とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

刑事弁護

箇条整理シリーズ|被疑者国選の要件

実務や理論を箇条書きで整理する,「箇条整理」シリーズ。 今回は,被疑者国選の要件について。 被疑者国選の要件 被疑者国選の要件は,刑訴法の条文があちこち飛んでいて,読みづらい。 「貧困」の基準額を定める政令が何なのかも,意外と書いていないものが多い。 そこで,以下のとおり整理。 <被疑者国選の要件>(刑訴37の2) (1) 死刑又は無期若しくは長期3年を超える懲役若しくは禁固に当たる事件(刑訴37の2Ⅰ) (2) 被疑者に対して勾留状が発せられている場合(刑訴37の2Ⅰ) (3) 被疑者が貧困その他の事由 ...

刑事弁護

箇条整理シリーズ|刑事弁護人の選任方法

実務や理論を箇条書きで整理する,「箇条整理」シリーズ。 今回は,刑事弁護人の選任方法について。 刑事弁護人の選任方法 当番弁護で接見にいったときは,自分の立場(当番弁護士というもの)の説明をするほか,刑事弁護人を選任するにはどのような方法があるのかについて教示する。 そのときの,頭の中での選任方法の整理は,以下のとおり。 ただし,②は私選の一種である(弁護人選任届が必要)。 刑事扶助の位置づけ 結局,基本は,①の国選か?③の私選か?なのだが,②の刑事扶助の位置づけがわかりにくいので,少し説明をする。 刑事 ...

法務一般 法律コラム

感覚でわかる法令入門|なぜいちいち「第○条」の「第」ってつけるの?

感覚でわかるシリーズ。 今回は、 条文を引用するときに、なぜいちいち「第〇条」の「第」ってつけるの? です。 例えば、「民法第94条第2項」とか、いちいち「第」ってつけるのめんどくさい!「民法94条2項」でいいじゃん!って思いますよね。 答えは簡単。条文には”枝番号”というのがついているときがあって、その条文を引用するときに、「第」ってつけないと困るからです。 どういうことかというと、「刑事訴訟法第37条の3第2項」と引用したいときに(←この37条の3、のうち、「の3」という部分が枝番号です)、「第」がな ...

法務転職

弁護士の転職物語⑬|10年後の自分をイメージ

転職活動についてまたひとつ思い出したことがあるので書いておきたいと思います。 インハウスから転じて独立する前に、今後、独立するのと転職するのとどっちが自分にとっていいのだろうかと、転職活動も行いました。最終的には独立を選びましたが、選択肢の洗い出しをしておくというか、そういう意味で活動しました。 即、独立を選ばなかったのは、もしかして仕事が面白く感じないのは、仕事が面白くないからではなくて、一緒に働いている人が面白くないだけではないか、という気もしたからです(いわゆる”働かないオジさん”、”選べない上司” ...

日記

執行猶予判決後の憂鬱

傷害被告事件の判決があり、無事に執行猶予がついた。 ほっとひと安心なのだが、被告人が「あ、うす」みたいな感じで、法廷での態度にせよ、すこぶる印象が悪い。 当初は断られていた示談を、”こういう風に事情が変わったら、もう一度考えてみてもらえませんか”とつなぎ止め、粘り強く交渉し、何とか示談していただいたのだが、示談がなければ実刑相当であった事案である。そのへんのことコイツわかってんのか、という若干の苛立ちが湧いてしまう(もちろん、度々の接見でタイムリーに説明している)。正直、今後のやる気が萎える。 検察官もけ ...

日記

ポケGOが凄いことになっている

昨日からポケGOが凄いことになっている。 ハロウィンイベントで、ゴース・ゴースト・ゲンガーほか、「ちょっと怖い系ポケモン」が出まくり。ちょっとブームから時間がたって、マンネリ化してきたか?というタイミングでこのイベントをブチ込むあたり、ナイアンテック社のしたたかさを感じるというか、「やるねえ!!」と感服。 自分はゴースト系ポケモンを持っていなかったため、とても嬉しいイベントなのだが、苦労してゲンガーを手に入れたユーザーからしたら、「何だよ!あの苦労は何だったんだよ!」という感じかもしれない 対象ポケモン以 ...

