とある法律職
法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。
今回は、合同会社法務ということで、合同会社の定款の記載事項について見てみたいと思います。 合同会社を設立する際には、定款を作成し、会社の基本的な情報などを記載します。本記事では、合同会社の定款に記載すべき事項について、具体的な内容を分類ごとに解説します。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 定款の記載事項 合同会社に限らず、一般に定款の記載事項には、 絶対的記載事項:定款に記載しなければならない事項(欠くと定款が無効) 相対的記載事項:定款に記載してもしなくてもよい ...
今回は、合同会社法務ということで、社員持分の譲渡について見てみたいと思います。 合同会社の持分譲渡は、株式会社の株式譲渡と異なる点が多いです。本記事では、持分譲渡の要件、必要書類、譲渡の効果、登記の要否についてまとめてみます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 持分譲渡の要件 要件①:持分譲渡の合意 まずは当然ながら、持分譲渡の合意が必要です。 社員の持分を譲渡するには、譲渡人(=持分を譲渡する社員)と譲受人との間で、持分譲渡契約を締結します。 譲渡契約では、譲渡 ...
感覚でわかるシリーズ。 今回は、規約づくりと消費者契約法について。 規約づくりと消費者契約法(免責条項の無効) 消費者契約(B to C)の規約をつくるとき、事業者になるだけ有利な内容を考えるとしても、あんまり都合のいいことばかり書きすぎると何らかの法令に抵触することがあるので、気をつけないとなー、というのが頭にあるものです。 その代表例が消費者契約法で、なかでも免責条項の無効を定める法8条は、重要といっていいでしょう。 しかし、長いんですよねこれが。 ▽消費者契約法8条 クリックで開きます (事業者の損 ...
感覚でわかるシリーズ。今回は、秘密保持の勘所について。 営業秘密管理は個人情報保護と並んで情報管理のジャンルになっていますが、細かい法律やら契約やら社内規程の話をいったん置いておいて、社会的なTipsというか、おばあちゃんの知恵袋的な、感覚的なことを書いてみたいと思います(雑談みたいな話です)。 固有名詞を出さない まず最初の心得は、 固有名詞を出さない です。 当たり前といえば当たり前ですが、何の話をするにしても、社外で、あるいは仕事と関係ないところで仕事の話をするときは、固有名詞を出さないのが鉄則です ...
ここ最近(2024年)、インサイダー取引に関するニュースが続いてますね。 何というか血の通ってないコメントで申し訳ないですが、インサイダー取引規制をみるときのお手本になりそうな事案だったので、これを題材にさらっと見てみたいと思います。 相次いだインサイダー取引ニュース3選 最近相次いだインサイダー取引ニュースですが、主なものは以下の3つかと思います。 関連ニュース 裁判官をインサイダー取引容疑で強制調査 金融庁出向中|日本経済新聞HP(2024/10/19) 東証、情報管理に深刻な綻び 社員インサイダー取 ...
今日、こんなニュースがありました(2024/11/06)。 ▽参考リンク司法試験、最年少は17歳 合格1592人で政府目標上回る|日本経済新聞HP あまり昨今の受験事情を気にしたことが実はなかったんですが、若年合格がどこまでいけるのか、ざざっと考えてみました。 司法試験合格と年齢 司法試験の受験資格をゲットするには、 ロースクールルート(ロースクールを卒業して司法試験の受験資格を得る) 予備試験ルート(予備試験に合格すればロースクールをすっ飛ばして司法試験の受験資格を得ることができるが、合格率は低い=予備 ...
今回は、特定商取引法を勉強しようということで、通信販売規制における「通信販売」と「広告」の定義を見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 通信販売に関する規制 通信販売に関する規制は、消費者が契約するかどうかを選択するための情報が広告だけに限られることから、広告規制が中心になっています。 例えば、普段ネットで買物するときにもよく見かける「特定商取引法に基づく表記」(法11条)の義務は、 (通信販売についての広告)第十一条 販売業者又は役務提供事業者 ...
今回は、消費者契約法を勉強しようということで、サルベージ条項の無効(法8条3項)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 サルベージ条項とは サルベージ条項とは、ある条項が法律に違反し全部無効となる場合に、その条項の効力を法律によって無効とされない範囲に限定する趣旨の文言が記載された条項のことです。 例えば、 「法令に反しない限り」「法令で許される範囲において」etc といった留保文言があります。 消費者契約法は、このようなサルベージ条項の ...
今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、契約不適合責任条項について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 契約不適合責任とは 契約不適合責任とは、売買契約において目的物の引渡し(あるいは権利の移転)がなされたものの、それが契約の内容に適合していなかったという場合に、売主が負う担保責任のことです。 売買以外の有償契約(例えば請負契約など) ...
今回は、消費者契約法を勉強しようということで、契約不適合による損害賠償の免責条項について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 免責条項の無効(法8条1項1号・2号) 契約不適合による損害賠償の免責条項も、基本的には債務不履行の場合と同様です。 全部免責を定めるものは法8条1項1号に該当し無効となり、一部免責でも、故意・重過失の場合を免責するものは2号に該当し無効となります。 契約不適合も債務不履行の一種(不完全履行)なので、条文上も特に区別され ...
今回は、不正競争防止法を勉強しようということで、不正競争行為のうち営業秘密に係る不正行為について見てみたいと思います。 なお、ネットでも見られるテキストとして、経産省HPに「不正競争防止法テキスト」(スライド形式)と「逐条解説 不正競争防止法」が掲載されています。 ▷参考リンク:不正競争防止法(知的財産室)|経産省HP ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 基本構造 営業秘密に係る不正行為は、「営業秘密」の定義(3要件)と、これに関する「不正行為」の類型(6類型)が定 ...
今回は、法務の基礎を勉強しようということで、総額表示について見てみたいと思います。 財務省HPに公的な解説資料があるのでそれを見れば十分ですが、当ブログではもう少し法務的な目線から、ポイントを改めて整理してみます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 総額表示とは 総額表示とは、消費税を含めた税込価格を表示することです。 つまり、何の総額か?というと、「商品やサービスの価格」と「消費税」の総額のことです。 例えば、商品価格が10,000円の場合は 11,000円(税 ...