とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

法律コラム

感覚でわかる著作権法|思想・表現二分論

感覚でわかるシリーズ。 今回は、著作権法の「思想・表現二分論」についてです。 GYAOアニメで、「終末のイゼッタ」を見たんですが。イゼッタが、剣やスピアーを操る能力を使って、戦闘機や戦車を倒していく第三話は見ていてなかなか爽快。 アニメを見ていて感じるのは、基本的な発想の部分でよく似たものが多いということですかね。学園設定とか、バトルとか、おにいちゃん設定とか…。イゼッタの能力も、「六花の勇者」のナッシェタニア姫の能力(「刃」の聖者として、剣を自在に操る)にめちゃ似ています。映像もまあまあ似ています。 し ...

法務転職

弁護士の転職物語⑫|最初の条件交渉が肝心

最近、インハウス志望の修習生と話す機会があって、インハウス転職について思い出したことがあるので、書いておきたいと思います(余談ですがもう修習生って69期なんですね…自分の期がどんどん古くなっていって焦る)。 それは、最初の条件交渉が肝心、ということです。 インハウス転職活動をしていると、どうしても、条件交渉で自分の希望を述べることについて躊躇することも多いのではないかと思います。つまり、うるさい奴だなと思われて内定とれないのではないか、という懸念です。 特に、法律事務所で弁護士として仕事をしながらのインハ ...

法律コラム

無料相談が弁護士の業務改革?

弁護士の業務改革として「各種法律相談を無償化する」(正確にいうと、有料法律相談とは別に、いろいろなカテゴリで無料法律相談を設けていく)ということが増えているが…個人的には「業務改革」としての意味はないと思う。 意図しているところは、①市民にそういった活動をしていることを知ってもらうことによって弁護士会のプレゼンス(存在感)を高める、②相談の間口を広げることで個々の弁護士としても受任件数を増やしていく、というところだと思う。 しかし、先に無料化した類型の法律相談で、どういう結果になっているのかといった検証も ...

法務転職

弁護士の転職物語⑪|ミスマッチ

弁護士の転職物語は10回で終わるはずだったのですが、ぽつぽつ書きたいことを後から思い出すことも出てきたので、続けて書いていきたいと思います。 今回は後ろ向きだがよくある話、というわけで、別に弁護士の転職に限った話ではないですが、弁護士の転職物語⑪として、ミスマッチについて書いてみたいと思います。 管理人はインハウス転職をしたあと2社目にいった理由のひとつに、訴訟管理があまり面白くなかったというのがあります。 管理人が企業内弁護士になる前にイソ弁としてお世話になった事務所は、いわゆる一般民事の法律事務所とい ...

日記

モラル・ハラスメント

モラル・ハラスメントが疑われる事案に接している。 モラル・ハラスメントとは、「言葉や態度によって巧みに人の心を傷つける精神的暴力」のことである。ここでいう言葉や態度には、罵倒や中傷だけではなく、沈黙、露骨な溜息といった、サイレントな圧迫も含まれる。(むしろそちらの方が多いのかもしれない。) 自分が事例で接した感想では、モラル・ハラスメントをする人には、社会的地位の高い人が多い。社長とか、所長とか、優秀な研究者とか。実体験として接した事例は3つあるが、大体そういう人である。学歴が高いとか、社会的成功を収めて ...

契約一般 法務一般

法務業務の内容-契約書の作成・審査

「法務の仕事ってどんなことをしているのか?」ということは、意外と弁護士でも実はよくわかっていないことがあるのでは、と思うことがあります。 管理人は法律事務所でイソ弁として働いてから、いわゆるインハウスローヤー(企業内弁護士)に転じたんですが、当時は、法務部が具体的にどんなことをしているのか、法務の仕事の全体像はどんなものなのかといったことは、正直なところよくわかっていませんでした(想像出来なかった、というか)。 ざっくりと、契約書見たり、労務管理とか債権管理とかしてんのかなあ、といった漠然としたイメージは ...

