景品表示法

景品表示法を勉強しよう|有利誤認表示ー二重価格表示

今回は、景品表示法を勉強しようということで、二重価格表示について見てみたいと思います。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

二重価格表示とは

二重価格表示とは、要するに、”何かの価格と比較して、価格がそれよりも安いとする表示”のことです。

価格その他の取引条件について有利性を偽った表示は有利誤認表示と呼ばれ、景表法5条2号で禁止されています。

では、二重価格表示はどういう場合に有利誤認表示になってしまうのか?あるいはならないのか?というのが、二重価格表示についての検討問題です。

▷参考リンク:二重価格表示|消費者庁HP

二重価格表示についてのくわしい考え方は、価格表示ガイドライン(「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」)に記載されています。

表示に関するQ&A【Q19】|消費者庁HP

Q19 不当な価格表示の規制にはどのようなものがあるでしょうか。

A 販売価格についての不当表示は、景品表示法第5条第2号で規定されているいわゆる有利誤認表示の一類型であり、自己が供給する商品・サービスの販売価格について、実際の販売価格又は競争事業者の販売価格よりも著しく有利であると一般消費者に誤認される表示は、景品表示法上問題となります。
 なお、価格表示に関する景品表示法上の基本的な考え方及び不当表示に該当するおそれのある主要な事例については、「不当な価格表示についての景品表示法の考え方」(価格表示ガイドライン)において示されています。

二重価格表示では、(a)実際の販売価格よりも高い何らかの価格(比較対照価格)と(b)実際の販売価格が併記されるわけですが、価格表示ガイドラインでは、何と比較するかによって、以下のような類型に分類されています。

【二重価格表示の類型】

  • 「過去の販売価格」を比較対照価格とする場合
  • 「将来の販売価格」を比較対照価格とする場合
  • 「タイムサービス」を行う場合
  • 「希望小売価格」を比較対照価格とする場合
  • 「競争事業者の販売価格」を比較対照価格とする場合
  • 「他の顧客向けの販売価格」を比較対照価格とする場合
  • 割引率又は割引額を用いる場合

以下、基本的な考え方(総論)→類型ごとの判断基準(各論)の順に見てみます。

二重価格表示の基本的な考え方

二重価格表示については、

その内容が適正な場合には、一般消費者の適正な商品選択と事業者間の価格競争の促進に資する面がある

とされており(価格表示ガイドライン 第4-1)、二重価格表示それ自体について否定的な評価はされていません。

しかし、内容が適正でない場合には安いとの誤認を与えるおそれがあるため、二重価格表示に共通する考え方として、

  • 同一ではない商品の価格を比較対照価格に用いて表示を行う場合
  • 比較対照価格に用いる価格について実際と異なる表示あいまいな表示を行う場合

には、不当表示に該当するおそれがあるとされています。

①は、商品の同一性のことです。異なる商品の販売価格と比較して二重価格表示をされても、商品の品質等にそもそも違いがあるのでそれが安いのかどうかの判断が難しく、誤認を引き起こしやすいためです。同一性は、以下のように判断されます。

▽価格表示ガイドライン 第4-1-⑴-イ

イ 商品の同一性は、銘柄、品質、規格等からみて同一とみられるか否かにより判断される。
 なお、衣料品等のように色やサイズの違いがあっても同一の価格で販売されるような商品については、同一の商品に該当すると考えられる。
 また、ある一つの商品の新品と中古品、汚れ物、キズ物、旧型又は旧式の物(以下「中古品等」という。)とは、同一の商品とは考えられない

②は、比較対照価格が虚偽のものである場合や、比較対照価格がどのような内容の価格であるかについてあいまいな表示をする場合には、誤認を引き起こすおそれがあるということです。

あまり難しく考える必要はなく、①も②も、二重価格表示を適正に行うための当然の前提について触れていると思っておけばよいと思います。

以下、二重価格表示の類型ごとに、それぞれの判断基準を順に見てみます。

二重価格表示の類型ごとの判断基準

過去販売価格との二重価格表示

これは、例えば「当店通常価格」「セール前価格」といった名称を用いて、過去の販売価格と比較して安いと表示する二重価格表示のことです。

このときに引き合いに出す過去販売価格は、一般消費者が通常そのように想像する実態(それは最近〔=時点〕で、かつ一定期間はその価格で販売されていたのだろう〔=期間〕)がなければなりません。そうでなければ、安いとの誤認を引き起こすからです。

