契約法務
Contract――――
秘密保持契約(NDA)|違反に対する措置(差止め・損害賠償など)
今回は、秘密保持契約(NDA=Non Disclosure Agreement。以下「NDA」)ということで、違反に対する措置(差止め・損害賠償など)について見てみたいと思います。 普段それほどシビアに意識することは少ないですが、NDAの効力は違反時の救済にかかっています。本記事では、差止めの可否、不正競争防止法との交錯、損害額立証の難しさ、そして解除規定の有無などの論点を検討します。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 差止め 差止めとは一般に侵害行為をやめさせる ...
M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-コベナンツ(プレ・クロージング事項)
今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち誓約事項(コベナンツ)について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です コベナンツには、クロージング(取引実行)の前か後かで、大きく ①プレ・クロージング事項(取引実行前の誓約事項。プレクロ事項)②ポスト・クロージング事項(取引実行後の誓約事項。ポスクロ事項) がありますが、本記事は①の話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるもので ...
法令用語の基本|「別段の定め」と「かかわらず」
今回は、法令用語ということで、「別段の定め」と「かかわらず」を見てみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書を読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「別段の定め」と「かかわらず」は一見関係ないようですが、一般規定と特別規定の関係を示すにあたって対のように使うことができる用語になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理 ...
法令用語の基本|「及び」「並びに」と「又は」「若しくは」
今回は、法令用語ということで、「及び」「並びに」と「又は」「若しくは」の意味を取り上げてみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「及び」「並びに」(andの意味)と、「又は」「若しくは」(orの意味)は、だいたいどんな解説でも、最初の方の話は日常感覚でわかりますが、話が進むにつれて意外とよくわから ...
業務委託契約|知的財産権の帰属(譲渡か許諾か・特掲事項・人格権不行使特約など)
今回は、業務委託契約ということで、知的財産権の帰属に関する条項を見てみたいと思います。 業務委託契約で成果物を受け取っても、その知的財産権が自動的に委託者に移転するわけではありません。著作権や特許の帰属を明確にしておかないと、思わぬトラブルにつながる可能性があります。本記事では、契約書で押さえるべき注意点を整理します。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 知的財産権の帰属 業務委託の成果物に関するIPは、 特許権等の産業財産権 著作権 営業秘密・ノウハウ など多層的 ...
M&A法務|株主間契約(SHA)-プット・オプションとコール・オプション
今回は、M&A法務ということで、株主間契約(SHA)のうちプット・オプションとコール・オプションについて見てみたいと思います。 ※株主間契約のSHAというのは、Shareholders Agreementの略です 株主間契約では対象会社の運営・ガバナンスに関する事項と株式の処分に関する事項が規定されることが多いですが、本記事は後者に関する内容になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 プット・オプションとコール・オプション これらは、一定の条件を満たし ...
コンプライアンス法務
Compliance―――――――
景品表示法|景品類の要件-景品類非該当(値引等)
今回は、景品表示法ということで、景品類の要件のうち景品類非該当の要件について見てみたいと思います。 景品類該当性の判定で検討すべき要件には、以下の4つがありますが、 ① 顧客誘引性② 取引付随性③ 経済上の利益④ 景品類非該当 ←本記事 その中で、本記事は④に関するものです。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 景品類非該当(定義告示第1項但書) 景品類の要件のうち、①顧客誘引性/②取引付随性/③経済上の利益を満たす場合であっても、④値引・アフターサービス・附属物に ...
下請法|支払期日規制にまつわる論点まとめ(起算日と例外・締切制度など)
今回は、下請法ということで、支払期日規制にまつわる論点をまとめて見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 支払期日規制とは 下請法は、下請代金の支払期日について、親事業者が商品の受領日(サービスの場合は役務提供日)から起算して60日以内で、かつ、できるだけ短い期間内になるように定めることを義務づけています(支払期日を定める義務/法2条の2第1項)。 また、現実には支払期日を定める義務に違反しているケースもあり得ますので、そのような場合には、支払期日 ...
消費者契約法|債務不履行責任・不法行為責任の免責条項
今回は、消費者契約法ということで、債務不履行または不法行為による損害賠償の免責条項(法8条1項)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 免責条項の無効 消費者契約法8条1項は、債務不履行または不法行為による損害賠償を全部免責する条項を無効としています。 また、一部免責であっても、それが故意または重過失に基づく損害賠償を免責するものである場合には、やはり無効としています。 ▽法8条1項 (事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)第八条 ...
下請法|親事業者の義務-3条書面の交付義務
今回は、下請法ということで、親事業者の義務のうち発注書面(3条書面)の交付義務について見てみたいと思います。 下請法の適用対象になったとき、親事業者には以下のような4つの義務が課せられます。 【親事業者の4つの義務】① 発注書面の交付義務 (第3条) ←本記事② 取引記録書類の作成・保存義務 (第5条)③ 支払期日を定める義務 (第2条の2) ④ 遅延利息の支払義務 (第4条の2) その中で、本記事は黄色ハイライトを引いた箇所の話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるもの ...
景品表示法を勉強しよう|学習ロードマップ
今回は、景品表示法を勉強しようということで、景品表示法の学習の流れについて見てみたいと思います(管理人の私見です)。 本記事では、当ブログ内の景品表示法についての勉強記事を一覧でまとめています。 学習の流れ 景品表示法の学習の流れは、以下のような感じになるかと思います。 ***** まず、規制の仕組み(全体像)をざっと見る。 そうすると、表示規制と、景品規制、それらの違反に対する措置、に分かれる。 表示規制は、「表示」の定義などをざっと見たあと、①優良誤認表示、②有利誤認表示、③その他の不当表示、の3つに ...
