とある法律職
法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。
今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち誓約事項(コベナンツ)について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です コベナンツには、クロージング(取引実行)の前か後かで、大きく ①プレ・クロージング事項(取引実行前の誓約事項。プレクロ事項)②ポスト・クロージング事項(取引実行後の誓約事項。ポスクロ事項) がありますが、本記事は②の話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるもので ...
今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、チェンジ・オブ・コントロール条項について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 チェンジ・オブ・コントロール条項とは チェンジ・オブ・コントロール条項(COC条項)は、支配権の移動に関する条項です。 例えば、取引相手方が競合他社に買収されるとか、支配権の移動により取引相手方の信用が低下する(背後に ...
今回は、M&A法務ということで、法定の競業避止義務について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事業譲渡と競業避止義務(会社法21条) 法定の競業避止義務(つまり、何の合意もしていない場合であっても法律に基づいて当然に発生する競業避止義務)にはいくつかのものがありますが、M&Aとの関係でいうと、事業譲渡の場合に明文があります。会社法21条です。 会社法では、事業譲渡に関して、 第1編第4章 事業の譲渡をした場合の競業の禁止等(2 ...
今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうち補償条項について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 補償条項 補償(indemnification)は、契約上の義務違反や表明保証違反があった場合に相手方の損害を填補することです。 要するにお金の問題であり、その意味では損害賠償請求と同様ですが、法的性質としては一種独特のものと考えられ ...
今回は、間接雇用等の類型ということで、労働者供給・労働者派遣・請負・出向の違いについて見てみたいと思います。 偽装請負とは何かなどについても併せて見てみます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 直接雇用(2者間の関係) まず日常的に”雇用”というときの雇用から確認していくと、これは直接雇用であり、2者間の関係になります(労使の2者間関係)。 つまり、事業主(使用者)が、自らが雇用する労働者を自分の指揮命令下で労働させることです。 直接雇用 【使用者】 | |雇 ...
今回は、間接雇用等の類型ということで、労働者供給とこれを規制する職業安定法について見てみたいと思います。 職業安定法には職業紹介も規定されていますので、これも併せて見てみます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 労働者供給・職業紹介と職業安定法 労働市場においては求人側と求職側が何らかの形で結び付くわけですが(自力で結びつくor他者を介して結びつく)、そこに他者が介在する場合、あっせんの過程などに何の規制もなく介入できるとすると中間搾取等が行われるおそれがあります ...
今回は、景品表示法を勉強しようということで、違反に対する措置の手続について見てみたいと思います。 違反に対する措置等の内容については前の記事に書いており、本記事はこれらの手続面になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 違反に対する措置の手続(全体像) まず、違反に対する措置が出されるときの手続の流れについて見てみたいと思います。 調査の結果、行政処分までいかずに是正に係る行政指導で終わるときは、以下のような流れをたどります。 端緒(調査のきっかけとなる情報) ...
今回は、グループガバナンスと法務ということで、取引先管理と、契約ワークフロー(以下「契約WF」)について見てみたいと思います。 これは特に企業グループにおける管理体制に限った話ではないですが(一社単位でも普通に必要)、グループでの管理体制を考える際にテーマになることもあるかと思いますので、ここで見てみます。また、管理人の個人的見解です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 取引先管理 取引先管理の要点は、 法人の実在性の確認 与信審査 反社チェック の3点にまとめる ...
今回は、グループガバナンスと法務ということで、親子会社と非弁行為(弁護士法72条)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 親子会社と非弁行為 これはどういう論点かというと、グループ企業間での法律事務の取扱いについても、弁護士法72条の規制(非弁行為の禁止)を受けるため、親会社に法務機能を集約して子会社の法務業務を担うようにした場合、親会社での法務受託業務が非弁行為になってしまうのではないか、ということです。 親会社も子会社も、それぞれ別の ...
今回は、グループガバナンスと法務ということで、企業グループにおける商標管理体制について見てみたいと思います。 なお、知財管理レベルの高いグループ(グローバル企業や化学分野が主力の業界など、商標権に限らず知財戦略が磨かれた企業群)を想定したものではなく、また管理人の個人的意見です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 商標管理体制の考慮要素 商標の管理体制については、いくつかの考慮要素にわけて、その組み合わせにより、強弱さまざまな管理体制のパターンを考える、というのが ...
今回は、特定商取引法を勉強しようということで、通信販売における最終確認画面の表示義務などについて見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 最終確認画面の表示方法 特商法は、通信販売において、事業者の定めた様式等に基づいて申込みが行われることを「特定申込み」と定義して、申込時の表示規制(表示義務と誤認表示の禁止)を定めています(法12条の6)。 申込時の表示規制は、 従来型の通信販売の場合(カタログ・チラシ等を利用した通信販売)→申込書面 インターネ ...
今回は、特定商取引法を勉強しようということで、通信販売における申込時の表示規制(法12条の6)について見てみたいと思います。 いわゆる最終確認画面の表示義務はこの規制の一部になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 申込時の表示規制とは(法12条の6) 事業者は、通信販売における申込時に、①所定の事項(商取引を行う上で通常必要な基本的事項)を表示する義務を負うとともに、②これら一定の事項について誤認させるような表示が禁止されています(法12条の6)。 令和3年 ...