同会社の管理のうち業務執行社員・代表社員・職務執行者について見てみたいと思います。 これらは合同会社の管理(運営)に関する基本事項ではありますが、いまひとつわかりにくい感じがつきまとう部分であるように思いますので、なるべくイメージがしやすくなるようにまとめていきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 業務執行社員とは 業務執行社員は、業務執行権をもつ社員のことです。 読んでそのままですが、会社法の文言としては「業務を執行する」 ...
ファンド法務|デットとエクイティ
今回は、ファンド法務ということで、デットとエクイティの違いについて見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 デットとエクイティ デット デット(debt)というのは、金融機関からの借入金や社債のように、返済義務のある負債のことです。 資金調達する側からみると、将来の元本と金利の支払いが義務づけられるものです。 投資する側(銀行など)からすれば、元利金が確定しているもの(あらかじめ決められた期日に約定された利率の利子と元本を受け取る権利を有する)であ ...
組織再編|新設分割-事後備置書類
今回は、組織再編ということで、新設分割手続における事後備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事後備置書類とは 新設分割を行った場合、分割当事会社は、設立会社(分割により設立される側)の成立後、一定の書類を本店に備え置く義務があります。 この書類を、事後備置びち書類と呼びます。要するに、事後の情報開示です。 他の手続として「事前備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事後」かというと、分割の効力発生日よりも前と後、です 事後 ...
M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-コベナンツ(プレ・クロージング事項)
今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち誓約事項(コベナンツ)について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です コベナンツには、クロージング(取引実行)の前か後かで、大きく ①プレ・クロージング事項(取引実行前の誓約事項。プレクロ事項)②ポスト・クロージング事項(取引実行後の誓約事項。ポスクロ事項) がありますが、本記事は①の話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるもので ...
ファンド法務|ノンリコースローン
今回は、ファンド法務ということで、ノンリコースローンについて見てみたいと思います。 なお、本記事では主にSPCを利用したアセットファイナンスの場面を想定しています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 ノンリコースローン ノンリコースローン(非遡及型貸付)とは、責任財産限定型ローンのことです。 つまり、ローン債権の責任財産をSPCの対象資産に限定している、ということです。SPCがデフォルト(債務不履行)となって貸付金の回収に不足が生じても、基本的には、対象資産以外の ...
インサイダー取引規制|情報伝達行為・取引推奨行為の禁止
今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、インサイダー取引規制のうち情報伝達行為・取引推奨行為の禁止について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、 ① 会社関係者の禁止行為 ・規制対象となる主体 ・規制対象となる情報 ・規制対象となる取引② 公開買付者等関係者の禁止行為 ・規制対象となる主体 ・規制対象となる情報 ・規制対象となる取引③ ①②とも情報伝達行為・取引推奨行為の禁止 ←本記事 その中で、本記事は黄 ...
労務管理
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【動画の概要】
この動画では、「特定〇〇」の一般的な用法について触れた後、犯罪収益移転防止法(マネロン防止法とでもいうべき法律)における「特定事業者」「特定業務」「特定取引」の意味について解説しています。
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「特定〇〇」は、用語の定義づけの際に使われる立法技術です(立法に際して特に創作した用語を定義する場合によく使われる。石毛正純「法制執務詳解《新版Ⅱ》」81頁等参照)。法務にも身近な例としては、「特定商取引法」や「特定電子メール法」などが挙げられます(比較的最近だと、フリーランス法の「特定受託事業者」なども)。
が、実際問題として、普通に日本語として読んだときに意味がわからない(語感から意味が浮かんでこない)というデメリットもあります。その典型のひとつが、犯罪収益移転防止法です。
この法律では、「特定事業者」「特定業務」「特定取引」というふうに、「特定〇〇」という用語が3つも出てきます。内容的には、
”特定事業者は、特定業務のうち特定取引については本人確認をはじめとした取引時確認を行う義務がある”
といった内容になるのですが、普通に日本語として読んだときには全く意味がわかりません。
なので、こういうときは、ひとまず語感から意味を想像することは諦めて、「適用対象〇〇」という位の意味で捉えておいて、少し理解が進んでから「こういう意味で”特定”なんだな」という形で自分の中に落とし込むのがスムーズだと思う、という話をしています。

















