とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

法律コラム

退職代行サービスが「代行」という言葉をチョイスしている理由

退職代行サービスは、なぜ「退職代理・・サービス」と言わないのでしょうか? 退職代行は最近よく見かける言葉ですが、法律的にはどういう意味なのか、簡単に記事にしてみました。 「代理」と「代行」 退職代行サービスが「退職代理」と言わないのは、「代理」という言葉を使ってしまうと、「非弁行為」の疑いが出るからです。 ▽弁護士法72条 (非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件そ ...

高校生の君へ

法学部を目指す高校生へ|”成績”と”頭の良さ”について

今回はいわゆる”成績”と、”頭の良さ”の関係について一言書いてみたいと思います。 高校生のうちに、あいつは頭がいいとか、自分は頭が悪いとか、そういうふうに思い込むことがあるかもしれません(あるいは心ない人にそう言われるとか)。 しかし、率直にいって、高校生のとき成績がいい人というのは、頭がいいのではなく(イヤもしかしたらほんとに地頭がいい人もいるかもしれませんが)、単に人よりも勉強しているだけのことが多いです。 ちょうどスポーツと同じ関係と思えばいいと思います。運動神経がよくても、そのスポーツを練習しない ...

高校生の君へ

法学部を目指す高校生へ|進路の探し方

最近、依頼者の息子さんが高校生で進路を考えている時期とのことで(法学部も視野に入れているとのこと)、お話を聞かせてやってくれないかとお願いがあり、自分の高校の後輩であったこともあって、OBとして少し時間をとって話をしてみました。 いまは法学部のほかにロースクールというのがあってね、とか、法律の仕事ってこんなのがあるよ、とか。 そのときあまり上手く話せなかったので(下記リンク記事参照)、このブログでリベンジというか、罪ほろぼしをしたいなと思います。 あまり法学部とは関係ないですが、まずは進路の探し方からだろ ...

日記

仕切り直し

さて独立して概ね2年半が過ぎたのだが… その感想を(というかこれまでの弁護士生活の感想を)。 独立の最初は物珍しさというか、また新しい世界が広がるだろうと思ってワクワク感もあった。そのワクワク感は間違いだったわけではなく、面白さも実際あった。 しかしちょっとダレてきた(笑)。 また、弁護士になってある程度まとまった期間が経ったのだが…。 その間、イソ弁やったり、インハウス(その間は本社(つまり大きい会社)や子会社立ち上げ(つまり中小規模の会社))やったり、いまは独立してやっていたり。 いろいろ形を変えて試 ...

法務転職

弁護士の転職物語⑭|転職の含み益?

弁護士の転職物語は10回で終わるはずだったのですが、ぽつぽつ書きたいことを後から思い出すことも出てきたので、続けて書いていきたいと思います。 今回は、内定が複数もらえた場合の迷いの話、「メジャーを選ぶかマイナーを選ぶか」です。 転職活動を頑張り、幸いにして内定を複数もらえた場合、どこに行くか?を当然決めなければなりません。また、返事を待ってくれる期間には通常限りがありますし(長くて1週間~10日くらいか)、できればすぐ返事をした方が感じもいいので、あまり悠長に悩んでいる暇はありません(幸せな悩み、というや ...

インハウスローヤー

【転職後の話】企業内部から見た外部弁護士の見え方

数年間インハウスをやらせていただいたので、振り返ってみた感想などを書いてみたいと思います。 昔何かの記事で、”法務部のあるような企業の社員は弁護士を見る目があるから、弁護士は、顧問をする際には心してかからねばならない”というような内容の文章を見たことがあります。 が、管理人としては、自分が入ってみて、そうでもないのでは…?と思ったというのが本音です。 そうでもないというと少し言い過ぎかもですが、半分当たりで、半分はずれという感じがします。 というのは、法務部の人間であっても、顧問先の弁護士がやっている訴訟 ...

