高校生の君へ

法学部を目指す高校生へ|進路の探し方

2018年7月15日

Photo by Giammarco Boscaro on Unsplash

最近、依頼者の息子さんが高校生で進路を考えている時期とのことで(法学部も視野に入れているとのこと)、お話を聞かせてやってくれないかとお願いがあり、自分の高校の後輩であったこともあり、OBとして少し時間をとって話をしてみた。

いまは法学部のほかにロースクールというのがあってね、とか、法律の仕事ってこんなのがあるよ、とか。

そのときあまり上手く話せなかったので(下記リンク記事参照)、このブログでリベンジというか、罪ほろぼしをしたい。

あまり法学部とは関係ないが、まずは進路の探し方からだろう。

高校生の頃の自分に教えてあげたかったと思うこと。

いきなり将来のことを決めなくてもいい

もちろん自分の将来像がはじめからはっきり決まっているならそれが一番いい。

だが、高校生の時分から将来像がはっきり決まっている人はほとんどいないだろう。

高校生までの学校教育で、自分に何が向いているのか、世の中にはこんな仕事があって、自分はそのなかでこんな仕事が好きそうだ、などと考えさせてくれる機会はほぼ無い。

ピアノとか将棋とかで幼少時から才能を発揮しプロを目指すことがはっきりしているとか、身近に優秀なプログラマがいて自分も将来はこの分野で起業するのだから学校の勉強はそこそこでいいのだ、とか、ある種特異な状況に恵まれた人以外は、明確な目的意識を持つきっかけが無い。

だから思い浮かばなくて無理もないのだから、焦らなくていい。

少なくとも管理人はそうだった。「つぶしがききそう」という理由で法学部を選択した。

遠くにいるクジラ(夢)も近づくにつれ見えてくる

何の本で読んだか忘れたが、夢のたとえ話だったと思う。

クジラのように大きいものであっても、遠くにいる間はほとんど見えない。

でもそこにはきちんとある。

今は遠いだけで、一歩一歩近づいていくにつれて、徐々に輪郭がはっきりしてくる、という話。

これは自分の人生を振り返ってみてもそうだったような気がするし、うまいたとえだと思う。

管理人の場合は、こんな感じ。

法学部に入って法律の勉強をしてみる。
(法律系の仕事や弁護士の仕事など知らない)

司法試験を受けてみて専門性の高い勉強をしてみる。
(弁護士の仕事ってこんなだろうかという想像ができるようになる)

合格後、司法修習という実務研修(管理人のときは1年間)をしてみる。
(実際の仕事を見て胸を弾ませる)

司法修習後、実際に仕事をしてみる。
(徐々に実像がわかり、ときには吐きそうになる(笑))

だから、実際にやっているうちに少しずつ見えてくる、というのは間違いない。

しかし。

上記の流れを見ればわかるように、管理人は大学生の割にリサーチ不足なのである。

そのぐらいの年齢になれば、もう少し法律事務所の仕事がどんなか具体的に調べる機会はあるだろうに、なんとなくきてしまっている。

つまり、高校生のときにどうするかより、大学生(or専門学校生)のときにどうするかの方がより重要、というのが管理人の意見である。

この局面においては、自分がこの仕事を好きになれそうかを具体的に調べる、性分にあってなければ回避する、という判断をすることが大事。

年齢的にもそれができるようになっているはず。

「好き」のパーツを集める

冒頭の依頼者の息子さんの高校(管理人の母校)はなかなかシブいところで、修学旅行に選択コースが設けられており、どうもその息子さんは裁判所を見学したようである。(管理人の頃は選択コースなるものは無かったが…)

そこで見た「議論」に何か感じるものがあったらしく(どうやら特殊詐欺の否認事件だった模様)、法学部というのもいいかなと思ったそうだ。また、安定志向なのでそこも合っているのでは、と。

重要なことを議論している感じ、にインスピレーションを受けた、ということだが、こういうものは大事にしていいと思う。偶然で片付けるのは勿体ない。

議論している感じがワクワクしたなら、そこを手掛かりに、法律の世界でもいいし、他の世界でもいいし、とにかく「自分はどうもこういうものが好きそうだ」というパーツを高校生のうちに覚えておくとよいと思うのである。

そしてそれを意識して進学し、大学生(or専門学校生)のときに、より具体化する。

そして卒業時には、ひとつのものに集約しなければならない。

こういった「段階を踏んでいく」という考え方が現実的であるように思う(高校生のうちに将来の夢を決めろというのは非現実的であると思う)。

だから繰り返しになるが、焦らなくていい。

高校生の間は好きなパーツを集めて(時間がないなら思い出し)、大まかな方向性(なんとなくこの方向に自分の好きなものがありそうだという方向性)を見出し、それに沿う学部を選ぶ。

本番はその次。大学で具体的に考えることである。

もしも大学で見出したやりたい仕事が自分の入った学部とズレていても、それで即アウトということにはならない。例えば、農学部卒だが全然関係ない商社に行った人もいた。

大学入学後に転部できる

ここから先は補足事項だが、大学入学後に転部することもできる。

転部の可否や条件については大学によって異なるだろうから、それは調べてほしい。

大学に入ったあと、「自分の学部は卒業後に何の仕事をするのかわからん」という理由で、法学部や経済学部に転部してくる人はぼちぼちいた。

こういうオプションもある、という話。ただ、転部ありきで検討するのを勧めるわけではない。

迷いに迷ったら、という話と思ってほしい。

文転は可能だが理転はムズい

これは上記の転部の話ではなく、人生が進んだ段階で大転換を図ろうとするときの話だが、理系転向は事実上できないと思う(しんどすぎて)。

だから高校生のときの理系、文系の決定はやっぱり重要である(この点は周知の通りだろうと思うので特に書かない)。

ちなみに、弁護士で高級ダブルライセンスになろうとするときも、

✓ 医師になってから → 弁護士になる
✓ 公認会計士になってから → 弁護士になる

という風に、理系→文系の順序の方が、逆の順序に比べて容易であると思う。

前者で逆の順序は管理人は聞いたことがないし、後者で逆の順序は知っているが稀である(後者は理系というわけではないが)。

まあ、4.と5.は参考のお話。

さて、高校生に参考になる話が出来ただろうか…。

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