犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法を勉強しよう|特定事業者とは

今回は、犯罪収益移転防止法を勉強しようということで、特定事業者について書いてみたいと思います。

 

ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線などは管理人によるものです。

 

メモ

 本カテゴリ「法務情報」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いていますので、感覚的な理解を掴むことを目指しているのですが、書籍などを理解する際の一助になれれば幸いです。

 

特定事業者とは(法2条2項)

まず「特定事業者」というのが何なのか、言葉からイメージしにくいので、とっつきにくいように思う。

 

犯罪収益移転防止法(以下「犯収法」)では、規制の対象となる事業者のことを「特定事業者」という用語で呼んでおり(法2条2項)、1号~47号まで多数の事業者が列挙されている。

 

(定義)
第二条 
2 この法律において「特定事業者」とは、次に掲げる者をいう。
一~四十七 (略)

 

犯収法は、特定事業者に対して取引時確認をはじめとするさまざまな義務を課すとともに、特定事業者の顧客等には取引時確認事項を偽ることを禁止すること等を内容とするものなので、規制の対象はより明確に規定する必要があるという観点から、包括的・抽象的な定義を置くのではなく限定的に列挙することとしたもの、とされている。
(「逐条解説 犯罪収益移転防止法」(犯罪収益移転防止制度研究会)27~28頁参照)

 

こういう性質の業種は特定事業者に当たりますよ、という抽象的な定め方ではなくて、個別の業種をひとつひとつ挙げる定め方にしている、ということである。

 

特定事業者をざっくり類型ごとに並べると、以下のように7グループある。
(「犯罪収益移転防止法の概要(令和2年10月1日時点)」(JAFIC)16頁など参照)

 

法2条2項 類型 特定事業者 所管行政庁(※)
1号~37号 金融機関等 金融庁、経産省、財務省など
38号 ファイナンスリース事業者 経産省
39号 クレジットカード事業者 経産省
40号 宅地建物取引業者 国交省
41号 宝石・貴金属等取扱事業者 経産省、都道府県警など
42号 郵便物受取サービス業者 経産省
電話受付代行業者 総務省
電話転送サービス事業者 総務省
43号~47号 士業者 士業会・連合会、行政庁など

(※)所管行政庁については、疑わしい取引の参考事例|JAFICホームページが参考になる(特定事業者ごとの所管行政庁のウェブサイトの一覧がある)

 

以下、もう少し詳しく見てみる。

 

①金融機関等(1号~37号)

1つ目のグループは、金融機関等である。

 

先ほどの表では「金融機関等」と一括りにしていたが、ざっと全体を眺めると以下のような感じである。

 

特定事業者 条文の文言
1号 銀行 銀行
2号 信用金庫 信用金庫
3号 信用金庫連合会 信用金庫連合会
4号 労働金庫 労働金庫
5号 労働金庫連合会 労働金庫連合会
6号 信用協同組合 信用協同組合
7号 信用協同組合連合会 信用協同組合連合会
8号 農業協同組合 農業協同組合
9号 農業協同組合連合会 農業協同組合連合会
10号 漁業協同組合 漁業協同組合
11号 漁業協同組合連合会 漁業協同組合連合会
12号 水産加工業協同組合 水産加工業協同組合
13号 水産加工業協同組合連合会 水産加工業協同組合連合会
14号 農林中央金庫 農林中央金庫
15号 株式会社商工組合中央金庫 株式会社商工組合中央金庫
16号 株式会社日本政策投資銀行 株式会社日本政策投資銀行
17号 保険会社 保険会社
18号 外国保険会社等 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第七項に規定する外国保険会社等
19号 少額短期保険業者 保険業法第二条第十八項に規定する少額短期保険業者
20号 共済水産業協同組合連合会 共済水産業協同組合連合会
21号 金融商品取引業者 金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第九項に規定する金融商品取引業者
22号 証券金融会社 金融商品取引法第二条第三十項に規定する証券金融会社
23号 適格機関投資家等特例業者 金融商品取引法第六十三条第五項に規定する特例業務届出者
24号 信託会社 「信託会社」
25号 登録自己信託会社 信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第五十条の二第一項の登録を受けた者」
26号 不動産特定共同事業者 不動産特定共同事業法(平成六年法律第七十七号)第二条第五項に規定する不動産特定共同事業者
「同条第七項に規定する小規模不動産特定共同事業者」
「同条第九項に規定する特例事業者」
「同条第十一項に規定する適格特例投資家限定事業者」
27号 無尽会社 「無尽会社」
28号 貸金業者 貸金業法(昭和五十八年法律第三十二号)第二条第二項に規定する貸金業者
29号 金融庁長官の指定する短資業者 貸金業法第二条第一項第五号に規定する者のうち政令で定める者」
30号 資金移動業者 資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第三項に規定する資金移動業者
31号 暗号資産交換業者 資金決済に関する法律第二条第八項に規定する暗号資産交換業者
32号 商品先物取引業者 商品先物取引法(昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第二十三項に規定する商品先物取引業者
33号 振替機関 社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第二条第二項に規定する振替機関
(同法第四十八条の規定により振替機関とみなされる日本銀行を含む。)」
34号 口座管理機関 社債、株式等の振替に関する法律第二条第四項に規定する口座管理機関
35号 電子債権記録機関 電子記録債権法(平成十九年法律第百二号)第二条第二項に規定する電子債権記録機関
36号 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構 独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構
37号 外貨両替業者、トラベラーズチェック取引業者 「本邦において両替業務(業として外国通貨(本邦通貨以外の通貨をいう。)又は旅行小切手の売買を行うことをいう。)を行う者