法務転職

弁護士の転職物語⑩|弁護士業界のもう一つの変化

弁護士業界に起きていると思う2つめの変化を挙げたいと思います。 転職活動をするなかでもいろんな弁護士に会いましたが、別に世間で有名になっていなくても、従来なかったような多様な働き方を切り拓いている弁護士が数多くいます(単に自分がこれまで知らなかっただけという可能性もありますが)。 例えば、もともとある業界で働いており、その後ロースクールに行って弁護士になり、途中、公認会計士にもなり、別業界のインハウスにもなって、最終的にその元々いた業界に特化した弁護士として独立し活動している人。 (どういうイメージでその ...

法務転職

弁護士の転職物語⑨|弁護士業界の変化

今回は、弁護士業界に起きていると思う変化を2つ挙げてみたいと思います。 自分はこれまでに2回転職活動を行ったことがありますが、2回目はなんというか大分慣れてきて、比較的落ち着いて色んな事務所・企業の方々とお話しさせていただくことができ、そういった中で感じた感想です。 ひとつは、全国展開型の法律事務所の台頭です。いまさら改めて指摘するまでもないですが、業界の人ならいくつかの名前がすぐ浮かぶはずです。また、そこまでメジャーでなくても、同様の方向性を目指しているであろう中規模事務所も多数存在します。 こういった ...

法務転職

弁護士の転職物語⑧|インハウスの果たすべき役割

今回は、インハウスの働き方の具体例をひとつ挙げたいと思います。 自分としては非常に感銘を受けた、ある記事があります。それは、法テラスのスタッフ弁護士が、社会福祉法人のインハウスとして活動し、これを振り返って書いた記事です(だから正確にいうとインハウス転職の記事ではないのですが)。 具体的には、『自由と正義』2013年6月号99頁、「社会福祉法人の組織内弁護士として」という、浦﨑寛泰弁護士の記事です。 この記事には、社会福祉法人における現場の実情のひとつとして、虐待と虐待でない支援との間にはかなり広いグレー ...

法律コラム

法曹人口問題

法曹人口問題,というのは新聞紙上に載ることもしばしばで,そこそこホットな議論であると思うが…。自分は,この議論を聞くたび少々萎える。 どのグループにも,これからこうしたいので人口はこうあるべきなのだ,というポリシーが見えない。数を議論する前に、”こういうことがしたい、だから、数はこういう風であるべきだ”という議論が必要であると思うが、まったく見えない。弁護士界でも,基本的には急激に増えすぎたことへの弊害にどう対応するかという消極的なことしか視野に入っていない。”法曹人口を緩やかに減らすべきか,劇的に減らす ...

法務転職

弁護士の転職物語⑦|訟務と法務の違い

前回(転職物語⑥)に続いて、インハウス転職のポジティブな面を指摘したいと思います。 前回、「法律事務所ではできない経験ができる」と書きましたが、「訟務」(訴訟業務の意)と「法務」の違いを、2点、対比的に書いてみたいと思います。 隣接分野との関わりの多さ ひとつは、法務の方が訟務よりも法律外の隣接分野との関わりが多い、ということです。 もちろん訟務の方も、事実認定レベルで、あらゆる部分社会の経験則に精通しなければ(首を突っ込なければ)ならないので、法律外の分野との関わりはあります。 ただ、個別事例の処理に必 ...

法務転職

弁護士の転職物語⑥|インハウス転職のポジティブ面

今回はインハウス転職の、ポジティブな面を指摘したいと思います。 それは端的にいうと、「法律事務所ではできない経験ができる」ということです。(※ここでは「法律事務所」=「紛争処理」という前提) 法務にいくというと、よく周りからある反応は、「紛争のことよくわかってないと法務もできないでしょ」というものですが、それは違うと思います。 違う、とまでいうと言い過ぎなのですが、法務には法務固有の性質のようなものがあって、紛争からの逆算だけを考えれば良い訳ではありません。 トラブルになったときはこうだから…というのは考 ...