景品表示法

景品表示法を勉強しよう|表示規制ー「表示」の定義、表示の主体

今回は、景品表示法を勉強しようということで、表示規制のうち、「表示」の定義と、表示の主体について書いてみたいと思う。

 

ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線は管理人によるものです。

 

メモ

 本カテゴリ「法務道場」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。

 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いていますので、感覚的な理解を掴むことを目指しているのですが、書籍などを理解する際の一助になれれば幸いです。

 

 

「表示」とは

まず最初に、「表示」ってどんなものを指すのか?ということについて。

 

これについては、景表法2条4項に定義が定められている。

 

(定義)
第二条
4 この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

 

分節すると、

①「顧客を誘引するための手段として」
②「事業者が」
③「自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う」
④「広告その他の表示」

という感じである。

 

 

定義告示・運用基準

景表法のうち、表示規制における「表示」、景品規制における「景品類」という2つの基本的な概念については、景表法のほか、定義告示とその運用基準に定めがある。表にするとこんな感じ。

 

定義 法律 告示等
「表示」 景表法2条4項 定義告示(「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」)
定義告示運用基準(「景品類等の指定の告示の運用基準について」)
「景品類」 景表法2条3項 同上

 

なので、「表示」のより詳しい内容は、定義告示に定められている。柱書で法2条4項の定義が再言されたあと、1~5号のとおり5つが具体的に列記されている。

 

▽定義告示(2項)

2 法第二条第四項に規定する表示とは、顧客を誘引するための手段として事業者自己の供給する商品又は役務の取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、次に掲げるものをいう。
一 商品、容器又は包装による広告その他の表示及びこれらに添付した物による広告その他の表示
二 見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告その他の表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)及び口頭による広告その他の表示(電話によるものを含む。)
三 ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーン、その他これらに類似する物による広告及び陳列物又は実演による広告
四 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備又は拡声機による放送を含む。)、映写、演劇又は電光による広告
五 情報処理の用に供する機器による広告その他の表示(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)

 

消費者庁のHPにあるQ&Aにも、定義の解説が載っている。

 

▽表示に関するQ&A|消費者庁HP
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation/

 

目次 No. Qの小見出し
表示の定義 Q1 表示の定義

 

文言のうち、「顧客を誘引するための手段として」「事業者」「自己の供給する商品又は役務の取引」(柱書の部分)については、以下で見るように、定義告示運用基準に具体的な定めがある。

 

 

「顧客を誘引するための手段として」

定義告示運用基準に以下のような定めがある。

 

▽定義告示運用基準(1項)

1 「顧客を誘引するための手段として」について
(1) 提供者の主観的意図やその企画の名目のいかんを問わず、客観的に顧客誘引のための手段になっているかどうかによって判断する。(以下略)
(2) 新たな顧客の誘引に限らず、取引の継続又は取引量の増大を誘引するための手段も、「顧客を誘引するための手段」に含まれる。

 

 

「事業者」

定義告示運用基準に以下のような定めがある。

 

▽定義告示運用基準(2項)

2 「事業者」について
(1) 営利を目的としない協同組合、共済組合等であっても、商品又は役務を供給する事業については、事業者に当たる。
(2) 学校法人、宗教法人等であっても、収益事業(私立学校法第二十六条等に定める収益事業をいう。)を行う場合は、その収益事業については、事業者に当たる。
(3) 学校法人、宗教法人等又は地方公共団体その他の公的機関等一般の事業者の私的な経済活動に類似する事業を行う場合は、その事業については、一般の事業者に準じて扱う。
(4) 事業者団体構成事業者の供給する商品又は役務の取引に附随して不当な景品類の提供を企画し、実施させた場合には、その景品類提供を行った構成事業者に対して景品表示法が適用される。

 

 

「自己の供給する商品又は役務の取引」

定義告示運用基準に以下のような定めがある。

 

▽定義告示運用基準(3項)

