開示制度

開示制度|適時開示-決算情報に関する開示

今回は、開示制度ということで、適時開示(取引所規則に基づく開示)のうち決算情報に関する開示について見てみたいと思います。

決算情報の開示として「決算短信・四半期決算短信」が、決算関連情報の開示として「業績予想の修正」と「配当予想の修正」に関する開示があります。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

決算短信・四半期決算短信

適時開示で開示される決算は、年次と四半期であり、具体的には「決算短信」と「四半期決算短信」が開示されます。

決算短信も四半期決算短信も、決算の内容が定まった後、直ちに開示する必要があります。

▽上場規程404条1項・2項

(決算短信等)
第404条

 上場会社は、事業年度若しくは中間会計期間又は連結会計年度若しくは中間連結会計期間に係る決算の内容が定まった場合は、直ちにその内容を開示しなければならない
 前項に規定する場合のほか、上場会社は、四半期累計期間(第2四半期累計期間を除く。)又は四半期連結累計期間(第2四半期連結累計期間を除く。)に係る決算の内容を定めるものとし、その内容が定まった場合は、直ちにその内容を開示しなければならない。この場合において、当該決算の内容には、施行規則で定めるところにより作成する四半期財務諸表等を含めるものとする。

▽参考リンク
決算短信|日本取引所グループHP
四半期決算短信|日本取引所グループHP

開示時期

このように上場規程・・・・では「直ちに」とするのみで、何日以内に開示せよといった開示期限は明確には定められていません(法定開示との違い)。

ただし、作成要領・・・・(「決算短信・四半期決算短信作成要領等」)において、決算短信等の開示に関する要請事項として、以下のような基準が定められています(作成要領1-⑵)。

要請されている開示時期備考
決算短信遅くとも決算期末後45日(45日目が休日である場合は、翌営業日)以内
・決算期末後30日以内(期末が月末である場合は、翌月内)の開示が、より望ましい
・50日以内に開示を行わない場合は、①行わない理由及び②翌年以降の開示時期についての計画又は見込みを開示しなければならない
法定開示に対する速報としての位置づけを有する
(金商法に基づく有価証券報告書の法定提出期限は決算期末後3か月以内)
第2四半期決算短信・金商法に基づく半期報告書の法定提出期限は中間期末後45日以内であり、この半期報告書の提出までには開示法定開示に対する速報としての位置づけを有する
(金商法に基づく半期報告書の法定提出期限は中間期末後45日以内)
第1・第3四半期決算短信・半期報告書の法定提出期限に準じ、各四半期終了後45日以内に開示することを原則とする
・45日以内に開示を行わない場合は、①行わない理由及び②翌年以降の開示時期についての計画又は見込みを開示しなければならない
法定開示に対する速報としての位置づけではない
(※金商法に基づく四半期報告書は廃止)

用語の整理

 ちなみに、決算情報に関する法定開示(金商法に基づく開示)と適時開示(取引所規則に基づく開示)を時系列に並べて書くと、

【決算情報に関する開示】

第1四半期第2四半期第3四半期第4四半期
法定開示半期報告書有価証券報告書
適時開示四半期決算短信四半期決算短信四半期決算短信決算短信

というふうになっています。

監査手続の要否

決算短信と第2四半期(中間期)決算短信は、有価証券報告書や半期報告書の法定開示に先立って、決算の内容を迅速に開示する速報としての位置づけであるため、監査手続(監査や期中レビュー)の終了は要件とされていません。

監査手続を終了した法定開示が後日なされることで、正確性が担保されることになっています。

ただ、実際問題としては、後日の法定開示の財務諸表との整合性が当然必要であるため、(財務諸表の内容はもう変わることはないだろうという)公認会計士等の了承を得る必要はあり、一般的にはこの時点が”決算の内容が定まった”時点ということになります。

また、適時開示の制度上は必要ではないものの、普通は役会(取締役会)決議を経て開示します。

第1・第3四半期決算短信も、公認会計士等による期中レビューは原則として任意です。

ただし、決算短信と第2四半期(中間期)決算短信とは異なり、後日の法定開示がないため(金商法に基づく四半期報告書は廃止)、第1・第3四半期決算短信については、財務諸表の信頼性確保が必要と考えられる場合には期中レビューが義務づけられています(上場規程404条3項)。

▽上場規程404条3項

 上場会社(半期報告書に含まれる中間財務諸表等に対して、公認会計士等による中間監査報告書又は期中レビュー報告書の添付が求められていない上場外国会社を除く。次項において同じ。)は、施行規則で定める場合に該当したときは、当該場合に該当することとなった日から該当しなくなる日までの間、前項に規定する四半期財務諸表等に対して公認会計士等の期中レビューを受けなければならない

