特定商取引法

特定商取引法に基づく表示を勉強しよう|表示事項の全体像

今回は、特定商取引法に基づく表示を勉強しようということで、そもそもこれは何なのか?という話や、表示事項の全体像について書いてみたいと思います。

 

ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線などは管理人によるものです。

 

メモ

 本カテゴリ「法務情報」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いていますので、感覚的な理解を掴むことを目指しているのですが、書籍などを理解する際の一助になれれば幸いです。

 

「特定商取引法に基づく表示」とは?

いろんなウェブサイトで「特定商取引法に基づく表示」というページを目にすることがあると思うが、
・これは特定商取引法のどこの部分で必要とされているのか?
・何のために必要とされているのか?
というのが最初よくわからないのではないかと思う。

 

これは、特商法のなかの、「通信販売の広告」をする際の表示ルールである(特商法11条)。

 

通信販売の広告をするときは、一定の事項を広告に表示するよう義務づけられているわけである。

 

ウェブサイトでよく見るのは、ウェブサービスの場合、販売ページが同時に広告にもなってしまうため、「通信販売」で「広告」を行う場合になって、このルールが適用されることになるからである。
(参考:「改訂新版 良いウェブサービスを支える『利用規約』の作り方」(雨宮美季、片岡玄一、橋詰卓司)44頁)

 

条文を見てみる。

 

通信販売をする場合に広告をするときは、次の事項(1号~5号に定める事項)を表示しなければならない、とされている。

 

▽法11条本文

(通信販売についての広告)
第十一条 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。(以下略)
一~五 (略)

 

なぜ一定事項の表示が求められるのか

では、なぜ通信販売で広告をする際には、表示事項のルールが定められているのか?

 

ここはわりとシンプルで、通信販売というのは遠隔地間の取引なので、商品・サービスの内容や代金・料金等は、通常、広告を通じて提供されているからである。

 

そこで、消費者が購入しようかどうかを判断するにあたって、事前の情報提供である広告に必要十分な情報が正確に記載されるよう、表示事項のルールを決めている。

 

消費者庁の解説の原文は、以下のとおりである。

 

「特定商取引に関する法律の解説(平成28年版)」74〜75頁|掲載ページはこちら(特定商取引法ガイド)

 通信販売は、隔地者間での取引であるため、大半の場合、販売条件等についての情報は、広告を通じてのみ提供される。したがって、その広告中の表示が不十分又は不正確であると、後日、それらの点をめぐってトラブルが発生することになる。また、通信販売は訪問販売とは異なって、基本的に購入者又は役務の提供を受ける者が販売業者又は 役務提供事業者から圧力を受けずに契約を締結する意思の形成を行うものであり、本来、 購入者又は役務の提供を受ける者は自らの意思の形成について全面的な自己責任を有するものである。しかし、そのためには、事前の情報提供の段階である広告において、広告スペース等の事情が許す限りにおいて必要な情報が十分に与えられていなければならない。このような観点から通信販売の広告中には、一定事項について明確な表示を行わせることとしたものである。 

 

表示事項の全体像

前置きが長くなったが、本題の、表示事項の全体像について見てみたい。

 

表示事項には、常に記載しなければならない絶対的表示事項と、特約等がある場合には記載しなければならない任意的表示事項がある。

 

なお、ここでいう任意的というのは、書いても書かなくてもいいという意味ではなく、特約する場合等のみ表示することが義務づけられる事項という意味である。

 

▼絶対的表示事項 条文
販売価格役務の対価 法11①
②代金・役務の対価の支払時期及び方法 法11②
③商品の引渡時期、権利の移転時期、役務の提供時期 法11③
④商品・権利の売買契約の申込みの撤回、又は売買契約の解除に関する事項(返品特約の内容を含む) 法11④
⑤事業者の氏名又は名称住所電話番号 規則8①
▼任意的表示事項 条文
事業者が法人であり電子広告をする場合は、代表者又は通信販売に関する業務の責任者氏名 規則8②
申込み有効期限があるときは、その期限 規則8③
代金・送料以外に必要な手数料等があるときは、その内容、金額 規則8④
契約不適合責任の特約があるときは、その内容 規則8⑤
商品又は役務を利用するため電子計算機が必要な場合は、必要な電子計算機の仕様及び性能その他の必要な条件 規則8⑥
商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額契約期間その他の販売条件 規則8⑦
販売数量の制限その他の特別な条件がある場合は、その内容 規則8⑧
広告の表示事項の一部を表示しない場合であって、法11条但書の書面を請求した者に当該書面に係る金銭を負担させるときは、その額 規則8⑨
通信販売電子メール広告をするときは、販売業者又は役務提供事業者の電子メールアドレス 規則8⑩