 

直近の追加は、31号の「仮想通貨交換業者」であり(平成28年改正|日本法令索引金融庁HP)、仮想通貨の売買を行う取引所等が対象となっている。

 

仮想通貨交換業者が特定事業者とされている理由については、以下のJAFICの解説がわかりやすい。

 

「犯罪収益移転防止法の概要(令和2年10月1日時点)」(JAFIC)50頁

 暗号資産は、法定通貨との交換が可能であり、利用者の匿名性が高いこと、資金の移動が迅速かつ容易であること等の特徴があることから、犯罪収益の移転やテロ資金供与に利用される危険性があります。
 過去の国内における事件事例では、不正に取得した他人名義のIDやパスワード等を利用して購入した暗号資産を、海外の交換サイトを経由するなどして法定通貨に換金し、その代金を他人名義の口座に振り込むケースがみられます。

 

②ファイナンスリース事業者(38号)

2つ目のグループは、ファイナンスリース事業者である。

 

特定事業者 条文の文言
38号 ファイナンスリース事業者 顧客に対し、その指定する機械類その他の物品を購入してその賃貸(政令で定めるものに限る。)をする業務を行う者

 

ファイナンスリースとは、物品を調達しようとする顧客に対して、リース会社が代わってそれを購入して賃貸する形態の取引をいい、以下の要件を満たすものとされている(令3条、規則2条)。

①中途解約不能の要件

 賃貸に係る契約が、賃貸の期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるもの(契約において解除することができない旨の定めがないものであっても、賃借人が当該契約期間の中途において当該契約に基づく義務に違反し、又は当該契約を解除する場合において、未経過期間に係る賃貸料のおおむね全額を支払うこととされているものを含む。)。

②フルペイアウトの要件

 賃貸を受ける者が当該賃貸に係る物品の使用からもたらされる経済的な利益実質的に享受することができ、かつ、当該物品の使用に伴って生じる費用実質的に負担(賃貸料の合計額がその物品の取得のために通常要する価額のおおむね 90%を超える場合。)すべきこととされているもの。

 

不動産のリースが除かれていること(=「機械類その他の物品」との文言)以外は、基本的に会計上のファイナンスリース概念と同様である。

 

ファイナンスリース事業者が特定事業者とされている理由については、以下のJAFICの解説がわかりやすい。

 

「犯罪収益移転防止法の概要(令和2年10月1日時点)」(JAFIC)50頁

 本法では、ファイナンスリース業者を機械、設備その他の物品を調達しようとする企業等に対してリース会社が代わってそれを購入し賃貸するという形で取引を行うものと定義しています。リースを受ける顧客にとっては自身が希望する機械や設備を利用でき、その代金をリース料として支払うことができるので、手元資金がなくても設備投資等を行え、法人税法上のメリットがあるなどの利点もあり、広く行われている取引の形態です。
 しかしながら、実質的には金銭の貸し付けを受け物品を調達する取引と類似しており、犯罪収益を移転しようと考えている者にとっては、リース料に付加する形で犯罪収益を移転させれば、外部からはその把握が困難となってしまいます。従って長期間にわたって分割して犯罪収益を移動することが可能となるため摘発のリスクを抑制することが可能となるおそれがあります。

