とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

組織再編

組織再編|新設分割-株主総会決議と簡易分割

今回は、組織再編ということで、新設分割の手続のうち、株主総会決議と簡易分割(例外的に株主総会決議が不要となる場合)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 新設分割計画承認の株主総会決議 新設分割計画を作成した後、通常、株主総会決議で承認する必要があります。 新設分割には、分割会社(分割する側)と設立会社(分割により設立される側)がありますが、株主総会決議は分割会社のみです。 当然ながら、設立会社はまだ成立していないためです ▽会社法804 ...

組織再編

組織再編|新設分割-事前備置書類

今回は、組織再編ということで、新設分割手続における事前備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事前備置書類とは 新設分割を行う場合、分割会社(分割する側)は、株主や債権者などの利害関係者に対し判断の資料を提供するため、一定の書類を分割計画承認の株主総会の前などに本店に備え置く義務があります。 この書類を、事前備置びち書類と呼びます。要するに、事前の情報開示です。 他の手続として「事後備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事 ...

組織再編

組織再編|新設分割-新設分割計画

今回は、組織再編ということで、新設分割のうち新設分割計画について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 新設分割計画の作成(法762条) 新設分割を行う場合、分割会社(分割する側)は新設分割計画を作成しなければなりません(新設分割計画書)。 「分割計画書・・・」というのは聞き慣れない感じもしますが、新設分割に特有のものになります。まだ相手会社がいない(設立会社が成立していない)ためです。 ちなみに、吸収分割の場合に作成するのは「吸収分割契約書・・ ...

組織再編

組織再編|吸収合併-合併契約

今回は、組織再編ということで、吸収合併における合併契約について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 合併契約の締結(法748条) 吸収合併をする場合、合併当事会社(消滅会社と存続会社)は、吸収合併締約を締結しなければなりません。 ▽会社法748条 (合併契約の締結)第七百四十八条 会社は、他の会社と合併をすることができる。この場合においては、合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない。 合併契約の法定記載事項(法749条1項) 吸収合併 ...

組織再編

組織再編|吸収合併-株主総会決議と略式・簡易合併

今回は、組織再編ということで、吸収合併の手続のうち、株主総会決議と略式・簡易合併(株主総会決議が不要となる場合)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 吸収合併契約承認の株主総会決議 吸収合併契約を締結した後、通常、株主総会決議で承認する必要があります。 これは原則としていわゆる特別決議になります(会社法309条2項12号)。特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、そのうち3分の2以上の賛成を得る必要がある決議です。 ▽法309 ...

組織再編

組織再編|吸収合併-事前備置書類

今回は、組織再編ということで、吸収合併手続における事前備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事前備置書類とは 吸収合併を行う会社(合併当事会社)は、株主や債権者などの利害関係者に対し判断の資料を提供するため、一定の書類を合併契約承認の株主総会の前などに本店に備え置く義務があります。 この書類を、事前備置びち書類と呼びます。要するに、事前の情報開示です。 他の手続として「事後備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事後」かと ...

法律コラム 組織再編

感覚でわかる会社法|株式交換って結局何やねん

感覚でわかるシリーズ。 今回は、会社法上の「株式交換」についてです。 管理人は、学生の時分は何を読んでもイマイチ頭に入ってこず、わかりやすそうな図を見ても「うーん」という感じだったのですが、ある程度年を食ってから自然とわかるようになったので、その感覚を書いてみたいと思います。 株式交換が何なのかは、順繰りにポイントを追っていくようにするとわかりやすいように思います(図か何かで複数のアクションを同時に説明されても、かえって難しい)。 ということで、順番にポイントを見ていきたいと思います。 ポイント① まず、 ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株主間契約(SHA)-プット・オプションとコール・オプション

今回は、M&A法務ということで、株主間契約(SHA)のうちプット・オプションとコール・オプションについて見てみたいと思います。 ※株主間契約のSHAというのは、Shareholders Agreementの略です 株主間契約では対象会社の運営・ガバナンスに関する事項と株式の処分に関する事項が規定されることが多いですが、本記事は後者に関する内容になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 プット・オプション(Put Option)とコール・オプション(Ca ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株主間契約(SHA)-タグ・アロングとドラッグ・アロング

今回は、M&A法務ということで、株主間契約(SHA)のうちタグ・アロング(Tag-along)とドラッグ・アロング(Drag-along)について見てみたいと思います。 ※株主間契約のSHAというのは、Shareholders Agreementの略です 株主間契約では「対象会社の運営・ガバナンスに関する事項」と「株式の処分に関する事項」が規定されることが多いですが、本記事は後者に関する内容になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 株式の処分に関する ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株主間契約(SHA)-先買権と優先交渉権

今回は、M&A法務ということで、株主間契約(SHA)のうち先買権と優先交渉権について見てみたいと思います。 ※株主間契約のSHAというのは、Shareholders Agreementの略です 株主間契約では特に「対象会社の運営・ガバナンスに関する事項」と「株式の処分に関する事項」が規定されることが多いですが、本記事は後者に関する内容になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 株式の処分に関する規定-先買権と優先交渉権 株式引受契約(SHA)では、株式 ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-ファイナンス・アウト条項

今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうちファイナンス・アウト条項について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 ファイナンス・アウト条項とは ファイナンス・アウト(Finance-out)とは、M&A(SPAでいうと株式譲渡)の代金支払いを資金調達によって行おうとしているケースで、その資金調達がうまくいかなかったときに買 ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-MAC条項

今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうちMAC条項について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 MAC条項とは MACとは何かというと、Material Adverse Changeの略で、対象会社(譲渡する株式の発行体のこと。以下同じ)に重大な悪影響が及ぶような変化のことです。 materialは「著しい」、adverseは ...