法務一般

法務部ってどんなことをしている?|法務部の仕事内容と成り立ち

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今回は、法務部ってどんな仕事をしているのか?について書いてみたいと思います。

いまひとつピンとこない人も多いのではと思います。管理人は、インハウス転身前にいわゆる一般民事系の法律事務所でイソ弁をしていましたが、正直なところ、あまり具体的なイメージは湧いていませんでした(まず行ってみようという感じ)。

いま考えてみると、それはなぜかというと、法律論がどうとかいうよりも、それまで会社に就職したことがないため、そもそも会社の仕組み自体が腑に落ちていなかったからだと思います。多くの人は専業受験生から法曹になりますし、ロースクールができた後も結局大きくは変わっていないのかなと。

そこで、会社全体のなかでの法務の成り立ちみたいなものも含めて、過去の管理人自身にもわかるように解説してみたいと思います。

インハウス転身を検討している、これから行くんだけど実はあまりイメージが湧いてないのでざっくり知りたい、といった方に、参考になれば幸いです。

法務部は総務部の延長線上にある(法務の成り立ち)

母体は総務

「法務部」というと、専門性の高い、もともと独立した部署というイメージで捉えてしまいますが、実はそうではなく、母体は総務です。

つまり、上場会社のような専門分化が進んだ段階の大きい会社を想定するとあまりイメージが湧かないかもしれませんが、成り立ち的にいうと、法務部の母体は、通常、総務部です。会社の規模の小さい段階では、総務部のみが存在し、ここでバックオフィス業務のいろんなことをやるわけです。

バックオフィス業務全般を仮に「総務系業務」と呼ぶとすれば、総務系業務には、ざっくり、①総務、②庶務、③法務、④人事・労務、⑤経理・財務、⑥IT、があります。

これを会社の規模に応じて、人とか部に割り振るわけですね(ちなみに、こういう割り振りのことを、「業務分掌」といいます)。

たとえば、会社の人数自体が数人という規模だと(つまり、総務部、というのも無い)、総務の人、というのを決めて、この総務の人が、庶務業務もやりつつ、経理もやりつつ、業法の手続的なこと(←つまり法務)もやっていたりするわけです。

徐々に専門分化・独立

これが、だんだん総務の人数が増えていくと、「総務部」になって、そのなかで”法務担当の人”というのが出来ていきます(総務部のなかで、法務専任の人ができる)。

それがさらに大きくなっていくと、法務「課」とか「室」になったりします。

そして最終的には、「法務部」(=legal department)として独立するわけです。

昔は、総務部に「文書課」というのが出来て(契約書など書面のチェックを専門で行っていたということでしょうね)、そこが法務部になった、といったこともあったようです。時代がかった名称なので、実際に目にしたことはありませんが。

もちろん、中間段階をすっとばして法務部ができることもあるでしょう。要は、中間段階の有無や名称はともかく、会社の規模拡大に伴い、一定の成長段階を経て、法務が総務から専門分化し、やがて法務部として独立するのが普通のパターンだ、ということです。

なので、余談ですが、総務部の人とは特に仲良くしましょう!(笑)。総務部と法務部は、兄弟みたいなものなので(成り立ち的には親子ですが)。オフィスレイアウト的にも、同じフロアになったり、隣同士にしたり、近い場所にすることが多いです。

なお、規模の大きい会社で、「法務部」にインハウス転職する人でも、子会社のなかにはこういった成長段階にある人的体制の会社がある場合がありますので、こういった成り立ちというか、法務の成長段階を知っておくことは有益だと思います。

法務部の仕事内容

どの会社でも共通するもの

次に、法務部の仕事内容ですが、成り立ちが上記のような感じなので、どの会社でも共通して法務部の業務としているのは、おそらく、①契約書など書面のチェックと、②業法上の法律事務(=総務系業務のなかの”法律上の事務”であり、まさに”法務”ですね)、ではないかと思います。少なくとも、管理人が見てきた限りではそうです。

業法上の法律事務というのは、業法上の届出とか申請とかですね。あと、役員変更の登記とか、登記周りの法律事務も、法務部にしているところが多いのではないかと思います。登記周りは、業法上のものや会社法上のもの、さまざまありますが。

それから、③会社法上の法律事務(資金調達や組織再編の場面)では、業務の規模が大きくなることが多いので(いわゆるプロジェクトものですね)、IR・財務、経営企画室、といった部署とともに、法務部も協働して業務にあたることとしている会社がほとんどだと思います。

あと、④訴訟管理は、法務部があれば普通は法務部ですね。とはいえ紛争モノは、業界や会社によって多いところと少ないところ(ほぼ無いところも)がありますので、そもそも日頃の業務として意識されていない会社もあるかと思います。

会社によりけりのもの

あとは、会社の業務分掌によりけりですかね。

たとえば、

  • 会議体周りの事務(会社法上の機関や任意設置機関の取り回し。役員や外部委嘱委員の日程押さえ、上程議案の取りまとめ、議事録の作成など)を、総務等の部署にするか法務にするか
  • 内部通報の業務(パワハラとかセクハラとかへの社内対応含む)を、内部監査等の部署にするか法務にするか
  • 個人情報管理の業務を、総務やITやカスタマー系の部署等の部署にするか法務にするか
  • 労務業務の一部を、人事労務等の部署にするか法務にするか
  • 不祥事対応(社内調査含む)を、労務や広報等の部署にするか法務にするか、これらの連携にするか(たぶん普通は連携)

などですかね。

ほかにも、株主総会事務営業秘密管理新規事業の遵法性調査、など、いくらでもありますね。

これらは、他の部署がやっていたり、法務部がやっていたり、連携してやっていたり、法務部の隣接部署として設置した独立部署(ex.コンプラ室や部)がやっていたりと、それぞれの会社の業務分掌に応じてさまざまだと思います。

特に知財

業務分掌によりけりのもののなかで特徴的なのは、特に知財ですかね。

知財については、法務との関連が強く、法務と一緒にしているところ(法務のなかに知財の部署がある)、別々にしているところ(別々の部署にする)、別々にしたうえで関連付けているところなど、さまざまだと思います。

結び

意外と長くなってしまいましたが、本記事でいいたかったのは、

  • 成り立ち的には、法務は総務の延長にあり、専門化が進むと徐々に独立していくこと
  • 仕事内容も、法律事務という事務的な色彩が強いものから、徐々に法律専門知識を必要とするような専門化が進み、業務も増えていくこと

という感じです。

ちなみに、実際に法務内で働いてみると、総務的感覚、つまり単に事務処理的な感覚の強い人もいますので(成り立ち的にみると何らおかしくないし、むしろ最初は自分の方が部外者)、そういうものだと予め思っておけば、ギャップも少ないと思います。

[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

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