 

政令と主務省令も確認してみる(令3条規則2条)。

▽令3条

(法第二条第二項第三十八号に規定する政令で定める賃貸)
第三条 法第二条第二項第三十八号に規定する政令で定める賃貸は、次の要件を満たす賃貸とする。
一 賃貸に係る契約が、当該賃貸の期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものとして主務省令で定めるものであること。
二 賃貸を受ける者が当該賃貸に係る機械類その他の物品の使用からもたらされる経済的な利益実質的に享受することができ、かつ、当該物品の使用に伴って生ずる費用実質的に負担すべきこととされているものであること。

▽規則2条

(令第三条第一号に規定する主務省令で定めるもの等)
第二条 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行令(以下「令」という。)第三条第一号に規定する主務省令で定めるものは、賃貸に係る契約のうち解除することができない旨の定めがないものであって、賃借人が、当該契約に基づく期間の中途において当該契約に基づく義務に違反し、又は当該契約を解除する場合において、未経過期間に係る賃貸料のおおむね全部を支払うこととされているものとする。
2 機械類その他の物品の賃貸につき、その賃貸の期間(当該物品の賃貸に係る契約の解除をすることができないものとされている期間に限る。)において賃貸を受ける者から支払を受ける賃貸料の額の合計額がその物品の取得のために通常要する価額のおおむね百分の九十に相当する額を超える場合には、当該物品の賃貸は、令第三条第二号の物品の使用に伴って生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであることに該当するものとする。

 

③クレジットカード事業者(39号)

3つ目のグループは、クレジットカード事業者である。

 

特定事業者 条文の文言
39号 クレジットカード事業者 「それを提示し又は通知して、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者(役務の提供の事業を営む者をいう。以下この号において同じ。)から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下「クレジットカード等」という。)をこれにより商品若しくは権利を購入しようとする者又は役務の提供を受けようとする者(以下「利用者たる顧客」という。)に交付し又は付与し、」
「当該利用者たる顧客が当該クレジットカード等を提示し又は通知して特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたときは、」
「当該販売業者又は役務提供事業者に当該商品若しくは権利の代金又は当該役務の対価相当する額の金銭を直接に又は第三者を経由して交付するとともに、」
「当該利用者たる顧客から、あらかじめ定められた時期までに当該代金若しくは当該対価の合計額の金銭を受領し、又はあらかじめ定められた時期ごとに当該合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た額の金銭を受領する業務を行う者」

 

クレジットカード事業者が特定事業者とされている理由については、以下のJAFICの解説がわかりやすい。

 

「犯罪収益移転防止法の概要(令和2年10月1日時点)」(JAFIC)50~51頁

 クレジットカードは、近年ほとんどの商取引において利用できるようになっており、商品代金の支払手段として広く利用されています。契約の内容によっては利用限度額が高額なものもあり、現金代替性が高いといえます。
 したがって、犯罪行為により得た資金を、クレジットカードを利用することにより他の形態の財産に換えることが容易にできるおそれがあります。また契約の成立したクレジットカードを第三者に渡せば、契約者と第三者間においてカードを利用した送金を行っているのと実質的には同じ効果が得られることとなります。また、偽造クレジットカードや、盗難クレジットカードを利用して犯罪行為を行えば、それによって犯罪収益を簡単に得ることも可能であり、カード利用詐欺として検挙されている事例がその典型です。カード詐欺の場合には、カード自体の利用を停止されてしまうと犯罪行為が行えなくなってしまうので、カードの持ち主が利用を停止するまでのごく短期間に限度額まで使用しているという特徴があり、利用料金の請求時や取引記録の確認時に発見されることが多々みられます。 

 

④宅地建物取引業者(40号)

4つ目のグループは、宅地建物取引事業者である。

 

特定事業者 条文の文言
40号 宅地建物取引業者 宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号)第二条第三号に規定する宅地建物取引業者
信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業法第二条第二号に規定する宅地建物取引業(別表において単に「宅地建物取引業」という。)を営むもの(第二十二条第一項第十五号において「みなし宅地建物取引業者」という。)を含む。)

 

「みなし宅地建物取引業者」というのも含まれているが、これは、信託会社や信託銀行などの兼営金融機関であって宅地建物取引業を営むもののことである。

 

