とある法律職
法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。運営情報はこちら
今回は、先日、話題の事件の地裁判決(令和8年9月30日)が出ていたので、これについて見てみたいと思います。 人気声優の津田健次郎氏が、パブリシティ権等を根拠に、動画投稿プラットフォームに対して、声の無断使用投稿動画の削除を請求していた事案です。ニュースでもけっこう取り上げられています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、省略などは管理人によるものです。 請求の内容(訴訟物) 原告(声優・津田健次郎氏)が、被告(TikTok運営会社であるTikTok Pte. Ltd.)に対して請求していた内容は、 ...
生成AIの普及により、誰もが簡単に画像や文章、音楽を創り出せる時代になりました。 しかしその一方で、クリエイターからは「自分の作品が無断でAIの学習に使われているのではないか」「作風を真似たものが勝手に生成されているのではないか」という懸念も寄せられています。また、AI利用者側にとっても「知らず知らずのうちに他人の著作権を侵害してしまうのではないか」という不安がつきまとっています。 こうした課題を解決し、AI技術の進歩の促進と知的財産権の適切な保護を両立させるための重要な指針として、「生成AIの適切な利活 ...
AIを活用した契約書の作成や審査、法律問題のリサーチなど、企業の法務業務を効率化するのが、AIリーガルテックです。 便利な技術ですが、これまでは弁護士資格を持たない者が報酬を得て法律事務を扱ってはならないと定める弁護士法72条(非弁行為の禁止)との境界線が曖昧で、サービス開発や導入を躊躇する萎縮効果が課題となっていました。 こうした中、令和8年8月21日、法務省から新しいガイドラインが公表されました。さらに、将来的な法律の制定なども視野に入れたルールメイキングのロードマップも同日に発表され、業界で注目を集 ...
今回は、公益通報者保護法ということで、事業者がとるべき措置等のうち通報体制を実効的に機能させるための措置(実績開示と周知・教育など)について見てみたいと思います。 本記事は、通報制度を組織内で継続的に機能させ続けるための要となる、運用実績の把握・点検・開示(PDCAサイクル)、対象者拡大を踏まえた周知・教育、および内部規程の策定・運用(法定指針第4の3-⑵〜⑹関係)について、詳しく解説します。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 本記事は令和7年改正法(令和8年12 ...
今回は、公益通報者保護法ということで、従事者以外に特定情報(通報者を特定させる事項)を共有する必要が生じた場合は結局どのようにすれば良いのか、その対応プロセスについて見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 本記事は令和7年改正法(令和8年12月施行)を基準にしています 従事者以外に特定情報を共有する場合の対応プロセス 公益通報対応業務において、通報者を特定させる情報である特定情報は、法律上の守秘義務(法12条)および範囲外共有の防止(法11条2項 ...
今回は、公益通報者保護法ということで、「守秘義務」と「範囲外共有の防止」の違いについて見てみたいと思います。 従事者の守秘義務と範囲外共有の防止は、どちらも公益通報者を特定させる情報(特定情報)の漏洩を防ぐための概念ですが、義務の主体、法的性質、違反時のペナルティなどの点で明確な違いがあります。本記事は、両者の相違点を整理して解説します。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 本記事は令和7年改正法(令和8年12月施行)を基準にしています 両制度の概要 従事者の守秘義 ...
今回は、公益通報者保護法ということで、事業者がとるべき措置等のうち、公益通報者を保護するための措置について見てみたいと思います。 これは、令和7年改正で新設された通報妨害の禁止(法11条の2)と通報者探索の禁止(法11条の3)を含む、法律上の禁止行為を受けて定められた体制整備(防止措置)義務です。大きく「不利益な取扱いの防止に関する措置」と「範囲外共有、通報妨害及び通報者探索の防止に関する措置」の2つに分けられています。 本記事では、それぞれの措置について詳しく解説した後、法律上混同してはならない要件範囲 ...
今回は、公益通報者保護法ということで、事業者がとるべき措置等のうち、調査・是正・通知のフローについて見てみたいと思います。 前の記事で、体制整備の基盤(窓口設置・独立性確保・利益相反排除)について解説しましたが、立派な箱(インフラ)を作ったとしても、通報が届いた後の動かし方が不適切であったり、形骸化した運用であったりすれば、制度は信頼を失います。 本記事は、法定指針のなかで実際の対応フローの中心となる調査・是正措置・是正措置の機能検証(指針第4の1-⑶)と、通報者への誠実なフィードバックを義務付けた是正措 ...
今回は、公益通報者保護法ということで、事業者がとるべき措置等のうち、内部通報システムの基盤構築について見てみたいと思います(窓口設置・独立性・利益相反排除)。 前の記事では、刑事罰を伴う守秘義務を負う従事者(公益通報対応業務従事者)の指定について解説しました。これは、窓口を動かす”人”を決めるものです。 窓口を支える人が明確になったら、次に必要となるのが、通報者が安心して利用でき、通報への対応が公正になされるような組織システム(インフラ)の構築です。 ”うちは○○部に通報メールアドレスを設置してあるから大 ...
今回は、公益通報者保護法ということで、事業者がとるべき措置等のうち、従事者の指定と守秘義務について見てみたいと思います。 公益通報者保護法において、内部通報の受付や調査を担当する公益通報対応業務従事者(以下、従事者)は、法律上、刑事罰付きの守秘義務を課された責任重大な存在です。 また、令和7年改正(令和8年12月施行)によって、従事者の指定方法が改定されるとともに、従事者指定義務を怠る企業(常時300人超)に対しては消費者庁からの是正命令(違反時は30万円以下の罰金)が下されるようになるなど、曖昧な対応が ...
今回は、公益通報者保護法ということで、公益通報保護の効果(保護の内容)について見てみたいと思います。 公益通報保護の要件(5つの要件)をすべて満たした場合、通報者は具体的にどのような保護を受けることができるのでしょうか。クビ(解雇)が無効になるのは知っているけれど、それだけなのか。派遣やフリーランス、役員の場合、守られ方は同じなのか。会社から「お前のせいで大損害を被った」と訴えられたらどうなるのか…。 本記事では、令和7年改正(令和8年12月施行)によって強化された公益通報保護の効果と、通報の主体(通報者 ...
会社の不正を見つけたとき、多くの人が最初に考えるのはこれではないでしょうか。 「通報したら、自分がクビになったり、左遷されたりしないだろうか」 この不安を法的にカバーしているのが、公益通報者保護法です。本記事では、この法律が定める公益通報保護のための要件を、できるだけかみ砕いて整理していきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 本記事は令和7年改正法(令和8年12月施行)を基準にしています 公益通報保護のための要件 公益通報者保護法が守るのは、あらゆる内部告発で ...