とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

法務転職

弁護士の転職物語⑩|弁護士業界のもう一つの変化

弁護士業界に起きていると思う2つめの変化を挙げたいと思います。 転職活動をするなかでもいろんな弁護士に会いましたが、別に世間で有名になっていなくても、従来なかったような多様な働き方を切り拓いている弁護士が数多くいます(単に自分がこれまで知らなかっただけという可能性もありますが)。 例えば、もともとある業界で働いており、その後ロースクールに行って弁護士になり、途中、公認会計士にもなり、別業界のインハウスにもなって、最終的にその元々いた業界に特化した弁護士として独立し活動している人。 (どういうイメージでその ...

法務転職

弁護士の転職物語⑨|弁護士業界の変化

今回は、弁護士業界に起きていると思う変化を2つ挙げてみたいと思います。 自分はこれまでに2回転職活動を行ったことがありますが、2回目はなんというか大分慣れてきて、比較的落ち着いて色んな事務所・企業の方々とお話しさせていただくことができ、そういった中で感じた感想です。 ひとつは、全国展開型の法律事務所の台頭です。いまさら改めて指摘するまでもないですが、業界の人ならいくつかの名前がすぐ浮かぶはずです。また、そこまでメジャーでなくても、同様の方向性を目指しているであろう中規模事務所も多数存在します。 こういった ...

法務転職

弁護士の転職物語⑧|インハウスの果たすべき役割

今回は、インハウスの働き方の具体例をひとつ挙げたいと思います。 自分としては非常に感銘を受けた、ある記事があります。それは、法テラスのスタッフ弁護士が、社会福祉法人のインハウスとして活動し、これを振り返って書いた記事です(だから正確にいうとインハウス転職の記事ではないのですが)。 具体的には、『自由と正義』2013年6月号99頁、「社会福祉法人の組織内弁護士として」という、浦﨑寛泰弁護士の記事です。 この記事には、社会福祉法人における現場の実情のひとつとして、虐待と虐待でない支援との間にはかなり広いグレー ...

法律コラム

法曹人口問題

法曹人口問題,というのは新聞紙上に載ることもしばしばで,そこそこホットな議論であると思うが…。自分は,この議論を聞くたび少々萎える。 どのグループにも,これからこうしたいので人口はこうあるべきなのだ,というポリシーが見えない。数を議論する前に、”こういうことがしたい、だから、数はこういう風であるべきだ”という議論が必要であると思うが、まったく見えない。弁護士界でも,基本的には急激に増えすぎたことへの弊害にどう対応するかという消極的なことしか視野に入っていない。”法曹人口を緩やかに減らすべきか,劇的に減らす ...

法務転職

弁護士の転職物語⑦|訟務と法務の違い

前回(転職物語⑥)に続いて、インハウス転職のポジティブな面を指摘したいと思います。 前回、「法律事務所ではできない経験ができる」と書きましたが、「訟務」(訴訟業務の意)と「法務」の違いを、2点、対比的に書いてみたいと思います。 隣接分野との関わりの多さ ひとつは、法務の方が訟務よりも法律外の隣接分野との関わりが多い、ということです。 もちろん訟務の方も、事実認定レベルで、あらゆる部分社会の経験則に精通しなければ(首を突っ込なければ)ならないので、法律外の分野との関わりはあります。 ただ、個別事例の処理に必 ...

法務転職

弁護士の転職物語⑥|インハウス転職のポジティブ面

今回はインハウス転職の、ポジティブな面を指摘したいと思います。 それは端的にいうと、「法律事務所ではできない経験ができる」ということです。(※ここでは「法律事務所」=「紛争処理」という前提) 法務にいくというと、よく周りからある反応は、「紛争のことよくわかってないと法務もできないでしょ」というものですが、それは違うと思います。 違う、とまでいうと言い過ぎなのですが、法務には法務固有の性質のようなものがあって、紛争からの逆算だけを考えれば良い訳ではありません。 トラブルになったときはこうだから…というのは考 ...