法律コラム

感覚でわかる著作権法|思想・表現二分論

感覚でわかるシリーズ。 今回は、著作権法の「思想・表現二分論」についてです。 GYAOアニメで、「終末のイゼッタ」を見たんですが。イゼッタが、剣やスピアーを操る能力を使って、戦闘機や戦車を倒していく第三話は見ていてなかなか爽快。 アニメを見ていて感じるのは、基本的な発想の部分でよく似たものが多いということですかね。学園設定とか、バトルとか、おにいちゃん設定とか…。イゼッタの能力も、「六花の勇者」のナッシェタニア姫の能力(「刃」の聖者として、剣を自在に操る)にめちゃ似ています。映像もまあまあ似ています。 し ...

法務転職

弁護士の転職物語⑫|最初の条件交渉が肝心

最近、インハウス志望の修習生と話す機会があって、インハウス転職について思い出したことがあるので、書いておきたいと思います(余談ですがもう修習生って69期なんですね…自分の期がどんどん古くなっていって焦る)。 それは、最初の条件交渉が肝心、ということです。 インハウス転職活動をしていると、どうしても、条件交渉で自分の希望を述べることについて躊躇することも多いのではないかと思います。つまり、うるさい奴だなと思われて内定とれないのではないか、という懸念です。 特に、法律事務所で弁護士として仕事をしながらのインハ ...

法律コラム

無料相談が弁護士の業務改革?

弁護士の業務改革として「各種法律相談を無償化する」(正確にいうと、有料法律相談とは別に、いろいろなカテゴリで無料法律相談を設けていく)ということが増えているが…個人的には「業務改革」としての意味はないと思う。 意図しているところは、①市民にそういった活動をしていることを知ってもらうことによって弁護士会のプレゼンス(存在感)を高める、②相談の間口を広げることで個々の弁護士としても受任件数を増やしていく、というところだと思う。 しかし、先に無料化した類型の法律相談で、どういう結果になっているのかといった検証も ...

法務転職

弁護士の転職物語⑪|ミスマッチ

弁護士の転職物語は10回で終わるはずだったのですが、ぽつぽつ書きたいことを後から思い出すことも出てきたので、続けて書いていきたいと思います。 今回は後ろ向きだがよくある話、というわけで、別に弁護士の転職に限った話ではないですが、弁護士の転職物語⑪として、ミスマッチについて書いてみたいと思います。 管理人はインハウス転職をしたあと2社目にいった理由のひとつに、訴訟管理があまり面白くなかったというのがあります。 管理人が企業内弁護士になる前にイソ弁としてお世話になった事務所は、いわゆる一般民事の法律事務所とい ...

日記

モラル・ハラスメント

モラル・ハラスメントが疑われる事案に接している。 モラル・ハラスメントとは、「言葉や態度によって巧みに人の心を傷つける精神的暴力」のことである。ここでいう言葉や態度には、罵倒や中傷だけではなく、沈黙、露骨な溜息といった、サイレントな圧迫も含まれる。(むしろそちらの方が多いのかもしれない。) 自分が事例で接した感想では、モラル・ハラスメントをする人には、社会的地位の高い人が多い。社長とか、所長とか、優秀な研究者とか。実体験として接した事例は3つあるが、大体そういう人である。学歴が高いとか、社会的成功を収めて ...

契約法務 法務一般

法務業務の内容-契約書の作成・審査

「法務の仕事ってどんなことをしているのか?」ということは、意外と弁護士でも実はよくわかっていないことがあるのでは、と思うことがあります。 管理人は法律事務所でイソ弁として働いてから、いわゆるインハウスローヤー(企業内弁護士)に転じたんですが、当時は、法務部が具体的にどんなことをしているのか、法務の仕事の全体像はどんなものなのかといったことは、正直なところよくわかっていませんでした(想像出来なかった、というか)。 ざっくりと、契約書見たり、労務管理とか債権管理とかしてんのかなあ、といった漠然としたイメージは ...