景品表示法

景品表示法を勉強しよう|表示規制ー「表示」の定義

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今回は、景品表示法を勉強しようということで、表示規制における「表示」の定義について見てみたいと思います。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

「表示」の定義

景表法2条4項

表示規制における「表示」はどんなものを指すのか?というと、これについては、景表法2条4項に定義が定められている。

▽景品表示法2条4項

 この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

まとめると、

  • 顧客を誘引するための手段として
  • 事業者
  • 自己の供給する・・・・・・・商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う
  • 広告その他の表示

のようになります。

そして、景表法3条2項により、具体的な内容は告示で定められることになっています。

▽景品表示法3条2項

 前項に規定する指定並びにその変更及び廃止は、告示によって行うものとする。

定義告示第2項

この告示の正式名称は

「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」(昭和37年公正取引委員会告示第3号)

といい、指定告示と略称されますが、定義告示と呼んだ方がわかりやすいと思いますので、当ブログではこれで表記したいと思います。

景品類/表示の定義に関する定め

 景表法のうち、表示規制における「表示」、景品規制における「景品類」という基本的な概念については、景表法のほか、定義告示とその運用基準に定めがあります。

定義法律告示と運用基準
景品類」の定義景表法2条3項定義告示第1項(「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」)
定義告示運用基準(「景品類等の指定の告示の運用基準について」)
表示」の定義景表法2条4項定義告示第2項(「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」)
定義告示運用基準(「景品類等の指定の告示の運用基準について」)

定義告示による「表示」の定義は、以下のようになっています(第2項)。

▽定義告示第2項

 法第二条第四項に規定する表示とは、顧客を誘引するための手段として事業者自己の供給する商品又は役務の取引に関する事項について行う広告その他の表示であつて、次に掲げるものをいう。
 商品、容器又は包装による広告その他の表示及びこれらに添付した物による広告その他の表示
 見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告その他の表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)及び口頭による広告その他の表示(電話によるものを含む。)
 ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーン、その他これらに類似する物による広告及び陳列物又は実演による広告
 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備又は拡声機による放送を含む。)、映写、演劇又は電光による広告
 情報処理の用に供する機器による広告その他の表示(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)

長くなっているので簡略化してみると、以下のようになります。

【「表示」の定義】

  • 顧客を誘引するための手段として(顧客誘引性)
  • 事業者
  • 自己の供給する商品又は役務の取引に関する事項について行う
  • 広告その他の表示
    1. 商品、容器又は包装及びこれらに添付した物によるもの
    2. 見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物(ダイレクトメール、ファクシミリ等含む)及び口頭(電話含む)によるもの
    3. ポスター、看板(プラカード、建物、電車、自動車等含む)、ネオンサイン、アドバルーン、その他これらに類似する物及び陳列物又は実演によるもの
    4. 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線や拡声器含む)、映写、演劇又は電光によるもの
    5. 情報処理の用に供する機器(インターネット、パソコン通信等含む)によるもの

表示に関するQ&A

消費者庁HPにあるQ&Aでも、定義が解説されています(Q1)。

ここまでの内容がまとめて解説されていて、内容はだいたい同じですが、さらっと確認用に見てみます。

表示に関するQ&A【Q1】|消費者庁HP

Q1 景品表示法上の「表示」の定義を教えてください。

A 景品表示法では、商品、役務・サービスの取引に関して行われる不当表示を規制していますが、「表示」については、景品表示法第2条第4項において、
1 顧客を誘引するための手段として、
2 事業者自己の供給する商品又は役務(サービス)の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行う
3 広告その他の表示
であって、内閣総理大臣が指定するものをいう、と定義されています。

内閣総理大臣は、この規定に基づき、「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」(昭和37年公正取引委員会告示第3号)において、法第2条第4項と同様に上記1~3のとおり規定した上で、具体的にどのようなものが「表示」に当たるかを指定しています。