この、あるべき過去販売価格のことを、価格表示ガイドラインでは「最近相当期間にわたって販売されていた価格」(最近相当期間価格)といっています。

最近相当期間価格といえるためには、一般的には

  • 比較対象価格で販売されていた全期間が直近8週間において過半を占めていること(8週間未満の場合には、当該8週間未満の期間において過半を占めていること)
  • 比較対象価格で販売されていた期間が通算2週間以上であること
  • 二重価格表示を行う時点において、比較対象価格で販売されていた最後の日から2週間以上経過していないこと

という3つの要件が必要とされています。

基本的な要件は①になりますが、最低でも販売期間が通算2週間はないと「相当期間」とはいえないよ、というのが②になります。

8週間というのはセール開始時点から遡った観察期間であり、「過半」の分母はそのうち当該商品を販売した販売期間の通算です。つまり、分母は8週間の場合もあれば、そうでない場合もあります。

また、最後の販売日から2週間以上経過していると、それはもう「最近」とはいえないよ、というのが③になります。

ガイドラインの内容を確認してみます。

▽価格表示ガイドライン 第4-2-⑴-ア-(ア)-b(※【 】は管理人注)

 比較対照価格が「最近相当期間にわたって販売されていた価格」に当たるか否かは、当該価格で販売されていた時期及び期間、対象となっている商品の一般的価格変動の状況、当該店舗における販売形態等を考慮しつつ、個々の事案ごとに検討されることとなるが、【①】一般的には、二重価格表示を行う最近時(最近時については、セール開始時点からさかのぼる8週間について検討されるものとするが、当該商品が販売されていた期間が8週間未満の場合には、当該期間について検討されるものとする。)において、当該価格で販売されていた期間が当該商品が販売されていた期間の過半を占めているときには、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とみてよいものと考えられる。ただし、前記の要件を満たす場合であっても、【②】当該価格で販売されていた期間が通算して2週間未満の場合、又は【③】当該価格で販売された最後の日から2週間以上経過している場合においては、「最近相当期間にわたって販売されていた価格」とはいえないものと考えられる。

過去販売価格との二重価格表示については、以下の関連記事にくわしく書いています。

将来販売価格との二重価格表示

”将来の販売価格を比較対照価格とする”というのはどういう場合を指しているのか、一瞬、イメージがしにくいのではないかと思いますが、典型的なのは、新商品の販売開始やサービスリリースを行う場合です。

「将来的には定価になりますが、販売開始(orサービス開始)当初の今は安くしておきますので、おトクに始められますよ!」というニュアンスで訴求するのが、ひとつのパターンといえます。

すでに販売活動実績があるケースもありますが(販売初期の局面に限られるわけではない)、単に「いまの価格で買えるのはいついつまでですよ」といった表示をしようとする場合というのは、それ程多くないように思います(管理人の個人的意見)。繁忙期の価格を将来販売価格としつつ、前倒しの時期の購入は安くする、といったケースはあるかと思います。

しかし、将来は需給状況の変動など状況の変化により不確かなので、そもそも本当にその価格で販売するの?というのが根本的な問題となります。つまり、将来販売価格との二重価格表示の基本的な考え方は、表示された将来販売価格に十分な根拠があるかです。

不当表示に該当するかどうかの具体的な判断基準は、将来価格執行方針(「将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示に対する執行方針」)に記載されており、

  • 比較対照価格とされた将来の販売価格で販売する
    =セール期間経過後の一般的な販売活動において比較対照価格とされた将来販売価格で販売するものでなければならない(つまり、見せかけの価格を整えるためとみられるような将来販売価格の設定はNG)
  • 確実な予定
    合理的かつ確実に実施される販売計画を、セール期間を通じて有していなければならない

を有していない場合には、不当表示に該当するおそれがあるとされています。

執行方針の内容を確認してみます。

▽将来価格執行方針 第2-1

 事業者が自己の供給する商品等について、将来の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行うと、当該表示を見た一般消費者は、通常、比較対照価格とされた将来の販売価格に十分な根拠がある、すなわち、セール期間経過後に、当該商品等が比較対照価格とされた価格で販売されることが予定・・されており、かつ、その予定のとおり販売されることが確実・・であると認識すると考えられる。したがって、事業者が、比較対照価格とされた将来の販売価格で販売する確実な予定を有していないにもかかわらず、当該価格を比較対照価格とする二重価格表示を行うと、このような消費者の認識と齟齬そごが生じ、景品表示法に違反する有利誤認表示となるおそれがある。