法務転職

弁護士の転職物語⑤|インハウス転職のネガティブ面

今回はインハウス転職の、ややネガティブな面を指摘したいと思います。 最近はインハウスローヤー(組織内弁護士)の数も急激に増え(自分もその1人だったわけですが)、JILA(ジャイラと読む。日本組織内弁護士協会)の会員も増えて、「インハウス盛り上がってる!」という風潮です。 それはそれで結構なことですし、よくもわるくも何らかの変化は生まれるだろうと思います。 ただ、なぜ現在こういう風に世の中が動いているのかというと、それは残念ながら端的にいって、弁護士の大量発生による弁護士の値崩れです。 要は会社で勤務すると ...

法務転職

弁護士の転職物語④|面接で大事なこと

前回、「何で今のところやめるんですか?」という質問が重要であると書きましたが、もうひとつ、面接において大事だと思うことを書きたいと思います。 それは、 「ありのままの自分を見せるのは良いことではない」 ということです。 言い換えると、面接のときに聞かれた質問に対して、自分の思うところを正直にありのまま答えればそれでいい、というのは、面接に対する良い臨み方ではない、ということです(異論もあるとは思いますが)。 「ありのままの自分を見せる」というのは、いわば料理に例えると、泥も落とさず火も通していない野菜を相 ...

法務転職

弁護士の転職物語③|最も重要な質問 

今回は、弁護士の転職の面接について書いてみたいと思います。 といっても、おそらく、弁護士以外の職業の方の面接と大きく異なることはないのだろうと思います(両方を実体験している訳ではないので、はっきりとはわかりませんが)。 自分は今までに2回転職活動を行ったことがありますが、転職の面接で絶対に聞かれるのは次の質問です。これに対する答えが、転職全体についての最も重要なエッセンスになります。 その質問とは、 「何で今のところ辞めるんですか?」 です。 どこの誰と話しても絶対に聞かれますので、企業との面接以前に、エ ...

法務転職

弁護士の転職物語②|エージェントの付き方

転職するときはエージェント会社に登録する、という話を前回書きましたが、エージェント会社によって担当者の付き方が違うことを補足したいと思います。 自分が経験した中では担当者の付き方に2種類あって、 企業側に担当者がついている場合(求人案件によって担当者が決まっている) 応募者側に担当者がつく場合(求職者に1人の担当者がつく) があります。 「企業側に担当者がついている場合」は、こちらが出した履歴書や職務経歴書を見て、求人案件の担当者からめいめい連絡がきます。 案件紹介のスピードはこちらの方が早いですが、違う ...

日記

事務所看板完成

やっとこさ,事務所の看板ができた。ようやく正式オープンといったところ。 内装工事をしてくれた業者さんが紹介してくれた看板業者が良くて,ほどよいデザインのある看板と,玄関ドアのサイン工事を施してくれた。 事前に開業準備のイメージは作っておいたつもりだったが,思ったより作業量が多くて,やはり開業準備には2か月ぐらいはかかるものだと感じた。 なかなかこの2か月は大変だった。 ハード面では,内装工事して,什器備品を選定してレイアウトを決めたり,やっぱりこっちの配置の方がいいか…など試行錯誤して模様替えをしたり。 ...

法務転職

弁護士の転職物語①|転職活動の開始

弁護士の転職、というのは最近ホットな話題であると思います。 よくもわるくも弁護士激動の時代に、新しい道を求めて弁護士の働き方も多様化しており、人材の流動性も上がっています。 自分自身も、人材の流動性(特に企業界と弁護士界の間)が上がるのは良いことだと思っています。 雑誌など商業的な記事も、ポジティブな論調で書いた方が格好良いに決まっているので、「インハウス盛り上がってる!」という風潮が見て取れます。 ただ、一側面からの論調であるとも感じるので、いち事例として、自分の転職物語を題材に、弁護士の転職(特にイン ...