海外のリーガルドラマで「SUITS」っていうのがあると思うんですけど、管理人はこれがすごい好きで、一時期、けっこうよく見ていました。
ドラマ中に「アソシエイト」とか「パートナー」とか、そういう業界用語がさらさらっと出てくると思うんですが、あれって、法律事務所のヒエラルキーみたいなものを表しているんですよね。
管理人が在籍した会社でも、「”ジュニアアソシエイト”って、どういう意味?」とか聞かれたりしたこともあったので、本記事ではその話をしてみたいと思います。もしかしたら、「へえ~」ってなるかも?しれません。
「パートナー」と「アソシエイト」
法律事務所にいる弁護士というのは、大きく「パートナー」と「アソシエイト」の2つに分かれます。
パートナーというのは、事務所を運営している、つまり経費を負担している経営者層の弁護士のことです。
アソシエイトというのは、そのパートナーに雇われて働く、雇用で働いている弁護士っていう意味ですね(雇用か委任か?という論点も実はありますが、細かいので置いておきます)。
そして、パートナーでもアソシエイトでも、それぞれの稼働期間が長いと「シニア」、短いと「ジュニア」というふうに言われます。
これ、何が長くて何が短いかっていう明確な線引きはないんですが、多分、だいたい5年くらいが境になっているのかなと思います。
管理人は、大型の法律事務所など「ジュニア」とか「シニア」とかいうカルチャーのところに直接在籍したわけではないので、はっきりとは分からないですが、業界的にはそれぐらいが目安になっているんじゃないかなっていう感覚があります。
なので、
- パートナーには、「シニアパートナー」と「ジュニアパートナー」というのがいて、
- アソシエイトには、「シニアアソシエイト」と「ジュニアアソシエイト」というのがいる
ということになります。このように、2×2という感じが、基本構図だと思います。
そして、パートナーの中でもトップ層(トップ層っていうか、トップですね)、その事務所の代表権を持つのが、代表パートナーと呼ばれるものです。
代表ということの意味は、その事務所が団体としての事務所の行動をするときの代表権を持っている、ということで、会社でも「代表取締役」というときの代表権ですね。
事務所が一つの団体として契約とかするときは、代表権を持った人の名前で契約をすることになりますが(会社の場合も、契約者の印鑑のところは、何とか会社代表取締役なんとかって書いてると思いますが、それと同じです)、そこに収まるような人たちっていうのが代表パートナーです。法律事務所がパートナーシップ、つまり法人化していない場合(法的には組合の場合)も、代表権をもった人というのは大体います。
さっきの「SUITS」の例でいうと、あれ結構、代表パートナーが物語のシーズンが進むに従って変わっていくので、どの時点でっていうのはないんですけど。ジェシカ・ピアソンとか、ハードマンとか、ハービーとか、リッドとか。このへんの、事務所の名前に冠されている登場人物たちは、「代表パートナー」っていうふうになったり、もともとそうであったり、途中で物語の中でなったりしている、ということだと思います。
なので、法律事務所のヒエラルキーというのは、下から順に言うと、「ジュニアアソシエイト」「シニアアソシエイト」、パートナーに昇格すると「ジュニアパートナー」で、長くなると「シニアパートナー」。
それで、最後、ヒエラルキーの頂点は「代表パートナー」、というのが、法律事務所のヒエラルキーという感じです(他の呼称やパターンもあるもしれませんが、よくある一般的なパターンとして)。
【法律事務所のヒエラルキー】
パートナー | 代表権を持つパートナー | 代表パートナー |
パートナー稼働期間が長い | シニアパートナー | |
パートナー稼働期間が短い | ジュニアパートナー | |
アソシエイト | アソシエイト稼働期間が長い | シニアアソシエイト |
アソシエイト稼働期間が短い | ジュニアアソシエイト |
ちなみに、パートナー昇格に時間がかかる(アソシエイト期間が非常に長い)と、”代表シニアアソシエイト”などという嫌味を言われることもあるようですが、管理人はそういうカルチャーの事務所にいたことがないので、よくわかりません。
「ボス弁」と「イソ弁」
これとはまた別の言い方として、「ボス弁」とか「イソ弁」とか言ったりもするんですが、基本的には意味は一緒です。
「ボス弁」というのは、「パートナー弁護士」のことです。「イソ弁」というのは、「アソシエイト弁護士」のことです。ちなみに、「イソ弁」というのは、居候弁護士の略です。
この日本語と横文字のものって、どういう使い分けがあるんですか?っていう疑問もあるかもしれないと思うんですが、意味的な違いは、基本的にないと思います。
要するに、いわゆるビジネスローっていうようなシュッとした業界をメインにしてる法律事務所は、「アソシエイト」とか「パートナー」とか言うことが多いんじゃないかなと思います。
いわゆる街弁とか、街のお医者さんみたいな感じ(地域密着的な感じ)でやるところは、「イソ弁」とか「ボス弁」とか、そういう昔ながらの言い方をしている、ということです。
何というか、カルチャーの違いみたいなことで、意味は一緒だと思います。
パートナーとアソシエイトの違い
パートナーとアソシエイトの違いっていうのをもう少し詳しくいうと、先ほど、事務所の経営層かどうか、事務所の経費を負担しているかいないかという違いですと書きましたが、もう一つ違うのは、どこからお金をもらってるか、つまり、どこから稼いでいるか、というところも違っています。
「アソシエイト」は、事務所から給料としてお金をもらう、「パートナー」は、依頼者、クライアントから事件処理の報酬としてお金をもらう、ということです。そういうことで稼いでいる、という違いもあります。
なので、まとめて言うと、「パートナー」というのは、クライアントから事件処理の報酬としてお金をもらって、事務所の固定費とか人件費とかの経費を負担すると。
「アソシエイト」というのは、事務所からお金をもらって(つまり給料)、そして、事務所の経費は普通は負担しない、ということですね。
なお、アソシエイトは、勤務弁護士としていわばパートナーの下請けのような感じで一緒に事件処理に当たるわけなんですが、それとは別に、個人として受任することもあります。つまり、直接自分がクライアントと委任契約を交わして、それを処理することによって、クライアントから事件処理の報酬としてお金をもらう、ということもあります。
それを「個人受任」というんですが、それがOKかどうかっていうのは、事務所によると思います。
完全に自由ということにしているところもあれば、事務局さんを使うんだったら何割事務所に売上げの中から入れてね、というふうにしてるところもあれば、もう基本的にダメ、というふうにしてるところ、いろいろあると思います。
結び
大したお話ではないんですけども、ちょっとした雑談ということで、「アソシエイト」とか「パートナー」とか「ジュニア」とか「シニア」とかいう業界用語の話と、法律事務所の構造みたいな話をしてみました。
もしかしたら、海外ドラマとかを見るときに「へえ~」ってなるかも?しれません。
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[注記]
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