将来販売価格との二重価格表示については、以下の関連記事にくわしく書いています。

タイムサービスの場合の二重価格表示

これは、タイムサービスというより、「タイムセール」と呼ぶ方が日常的に馴染みがあるかもしれません(大手ECサイトなど)。ほかには、スーパーのお惣菜コーナーなどでもお馴染みですね。

これらは性質的には、

  • タイムサービス開始前の販売価格と比較→過去販売価格との二重価格表示
  • タイムサービス終了後の販売価格と比較→将来販売価格との二重価格表示

ということになりますが、価格変化の状況が消費者にとっても明らかであるため、通常は、不当表示に該当するおそれはないとされています。

memo

 つまり、過去販売価格にせよ、将来販売価格にせよ、消費者から見た場合には一種の概念にすぎないというか、中身に不確かなところがあるわけです。

 例えば、単に”通常”価格と言われても、いつの時点でどの程度の期間その価格で売っていたのかはっきりとはわからなかったり、”今はホニャララ円ですが、〇月からはいくらです”と言われても、本当に〇月からその値段で売るのかはっきりとはわからなかったりします。

 しかし、タイムサービスの場合は、値札等で示されている表示価格からディスカウントするものなので、価格変化の状況は消費者にとっても明らかでしょうということです。

▽価格表示ガイドライン 第4-2-⑴-ウ

ウ タイムサービスを行う場合の二重価格表示
 特定の商品について一定の営業時間に限り価格の引下げを行ったり、又は生鮮食料品等について売れ残りを回避するために一定の営業時間経過後に価格の引下げを行ったりする場合に、当初の表示価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われることがある。
 このような二重価格表示については、通常は、不当表示に該当するおそれはないと考えられる。

もっとも、表示価格が虚偽のものであったり、見せかけの値段づくりのための値段であったりする場合は、当然のことながら、不当表示に該当することになります(前述の「基本的な考え方」の部分参照)。

希望小売価格との二重価格表示

製造業者、卸売業者、輸入総代理店など(以下「製造業者等」)、小売業者以外の者が、自己の供給する商品について希望小売価格を設定している場合があります。

この希望小売価格との二重価格表示(希望小売価格より安いとの表示)を行う場合には、希望小売価格が、

  • 製造業者等により設定されていること
    =製造業者等が小売業者から独立した立場で第三者として希望小売価格を設定していること
  • あらかじめ公表されていること
    =あらかじめ、新聞公告、カタログ、商品本体への印字等により公表されていること

が必要とされています。

▽価格表示ガイドライン 第4-3-⑴-ア

 一般消費者は、通常、希望小売価格については、製造業者等により小売業者の価格設定の参考となるものとして設定され、あらかじめ、新聞広告、カタログ、商品本体への印字等により公表されているものであり、このことから、小売業者の販売価格が安いかどうかを判断する際の参考情報の一つとなり得るものと認識していると考えられる。
 このため、希望小売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、製造業者等により設定され、あらかじめ公表されているとはいえない価格を、希望小売価格と称して比較対照価格に用いるときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。

そのため、例えば、

  • プライベートブランド商品について小売業者が自ら設定した価格
  • 製造業者等が専ら自ら小売販売している商品について自ら設定した価格
  • 特定の小売業者が専ら販売している商品について製造業者等が当該小売業者の意向を受けて設定した価格
    (ex) A家具店が「Bメーカー応接5点セット メーカー希望小売価格 120,000円の品産直価格 78,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品はA家具店のみで販売されており、当該希望小売価格は、A家具店がBメーカーに依頼して設定させた価格であるとき

を希望小売価格として比較対照価格に用いることは、上記①を満たさず、不当表示に該当するおそれがあります(価格表示ガイドライン 第4-3-⑵ウ)。

また、

  • 製造業者等が当該商品を取り扱う小売業者の一部に対してのみ呈示した価格
    (ex) A服飾雑貨品店が「Bメーカー製財布 メーカー希望小売価格 6,000 円の品3,800 円」と表示しているが、実際には、当該希望小売価格は、Bメーカーが商談の際にA服飾雑貨品店を含む当該商品を取り扱う小売業者の一部にのみ呈示した価格であるとき