3 「自己の供給する商品又は役務の取引」について
(1) 「自己の供給する商品又は役務の取引」には、自己が製造し、又は販売する商品についての、最終需要者に至るまでのすべての流通段階における取引が含まれる。
(2) 販売のほか、賃貸、交換等も、「取引」に含まれる。
(3) 銀行と預金者との関係、クレジット会社とカードを利用する消費者との関係等も、「取引」に含まれる。
(4) 自己が商品等の供給を受ける取引(例えば、古本の買入れ)は、「取引」に含まれない。
(5) 商品(甲)を原材料として製造された商品(乙)の取引は、商品(甲)がその製造工程において変質し、商品(甲)と商品(乙)とが別種の商品と認められるようになった場合は、商品(甲)の供給業者にとって、「自己の供給する商品の取引」に当たらない。
 ただし、商品(乙)の原材料として商品(甲)の用いられていることが、商品(乙)の需要者に明らかである場合(例えば、コーラ飲料の原液の供給業者が、その原液を使用したびん詰コーラ飲料について景品類の提供を行う場合)は、商品(乙)の取引は、商品(甲)の供給業者にとっても、「自己の供給する商品の取引」に当たる。

 

 

表示の主体

表示の主体としては、文言上、「事業者」とのみしか書かれていないが、実際にはたとえば、メーカー→卸売業者→小売業者→(消費者)といった商流があり、表示について複数の事業者が関係していることがある。

 

この場合、どの事業者が規制対象(ひいては行政措置等の対象)たる「表示の主体」となるのか?という問題がある。「事業者」という文言の解釈問題である。

 

この点は、ひとことでいうと、不当表示の内容の決定に関与した事業者、と解されている。”決定に関与”には、積極的に決定した場合だけではなく、他の者の説明に基づいて決定した場合や他の者に決定を委ねた場合なども含まれる。

 

参考判例として、東京高判平成20年5月23日(平19(行ケ)5号)がある。考え方のベースはここに書かれてある。

 

▽東京高判平成20年5月23日(平19(行ケ)5号)
審決取消請求事件。セレクトショップにおいて、イタリア製と表示されていたズボンが実際にはルーマニア製であったのだが、小売業者は、仕入先である輸入販売業者(輸入卸売業者)の説明を信用して、タグや下げ札にイタリア製と記載するよう委託していた、という事案。

「景品表示法は,不当な表示による顧客の誘引を防止するため,事業者に自己の供給する商品等について一定の不当な表示をすることを禁止しており(同法4条1項),公正取引委員会は,これに違反する行為を行った事業者に対し,その行為の差止め又はその行為が再び行われることを防止するために必要な事項等を命ずべきこととしており(同法6条1項),このような規制の趣旨に照らせば,当該不当な表示についてその内容の決定に関与した事業者は,その規制の対象となる事業者に当たるものと解すべきである。この場合の「決定に関与」とは,自ら若しくは他の者と共同して積極的に当該表示の内容を決定した場合のみならず,他の者の表示内容に関する説明に基づきその内容を定めた場合や,他の者にその決定を委ねた場合も含まれるものと解すべきである。そして,この場合において,当該表示が同法4条1項に規定する不当な表示であることについて,当該決定関与者に故意又は過失があることを要しないものである。」

 

消費者庁のHPに、いくつかQ&Aが載っている。表にするとこんな感じ。

 

▽表示に関するQ&A|消費者庁HP
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/faq/representation/

 

目次 No. Qの小見出し
表示主体の考え方 Q2 表示規制の対象となる事業者の範囲
  Q3 広告会社の責任
  Q4 製造業者の説明に基づいて小売業者がチラシを作成した場合
  Q5 製造業者に表示の内容の決定をゆだねた場合
  Q6 小売業者が仕入れてそのまま販売した場合

 

 

結び

表示規制のうち、「表示」の定義と表示の主体については以上になります。

 

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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。初心者(=過去の自分)がなるだけ早く新しい環境に適応できるようにとの気持ちで書いております(ゆえに、ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれておりませんので、あしからずご了承ください)。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご留意ください。

 

 

  • この記事を書いた人

とある法律職@転職×法務×弁護士

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。経歴:イソ弁、複数社(3社)でのインハウスローヤー、独立開業など。自分の転職経験、会社法務や法律相談、独立開業の話などをアウトプットしています。

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