とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。運営情報はこちら

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【犯罪収益移転防止法】「特定〇〇」が多すぎて意味がわからない!特定事業者・特定業務・特定取引の意味

本記事では、「特定〇〇」という用語の一般的な用法について触れた後、犯罪収益移転防止法(マネロン防止法とでもいうべき法律)における「特定事業者」「特定業務」「特定取引」の意味について解説しています。 「特定〇〇」は、用語の定義づけの際に使われる立法技術です(立法に際して特に創作した用語を定義する場合によく使われる。石毛正純「法制執務詳解《新版Ⅱ》」81頁等参照)。 法務にも身近な例としては、「特定商取引法」や「特定電子メール法」などが挙げられます(比較的最近だと、フリーランス法の「特定受託事業者」なども)。 ...

組織再編

組織再編|新設分割-株主保護手続(買取請求)

今回は、組織再編ということで、新設分割の手続のうち株主保護手続について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 株主保護手続とは 新設分割における株主保護手続とは、要するに、反対株主の株式買取請求権のことです。 つまり、分割に反対する株主が自己の保有株式の買取りを分割会社に請求できる制度です。 新設分割は、会社の基礎に重大な変更を与えることになるため、これに反対する株主に、投下資本を回収してイグジットする機会を与えるという趣旨になります。 なお、新 ...

組織再編

組織再編|吸収合併-債権者保護手続(異議申述)

今回は、組織再編ということで、吸収合併手続のうち債権者保護手続について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 債権者保護手続とは 吸収合併における債権者保護手続とは、要するに、合併当事会社の債権者が合併に異議を述べる手続です。 合併により会社の財産状況は大きく変動しますので、債権者(取引先や金融機関など)にも影響が及ぶことがあります。特に消滅会社(=吸収される側)の債権者にとっては債務者が変更することになりますし、他方、存続会社(=吸収する側)の ...

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組織再編|吸収合併-株主保護手続(買取請求)

今回は、組織再編ということで、吸収合併手続のうち株主保護手続について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 株主保護手続とは 吸収合併における株主保護手続とは、要するに、反対株主の株式買取請求権のことです。 つまり、合併に反対する株主が自己の保有株式の買取りを会社に請求できる制度です。 吸収合併は、会社の基礎に重大な変更を与えることになるため(特に吸収される側の消滅会社は文字通り消滅し、消滅会社株主は通常、存続会社株主として収容されることになる) ...

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【広告法務】No.1表示と最上級表現はセットでチェック

本記事では、「No.1表示」の広告ルールについて解説したあと、もう少し広く「最上級表現」とでもいうべき広告表現について触れています。 実際問題として、「No.1表示」はプレスリリースやクリエイティブの法務チェックでもかなり頻繁に見かけますし、本来は制作段階でも広告ルールの存在と概要については把握しておくべき話なのだろうと思います(当然のようにやっている企業は別として)。 No.1表示のほか、これより広く「最上級表現」も同じようによく出てきますので(ex.「業界初」「絶対に」など)、現実的にはNo.1表示と ...

組織再編

組織再編|新設分割-事後備置書類

今回は、組織再編ということで、新設分割手続における事後備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事後備置書類とは 新設分割を行った場合、分割当事会社は、設立会社(分割により設立される側)の成立後、一定の書類を本店に備え置く義務があります。 この書類を、事後備置びち書類と呼びます。要するに、事後の情報開示です。 他の手続として「事前備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事後」かというと、分割の効力発生日よりも前と後、です 事後 ...

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組織再編|吸収合併-事後備置書類

今回は、組織再編ということで、吸収合併手続における事後備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事後備置書類とは 吸収合併の存続会社(=吸収する側)は、合併の効力発生後、一定の書類を本店に備え置く義務があります。 この書類を、事後備置びち書類と呼びます。要するに、事後の情報開示です。 他の手続として「事前備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事後」かというと、合併の効力発生日よりも前と後、です 事後備置書類は、主として吸収合 ...

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【法令用語】「ものとする」を契約書で使うべきか否か

本記事では、「ものとする」という用語について、法令用語としての意味(3つ)と、契約書での一般的な使われ方について解説しており、最後に管理人の個人的な意見にも触れています。 結局、自社の契約書ひな型や利用規約では、「しなければならない」ばかり使うとキツい感じになるので表現を柔らかくするために使うとか(顧客企業やカスタマーに対してどうなんだろうという意識)、「ものとする」で文末を締めると程よく格調高い感じになるとかで、何となく「ものとする」を多用しがちだと思いますが(管理人の個人的洞察)、一回意味をちゃんと見 ...

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【法令用語】「その他」と「その他の」は違う、だから何?

本記事では、「A、B、Cその他D」と「A、B、Cその他のD」は、法令用語としては意味が異なる(書き分けられている)という話と、実際上の違い(実益)としては、下位法令に委任する際に違いが出てくる、という話をしています。 「その他」と「その他の」の違いは、インターネット検索でもこのテーマの解説が山ほど出てきますので、もうコモディティ化したような感じもする一方、だから何?(so what?)という点についてはあまり触れられていないような気もしますので、そこも押さえておいて損はないかと思います(下位法令に委任する ...

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組織再編|新設分割-株主総会決議と簡易分割

今回は、組織再編ということで、新設分割の手続のうち、株主総会決議と簡易分割(例外的に株主総会決議が不要となる場合)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 新設分割計画承認の株主総会決議 新設分割計画を作成した後、通常、株主総会決議で承認する必要があります。 新設分割には、分割会社(分割する側)と設立会社(分割により設立される側)がありますが、株主総会決議は分割会社のみです。 当然ながら、設立会社はまだ成立していないためです ▽会社法804 ...

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組織再編|新設分割-事前備置書類

今回は、組織再編ということで、新設分割手続における事前備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事前備置書類とは 新設分割を行う場合、分割会社(分割する側)は、株主や債権者などの利害関係者に対し判断の資料を提供するため、一定の書類を分割計画承認の株主総会の前などに本店に備え置く義務があります。 この書類を、事前備置びち書類と呼びます。要するに、事前の情報開示です。 他の手続として「事後備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事 ...

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組織再編|新設分割-新設分割計画の作成(法定記載事項など)

今回は、組織再編ということで、新設分割のうち新設分割計画について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 新設分割計画の作成 新設分割を行う場合、分割会社(分割する側)は新設分割計画を作成しなければなりません(新設分割計画書)。 「分割計画書・・・」というのは聞き慣れない感じもしますが、新設分割に特有のものになります。まだ相手会社がいない(設立会社が成立していない)ためです。 ちなみに、吸収分割の場合に作成するのは「吸収分割契約書・・・」です(相手 ...