犯罪収益移転防止法

犯罪収益移転防止法を勉強しよう|本人確認書類の種類(外国人・外国法人の場合)

今回は、犯罪収益移転防止法を勉強しようということで、本人確認書類の種類のうち、外国人と外国法人の場合について書いてみたいと思います。

 

ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線などは管理人によるものです。

 

メモ

 本カテゴリ「法務情報」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いていますので、感覚的な理解を掴むことを目指しているのですが、書籍などを理解する際の一助になれれば幸いです。

 

本人確認書類の種類(外国人・外国法人の場合)

外国人の場の本人確認書類は、

本邦に在留する外国人(規則7条1号

短期在留者の特例を利用する外国人(規則7条3号

本邦に在留していない外国人(規則7条4号

の3つの場合に分けて定められている。

 

といっても、上記の「本邦に在留する外国人」という文言ははっきり書かれているわけではなく、単に日本人と同じ「自然人」のカテゴリ(規則7条1号)で一緒に規定されているだけである(外国人も自然人なので当然といえば当然)。

 

ここでいう在留とは、物理的に日本の領域内に所在することなので(後出・逐条解説107頁参照)、短期的な滞在者なども全部入ってしまいそうだが、そういう場合は②の方にいくので、結局、住居をもっているような中長期の在留者が①に当たる、という感じである(ざっくりしたイメージでいえば)。

 

  日本に在留しているかどうか 期間
①本邦に在留する外国人 在留している 中長期
②短期在留者の特例を利用する外国人 在留している 短期
③本邦に在留していない外国人 在留していない

 

正確にいうならば、基本的には①と③しかないのだが(本邦に在留する・しない)、①のうち特例の適用が受けられるものだけ②にいく、という建付けになっている。

 

外国法人の場合の本人確認書類は、「本邦に在留していない外国人」と同じ4号に規定されていて、規定ぶりもだいたい同じような感じである(後述)。

 

本邦に在留する外国人(規則7条1号)

本邦に在留する外国人は、先ほど書いたように、日本人と同じように自然人のカテゴリで一緒に規定されていて(規則7条1号)、詳しくはこちらの関連記事に書いている。

 

犯罪収益移転防止法を勉強しよう|本人確認書類の種類

続きを見る

 

在留カードや特別永住者証明書が規定されているので(1号イ)、中長期在留者や永住者が入っていることがわかる。

 

短期在留者の特例を利用する外国人(規則7条3号)

短期在留者の特例を利用する外国人というのは、本邦内に住居を有しない短期在留者(観光者等)であって、旅券等の記載によって当該外国人の属する国における住居を確認することができない者との間で、

〇現金等の受け払い取引
〇外貨両替
〇貴金属等の売買(引渡しと同時にその代金の全額を受領する場合におけるものに限る)

の対面取引をするケースのことである。ここでいう短期在留は90日以内とされている(後述・規則8条2項)。

 

これらのケースでは、「国籍」と「旅券等の番号」を確認することで住居の確認に代替させることが認められるという、例外的な扱いがなされている(マネロンのリスクが高くないと考えられるため)。そのため、氏名、生年月日の記載がある旅券、乗員手帳が本人確認書類となる。

 

条文を見てみる。「前条第一項第二号に掲げる者」とは、ざっくりいうと、法4条1項1号に規定されている「本邦内に住居を有しない外国人」のことである。

 

(本人確認書類)
第七条 前条第一項に規定する方法において、特定事業者が提示又は送付を受ける書類は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書類のいずれかとする。(以下略)
一~二 (略)
三 前条第一項第二号に掲げる者 旅券等
四 (略)

 

法4条1項から順に見てみる。自然人の本人特定事項のうち「住居」について、括弧書きで例外っぽいことが書いており、「本邦内に住居を有しない外国人政令で定めるもの」は、「主務省令で定める事項」を確認する、と書かれている。

 

▽法4条1項1号 ←短期在留者に関する基本的な条文

(取引時確認等)
第四条 (略)
一 本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものにあっては、主務省令で定める事項)及び生年月日をいい、法人にあっては名称及び本店又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。)
二~四 (略)

 

政令も見てみる。

 

▽施行令10条 ←短期在留者の範囲

(法第四条第一項第一号に規定する政令で定める外国人)
第十条 法第四条第一項第一号に規定する本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものは、本邦に在留する外国人であって、その所持する旅券(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に掲げる旅券をいう。)又は乗員手帳(出入国管理及び難民認定法第二条第六号に掲げる乗員手帳をいう。)の記載によって当該外国人のその属する国における住居を確認することができないものとする。

 

要するに、日本に在留しているけど、日本国内に住居はなく(=ゆえに住民基本台帳への記載もない)、旅券等で外国の住居を確認できない外国人、である。

 

