とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

SPC

ファンド法務|信託受益権化

今回は、ファンド法務ということで、対象資産の信託受益権化について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 対象資産の信託受益権化 SPVの仕組みにおいて、信託はそれ自体が契約型ビークルとして利用されますが(▷参考記事はこちら)、それ以外にも、対象資産をSPCに譲渡する際に信託受益権化しておくという形でよく利用されます。 つまり、SPCが対象資産の現物・・を保有するのではなく、元の保有者(以下オリジネーター)が対象資産を受託者(通常は信託銀行)に信託 ...

SPC

ファンド法務|TK出資

今回は、ファンド法務ということで、TK出資について見てみたいと思います。 TK出資は、匿名組合出資の略語です。横文字が多くて何だか気圧されがちですが、どこの業界でもある業界用語ということであまり気にしなくてよいかと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 TK出資 匿名組合 TK出資のTKは、商法上の匿名組合のことです。 ▽商法535条 (匿名組合契約)第五百三十五条 匿名組合契約は、当事者の一方が相手方の営業のために出資をし、その営業から生ずる利益を分配する ...

SPC

ファンド法務|パススルーとペイスルー

今回は、ファンド法務ということで、二重課税の回避について見てみたいと思います。 二重課税の回避は、パススルーとペイスルーという2つのタイプに整理されます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 二重課税の回避 そもそも、二重課税というのはどこから見て二重課税なのかというと、投資家から見て・・・・・・・二重課税ということです。 普通、例えば株式会社の場合は、①株式会社の収益に対して法人税が課され、税金を支払った後の配当可能利益から株主(投資家)に配当がなされます。②そし ...

SPC

ファンド法務|SPCと倒産隔離

今回は、ファンド法務ということで、倒産隔離について見てみたいと思います。 倒産隔離自体はSPV全般で出てくる言葉ですが、本記事では会社型SPV(=SPC)における倒産隔離を取り上げたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 SPCと倒産隔離 倒産隔離というのは、SPVにおいて対象資産そのものに関するリスク以外のリスクを投資家に負わせないための仕組みのことです。英語ではBankruptcy Remotenessになります。 SPCの場合でいうと、 対象資産が ...

SPC

ファンド法務|ノンリコースローン

今回は、ファンド法務ということで、ノンリコースローンについて見てみたいと思います。 なお、本記事では主にSPCを利用したアセットファイナンスの場面を想定しています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 ノンリコースローン ノンリコースローン(非遡及型貸付)とは、責任財産限定型ローンのことです。 つまり、ローン債権の責任財産をSPCの対象資産に限定している、ということです。SPCがデフォルト(債務不履行)となって貸付金の回収に不足が生じても、基本的には、対象資産以外の ...

SPC

ファンド法務|投資ビークルの種類

今回は、ファンド法務ということで、投資ビークルの種類について見てみたいと思います。 いろいろなビークルがあって混乱しがちな部分ですが、大まかに分類しておくと意外とすんなり頭に入ります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 投資ビークルの種類 投資ビークルというのは、投資ファンドを組成するときにその中心となるものです。 投資ファンドは投資家から資金を集めてプールし、それを専門家(ファンドマネージャー)が運用する仕組みですが、この受け皿となるのが投資ビークルです。 基本 ...

法制執務

法令解釈を勉強しよう|法解釈の種類-学理的解釈の分類

今回は、法令解釈を勉強しようということで、学理的解釈の分類について見てみたいと思います。 契約書などで直接役に立つということはない気がしますが、いろんなところで目にする「〇〇解釈」はまとめるとどうなっているのかが見えて、全体がクリアになります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 学理的解釈 学理的解釈とは、学理(学問上の研究や考察)によって法令を解釈することです。 普段よく”法令の解釈”といっているのは、通常、この学理的解釈を指しています。ざっくりいえば、理屈で解 ...

法制執務

法令解釈を勉強しよう|法解釈の種類-法規的解釈と学理的解釈

今回は、法令解釈を勉強しようということで、法規的解釈と学理的解釈について見てみたいと思います。 契約書などで直接役に立つということはない気がしますが、いろんなところで目にする「〇〇解釈」はまとめるとどうなっているのかが見えて、全体がクリアになります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 法令解釈の種類 法令解釈の種類は、まず大きく「法規的解釈」と「学理的解釈」に分けられます。 ざっくりいうと、法規的解釈というのは法令自身が解釈を決めているもの、学理的解釈というのは理 ...

法制執務

法令用語を勉強しよう|「別段の定め」と「かかわらず」

今回は、法令用語を勉強しようということで、「別段の定め」と「かかわらず」を見てみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書を読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「別段の定め」と「かかわらず」は一見関係ないようですが、一般規定と特別規定の関係を示すにあたって対のように使うことができる用語になります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改 ...

法制執務

法令用語を勉強しよう|「係る」と「関する」

今回は、法令用語を勉強しようということで、「係る」と「関する」を見てみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 本記事では、法律的な文章でよく見かけて何となく使っている「係る」は、どういう意味なのか?を確認してみたいと思います。「関する」との対比です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行な ...

法制執務

法令用語を勉強しよう|「認める」と「おそれがある」

今回は、法令用語を勉強しようということで、「認める」と「おそれがある」を見てみたいと思います。 法令用語というのは、法令をつくるときに、慣習的な用語法に従って用いられる用語のことです(日常用語とは異なる独特の意味がある)。当ブログでは、法令用語のうち、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 「認める」や「おそれがある」は、条件文にある要件の認定に影響を与える可能性もあり得ますので、いま一度、まとめて意味をチェックしてみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字 ...

契約書本文 法制執務

法令作成を勉強しよう|「あっては」と対句構造

今回は、法令作成を勉強しようということで、条文の文章の対句構造について見てみたいと思います。 法令作成には一定の決まった型みたいなものがありますが、当ブログでは、契約書などを読み書きするときにも役立ちそうなものをピックアップしています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 「あっては」と対句構造 法令では、文章を簡潔にするために、対句の構造が用いられている場合が多くあります。 普通に読むだけでも対句になっていることはなんとなく頭に入るようになっていますが、改めて意識 ...