 

条文を見てみる。

 

特定商取引に書かれているのは、絶対的表示事項のうち①~④までである。

 

▽法11条

(通信販売についての広告)
第十一条 販売業者又は役務提供事業者は、通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするときは、主務省令で定めるところにより、当該広告に、当該商品若しくは当該権利又は当該役務に関する次の事項を表示しなければならない。(以下略)
一 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価(販売価格に商品の送料が含まれない場合には、販売価格及び商品の送料
二 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
三 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
四 商品若しくは特定権利の売買契約の申込みの撤回又は売買契約の解除に関する事項(第十五条の三第一項ただし書に規定する特約がある場合にはその内容を、第二十六条第二項の規定の適用がある場合には同項の規定に関する事項を含む。)
五 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

 

5号で、主務省令に委任されているので、特商法施行規則を見てみる。

 

規則に書かれているのは、絶対的表示事項の⑤と、任意的表示事項の全てである。

 

▽規則8条

(通信販売についての広告)
第八条 法第十一条第五号の主務省令で定める事項は、次に掲げるものとする。
一 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号
二 販売業者又は役務提供事業者が法人であつて、電子情報処理組織を使用する方法により広告をする場合には、当該販売業者又は役務提供事業者の代表者又は通信販売に関する業務の責任者氏名
三 申込みの有効期限があるときは、その期限
四 法第十一条第一号に定める金銭以外に購入者又は役務の提供を受ける者の負担すべき金銭があるときは、その内容及びその額
五 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
六 磁気的方法又は光学的方法によりプログラム(電子計算機に対する指令であって、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)を記録した物を販売する場合、又は電子計算機を使用する方法により映画、演劇、音楽、スポーツ、写真若しくは絵画、彫刻その他の美術工芸品を鑑賞させ、若しくは観覧させる役務を提供する場合、若しくはプログラムを電子計算機に備えられたファイルに記録し、若しくは記録させる役務を提供する場合には、当該商品又は役務を利用するために必要な電子計算機の仕様及び性能その他の必要な条件
七 商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要があるときは、その旨及び金額契約期間その他の販売条件
八 前四号に掲げるもののほか商品の販売数量の制限その他の特別の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件があるときは、その内容
九 広告の表示事項の一部を表示しない場合であつて、法第十一条ただし書の書面又は電磁的記録を請求した者に当該書面又は電磁的記録に係る金銭を負担させるときは、その額
十 通信販売電子メール広告(法第十二条の三第一項第一号の通信販売電子メール広告をいう。以下同じ。)をするときは、販売業者又は役務提供事業者の電子メールアドレス

 

6号が特にわかりにくいと思うが、要するに、ソフトウェアに係る取引である場合には、そのソフトウェアの動作環境(ソフトウェアを使用できるOSの種類、CPUの種類、メモリの容量、ハードディスクの空き容量等)を表示しなければならない、ということである。

 

7号の「商品の売買契約を二回以上継続して締結する必要」とは、いわゆる定期購入の場合のことである。

 

ここでいう「広告」とは?

表示事項の全体像を見たところで、これらの表示が求められる「通信販売広告」(=通信販売をする場合の広告)とは何かについて確認しておきたい。

 

何について広告をするのかというと、「商品の販売条件等」についての広告である(法2条2項)。

 

噛み砕いて言えば要するに、”どんなもの”(←商品、サービス)を、”いくらで”(←値段その他の条件)売る、という広告である。(当然、といってしまえばそれまでだが…)

 

そして、それが通信手段による申込みを受けて取引を行おうとするものであることが明らかであれば、通信販売広告に該当する、とされている。

 

具体的なケースとしては、

広告に通信販売を行う旨が明確に表示されている場合

に限らず、

商品とともに送料、口座番号等が表示されている場合(←この場合、送料と口座番号等が表示されているので振込みという通信手段によって申込みが可能となる)

店舗での購入が不可能な商品である場合

などの場合が、通信販売広告にあたるとされている。

 

他方、

〇商品のイメージ広告等

は、一般的な意味では”広告”と言われるが、ここでいう通信販売広告にはあたらない

 

広告の表示媒体としては何でもよく、

〇新聞、雑誌等

に限らず、

〇カタログ等のダイレクトメール
〇テレビ放映
〇折り込みチラシ
〇インターネット(スマホももちろん)のホームページ、オークションサイト
〇電子メール
〇SNS

等がある。

 

消費者庁の解説の原文は、以下のとおりである。

 

