とある法律職
法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。運営情報はこちら
フリーランス法は2024年11月に施行され、取適法(旧下請法)は2026年1月に施行されました。近年、取引適正化の分野で、新しい法律や大きな法改正が続いています。 この2つの法律の対象となる取引類型には、どちらも役務提供委託という全く同じ用語が登場します。しかし、「同じ言葉だから同じ意味だろう」と油断していると、思わぬ落とし穴にはまってしまうかもしれません。 なぜなら、取適法とフリーランス法では、役務提供委託がカバーする範囲が異なるからです。 本記事は、この”同じ用語なのに中身が違う”という、若干ややこし ...
物流業界を取り巻く環境は、2024年問題などの労働環境改善の波もあり、これまでにないスピードで変化しています。 その中で、発注者(荷主や元請け)と受注者(物流事業者)の取引を適正化するためのルールとして、従来からあった①取適法(旧下請法)の役務提供委託と②独禁法の物流特殊指定に、③取適法の特定運送委託が新たに加わりました。 似たような言葉が多くて、どれがどの取引に適用されるのかわからないという方のために、本記事では、この3つの規制の全体像、組み合わせ方、そして重複している部分の何が違うのかを解説します。 ...
今回は、取適法ということで、適用対象取引のうち特定運送委託について見てみたいと思います。 取適法では、立場の格差から濫用が行われがちな5つの取引類型を適用対象として定めており、その一つに特定運送委託があります。 適用対象となる取引の内容 ① 製造委託② 修理委託③ 情報成果物作成委託④ 役務提供委託⑤ 特定運送委託 ←本記事 物流分野を対象とした特定運送委託は、令和7年法改正(取適法)により、5つ目の柱として追加されました。取適法で最もインパクトが大きい変更点の一つといえます。 これまで、荷主と運送事業者 ...
今回は、取適法ということで、適用対象取引のうち役務提供委託について見てみたいと思います。 取適法では、立場の格差から濫用が行われがちな5つの取引類型を適用対象として定めており、その一つに役務提供委託があります。 適用対象となる取引の内容 ① 製造委託② 修理委託③ 情報成果物作成委託④ 役務提供委託 ←本記事⑤ 特定運送委託 製造委託や情報成果物作成委託と違い、この役務提供委託には自社で使うため(自家利用)のサービスは対象外という特徴があります。ここを誤解していると、対象になると勘違いしたり、逆に対象なの ...
今回は、取適法ということで、適用対象取引のうち情報成果物作成委託について見てみたいと思います。 取適法では、立場の格差から濫用が行われがちな5つの取引類型を適用対象として定めており、その一つに情報成果物作成委託があります。 適用対象となる取引の内容 ① 製造委託② 修理委託③ 情報成果物作成委託 ←本記事④ 役務提供委託⑤ 特定運送委託 情報成果物作成委託は、IT、デザイン、放送、アニメーションなど、クリエイティブな業界で最も関係の深い取引類型です。 形のないものを扱うこの取引は、製造委託に比べて範囲がわ ...
今回は、取適法ということで、適用対象取引のうち修理委託について見てみたいと思います。 取適法では、立場の格差から濫用が行われがちな5つの取引類型を適用対象として定めており、その一つに修理委託があります。 適用対象となる取引の内容 ① 製造委託② 修理委託 ←本記事③ 情報成果物作成委託④ 役務提供委託⑤ 特定運送委託 当社は製造業じゃないから関係ない、あるいは修理業者だけの話と思われがちですが、実は自動車ディーラーやビルメンテナンス業、さらには自社設備を自社で直している工場など、意外な業種が対象になるケー ...
今回は、取適法ということで、適用対象取引のうち製造委託について見てみたいと思います。 取適法では、立場の格差から濫用が行われがちな5つの取引類型を適用対象として定めており、その一つに製造委託があります。最も基礎的かつ多くの企業に関係する類型といえます。 適用対象となる取引の内容 ① 製造委託 ←本記事② 修理委託③ 情報成果物作成委託④ 役務提供委託⑤ 特定運送委託 製造委託は旧下請法からある類型ですが、令和7年法改正(取適法)で対象となる物品の定義が一部追加されるなど、再確認すべき点も含まれています。本 ...
今回は、取適法ということで、事業者の規模に係る要件のうち資本金基準について見てみたいと思います。 簡単にいうと、資本金が大きい会社から資本金が小さい会社(または個人)への発注が規制の対象となりますが、その線引きには3億円ラインと5千万円ラインの2つのグループが存在します。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 資本金基準 取適法では、資本金の大小を”優越的地位”の判断基準としていて、資本金の額が、委託事業者と中小受託事業者を画する基準となっています。 ざっくり結論をい ...
令和7年法改正(令和8年1月施行)で、旧下請法は取適法となりました。この法改正(取適法)の大きなポイントは、事業者の規模に係る要件につき、資本金のほか新たに従業員基準が導入された点にあります。 これにより、「資本金が小さいから対象外」というこれまでの常識が通用しなくなります。本記事では、実務に大きな影響を与える従業員基準の仕組みと、カウント方法のルールについて解説します。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 従業員基準とは 従業員基準とは、資本金基準(3億円や1,0 ...
取適法の適用対象となるかどうかを判断する入り口(適用要件)には、大きく、取引当事者に関する要件と、取引の内容に関する要件の2つがあります。 本記事は、取引当事者に関する要件つまり事業者の規模に係る要件について解説します。大企業vs中小企業という単純な図式ではなく、取引の内容によって適用のライン(金額・従業員数)が変わる点に注意が必要です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 取引当事者に関する要件 取適法では、資本金および従業員の大小を”優越的地位”の判断基準として ...
今回は、取適法ということで、支払期日規制にまつわる論点をまとめて見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 支払期日規制とは 取適法は、代金の支払期日について、委託事業者が商品の受領日(サービスの場合は役務提供日)から起算して60日以内で、かつ、できるだけ短い期間内になるように定めることを義務づけています(支払期日を定める義務。法3条1項)。 もし、適切な期日を定めなかった場合には、法律によって強制的に支払期日が設定されます(支払期日の法定。同条2項 ...
今回は、中小受託取引適正化法(取適法)ということで、委託事業者の義務のうち支払期日の設定義務と遅延利息の支払義務について見てみたいと思います。 委託事業者の4つの義務 ① 発注内容等の明示(4条明示)② 取引記録の作成・保存(7条記録)③ 支払期日の設定義務 ←本記事④ 遅延利息の支払義務 ←本記事 取適法は、立場の弱い中小受託事業者の資金繰りを保護するため、代金の支払について厳格なルールを定めています。本記事は、委託事業者(発注側)に課される4つの義務のうち、支払期日を定める義務(法3条)と遅延利息を支 ...