景品表示法

景品表示法を勉強しよう|景品規制の仕組み

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今回は、景品表示法を勉強しようということで、景品規制の仕組みについて書いてみたいと思います。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 カテゴリー「会社法務」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

景品規制の仕組み

景品規制の仕組みについては、消費者庁HPに、簡潔でわかりやすい解説が載っている。

▽景品規制の概要|消費者庁HP
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/premium_regulation/

ちなみに、そもそも過大な景品の何がいけないのか?(=豪華なほどいいじゃないか)と思うかもしれないが、過大な景品によって購買意欲を刺激しすぎることは、商品(や役務)の本来の品質とは別の次元で購入するかどうかを決めてしまうようになってしまうでしょう、ということである。

景品も際限のないものだと、公正な競争を逸脱するし、消費者の側でも、商品(や役務)そのものに対する判断が歪むだろう、ということで、一定の規制がされている。

それが景品規制である。

景品規制の基本的な構成は、①景品類の定義を定めておいて、景品類に該当する場合には、②景品類の提供方法に応じた制限をかける、というものである。

景品規制の基本的な構成

①景品類に該当するか(景品類の定義
  ↓ 該当する
②景品類の提供方法に応じた制限
   ┗提供方法が「懸賞」→懸賞景品規制
   ┗提供方法が「総付」→総付景品規制

以下、ざっと順に見てみる。

景品類の定義

景表法2条3項

まず最初に、景品類とは、どんなものを指すのか?ということについて。

これについては、景表法2条3項に定義が定められている。

 この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、くじの方法によるかどうかを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を含む。以下同じ。)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、内閣総理大臣が指定するものをいう。

分節すると、

①顧客誘引の手段として(目的)
②取引に付随して提供する(提供方法)
③経済上の利益(内容)

という感じである。

そして、具体的な内容は、告示で定められることになっている。景表法3条2項による。

▽景表法3条2項

 前項に規定する指定並びにその変更及び廃止は、告示によって行うものとする。

定義告示

これを受けて、告示で、「景品類」の詳しい内容が定められている。

この告示は、指定告示と略称されるが、管理人的には定義告示と呼んだ方がわかりやすいと思うので、当ブログではこれで表記したいと思う。
(正式名称は、「不当景品類及び不当表示防止法第2条の規定により景品類及び表示を指定する件」)

▽定義告示第1項

1 不当景品類及び不当表示防止法(以下「法」という。)第二条第三項に規定する景品類とは、顧客を誘引するための手段として、方法のいかんを問わず、事業者が自己の供給する商品又は役務の取引に附随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であつて、次に掲げるものをいう。ただし,正常な商慣習に照らして値引又はアフターサービスと認められる経済上の利益及び正常な商慣習に照らして当該取引に係る商品又は役務に附属すると認められる経済上の利益は、含まない
一 物品及び土地、建物その他の工作物
二 金銭、金券、預金証書、当せん金附証票及び公社債、株券、商品券その他の有価証券
三 きょう応(映画,演劇,スポーツ、旅行その他の催物等への招待又は優待を含む。)
四 便益、労務その他の役務

長くなった分、何を書いているのかよくわからない。そこで、これも簡略的に図示してみると、以下のようになる。

顧客誘引の手段として
取引に付随して提供する
経済上の利益
 ┗⑴物品及び土地、建物その他の工作物
 ┗⑵金銭、金券、預金証書、当せん金附証票及び公社債、株券、商品券その他の有価証券
 ┗⑶きょう応(映画,演劇,スポーツ、旅行その他の催物等への招待又は優待を含む。)
 ┗⑷便益、労務その他の役務
景品類非該当(但書)
 ┗ⅰ)値引
 ┗ⅱ)アフターサービス
 ┗ⅲ)附属物

景表法2条3項の定義と同じ内容も書かれているので、一見同じように見えるが、1~4号が具体的に列挙されている点と、但書で値引等が景品類に該当しないとされている点が、新たに追加されている。
 

細かくなるので、本記事ではここまでにする。

提供の制限及び禁止

景表法4条

提供の制限及び禁止については、景表法4条に定められている。

(景品類の制限及び禁止)
第四条
 内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、景品類の価額の最高額若しくは総額種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項を制限し、又は景品類の提供を禁止することができる。

そして、具体的な規制(制限)は、告示で定められることになっている。景表法6条2項による。

「制限」はわかるとしても、「禁止」ってあるのか?という気がしますが、例えばコンプガチャは懸賞制限告示第5項により禁止されています。上限額いくらまでならOK、ではなく、そもそもダメということです。

▽景表法6条2項

 前項に規定する制限及び禁止並びに指定並びにこれらの変更及び廃止は、告示によって行うものとする。

懸賞制限告示及び総付制限告示

これを受けて、告示は、景品類の提供方法を、くじ等の偶然の事情によるもの「懸賞」)と、懸賞によらないもの、つまり条件を満たせば全ての人に提供するもの「総付景品」)、という大きく2つに分けて、景品類の価額について上限を定めている。

景品規制の基本的な構成を改めて書いておくと、以下のとおりです。

景品類に該当するか(景品類の定義
  ↓ 該当する
景品類の提供方法に応じた制限
  ┗提供方法が「懸賞」→①懸賞景品規制
  ┗提供方法が「総付」→②総付景品規制

➀と②で、それぞれ告示とその運用基準がある。

懸賞景品規制については、懸賞制限告示とその運用基準があり、②総付景品規制については、総付制限告示とその運用基準がある。

表にすると以下のとおり。

提供の制限及び禁止法律告示等
➀懸賞制限景表法4条懸賞制限告示
(「懸賞による景品類の提供に関する事項の制限」)
懸賞制限運用基準
(「『懸賞による景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準」)
②総付景品制限景表法4条総付制限告示
(「一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限」)
総付制限運用基準
(「『一般消費者に対する景品類の提供に関する事項の制限』の運用基準」)

なお、細かい話をすると、法的性質としては、制限告示は「告示」(行政外部に効力をもつ法規)、運用基準は「通達」(行政内部での解釈ルール)なのだが、まああまり気にしなくてもいいと思う。

結び

今回は、景品表示法を勉強しようということで、景品規制の仕組みについて書いてみました。

本記事のハイライトをまとめます。

  • 景品規制の基本的な構成は、まず、「景品類」該当性の判定 → 次に、提供方法に応じた制限、である
  • 景品類の定義についても、提供方法に応じた制限(懸賞制限及び総付景品制限)についても、それぞれに告示運用基準があり、詳しい内容はそちらで定められている

主要法令等

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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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