弁護士のインハウス転職について調べると、エージェントの選び方や職務経歴書の書き方など、個別の情報は数多く見つかります。一方で、転職活動の全体像や、実際上どのような点で迷いやすいのかといった点は、必ずしも体系的に整理されているとは限りません。
本記事では、弁護士のインハウス転職について、転職活動の基本的な流れ(エージェント登録・書類作成・面接)から退職時の話まで、実際上の判断ポイント、さらには非弁行為との関係などの制度的な論点まで、関連する内容をまとめて整理しています。
はじめて転職を検討する方が全体像を把握するための入口としても、すでに検討を進めている方が論点を確認するための参照ページとしても利用できるよう構成しています。必要に応じて各詳細記事を参照しながら、全体像と個別論点を行き来できるまとめページとしてご利用ください。
転職活動の流れ
最近は弁護士の転職活動に関する情報もたくさん出ていますが(昔と違ってむしろレッドオーシャン気味ですらある)、基本的な転職活動の手順を改めてまとめてみます。
端的にいえば、
Step1:転職エージェントに登録する
↓
Step2:職務経歴書をつくる
↓
Step3:面接を受ける
そして内定を得る、これだけです。
巷ではどちらかというとキラキラした感じの転職活動情報がやはり多い気がしますが、当ブログではごくオーソドックスな転職活動についてまとめています(以下のまとめ記事)。特に何だか気後れするな…などと感じがちの方は必要に応じてご参照いただければと思います。
👉 弁護士の転職活動(主にインハウス)全体について知りたい方はこちら
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【弁護士の転職】転職活動のロードマップ
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エージェント論
各論としては、エージェント論というほどの話ではないですが、エージェントに関して知っておいた方がよいことが主に2つあります。
ひとつは、転職エージェント(および転職サービス)の種類です。
最近はいろいろなサービスがありますしすぐ調べることもできますので、あまり必要ないかもしれませんが、改めてざっくり整理すると、分野特化型のエージェントや一般型の転職エージェントのほか、Bizreachなどプラットフォーム型のサービス、管理人は使ったことがないですがLinkedInなどSNSタイプのサービスを適宜利用するのが、比較的ベーシックなやり方だろうと思います。
👉 転職エージェントサービスの種類に関する個別記事はこちら
もうひとつは、転職エージェントの報酬と料率構造です。
転職エージェントの報酬は、内定に至った企業(求人側)から出ますので、応募者(求職側)は少なくともビジネス的には顧客ではなく商材という位置づけになります(顧客はあくまで企業)。
なのでその帰結として、応募者には案件にたくさん応募してもらい、なるべく多く内定に至らせてうまく畳む、というのが典型的な動きにはなりますので、つまり真剣に応募者のキャリアやキャラクターへのフィット感などを考えているとは限らないということは、初期でも一応知っておいた方がよいかと思います(もちろん真摯に考えてくれる人もなかにはいますが)。
👉 転職エージェントサービスのビジネスモデルに関する個別記事はこちら
書類・面接
転職活動における書類の作成作業は、通常、職務経歴書と履歴書の2つです。
履歴書は作成に迷うことはないとして、職務経歴書は特に最初は非常に面倒に感じるものですので、いくつか個人的な体験談を書いています。最近はフォーマットは豊富に手に入るものの、中味は作らざるを得ないため、相変わらず面倒なことだと思います。もっとも、さらに直近では音声入力やAIも出てきたので、多少マシになっているかもしれません。
普通の作り方としては、内容面と形式面の両方に配慮する、悪目立ちする特殊なことはしないようにする、採用側がどのように見ているかちょっと知っておく、といったあたりがポイントかと思います。
👉 職務経歴書の書き方に関する詳細記事はこちら
- 【弁護士の転職】職務経歴書の書き方①|内容面-最初の転職時の悩み
- 【弁護士の転職】職務経歴書の書き方②|形式面-ビジュアル的な綺麗さも意識しよう
- 【弁護士の転職】職務経歴書の書き方③|注意点-悪目立ちすることはやめておこう
- 【弁護士の転職】職務経歴書の書き方④|採用側から見た景色
面接に関しては、転職の軸の言語化(特に退職理由の説明)、想定問答のシュミレーション、会社情報の調査といった準備事項と、あとは一般的な進捗の仕方あたりをあらかじめ知っておくと役に立つ(ストレスが少ない)かと思います。
👉 面接への向き合い方に関する詳細記事はこちら
退職・移行の判断と手続
さて、転職活動の流れを見たあとに何ですが、そこで一生稼働するという場合以外は、どこかで退職する時期もやってきます。管理人の個人的意見ですが、退職に関しては2つのトピックがあります。
まず、退職するときには、どういう心持ちで退職を決めるかや、人に相談した結果どういう気持ちになるかといった話があるかと思います。
