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【弁護士の転職】その求人、本当に大丈夫?弁護士の転職における地雷案件の避け方

「今の職場、もう限界かも……」 そう思って転職サイトを眺めていても、ふとよぎる不安。「もし、次に行った場所が今よりもっと過酷な環境だったらどうしよう?」

弁護士はリスクヘッジのプロですが、こと自分のキャリアとなると意外と甘くなりがちです。本記事では、弁護士の転職市場における地雷案件(入ってはいけない職場)を避けるためのポイントを、一般企業の転職ノウハウも交えて考えてみたいと思います。

求人票の行間を読む(募集要項)

まずは入り口である求人票です。ここには「書かれていること」以上に、書かれていないことや書き方にもヒントがあります。

「アットホームな職場です」の罠

これは転職一般でしばしば書かれることですが、法律事務所でも要注意です。

「アットホーム」が公私混同やなあなあな労務管理の言い換えになっているケースがあります。特に小規模事務所の場合、ボスの家族経営的な支配が強い可能性もあります。

給与レンジが広すぎる(例:年収600万〜2000万円)

可能性を示してくれるのは嬉しいですが、下限で採用される前提で考えるのが無難です。

また、評価基準が曖昧で、ボスの気分で決まるシステムであるリスクもあります。

常に求人が出ている

事業拡大なら良いのですが、単に人が定着しない(激務・パワハラ・淀んだ職場)である可能性も高いです。

転職エージェント経由であれば、過去3年間の離職率や前任者の退職理由を可能な限り確認しましょう。

面接は「値踏みされる場」ではなく「値踏みする場」(面接)

面接は、自分が採用されるかどうかの試験であると同時に、自分がその事務所(企業)を監査する場でもあります。以下のポイントをチェックしてみましょう。

パートナー(ボス弁)の態度

シニカルな嘲笑が多い、高圧的、あるいは「うちは忙しいけど大丈夫?」とやたらと覚悟を問う。もしこういったものがあったら、これらはすべて危険信号です。

特に弁護士業界は徒弟制度の名残があるため、パートナーの人格=職場の労働環境そのものです。

「なぜ募集しているのか?」への回答

「増員」なのか「欠員補充」なのか。欠員の場合、前任者はなぜ辞めたのか。

ここを濁す場合、ネガティブな退職(逃亡に近い退職)が続いている可能性があります。

秘書やパラリーガルの表情

面接に向かう際、すれ違うスタッフの表情も参考になります。

目が死んでいませんか? 事務所内の空気がピリピリしていませんか? 弁護士がイライラしている職場では、事務スタッフへの当たりが強くなりがちです。

スタッフが萎縮している職場は、間違いなく地雷です。

意外と見落とす物理的環境とお金のリアル(条件・環境)

最後に、条件面や物理的な環境のチェックです。

机の上と書庫の整理整頓

机の上に記録が山積みで崩れそう…。これは単に忙しいだけでなく、業務フローが破綻しているとか、キャパオーバーの事件を受けているなどのサインである可能性があります。

整理整頓がされていない職場は、ミスも起きやすく、精神衛生上もよくありません。

弁護士会費の負担

これは弁護士特有のポイントです。

弁護士会費(月数万円)は誰が負担するのか? 給与に含まれるのか、別途支給か、自己負担か。ここが曖昧だと、手取り額に直結します。

インセンティブの明確さ

「頑張れば報いる」という口約束はさほど当てになりません。

個人受任の可否、経費の分担率、ボーナスの算定式などが書面、あるいは明確なルールとして存在するか確認しましょう。

インハウス(企業内弁護士)志望者がハマる独特な罠

法律事務所の激務に疲れ、「ワークライフバランスを求めてインハウスへ……」と考える人は多いですが、ここにも地雷が埋まっている可能性があります。

企業という組織だからこそ起きるミスマッチを避けるために、以下の点などを意識してみましょう。

未経験・一人法務案件

どんな地雷?

法務部の立ち上げメンバー募集(法務担当はあなた一人)という一見キラキラした求人。

経験豊富なベテランならやりがいがありますが、若手~中堅で飛び込むと「教育担当不在」「相談相手ゼロ」「全責任が自分へ」という孤独な戦場になりがちです。

ここをチェック!

外部の顧問弁護士(法律事務所)との連携予算は確保されているでしょうか?

「顧問弁護士は高いから、あなたを雇ったんだ」と言われたら即撤退推奨です。全ての責任と実務を一人で背負わされる「定額使い放題プラン」扱いされる危険があります。

法務の社内立ち位置が低すぎる

どんな地雷?

経営陣がコンプライアンスを軽視しており、法務を「営業の邪魔をする部署」あるいは「契約書のハンコを押させるまでの儀式」としか見ていないパターンです。

これに入社すると、法的なリスクを指摘しても無視され、何かあったときだけ「法務のチェックミス」として責任を負わされます。

ここをチェック!

  • 法務部門は誰の管轄か?(管理本部長の下か、CHROか、社長直下か、経営企画か、まさかの営業本部長の下か)
  • 面接での逆質問:「営業部門と法務部門の間で意見が割れた際、最終的にどのように意思決定されますか?」

逆質問に対し、「基本は営業の数字優先だね」といったニュアンスの回答が返ってきたら要注意です。

「何でも屋」化している総務兼法務

どんな地雷?

法務として採用されたはずが、気づけば株主総会の会場設営、備品発注、さらには社長の私用案件の相談まで(?)させられている…というケースです。

中小・ベンチャー企業でバックオフィス全般として括られている場合に起こりがちです。

ここをチェック!

法務業務と、それ以外の業務の割合は現状どうなっていますか?と、具体的な業務比率を聞いてみましょう。

「柔軟に対応してほしい」という言葉は、「境界線がない」と同義である可能性が高いです。

結び:違和感からの警告を無視しない

もし面接や条件交渉の過程で、「ん? 何かおかしいな」と小さな違和感を覚えたら、その直感は無視しないでください。それは弁護士としての危機察知能力(?)が、「ここは危険だ」と警告しているサインかもしれません。

転職は、今の不満を解消するためにするもので、焦って地雷を踏んでしまっては本末転倒です。「内定をもらうこと」をゴールにせず、「健やかに働ける環境に入ること」をゴールに、 冷静な目線でジャッジしていきましょう。

[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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