宅地建物取引業者が特定事業者とされている理由については、以下のJAFICの解説がわかりやすい。

 

「犯罪収益移転防止法の概要(令和2年10月1日時点)」(JAFIC)51頁

 不動産は財産的価値が高く、多額の金銭との交換が可能です。また、その利用価値や利用方法、評価方法により大きく異なった価格で評価されるため、実質的な価値とは異なる価格で取引を行えば、犯罪収益をその中に隠して移転されるおそれがあります。 

 

⑤貴金属等取扱業者(41号)

5つ目のグループは、貴金属等取扱事業者である。

 

特定事業者 条文の文言
41号 貴金属等取扱事業者 金、白金その他の政令で定める貴金属若しくはダイヤモンドその他の政令で定める宝石又はこれらの製品(以下「貴金属等」という。)の売買業として行う者

 

貴金属等を売買する事業者というと、古物商(古物営業法)が思い浮かぶが、中古品に限らない。また、古物商側から見たときも、古物商は貴金属等に限られないし、要するに規制としては別々のものが並行して走っているという感じである。

 

たとえば、宝石商、質屋、貴金属等の訪問買取業者などが該当し得るし、また、個人がインターネットで売買する場合でも「業として」行っていれば該当し得る。

 

貴金属等取扱業者が特定事業者とされている理由については、以下のJAFICの解説がわかりやすい。

 

「犯罪収益移転防止法の概要(令和2年10月1日時点)」(JAFIC)51頁

 宝石・貴金属等は財産的価値や流動性が高く、世界のいずれの地域においても多額の現金との交換を容易に行うことができるほか、現金に比べ形状が小さいことから持ち運びが容易であるなど、犯罪収益の移転に利用されるリスクが高いといえます。
 過去の事件事例でも、犯罪行為により得た収益を使って宝石・貴金属等を購入している事例が多くみられます。
 また、宝石・貴金属等を取り扱う古物商においては、犯罪行為により得た宝石・貴金属等を売却して現金化しているケースが多く、ほとんどの場合には偽名による取引が行われています。また、取引の際には、数カ所に分散して取引を行う手口や、何名かに分けて取引を行うなどの手口が多くみられます。

 

政令も確認してみる(令4条)。

 

(貴金属等)
第四条 法第二条第二項第四十一号に規定する政令で定める貴金属は、白金及びこれらの合金とする。
2 法第二条第二項第四十一号に規定する政令で定める宝石は、ダイヤモンドその他の貴石半貴石及び真珠とする。

 

ちなみに、「貴石」とはダイヤモンド、ルビー、サファイア等、「半貴石」とは水晶、さんご、こはく等が想定されている。
(「逐条解説 犯罪収益移転防止法」(犯罪収益移転防止制度研究会)56頁)

 

⑥郵便物受取サービス業者、電話受付代行業者、電話転送サービス事業者(42号)

6つ目のグループは、42号にまとめて規定されている3つの事業者である。

 

特定事業者 条文の文言
42号 郵便物受取サービス業者 「顧客に対し、自己の居所若しくは事務所の所在地を当該顧客が郵便物(民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第三項に規定する信書便物並びに大きさ及び重量が郵便物に類似する貨物を含む。以下同じ。)を受け取る場所として用い、又は自己の電話番号を当該顧客が連絡先の電話番号として用いることを許諾し、」
当該自己の居所若しくは事務所において当該顧客宛ての郵便物を受け取ってこれを当該顧客に引き渡し、又は当該顧客宛ての当該電話番号に係る電話(ファクシミリ装置による通信を含む。以下同じ。)を受けてその内容を当該顧客に連絡し、若しくは当該顧客宛ての若しくは当該顧客からの当該電話番号に係る電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送する役務を提供する業務を行う者」
電話受付代行業者
電話転送サービス業者

 

3つの事業者が一緒に書かれているためわかりにくいが、オレンジ色の部分が郵便物受取サービス業者、緑色の部分が電話受付代行業者と電話転送サービス事業者である。

 

郵便物受取サービス業者は、以下の要件を満たすものである。

【郵便物受取サービス業者】
①自己の居所又は事務所の所在地を、顧客が郵便物の受取場所として利用することを許諾している
②顧客に代わって、顧客宛ての郵便物を受け取っている
③受け取った郵便物を顧客に引き渡している

