景品表示法

景品表示法を勉強しよう|表示規制ーその他の不当表示

今回は、景品表示法を勉強しようということで、表示規制のうち「その他の不当表示」について書いてみたいと思う。

 

消費者庁のHPにも、表示規制全体についての簡潔でわかりやすい解説が載っている。

 

▽表示規制の概要|消費者庁HP
https://docs.google.com/document/d/1rTrKPTHn7Lgn2rOw5hMyd2W7c5NYxvMzjNVn16jRFIk/edit

 

以下、もう少し具体的に見てみる。なお、引用部分の太字や下線は管理人によるものです。

 

 

メモ

 本カテゴリ「法務道場」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。

 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いていますので、感覚的な理解を掴むことを目指しているのですが、書籍などを理解する際の一助になれれば幸いです。

 

 

その他の不当表示(指定告示)

不当表示のうち、その他の不当表示の禁止は、法5条3号に定められている。

 

(不当な表示の禁止)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

 

指定は「告示」によって行われており(法6条2項参照)、そのガイドライン(解釈の指針)である運用基準等は、消費者庁HPに掲載されている。

 

各指定告示はこちら(【表示関係】のところ)。

▽告示|消費者庁HP
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/public_notice/

 

商品の原産国に関する不当な表示(昭和48年10月16日公正取引委員会告示第34号)
無果汁の清涼飲料水等についての表示(昭和48年3月20日公正取引委員会告示第4号)
消費者信用の融資費用に関する不当な表示(昭和55年4月12日公正取引委員会告示第13号)
おとり広告に関する表示(平成5年4月28日公正取引委員会告示第17号 全部変更)
不動産のおとり広告に関する表示(昭和55年4月12日公正取引委員会告示第14号)
有料老人ホームに関する不当な表示(平成18年11月1日公正取引委員会告示第35号 変更)

 

各ガイドラインはこちら(【表示関係】のところ)。

▽景品表示法関係ガイドライン等|消費者庁HP 
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/

 

 

商品の原産国に関する不当な表示

告示と運用基準を表にすると以下のとおり。

 

告示 運用基準
商品の原産国に関する不当な表示 ➢「商品の原産国に関する不当な表示」の運用基準について
➢「商品の原産国に関する不当な表示」の原産国の定義に関する運用細則
➢「商品の原産国に関する不当な表示」の衣料品の表示に関する運用細則

 

 

無果汁の清涼飲料水等についての表示

告示と運用基準を表にすると以下のとおり。

 

告示 運用基準
無果汁の清涼飲料水等についての表示 ➢「無果汁の清涼飲料水等についての表示」に関する運用基準について

 

 

消費者信用の融資費用に関する不当な表示

告示と運用基準を表にすると以下のとおり。

 

告示 運用基準
消費者信用の融資費用に関する不当な表示 ➢「消費者信用の融資費用に関する不当な表示」の運用基準

 

 

おとり広告に関する表示

告示と運用基準を表にすると以下のとおり。なお、不動産のおとり広告については、別の告示があるので、ここでは除かれている。

 

告示 運用基準
おとり広告に関する表示 ➢「おとり広告に関する表示」等の運用基準

 

定義としては、告示で以下のように1号~4号まで示されている。

 

 一般消費者に商品を販売し、又は役務を提供することを業とする者が、自己の供給する商品又は役務の取引(不動産に関する取引を除く。)に顧客を誘引する手段として行う次の各号の一に掲げる表示
一 取引の申出に係る商品又は役務について、取引を行うための準備がなされていない場合その他実際には取引に応じることができない場合のその商品又は役務についての表示
二 取引の申出に係る商品又は役務の供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示
三 取引の申出に係る商品又は役務の供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明瞭に記載されていない場合のその商品又は役務についての表示
四 取引の申出に係る商品又は役務について、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品又は役務についての表示

 

要は、実際には当該商品・役務を(少なくとも表示どおりには)購入できない場合である。

 

さらにかみ砕いた言い方をすると、優良誤認表示や有利誤認表示は実際のものよりも誇張限度を超えて良く見せるものだが、おとり広告自体は優良に見せたとか有利に見せたとかというわけではない(実際のものが「そもそも無い」だけ)ので、これらでは規制することができない。

 

なぜそんなことをするのか?というと、それで興味を持ってやって来た見込み客に、他の商品・役務を売りつけるのである。しかし、これが不当表示であることは明らかなので(不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあるといえる)、「その他の不当表示」として規制されている。

 

基本的な考え方は以下のとおりである。

 

▽「おとり広告に関する表示」等の運用基準(第1の1)

第1 おとり広告規制の趣旨及び運用に当たっての留意事項
1 「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号。以下「告示」という。)は、広告、ビラ等における取引の申出に係る商品又は役務(以下「広告商品等」という。)が実際には申出どおり購入することができないものであるにもかかわらず、一般消費者がこれを購入できると誤認するおそれがある表示を、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがある不当な表示として規制するものである。
 事業者は、広告、ビラ等において広く消費者に対し取引の申出をした広告商品等については、消費者の需要に自らの申出どおり対応することが必要であり、また、何らかの事情により取引に応じることについて制約がある場合には、広告、ビラ等においてその旨を明瞭に表示することが必要である。

 

ほかの不当表示(優良誤認表示、有利誤認表示)との境目については、それぞれのガイドラインで相互に若干触れられているので、以下参考までに引用する。

 