ここで「本邦に在留する外国人」という文言が入っているのは、これが無いと、日本に短期滞在している者のほか、外国にとどまったまま郵便やインターネットを通じて国内の特定事業者と取引を行おうとする者も含まれ得るが、このような外国人については外国における住居を確認すべきであるから、とされている。また、旅券等に住居の記載がある者については、それによって原則どおり住居が確認できるから、例外扱いをする必要がない、とされている。
(参考:「逐条解説 犯罪収益移転防止法」(編著 犯罪収益移転防止制度研究会)106頁)

 

これらのケースでは、「国籍」と「旅券等の番号」を確認することで住居の確認に代替させることが認められるという、例外的な扱いがなされている(マネロンのリスクが高くないと考えられるため)。そのため、氏名、生年月日の記載がある旅券、乗員手帳が本人確認書類となる。

 

▽規則8条 ←短期在留者の本人特定事項の特例

本邦内に住居を有しない外国人の住居に代わる本人特定事項等
第八条 法第四条第一項第一号に規定する主務省令で定める事項は、次の各号に掲げる特定取引等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項とする。
一 令第七条第一項第一号ツ若しくはに掲げる取引又は同項第五号に定める取引(当該貴金属等の引渡しと同時にその代金の全額を受領する場合におけるものに限る。) 国籍及び旅券等の番号
二 前号に掲げる取引以外の取引 住居
2 前項第一号に掲げる取引を行う場合において、出入国管理及び難民認定法の規定により認められた在留又は上陸に係る旅券又は許可書に記載された期間(第二十条第一項第三十号において「在留期間等」という。)が九十日を超えないと認められるときは、法第四条第一項第一号の本邦内に住居を有しないことに該当するものとする。

 

▽規則6条1項2号 ←短期在留者の本人特定事項の確認方法

(顧客等の本人特定事項の確認方法)
第六条 法第四条第一項に規定する主務省令で定める方法のうち同項第一号に掲げる事項に係るものは、次の各号に掲げる顧客等の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める方法とする。
二 法第四条第一項第一号に規定する外国人である顧客等(第八条第一項第一号に掲げる特定取引等に係る者に限る。) 当該顧客等から旅券等(出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第二条第五号に掲げる旅券又は同条第六号に掲げる乗員手帳をいい、当該顧客等の氏名及び生年月日の記載があるものに限る。以下同じ。)であって、第八条第一項第一号に定める事項の記載があるもの提示を受ける方法

 

本邦に在留していない外国人、外国に本店又は主たる事務所を有する法人(規則7条4号)

本邦に在留していない外国人と、外国に本店又は主たる事務所を有する法人の本人確認書類については、以下のとおりである。

 

  確認書類 有効期限
本邦に在留していない外国人の本人確認書類 〇第1号に定めるもの
〇外国政府・国際機関発行書類で、第1号に定めるものに準じるもの
有効期間又は有効期限がある場合:提示又は送付を受けた日において有効なもの
それ以外の場合:提示又は送付を受けた日において発行後6か月以内のもの
外国に本店又は主たる事務所を有する法人の本人確認書類 〇第2号に定めるもの
〇外国政府・国際機関発行書類で、第2号に定めるものに準じるもの

 

(本人確認書類)
第七条 前条第一項に規定する方法において、特定事業者が提示又は送付を受ける書類は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める書類のいずれかとする。(以下略)
一~三 (略)
四 外国人日本の国籍を有しない自然人をいい、本邦に在留しているもの(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第九条第一項又は日本国における国際連合の軍隊の地位に関する協定第三条第一項の規定により本邦に入国し在留しているものを除く。)を除く。)及び外国に本店又は主たる事務所を有する法人 第一号又は第二号に定めるもののほか、日本国政府の承認した外国政府又は権限ある国際機関の発行した書類その他これに類するもので、第一号又は第二号に定めるものに準ずるもの(自然人の場合にあってはその氏名、住居及び生年月日の記載があるものに、法人の場合にあってはその名称及び本店又は主たる事務所の所在地の記載があるものに限る。)

 

これはつまり、第1号と第2号に定める本人確認書類のほか、外国政府等の発行書類で住居や本店所在地が確認できるもの、というのを追加しているわけだが、これは、日本に在留しない外国人や外国法人が日本の特定事業者と取引をしようとする際に、在留カードや旅券等を要求するのは現実的ではなく、取引の円滑を害するからとされている(前出・逐条解説105頁)。

 

結び

今回は、犯罪収益移転防止法を勉強しようということで、本人確認書類の種類のうち外国人と外国法人の場合について書いてみました。

 

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

 

  • この記事を書いた人

とある法律職@転職×法務×弁護士

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。経歴:イソ弁、複数社(3社)でのインハウスローヤー、独立開業など。自分の転職経験、会社法務や法律相談、独立開業の話などをアウトプットしています。

-犯罪収益移転防止法