👉 退職検討時の心持ちに関する個別記事はこちら(雑記です)
もうひとつは、年金と健保の手続です。間断なく次の職場に転職する場合は気にする必要はないですが、独立する場合やブランクが空く場合は、年金と健保の手続が必要になります(弁護士に限った話ではありませんが)。
ひとつ弁護士に特有のものがあるとすると、弁護士健保との比較ですので、これもあらかじめ知っておいて損はないかと思います。
👉 弁護士国保って知ってますかの個別記事はこちら
非弁行為・業際の論点
次に、少し特殊な視点かもしれませんが、弁護士の転職活動のなかでは、非弁に関連して一応気にしておいた方が望ましいと思う点が2つあります。ただ、あまり巷で話題になっているのを目にしたことはないので、気にしない人は気にしないのかもしれませんが。
ひとつは、転職候補先の業界が、潜在的に非弁行為の領域を含んでいないかどうかです。
こう書くとものすごく問題があるように見えますが、そうではなく、多くは白寄りのグレーの領域でバランスをとって問題なくやっていることだろうと思います。たとえば、不動産・建築業界における立ち退き交渉や、M&A仲介業界における法的な要素を含むアドバイスなどは、潜在的に非弁行為との境界がありますが、当然ながらすでに活躍した先人(弁護士、有資格者の双方含む)がたくさんいますので、そこまで気にする必要はないかと思います。
ただ、日々の業務でそういうのを気にしてやらないといけないとするとちょっと嫌だな、と思う人は、あらかじめそういう領域があることは知っておいた上で選択を考えた方がベターだろう、ということです(ちなみに、非弁行為は弁護士かどうかは関係ないので、これも弁護士に限った話ではないですが)。
👉 インハウス転職と非弁の業際問題についての個別記事はこちら
もうひとつは、転職エージェントを使用する場合で、業務委託形態の案件の場合です。これは上記の「非弁護士による有償での法律事務の取り扱い」の話ではなく、もうひとつの非弁行為、つまり「有償での周旋(あっせん)」の問題です。
つまり業務委託形態の紹介には、転職エージェント側に非弁行為(有償周旋)との境界線の論点があり、万が一それに該当した場合、利用した弁護士も流れ弾を受ける可能性があるということです。
この点についてはグレーゾーン解消制度における法務省の回答で一定の示唆が出ており、ざっくり要約すれば、実態がインハウスである場合には問題ないとされています。そして巷の案件はそういうものが大半なので、基本的に気にする必要はないと思いますが、一応この話を知っておいたうえで、万が一おかしなものがあったらハジく(あるいはその転職エージェントは使わない)という対応は必要になるだろうと思います。
管理人も実際には危なそうな案件(実態として個別具体的な案件群の依頼に近い、あるいは事件性のある案件群の依頼に近いなど)を見たことはないので、そんなに切迫した話ではないです。ただ、一応知っておいて損はないだろう、という感じですかね。
👉 業務委託における転職エージェント利用と非弁の論点(有償周旋)についてはこちら
インハウスのメリット・デメリットにまつわる話題
逆に、これは巷でもよく見かける話題ですが、インハウスのメリット・デメリット、向き・不向きというテーマはあるように思います。
ほかの仕事と同様、正解のない話ですが、よくいわれるワークライフバランスやライフイベントとの関係のほか、普段一緒に働くことになる人のパーソナリティの違い(他職種の人と接することになる割合の多寡)、現場との距離(近さと遠さ)、案件への関与の仕方(全体寄りか個別論点寄りか)、組織の動き方との親和性(会社で働くのは無理ですわなのかそこは気にしないのか)、ある種古典的な弁護士業務への関心や志向性の度合(仕事や世界観やマインドがフィットするか)、といったものがあるかと思います。
一般的に言われることとは若干毛色が違いますが、個人的な意見を個別記事に書いています。
👉 インハウスのメリデメ・向き不向きに関する個別記事はこちら
転職に慣れてきた頃の地雷問題
また、転職に慣れてきた頃(あるいは初期でもですが)の現実問題として、転職エージェントから紹介を受けたり転職サービスで見かける案件のなかには、地雷案件のようなものもやはりあるように思いますので、それにも一応触れています。
👉 転職に慣れてきた頃の地雷問題についてはこちら
結び
今回は、インハウス転職の全体像を見てみました。管理人の個人的意見にわたる部分も多いですが、ご容赦いただければと思います。
関連記事一覧はこちら
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インハウス転職 - 法律ファンライフ
houritsushoku.com
また、かなり昔の話になりますが、管理人の初期の転職活動を十数記事の続きモノとして書いたこともありますので(ややクセ強めですが)、フェーズが似ている方などもしご興味がありましたらご覧ください。
[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。