日記

モラル・ハラスメント

2016年8月25日

Photo by Sam Fowler on Unsplash

モラル・ハラスメントが疑われる事案に接している。

モラル・ハラスメントとは、「言葉や態度によって巧みに人の心を傷つける精神的暴力」のことである。ここでいう言葉や態度には、罵倒や中傷だけではなく、沈黙、露骨な溜息といった、サイレントな圧迫も含まれる。(むしろそちらの方が多いのかもしれない。)

自分が事例で接した感想では、モラル・ハラスメントをする人には、社会的地位の高い人が多い。社長とか、所長とか、優秀な研究者とか。実体験として接した事例は3つあるが、大体そういう人である。学歴が高いとか、社会的成功を収めているとか…。

被害者(多くは女性)は、社会経験が少ない人、会社で働いた経験のない人、といったキャラクターの方が多い。そのためか、自分がモラル・ハラスメントを受けていること自体に気付くのも中々難しい。男性ってだいたいこういうものなのかと思っていた、等と言う人もいる。

これに対し、加害者(多くは男性)は、会社等で働く中で、想定問答や言い逃れや責任転嫁など、理屈や言葉で他人と戦う技術を身に付けている。モラハラ男は、この技術を、1対1の閉鎖的環境(=他人の目の届かない闇)の中で遺憾なく発揮し、情報不足・技術不足の被害者を一方的に攻撃する。まさに下衆野郎である。

被害者はもともと情報不足・経験不足のキャラクターなうえ、精神的暴力によって自信やプライドを破壊され、判断能力を喪失している。なので、「①情報を収集し、②合理的に判断する」という判断一般の基本(会社法でいう”経営判断の原則”参照)の両方を失っている。モラハラ男はそういう状況をわかって作り、相手を支配下に置く。

抜け出すのに必要なのは、まず情報、特に相談窓口であろう。まずは「これってモラハラじゃないのか?」と疑問を持つこと、そして、疑問を持ったら見つけやすい相談先があること、が重要である。

事案に接して以下の本も買ってみた。巻末には相談窓口も載っている。

〇「モラル・ハラスメントのすべて」-夫の支配から逃れるための実践ガイド
(本田りえ、露木肇子、熊谷早智子)講談社

この本にはモラハラ・チェックリストも載っているが、事案に接して改めてあたってみると、バシバシ該当があって、背筋が寒くなる。

モラル・ハラスメントは、ひとつひとつだけを取り上げてみると、それだけであれば、それ程問題はないんじゃないか、と思える要素も多い。そのため、被害者としては、「私、モラハラを受けているかもしれないんです」と他人に訴えたくても、説明が非常に難しい。パートナーに文句を言いたいだけ、あるいは痴話喧嘩じゃないの?という誤解を生みやすい。そうしてまた更に、他人に助けを求めることが難しくなっていく。

ひとつひとつの間接事実を積み上げ、全体像を形作ると、ああこれはモラハラだな、ということが目に見えやすくなる。そのためにはチェックリストを聴取りの中で使うことも一つの有効な手段と思う。

しかし、事案に接して調べてみると、こういった色々な情報や相談窓口があることがわかるが、正直言って、普通に生活していても全く目につかない。弁護士業務として「被害者支援」というジャンルが最近ほぼ確立された感があるが、この中でモラハラについても取り上げていくのが良いのではないかと思う。モラハラ被害者の目線に立ってみた場合、今のままでは、そもそも脱出の糸口たる情報になかなか辿り着くことができないと感じる。

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