施行規則で定める場合に該当したとき(つまり、財務諸表の信頼性確保が必要と考えられる場合)とは、概ね、

  • 直近の有価証券報告書、半期報告書又は四半期決算短信(レビューを受ける場合)において、無限定適正意見(無限定の結論)以外の監査意見(レビューの結論)が付される場合
  • 直近の内部統制監査報告書において、無限定適正意見以外の監査意見が付される場合
  • 直近の内部統制報告書において、内部統制に開示すべき重要な不備がある場合
  • 直近の有価証券報告書又は半期報告書が当初の提出期限内に提出されない場合
  • 当期の半期報告書の訂正を行う場合であって、訂正後の財務諸表に対してレビュー報告書が添付される場合

のようになっています(上場規則405条2項)。

業績予想の修正に関する開示

決算短信のサマリーに業績予想を記載した場合、基準値以上に修正するときは開示が必要になります(「新たに算出した予想値…において差異」)。

修正するときだけでなく、実績値との間に基準値以上の差異が生じた場合も同様です(「当連結会計年度の決算において差異」)。

▽上場規程405条1項

(予想値の修正等)
第405条

 上場会社は、当該上場会社の属する企業集団の売上高、営業利益、経常利益又は純利益(上場会社がIFRS任意適用会社である場合は、売上高、営業利益、税引前利益、当期利益又は親会社の所有者に帰属する当期利益)について、公表がされた直近の予想値当該予想値がない場合は、公表がされた前連結会計年度の実績値)に比較して当該上場会社が新たに算出した予想値又は当連結会計年度の決算において差異(投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして施行規則で定める基準に該当するものに限る。)が生じた場合は、直ちにその内容を開示しなければならない

業績予想の修正に関しての開示基準(「投資者の投資判断に及ぼす影響が重要なものとして施行規則で定める基準」)は、施行規則第407条各号に定められています。

また、業績予想を記載していない場合(「当該予想値がない場合」)であっても、前年度の実績値との間に基準値以上の差異が生じた場合は、やはり開示が必要とされています。

▽参考リンク
業績予想の修正、予想値と決算値との差異等|日本取引所グループHP

配当予想の修正に関する開示

配当について予想値を算出した場合、開示が必要になります。

▽上場規程405条2項

 上場会社は、当該上場会社の剰余金の配当について予想値を算出した場合は、直ちにその内容を開示しなければならない

上記の「剰余金の配当について予想値を算出した場合」には、公表がされた直近の予想値と比較して、新たに算出した予想値に差異が生じた場合を含むとされていますので(適時開示ガイドブック第2編第4章2-⑴)、配当予想の修正について開示が必要になります。

配当予想の修正について業績予想の修正で見たような基準値(開示基準)はありませんので、修正した場合には開示が必要です。

なお、「剰余金の配当」は決定事実に該当するので、決定事実としての適時開示が必要になります。(▷参考記事はこちら

ただ、決算短信や四半期決算短信の開示と同時に剰余金の配当を決定した場合は、決算短信や四半期決算短信にその内容を記載すればよいとされており、実際はこのやり方によるケースが多くなっています。

▽参考リンク
配当予想、配当予想の修正|日本取引所グループ

結び

今回は、開示制度ということで、適時開示のうち決算情報に関する開示について見てみました。

適時開示は取引所規則に基づく開示であり、TDnetTimely Disclosure network:「適時開示情報伝達システム」)の閲覧サイトである「適時開示情報閲覧サービス」で見ることができます。

▽参考リンク

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

主要法令等

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【金商法に基づく開示(法定開示)】

  • 金商法(「金融商品取引法」)
  • 金商法施行令(「金融商品取引法施行令」)
  • 定義府令(「金融商品取引法第二条に規定する定義に関する内閣府令」)
  • 企業開示府令(「企業内容等の開示に関する内閣府令」)
  • 保有開示府令(「株券等の大量保有の状況の開示に関する内閣府令」)
  • 公開買付府令(「発行者以外の者による株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」)
  • 発行者公開買付府令(「発行者による上場株券等の公開買付けの開示に関する内閣府令」)
  • 財務諸表規則(「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則」)
  • 連結財務諸表規則(「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」)
  • 監査証明府令(「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」)

【取引所規則に基づく開示(適時開示)】

  • 上場規程(「有価証券上場規程」(東京証券取引所))
  • 上場規則(「有価証券上場規程施行規則」(東京証券取引所))
  • 実務要領(「適時開示に関する実務要領」)
  • 作成要領(「決算短信作成要領・四半期決算短信作成要領」)

【会社法に基づく開示】

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