とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

契約書本文

契約の一般条項を勉強しよう|債務不履行による損害賠償請求

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、損害賠償条項に関連して、債務不履行による損害賠償請求について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています 損害賠償条項の法的意味を把握するための前提として、法律上の原則にあたるところの債務不履行による損害賠償請求についてざっと確認してみます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 債務不履行の類型 債務不履行とは、債務者が債務の本旨に従った ...

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契約の一般条項を勉強しよう|債務不履行による損害賠償請求(填補賠償の要件)

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、損害賠償条項に関連して、填補賠償の法律上の要件について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 填補賠償の要件(民法415条2項) 民法415条2項は、「債務の履行に代わる損害賠償」(填補賠償)の請求をすることができる場合を定めており、 履行不能の場合(1号) 履行拒絶(確定的履行拒絶)の場合(2号 ...

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契約の一般条項を勉強しよう|債務不履行による解除(法定解除)

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、解除条項に関連して、債務不履行による解除について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています 解除条項の法的意味を把握するための前提として、法律上の原則にあたるところの法定解除についてざっと確認してみます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 解除の種類 解除の種類には、大きく、 法定解除 約定解除 合意解除 の3つがあります。 ①法令解 ...

弁護士法 法務転職

インハウスローヤー転職と非弁の論点(後編)|業務委託型の紹介サービス

今回は、インハウスローヤー転職と非弁の論点ということで、その後編について書いてみたいと思います(▷前編の記事はこちら)。 インハウスローヤー転職といっても、本記事の話題は業務委託型(法務受託、法務アウトソーシングとでも呼ぶべきもの)に関するものになります。いわゆるグレーゾーン解消制度において照会と回答がなされている例です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 業務委託型を含む弁護士人材紹介サービス 照会対象サービスの内容は、事業者が提供するウェブサイト上で、パートタ ...

弁護士法 法律コラム

ビジネスと弁護士法|弁護士マッチングサービス

今回は、ビジネスと弁護士法ということで、弁護士マッチングサービスについて見てみたいと思います。 弁護士法といっても主に非弁行為の禁止の部分のことですが、非弁行為には有償での「周旋」(仲介、あっせんのこと)の禁止というパターンもあるので、ビジネスの遵法性検討の際には案外よく出てきます。 すっかり一般的になった弁護士マッチングサービスにもこの論点は存在し、少なくともメジャーな事業者はその整理をした上でビジネスを行っているわけですが、案外それを知らない人(あるいは知っていても中身は知ろうとしない人)もいたりいな ...

弁護士法 法律コラム

ビジネスと弁護士法|離婚協議書の自動作成サービス

今回は、ビジネスと弁護士法ということで、離婚協議書の自動作成サービスについて見てみたいと思います。いわゆるグレーゾーン解消制度において照会と回答がなされた例になります。 弁護士法といっても主に非弁行為の禁止の部分のことですが、業務独占はあたかも業法の参入規制のように機能しますので(要するに入口の問題という点で共通)、ビジネスの遵法性検討の際には案外よく出てきます。その一例として、という話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 離婚協議書の自動作成サービス 照会対 ...

弁護士法 法律コラム

ビジネスと弁護士法|非弁行為該当性の判断ポイント

今回は、ビジネスと弁護士法ということで、弁護士法に関連したビジネスの遵法性検討の仕方について書いてみたいと思います(管理人の個人的見解です)。 弁護士法といっても主に非弁行為の禁止の部分のことですが、業務独占はあたかも業法の参入規制のように機能しますし(要するに入口の問題という点で共通)、また非弁のパターンには「周旋」の禁止というのもあるので、ビジネスの遵法性検討の際には案外よく出てきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 非弁行為の禁止(法72条) 非弁行為の ...

弁護士法

弁護士法|非弁行為の禁止(法72条)-構成要件と刑事罰

今回は、弁護士法を勉強しようということで、非弁行為の禁止(法72条)について見てみたいと思います。 非弁行為の要件と違反の効果(刑事罰)について、全体像をまとめていきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 非弁行為の禁止(法72条) 非弁行為の禁止とは、ざっくりいうと、弁護士以外の者が事業として他人の法律事務を処理することを禁じるものです。 弁護士法72条に規定されています。 ▽弁護士法72条 (非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)第七十二条 弁護士又は弁護士法 ...

M&A 各種契約書

M&A法務|株式譲渡契約(SPA)-サンドバッギング条項

今回は、M&A法務ということで、株式譲渡契約(SPA)のうちサンドバッギング条項について見てみたいと思います。 ※株式譲渡契約のSPAというのは、Stock Purchase Agreementの略です ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 サンドバッギングとは サンドバッギング(sandbagging)とは、ざっくりいうと、表明保証違反があったときに、表明保証の相手方がその違反につき悪意であっても(あるいは有過失であっても)表明保証責任を追及することができる ...

インサイダー規制

インサイダー取引規制|情報伝達行為・取引推奨行為の禁止

今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、インサイダー取引規制のうち情報伝達行為・取引推奨行為の禁止について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、 ① 会社関係者の禁止行為 ・規制対象となる主体 ・規制対象となる情報 ・規制対象となる取引② 公開買付者等関係者の禁止行為 ・規制対象となる主体  ・規制対象となる情報  ・規制対象となる取引③ ①②とも情報伝達行為・取引推奨行為の禁止 ←本記事 その中で、本記事は黄 ...

インサイダー規制

インサイダー取引規制|情報受領者の禁止行為

今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、情報受領者の禁止行為について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、情報受領者の禁止行為は、これらの者から第1次的に情報を受けた者に対する規制になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 情報受領者 情報受領者とは、会社関係者や公開買付者等の関係者から重要事実の伝達を受けた者のことで、例えば家族、同僚などです。 情報自体はいくらで ...

インサイダー規制

インサイダー取引規制|会社関係者の禁止行為(全体像)

今回は、インサイダー取引規制を勉強しようということで、会社関係者のインサイダー取引規制について見てみたいと思います。 インサイダー取引規制には、大きく「会社関係者」と「公開買付者等関係者」に対する規制がありますが、本記事では、前者の全体像をざっと見てみます。 ① 会社関係者の禁止行為(金商法166条)←本記事② 公開買付者等関係者の禁止行為(金商法167条) ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 会社関係者のインサイダー取引規制(金商法166条) 会社関係者のインサイ ...