を、希望小売価格として比較対照価格に用いることは、上記②を満たさず、不当表示に該当するおそれがあります(価格表示ガイドライン 第4-3-⑵エ)。

また、希望小売価格が撤廃されたときや改定があったときは、比較対照価格の表示をやめたり変更するなどの対応を行う必要があります。例えば、

  • 希望小売価格が撤廃されている場合に、任意の価格を希望小売価格として比較対照価格に用いること
    (ex) Aスーパーが、「インバーターエアコン メーカー希望小売価格 200,000 円の品 138,000 円」と表示しているが、実際には、当該商品と同一の商品について、メーカーであるB電機は希望小売価格を1年前に撤廃しているとき

は、不当表示に該当するおそれがあります(価格表示ガイドライン 第4-3-⑵イ参照)。

希望小売価格がないというのは、いわゆるオープン価格(製造業者等が小売価格を提示せず卸価格だけを設定する価格表示形式で、小売業者が自由に小売価格を設定する)と呼ばれます

競争事業者の販売価格との二重価格表示

ここでいう競争事業者というのは、日常的な言葉でいえば"競合他社"と思っておけばよく、

  • 特定の競争事業者の販売価格を比較対照価格とする場合
  • 市価を比較対照価格とする場合

の2パターンがあるとされています。

競争事業者の販売価格との二重価格表示を行う場合には、最近時の販売価格を比較対照価格に用いる必要があるとされています。消費者はそのような表示であると認識するのが通常と考えられるからです。

▽価格表示ガイドライン 第4-4-⑴

 …これらの競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示が行われる場合には、一般消費者は、通常、同一の商品について代替的に購入し得る事業者の最近時の販売価格との比較が行われていると認識するものと考えられる。
 このため、競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合に、同一の商品について代替的に購入し得る事業者最近時の販売価格とはいえない価格を比較対照価格に用いるときには、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。

そのため、例えば、

  • 最近時の競争事業者の販売価格よりも高い価格当該競争事業者の販売価格として比較対照価格に用いること
  • 最近時の市価よりも高い価格市価として比較対照価格に用いること

は、不当表示に該当するおそれがあります(価格表示ガイドライン 第4-4-⑵ア・イ)。

最近時の販売価格については、競争事業者の最近時の販売価格を正確に調査することが必要であり、特に、市価については、事業者の販売地域内における競合他社で相当数の者が実際に販売している価格を正確に調査することが必要とされています。

つまり、最近時の販売価格には客観性が必要であり、特に市価の場合は客観性が損なわれやすいので気をつけましょうということです。

また、特定の競争事業者の販売価格と比較する場合には、当該競争事業者の名称を明示する必要があるとされています。

▽価格表示ガイドライン 第4-4-⑴

 …特に、市価を比較対照価格とする二重価格表示については、当該事業者が販売している地域内において競争関係にある事業者の相当数の者が実際に販売している価格を正確に調査することなく表示する場合には、不当表示に該当するおそれがある。
 このように、市価や特定の競争事業者の販売価格を比較対照価格とする二重価格表示を行う場合には、競争事業者の最近時の販売価格を正確に調査するとともに、特定の競争事業者の販売価格と比較する場合には、当該競争事業者の名称を明示する必要がある。

また、これも当然といえば当然ですが、「同一の商品について代替的に購入し得る事業者」の最近時の販売価格である必要があります。

要するに、先ほど見た消費者の通常の認識からすると、消費者から見て日常的な消費活動の範囲内にいる事業者(「代替的に購入し得る事業者」)の価格でないと適正な比較にならないということです。また、「同一の商品」を引き合いに出したものであることは比較にあたって当然の前提ともいえます。

したがって、

  • 商圏が異なり一般消費者が購入する機会のない店舗の販売価格を比較対照価格に用いること
  • 販売する商品と同一ではない商品について、競争事業者が販売している価格を比較対照価格に用いること(中古品を販売する際に新品などの価格と比較することも含む)