日記

トランプ時代と昔の過ちと貧すれば鈍す

トランプ氏の出現と,昔の過ちは似ているところがある,と指摘する人がいて,なるほどと思った。 記事か番組かでもトランプ氏を生んだのはオバマさんであると言っているのを見たことがあるが,その人は「ファシズムは大衆の絶望から生まれた」という指摘がある(P.F.ドラッカー『経済人の終わり』)といって,今の時代状況がこれと似ている,というのだ。 なるほど,オバマケアとか頑張ってみたものの,影で犠牲になっている層も多くいて,大衆の絶望が沸々と溜まっていた,ということであれば,なんとなくわかる気がする。そして次に出てくる ...

法律コラム

新聞記者と弁護士の共通点

個人的見解ですが、弁護士のなかの「このひと優秀だな!」と思う人のなかに、しばしばもと新聞記者がいます。 司法修習の同じクラスでもいたし(いわゆるいい事務所に内定が決まっていた)、この間研修にいったとときの講師ももと新聞記者とのことでした。 なぜなのかなあ、と思って考えてみるに、新聞記者と弁護士には共通点があると思ったわけです。 それは、「一定の徴表を探し出してきて、それを基に物語を組み立てる」という点です。 つまり事実認定です。 それぞれの違いはあると思いますが(新聞記者のそれはできる限り客観的・中立的に ...

子どもの権利

箇条整理シリーズ|いじめ防止対策推進法

実務や理論を箇条書きで整理する,「箇条整理」シリーズ。 今回は,いじめ防止対策推進法について。 触れる機会があったので、ほんの触りだけだが整理しておきたいと思う。 「いじめ」の定義 いじめの上記定義は極めて広いものになっている。 反復性、継続性、顕著性、重大性、一方性、などなど、範囲に絞りをかける要素はいくつか考えられると思うが、いずれも入っていない。 これは、いじめの有無が疑われる場合の学校側の対処として「今回の件は~だから、いじめには該当しない」という形での反論がなされ、解決を阻むことが多かったからと ...

犯罪被害者支援

箇条整理シリーズ|犯罪被害者支援

実務や理論を箇条書きで整理する,「箇条整理」シリーズ。 今回は,犯罪被害者支援について。 犯罪被害者支援も近年ひとつの実務ジャンルとして確立された感がありますね。 支援策の種類について,箇条整理したいと思います。ここに記したものがすべてではなく,相談ダイヤル等もたくさん設けられています。 主としては「刑事手続」「民事手続」という2本が柱になるわけですが,ほかにも「情報の入手」「経済的支援」「類型別の特徴」という3つを足しているものがあり,この5つで考えるのが全体を把握しやすいかと思います。 刑事手続 刑事 ...

法律コラム

感覚でわかる民事訴訟法|”歴史的証明”って何やねん

感覚でわかるシリーズ。 今回は、”歴史的証明”って何やねん?です。 民事訴訟法の勉強をしていると、「証明」概念の説明で、 「訴訟上の証明は、蓋然的な証明で満足するほかなく、いわゆる歴史的証明で足りる」 というような記述がありますよね。 最初に目にしたときには、歴史的証明って何やねんっ(*゚∀゚)っという感じですよね。管理人はそうでした。 これは要するに、訴訟上の証明というのは、現在ある痕跡から過去の事実を推認しているにすぎない、ということです。 だから、自然科学のような証明(数学の公式のような、1+1=2 ...

刑事弁護

箇条整理シリーズ|刑事扶助(刑事被疑者弁護援助)の要件

実務や理論を箇条書きで整理する,「箇条整理」シリーズ。 今回は,刑事扶助(刑事被疑者弁護援助)の要件について。 刑事扶助は,被疑者国選が利用できる場合には利用できないことになっているので,実際上,検討する機会は多くはないが,要件は以下のとおり。 刑事扶助(刑事被疑者弁護援助)の要件 ①対象者の要件 身体を拘束された被疑者であること。 ただし,被疑者国選の対象事件で勾留されている被疑者は含まれない。 その意味するところは,被疑者国選がフォローしていないケースで利用が検討される,ということである。 典型的には ...