迷惑メール防止法を勉強しよう|特定電子メールとは
今回は、迷惑メール防止法を勉強しようということで、特定電子メールの定義について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 特定電子メールとは 「特定電子メール」とは、迷惑メール防止法で、規制の対象となる電子メールを指す用語です。 感覚的にいうと、いわゆる”広告宣伝メール”ですが(あるいは”商業メール”)、定義は法2条2号に定められています。 二 特定電子メール 電子メールの送信(国内にある電気通信設備(電気通信事業法第二条第二号に規定する電気通信設 ...
コーポレート法務
Corporate―――――
開示制度|会社法に基づく開示-決算公告
今回は、開示制度ということで、会社法に基づく決算公告について見てみたいと思います。 これは決算情報の開示のことで、開示の時期的には、上場会社でいうところのいわば継続開示にあたります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 決算公告(法440条1項) 株式会社は、定時株主総会の終結後遅滞なく、決算の公告をしなければならないとされています(会社法440条1項)。 公告というのは、広く一般に知らせること(公衆に告知すること)、といった意味です 公告する決算の内容は、貸借対照 ...
インサイダー取引規制|会社関係者の禁止行為-規制対象となる主体
今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、会社関係者のインサイダー取引規制のうち規制対象となる主体について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、 ① 会社関係者の禁止行為 ・規制対象となる主体 ←本記事 ・規制対象となる情報 ・規制対象となる取引② 公開買付者等関係者の禁止行為 ・規制対象となる主体 ・規制対象となる情報 ・規制対象となる取引③ ①②とも情報伝達行為・取引推奨行為の禁止 その中で、本記事は黄色 ...
公益通報者保護法|事業者における内部通報制度の位置づけ(体制整備義務など)
今回は、公益通報者保護法ということで、事業者における内部通報制度の法的位置づけについて見てみたいと思います。 令和2年改正によって新設されたものが多いですが、記事の後半部分では、令和2年改正前の内容にも参考として言及しています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 内部通報制度の法的な位置づけ 内部通報制度の整備は、従業員が300人を超える事業者の場合には法的義務となっています(300人以下の事業者の場合は努力義務)。 memo 令和2年改正前は体制整備は法的義務 ...
公益通報者保護法|法の目的と規制の仕組み(全体像)
今回は、公益通報者保護法ということで、法の目的と規制の仕組み(全体像)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 法の目的・内容 「公益通報者保護法」(平成16年法律第122号)は、これが正式名称となっています。 法律の分量としては実は22条までしかなく、もし全部を読んでもそれ程の分量はありません(ほかの法律に比べればという意味)。 法の目的は、以下のとおりとされています。 ▽公通法1条 (目的)第一条 この法律は、公益通報をしたことを理由と ...
インサイダー取引規制|情報伝達行為・取引推奨行為の禁止
今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、インサイダー取引規制のうち情報伝達行為・取引推奨行為の禁止について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、 ① 会社関係者の禁止行為 ・規制対象となる主体 ・規制対象となる情報 ・規制対象となる取引② 公開買付者等関係者の禁止行為 ・規制対象となる主体 ・規制対象となる情報 ・規制対象となる取引③ ①②とも情報伝達行為・取引推奨行為の禁止 ←本記事 その中で、本記事は黄 ...
ファンド法務|ノンリコースローン
今回は、ファンド法務ということで、ノンリコースローンについて見てみたいと思います。 なお、本記事では主にSPCを利用したアセットファイナンスの場面を想定しています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 ノンリコースローン ノンリコースローン(非遡及型貸付)とは、責任財産限定型ローンのことです。 つまり、ローン債権の責任財産をSPCの対象資産に限定している、ということです。SPCがデフォルト(債務不履行)となって貸付金の回収に不足が生じても、基本的には、対象資産以外の ...
労務管理
Labor
情報管理
Information
知的財産
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【動画の概要】
この動画では、「特定〇〇」の一般的な用法について触れた後、犯罪収益移転防止法(マネロン防止法とでもいうべき法律)における「特定事業者」「特定業務」「特定取引」の意味について解説しています。
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「特定〇〇」は、用語の定義づけの際に使われる立法技術です(立法に際して特に創作した用語を定義する場合によく使われる。石毛正純「法制執務詳解《新版Ⅱ》」81頁等参照)。法務にも身近な例としては、「特定商取引法」や「特定電子メール法」などが挙げられます(比較的最近だと、フリーランス法の「特定受託事業者」なども)。
が、実際問題として、普通に日本語として読んだときに意味がわからない(語感から意味が浮かんでこない)というデメリットもあります。その典型のひとつが、犯罪収益移転防止法です。
この法律では、「特定事業者」「特定業務」「特定取引」というふうに、「特定〇〇」という用語が3つも出てきます。内容的には、
”特定事業者は、特定業務のうち特定取引については本人確認をはじめとした取引時確認を行う義務がある”
といった内容になるのですが、普通に日本語として読んだときには全く意味がわかりません。
なので、こういうときは、ひとまず語感から意味を想像することは諦めて、「適用対象〇〇」という位の意味で捉えておいて、少し理解が進んでから「こういう意味で”特定”なんだな」という形で自分の中に落とし込むのがスムーズだと思う、という話をしています。

















