法律コラム

無料相談が弁護士の業務改革?

Photo by freestocks on Unsplash

弁護士の業務改革として「各種法律相談を無償化する」(正確にいうと、有料法律相談とは別に、いろいろなカテゴリで無料法律相談を設けていく)ということが増えているが…個人的には「業務改革」としての意味はないと思う。

意図しているところは、①市民にそういった活動をしていることを知ってもらうことによって弁護士会のプレゼンス(存在感)を高める、②相談の間口を広げることで個々の弁護士としても受任件数を増やしていく、というところだと思う。

しかし、先に無料化した類型の法律相談で、どういう結果になっているのかといった検証もなしに、なし崩し的に無料相談が広がっていくのを見ると、自分としては、”売れない商店が安売りに走っている”ようにしか見えない。

単純に「公益活動(ボランティア)」のつもりでやるのなら全然かまわないし、むしろ良いことだと思う。これによって法的アドバイスが得られるようになる人達がいるからである。

しかし、「業務改革」としてやっているつもりなら、見当外れであると思う。上記①②といった効果は得られないからである。

これを業務改革として打ち出している人たちも、薄々あまり意味はないことはわかっているのではないか。(しかし、特にそれ以外に思いつくことがないから、とりあえずやってみよう、という感じ)。

いまは船井総研など士業系経営コンサルタントもあったり、昔と違って法律事務所を弁護士法人化してリーガルアクセスの難しい僻地に支店を展開するとか、新しい方策が可能になっている。個々の弁護士がこういった施策を広げていくのをバックアップするといった支援策を弁護士会として打ち出す、等した方がよほど新しいし、「業務改革」というに相応しいと思う。

もちろん上記は思い付きで言っているし、これを弁護士会として支援するのは難しかろう(あくまで個々人として頑張ってもらう話にすぎず、会として介入できる話ではない、と言われるだろう)。

しかし、それぐらい柔軟に考えてドラスティックなこともやっていかないと、安売りを増やしても意味はない、と言いたいのである。

-法律コラム