▽価格表示ガイドライン(「不当な価格表示についての景品表示法上の考え方」)(第1の2の(3))

第1 本考え方の構成及び適用範囲
2 本考え方の適用範囲
(3) おとり広告との関係
 本考え方は、事業者が商品又は役務の供給に際し一般消費者に対して行う価格表示についての考え方を示したものである。したがって、例えば、安売りのチラシに掲載された商品の販売価格について実際と異なる表示が行われる場合には、本考え方が適用されることとなる。
 他方、チラシに掲載された商品についてそもそも販売される用意がなされていない場合など、広告、チラシ等において、広く一般消費者に対し取引の申出をした商品又は役務について、実際には申出どおりに購入することができないものであるにもかかわらず、一般消費者が申出どおりに購入できると誤認するおそれがある表示については、「おとり広告に関する表示」(平成5年公正取引委員会告示第17号)及び「『おとり広告に関する表示』等の運用基準」(平成5年事務局長通達第6号)において考え方が示されており、引き続き、この考え方によって判断されることとなる。

 

▽「おとり広告に関する表示」等の運用基準(第1の1)

2 告示の運用に当たっては、以下の点に留意されたい。
① 広告、ビラ等において、通常よりも廉価で取引する旨の記載を伴う商品又は役務についての表示であって、告示各号の規定に該当するものに重点を置くこととする。
(以下略)
3 一般消費者が商品又は役務の品質等の内容、価格等の取引条件について誤認する表示については、それぞれ、不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という。)第5条第1号、第2号により規制されているところである。通常よりも廉価で取引する旨の記載を伴う商品又は役務についての表示については、景品表示法第5条第1号及び第2号の問題も生じがちであることにかんがみ、景品表示法第5条第1号、第2号の問題となる典型的な表示を例示として第3に掲げたところであり、これらを含めた景品表示法違反行為の未然防止及び違反事件の処理の適正を期されたい。

 

これはつまり、おとり広告自体は本来、優良誤認表示とか有利誤認表示とかではないはずなのだが、実際には廉価で取引する旨の記載を伴っていることが多く(したがって優良誤認表示や有利誤認表示になり得る)、そういうものから優先的に取り締まっていきましょうということである。

 

不動産のおとり広告に関する表示

不動産のおとり広告は、別途の告示となっている。

 

告示と運用基準を表にすると以下のとおり。

 

告示 運用基準
不動産のおとり広告に関する表示 ➢「不動産のおとり広告に関する表示」の運用基準

 

定義としては、告示で以下のように1号~3号まで示されている。

 

 自己の供給する不動産の取引に顧客を誘引する手段として行う次の各号の一に掲げる表示
一 取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示
二 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示
三 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示

 

運用基準もそんなに長くないので、一緒に表でまとめると、以下のとおり。

 

告示 運用基準
一 取引の申出に係る不動産が存在しないため、実際には取引することができない不動産についての表示 1 告示第一号の「取引の申出に係る不動産が存在しない」場合についてこれを例示すると次のとおりである。
(1) 広告、ビラ等に表示した物件が広告、ビラ等に表示している所在地に存在しない場合
(2) 広告、ビラ等に表示している物件が実際に販売しようとする不動産とその内容、形態、取引条件等において同一性を認めがたい場合
二 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引の対象となり得ない不動産についての表示 2 告示第二号の「実際には取引の対象となり得ない」場合についてこれを例示すると次のとおりである。
(1) 表示した物件が売却済の不動産又は処分を委託されていない他人の不動産である場合
(2) 表示した物件に重大な瑕疵があるため、そのままでは当該物件が取引することができないものであることが明らかな場合(当該物件に瑕疵があること及びその内容が明瞭に記載されている場合を除く。)
三 取引の申出に係る不動産は存在するが、実際には取引する意思がない不動産についての表示 3 告示第三号の「実際には取引する意思がない」場合についてこれを例示すると次のと
おりである。
(1) 顧客に対し、広告、ビラ等に表示した物件に合理的な理由がないのに案内することを拒否する場合
(2) 表示した物件に関する難点をことさらに指摘する等して当該物件の取引に応ずることなく顧客に他の物件を勧める場合

 

比較的身近な例でいうと、人気の賃貸物件で成約済みのものをそのまま表示しておき、それに魅力を感じてやって来た見込み客に他の物件を勧める、といったパターンがある。なお当然のことながら、宅建業法にも違反するし、上記告示と同様の内容を定めた不動産表示規約(公正競争規約)にも違反する。

 

 

有料老人ホームに関する不当な表示

告示と運用基準を表にすると以下のとおり。

 

告示 運用基準
有料老人ホームに関する不当な表示 「有料老人ホームに関する不当な表示」の運用基準

 

 

結び

表示規制のうち「その他の不当表示」については以上になります。

 

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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。初心者(=過去の自分)がなるだけ早く新しい環境に適応できるようにとの気持ちで書いております(ゆえに、ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれておりませんので、あしからずご了承ください)。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご留意ください。

 

 

  • この記事を書いた人

とある法律職@転職×法務×弁護士

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。経歴:イソ弁、複数社(3社)でのインハウスローヤー、独立開業など。自分の転職経験、会社法務や法律相談、独立開業の話などをアウトプットしています。

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