その内容は以下のとおりです。

○商品、容器又は包装による広告その他の表示及びこれらに添付したものによる広告その他の表示
○見本、チラシ、パンフレット、説明書面その他これらに類似するものによる広告その他の表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)及び口頭による広告その他の表示(電話によるものを含む。)
○ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーン、その他これらに類似するものによる広告及び陳列物又は実演による広告
○新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備又は拡声機による放送を含む。)、映写、演劇又は電光による広告
○情報処理の用に供する機器による広告その他の表示(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)

具体的解釈ー定義告示運用基準

表示の定義のうち、「顧客を誘引するための手段として」「事業者」「自己の供給する商品又は役務の取引」については、定義告示運用基準に具体的な解釈が定められています(第1項~第3項)。

以下、順に見てみます。

「顧客を誘引するための手段として」(第1項)

これについては、運用基準に以下のような定めがあります。

▽定義告示運用基準第1項

1 「顧客を誘引するための手段として」について
⑴ 提供者の主観的意図やその企画の名目のいかんを問わず、客観的に顧客誘引のための手段になっているかどうかによって判断する。(以下略)
⑵ 新たな顧客の誘引に限らず、取引の継続又は取引量の増大を誘引するための手段も、「顧客を誘引するための手段」に含まれる。

「事業者」(第2項)

これについては、運用基準に以下のような定めがあります。

▽定義告示運用基準第2項

2 「事業者」について
⑴ 営利を目的としない協同組合、共済組合等であっても、商品又は役務を供給する事業については、事業者に当たる。
⑵ 学校法人、宗教法人等であっても、収益事業(私立学校法第二十六条等に定める収益事業をいう。)を行う場合は、その収益事業については、事業者に当たる。
⑶ 学校法人、宗教法人等又は地方公共団体その他の公的機関等一般の事業者の私的な経済活動に類似する事業を行う場合は、その事業については、一般の事業者に準じて扱う。
⑷ 事業者団体構成事業者の供給する商品又は役務の取引に附随して不当な景品類の提供を企画し、実施させた場合には、その景品類提供を行った構成事業者に対して景品表示法が適用される。

なお、「事業者」という文言の解釈問題として、「表示の主体」という論点があります。

表示に複数の事業者が関係している場合に、どの事業者が規制対象(ひいては行政措置等の対象)たる「表示の主体」となるのか、という話です。以下の関連記事にくわしく書いています。

▽関連記事

景品表示法を勉強しよう|表示規制ー供給主体性と表示主体性

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「自己の供給する商品又は役務の取引」(第3項)

これについては、運用基準に以下のような定めがあります。

▽定義告示運用基準第3項

3 「自己の供給する商品又は役務の取引」について
⑴ 「自己の供給する商品又は役務の取引」には、自己が製造し、又は販売する商品についての、最終需要者に至るまでのすべての流通段階における取引が含まれる。
⑵ 販売のほか、賃貸、交換等も、「取引」に含まれる。
⑶ 銀行と預金者との関係、クレジット会社とカードを利用する消費者との関係等も、「取引」に含まれる。
⑷ 自己が商品等の供給を受ける取引(例えば、古本の買入れ)は、「取引」に含まれない。
⑸ 商品(甲)を原材料として製造された商品(乙)の取引は、商品(甲)がその製造工程において変質し、商品(甲)と商品(乙)とが別種の商品と認められるようになった場合は、商品(甲)の供給業者にとって、「自己の供給する商品の取引」に当たらない。
 ただし、商品(乙)の原材料として商品(甲)の用いられていることが、商品(乙)の需要者に明らかである場合(例えば、コーラ飲料の原液の供給業者が、その原液を使用したびん詰コーラ飲料について景品類の提供を行う場合)は、商品(乙)の取引は、商品(甲)の供給業者にとっても、「自己の供給する商品の取引」に当たる。

結び

今回は、景品表示法を勉強しようということで、表示規制における「表示」の定義について見てみました。

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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