は、不当表示に該当するおそれがあります(価格表示ガイドライン 第4-4-⑵ウ・エ)。

他の顧客向けの販売価格との二重価格表示

これは、顧客の条件(顧客の購入時期を含む)によって販売価格に差を設けている二重価格表示のことです。

例えば、

  • 「会員価格」を「非会員価格」と比較して安いと表示する場合
  • リゾートホテルが「〇月~〇月までの宿泊料金」を「標準の宿泊料金」と比較して安いと表示する場合

などが考えられますが、顧客の条件の内容等について実際と異なる表示を行ったり、あいまいな表示を行うときには、安いとの誤認を与え、不当表示となるおそれがあるとされています(価格表示ガイドライン 第4-5)。

そのため、上記の例だと、実際には会員になることが容易で非会員価格で購入する者はほとんどいなかったり、リゾートホテル(需要のピーク時とオフ時で販売価格の差が大きく、かつ、ピーク時の期間が特定の時期に限定されているケース)がピーク時の価格を標準の宿泊料金として表示しているような場合には、不当表示となるおそれがあります。

割引率又は割引額を用いた価格表示

これは、価格そのものが2つ併記されているわけではないので厳密には二重価格表示ではないですが、基本的には二重価格表示と同様の考え方が妥当するとされています。

なぜかというと、二重価格表示における比較対照価格と実際の販売価格の差を割引率(ex.〇〇%OFF)または割引額(ex.〇〇円引き)で示したものなので、結局、二重価格表示のときと状況は同様だからです(直接書かれていないだけで、実際の販売価格は算出できる)。

▽価格表示ガイドライン 第5-1-⑴(※【 】は管理人注)

 二重価格表示と類似した表示方法として、「当店通常価格」や表示価格等からの割引率又は割引額を用いた価格表示が行われることがある。
 この表示方法は、二重価格表示における比較対照価格と販売価格の差を割引率又は割引額で表示したものであり、景品表示法上の考え方については、基本的には第4【=二重価格表示について】で示した二重価格表示の考え方と同じである。
 すなわち、算出の基礎となる価格や割引率又は割引額の内容等について実際と異なる表示を行ったり、あいまいな表示を行う場合には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。

一括的な割引率又は割引額の表示

割引率又は割引額を用いた価格表示に特徴的な点として、「店内全品〇〇%OFF」とか「インスタント食品全品〇〇円引き」といったように、全品あるいは特定の商品カテゴリを一括して・・・・割引表示することがあります。

このような場合、

  • 算出の基礎となる価格
  • 適用される商品の範囲
  • 適用されるための条件

について明示することが、誤認を生じさせないために必要とされています。

▽価格表示ガイドライン 第5-1-⑵

 割引率又は割引額の表示の中には、小売業者の取り扱う全商品又は特定の商品群を対象として一括して割引率又は割引額を表示する場合がある。
 このような一括的な割引率又は割引額の表示については、小売業者にとって個別品目ごとの値引き表示を行う場合の煩雑さを回避したり、一般消費者に対する訴求力を高めたりする利点があるが、その訴求力が強いことから、一括して割引率又は割引額の表示を行う場合には、算出の基礎となる価格、適用される商品の範囲及び適用されるための条件について明示することにより、一般消費者が誤認しないようにする必要がある。

この場合に不当表示に該当するおそれのある表示としては、

  • 適用対象となる商品が一部のものに限定されているにもかかわらず、その旨を明示しないで、小売業者の取り扱う全商品又は特定の商品群を対象とした一括的な割引率又は割引額を強調した表示を行うこと
  • 表示価格からの割引率若しくは割引額又はポイント還元率(以下「割引率等」)を用いた表示を行う場合に、⑴表示価格をいったん引き上げた上で割引率等を用いた表示を行うこと、又は⑵セール実施の決定後に販売が開始された商品を対象として割引率等を用いた表示を行うこと
  • 最大割引率又は最大還元率が適用されるのは一部のものに限定されているにもかかわらず、取り扱う全商品又は特定の商品群について、個々の商品ごとに割引率等を表示せずに、一定の幅の割引率等で、かつ、最大割引率又は最大還元率を強調した表示を行うことにより、あたかも多くの商品について最大割引率又は最大還元率が適用されるかのような表示を行うこと
  • 任意に設定した価格を算出の基礎として、割引率又は割引額の表示を行うこと

が挙げられています(価格表示ガイドライン 第5-2)。

結び

今回は、景品表示法を勉強しようということで、二重価格表示の各類型を全体的に見てみました。

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

主要法令等

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