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インハウスローヤーはおもしろくない?|消極的〇〇の話

最近Twitter等を見ていると、インハウスをやっている人は皆つまらないと言っているとか、充実感を感じていないとか、面白くないと言っている、という評をわりとよく見かける。

 

世間的にはそういうもんなんだ…と思ったので、これとはまたちょっと違う個人的意見を書いてみたいと思う。

 

インハウスローヤーはおもしろくない?

自分はインハウスを面白いと思っているので感覚的によくわからないし、実際インハウスが面白くないというのを直接聞いたことがないのでよくわからないけれど、こういう評を見かけたときにまず思ったのは、「面白くなければやめればいいのに」ということである。

 

たぶん、インハウスが面白くないというのは、たとえばワークライフバランスがいいからとか、とりあえずブラックや違法の事務所からの逃げ込み先として来たからとか、つまりインハウスをやることの積極的動機はない人が言っているのではないか、と個人的には思う。

 

これは他の領域にもあることで、たとえば法テラスに関して、友人から、景気が良くなるとともに年々法テラスの新規志願者が減ってきているということを聞いた。人の確保が難しいレベルのときもあるとかないとか。

 

これが起こっている原因も自分にはわからないが、景気の改善と連動しているのであれば、つまり以前法テラスに勤めていた人は、「景気が悪くて就職先がない」という理由で法テラスに行っていた人が多かった、ということになるのではないかと思う(推測、意見です。気を悪くされる方がいたらすいません)。これも、法テラスに行くことの積極的動機がない人が多かったということを意味するのではないか、と個人的には思っている。

 

つまり、こういうケースは、いわば消極的インハウスであり、消極的法テラスなのだと思う。

 

しかし、インハウスも、法テラスも、積極的な動機を持って行けば面白いはずで、たとえば自分の場合は、インハウスは弁護士にこれまでなかった内科医的機能を追加するという意味があると思っているし、そういう目で何をどうしていったらいいんだろうと思って見ていると、妄想的ではあるが興味は尽きない。

 

また、業界の人と普段から生で話すという体験がそれ自体面白く、業界プロパーの知識や当事者意識みたいなものも、肌感覚的理解の促進という点では事務所勤めしているよりもレベチで速い(極めて有効)といえること、組織の動き方というものが法律事務所のときの100倍よくわかることなど、何というか比較できないまた別秩序の世界みたいな感じで、やはり、やっていれば妄想も含めていくらでも考えることがあり、それ自体が面白くないという事は無い。

 

多少窮屈に感じる事はあるが、それなら副業で弁護士業とかをやっても(やる方法を探しても)別に構わないわけだし、そこそこ方法はあるはずだと思う。

 

法テラスでいえば、その理念と名称のとおり、経済的理由から法的サポートの恩恵を受けられない人に法の光を照らすという意義を感じて任地に赴いた人は、そのやりがいを感じるだろうと思う。あるいは、リーガルアクセスの多様化とか、あまねくすべての人に法的サポートを届けるにはどうしたら良いかということを考える一環として法テラスに行くとか、こういう積極的意義を持って任地に赴いた人は、大変だと思うことはあるだろうが、やはり面白くないと感じることはないだろうと思う。(そして、次にまた別にやりたいことが出てきた、といった場合はまた別の話で、次のステージに進めばよいと思う)。

 

個人的には、こういうのとは逆の、消極的〇〇みたいなものが、あまり好きではない。動機が濁っている、と感じるので。。(悪い、という意味ではなくて、本筋以外のものの混じりっ気が強すぎるという意味)

 

さらに、法律に限らない他の領域にもあって、たとえば「給料が安定している」という理由で公立学校の教師になる、とかも似たような話であると思う。手がかかる子ほどかわいいとか、なんとなく子どもをどうしても放って置けないとか、未来に種をまくとか、そういった要素のいくつかを持つ人が、積極的意義を感じて教師になるべきと思うが(まあ現実はそんなに綺麗じゃないとかの話ももちろんあると思いますが)、「給料が安定している」という理由で公立学校の教師になる人は、当然、そのうち、教師を面白くないと思うだろうと思う。

 

インハウスローヤーが面白くないと言っている人もおそらくそれと同じだろうと個人的には思っていて、嫌な言い方をすれば、それはインハウスローヤーが面白くないのではなく、その人が面白くないのだろうと思う。

 

穏やかな言い方をすれば、その人とインハウスローヤーが合ってないのだと思う。少なくとも、積極的意義を何らか見出していないのにそこに行ってしまった、という意味で。

 

そして、もしそうであれば、これはインハウスローヤーに限った話ではないので、どこか別の場所に行っても、きっと同じことを言うのだろうと思う。

 

結び

というわけで、インハウスローヤーに興味を持っている人も、「インハウスローヤーやってる人で面白いと言う人を聞いたことがない」とか、そういった風評に惑わされず、自分が積極的意義を感じる軸がその先にあるのならば、インハウスローヤーも積極的な選択肢のひとつに入れてほしいと僭越ながら思う。

 

また最近は働き方も多様化してきているから(歩みは意外と遅いが)、業務委託と組み合わせるとか、副業として弁護士をするとか、いくつか工夫の余地があるはずとも思うので、成功例がよく見えない領域なので恐怖もあると思うが、工夫しながらやっていきたいと思う人はあまり風評に惑わされず進んでみてほしいと思う。

 

なお、青天井を目指す人には、インハウスは向かない領域だと思う。たぶんエクイティを何らかの形でゲットしたりしない限り、爆当たりはない領域なので。そういう人は、迷わず大手法律事務所でパートナーを目指すか、勝算のあるビジネスモデルを引っ提げてなるだけ早く独立すべきだと思う。

 

余談

ちなみに、業界の人ならだいたいご存知のことだと思うが、弁護士業界的には、インハウスローヤーの実際のイメージは、「大手ローファームでパートナー争いに敗れた人が仕方なく行くところ」という感じで、ぶっちゃけて言ってしまえば「都落ち」のイメージのルートだったみたいである。

 

自分の場合は恥ずかしながら昔はそういうことも知らず、わりと無邪気に「インハウスって新しい弁護士って感じでおもしろそう」みたいな感じで行ったので、一応参考まで。

 

個人的にはそもそも大手ローファームに属したこともなく、他人ごとのような話に思えるし、もし知っていても別に気にしなかったと思う(いまも気にしていない)。

 

昔の記事でも書いたことがあるが、個人的には、同じ「インハウスローヤー」といっても、60期を区切りにその前後ではほとんど別物だと思っていて、もしその前提に立つなら、上記のイメージは、60期以前のインハウスローヤーを念頭に置いた古典的イメージ、ということになるんじゃないかと思う。(ちなみに、60期以降のインハウスローヤーのイメージは、現在のところ、「有資格会社員」である。)

 

ただ世間的には、こういう話もあったみたいなので、もし過去の自分のように知らない人がいたらと思って一応余談として書いてみました。

 

  • この記事を書いた人

とある法律職@転職×法務×弁護士

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。経歴:イソ弁、複数社(3社)でのインハウスローヤー、独立開業など。自分の転職経験、会社法務や法律相談、独立開業の話などをアウトプットしています。

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