文言でいうと、「通信販売をする場合商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするとき」の解釈問題である。

 

「特定商取引に関する法律の解説(平成28年版)」75頁|掲載ページはこちら(特定商取引法ガイド)

(1) 「通信販売をする場合の商品若しくは特定権利の販売条件又は役務の提供条件について広告をするとき」
 この規定は、通信販売の「販売条件等の広告」をする場合の規定であり、販売業者等がその広告に基づき通信手段により申込みを受ける意思が明らかであり、かつ、消費者がその表示により購入の申込みをすることができるものであれば、ここにいう「広告」に該当する。したがって、広告に通信販売を行う旨が明確に表示されている場合が通信販売広告に該当するほか、例えば、送料、口座番号等を表示している販売広告明らかに店舗での購入が不可能な商品の販売広告は、ここでいう通信販売広告となる。他方、当該商品のイメージ広告等は、ここでいう通信販売広告には該当しない
 また、広告の方法の如何は問わない。したがって、新聞、雑誌等に掲載される広告のみならず、カタログ等のダイレクトメールテレビ放映折込みちらしインターネット上のホームページ(インターネット・オークションサイトを含む。以下同じ。)、電子メールSNS等において表示される広告も含まれる。

 

特商法でいう「通信販売」とは?

最後に、そもそも論として、特商法でいう「通信販売」というのは何なのかについて見ておきたい。

 

通信販売の基本的な要件は、以下の5要件である。

 

  通信販売の要件
①当事者 販売業者又は役務提供業者が、購入者等に対し
②申込手段 郵便その他の省令で定める方法により
③対象 商品・指定権利・役務に関して
④行為 申込みを受けて行う取引
⑤適用除外 (a)電話勧誘販売に該当しないこと
  (b)法26条の適用除外規定に該当しないこと

 

ポイントとなるのは②の申込手段で、これが通信手段なので、「通信販売」と呼ぶわけである(これも、当然、といってしまえばそれまでだが…)。

 

肌感覚的なイメージでいえば、紙媒体ならカタログや広告(チラシなど)を見て、Web媒体ならホームページやメールを見て、申込書を郵送・FAXしたり電話やホームページなどで申込みをしたりする遠隔地間の取引、という感じである。

 

※なお、実際には消費者が広告を見て申し込むことが多いと思われるものの、消費者が広告を見ることは要件とされていない

 

条文を見てみる。法2条2項に、通信販売の定義が書かれている。先ほどの5要件である。

 

▽法2条2項

第二条 (略)
2 この章及び第五十八条の十九において「通信販売」とは、販売業者又は役務提供事業者郵便その他の主務省令で定める方法(以下「郵便等」という。)により売買契約又は役務提供契約の申込みを受けて行う商品若しくは特定権利の販売又は役務の提供であつて電話勧誘販売に該当しないものをいう。
3~4 (略)

 

「主務省令で定める方法」というのは、特商法施行規則2条のことで、

郵便信書便
電話機、FAX機等の通信機器または情報処理の用に供する機器
電報
④預金または貯金の口座に対する払込み

という申込手段が列挙されており、遠隔地にいる者の間で契約の意思表示が行われる手段が定められている。

 

今日最も通信販売で利用されているであろうパソコンやスマホは、②の「情報処理の用に供する機器」である。

 

④のように、「払込み」も、払込みをもって申込みの手段とするということで、これも通信手段による申込手段である(言われてみれば当然なのだが、意外と盲点かも)。

 

▽規則2条

(郵便等)
第二条 法第二条第二項の主務省令で定める方法は、次の各号に掲げるものとする。
一 郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成十四年法律第九十九号)第二条第六項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者による同条第二項に規定する信書便
二 電話機、ファクシミリ装置その他の通信機器又は情報処理の用に供する機器を利用する方法
三 電報
四 預金又は貯金の口座に対する払込み

 

結び

今回は、特定商取引法に基づく表示を勉強しようということで、表示事項の全体像について書いてみました。

 

なお、消費者庁の「特定商取引法ガイド」の通信販売広告についての説明ページが全体的に充実しているし読みやすいので、こちらもおすすめです。

 

▽参考サイト

通信販売広告について|通信販売|特定商取引法ガイド
通信販売広告について|通信販売|特定商取引法ガイド

www.no-trouble.caa.go.jp

 

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

 

  • この記事を書いた人

とある法律職@転職×法務×弁護士

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。経歴:イソ弁、複数社(3社)でのインハウスローヤー、独立開業など。自分の転職経験、会社法務や法律相談、独立開業の話などをアウトプットしています。

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