(▷参照:郵便物受取サービス業/私設私書箱業|経産省HP

 

電話受付代行業者電話転送サービス事業者は、それぞれ以下の要件を満たすものである。①まで(条文上の文言の前半部分)は共通である。

【電話受付代行業者】
①自己の電話番号を、顧客が連絡先として利用することを許諾している
②当該顧客あてに当該電話番号にかかってきた電話(FAXを含む)について応答している
③通信が終わった後で、顧客に通信内容を連絡している

【電話転送サービス事業者】
①自己の電話番号を、顧客が連絡先として利用することを許諾している
②当該顧客宛てあるいは当該顧客からかかってきた、当該電話番号に係る電話(FAXを含む)を、当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送している

(▷参照:犯罪収益移転防止法について(電話受付代行業・電話転送サービス事業者向け)|総務省HP

 

郵便物受取サービス業者などが特定事業者とされている理由については、以下のJAFICの解説がわかりやすい。

 

「犯罪収益移転防止法の概要(令和2年10月1日時点)」(JAFIC)51~52頁

 郵便物受取サービス業者は、近年振り込め詐欺に利用されているケースが非常に目立っています。
 金融機関等による本人確認が強化されていることから、他人名義の口座が入手しにくくなったことや、10 万円を超える現金送金に本人確認が必要となったこと等から、一度に多額の現金を送金できる小包郵便や現金書留等を利用する手口が増えており、契約人が郵便物受取サービス業者に直接受け取りに出向くことなく、バイク便等を利用して受け取らせるなどして匿名性を高めている悪質な事例も目立ってきています。

 電話受付代行業は、家庭を拠点として業務を行うなどの際に、家庭以外の場所を事業所のように利用でき、また電話の受付を他人に任せて自身が営業行為等を行えるなどの利点が認められますが、その反面、実態がどこにあるのかを隠蔽することが可能であるばかりか、秘書等を名乗る者等による洗練された対応を行うなどにより、事業自体の信用性や規模を誇大に作出することも可能となるおそれがあります。
 このため、過去には取り込み詐欺集団等がバーチャルオフィスに利用していたケースもみられるところです。

 電話転送サービス業は、これを利用することで実際には所在しない都心の事務所から電話をしているかのように装えるなど、事業の信用、業務規模等に関して架空又は誇張された外観を作出することができるものであり、近年、ヤミ金融等に利用されているケースがみられます。

 

なお、上記の総務省HPに、犯収法の所管についてわかりやすい文章があるので以下引用する。

 犯罪収益移転防止法は、金融機関、ファイナンスリース業者、クレジットカード業者、宅地建物取引業者、貴金属等取引業者、郵便物受取・電話受付代行業者、電話転送サービス事業者等の特定事業者に対して、顧客等の本人確認、疑わしい取引の監督行政庁への届出等の措置を義務付けられることとなっています。犯罪収益移転防止法全体を主管しているのは警察庁ですが、総務省は、特定業務のなかで電話受付代行業務と電話転送サービス業務について所管することとなっています。

 

つまりこういう風に、法令全体の所管は警察庁(JAFIC)なのだが、特定業務をそれぞれの業種に関する監督官庁が所管している、という感じである。

 

⑦士業者(43号~47号)

7つ目のグループは、いわゆる士業者である。

 

特定事業者 条文の文言
43号 弁護士等 「弁護士(外国法事務弁護士を含む。)又は弁護士法人(外国法事務弁護士法人を含む。)」
44号 司法書士等 「司法書士又は司法書士法人」
45号 行政書士等 「行政書士又は行政書士法人」
46号 公認会計士等 「公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人」
47号 税理士等 「税理士又は税理士法人」

 

法務にはあまり関係がないと思われるので、本記事では詳細は割愛する。

 

結び

今回は、犯罪収益移転防止法を勉強しようということで、特定事業者について書いてみました。

 

なお、当ブログでの犯罪収益移転法の記事については、以下のページにまとめています。

犯罪収益移転防止法 - 法律ファンライフ
犯罪収益移転防止法 - 法律ファンライフ

houritsushoku.com

 

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

 

  • この記事を書いた人

とある法律職@転職×法務×弁護士

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。経歴:イソ弁、複数社(3社)でのインハウスローヤー、独立開業など。自分の転職経験、会社法務や法律相談、独立開業の話などをアウトプットしています。

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