とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

契約書本文

契約の一般条項を勉強しよう|契約の有効期間

今回は、契約の一般条項を勉強しようということで、契約の有効期間について見てみたいと思います。 ※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 一回的契約と継続的契約 契約の有効期間を定める必要があるのは、継続的契約の場合です。 継続的契約には、わかりやすい例でいうと、賃貸借契約や業務委託契約などがあります。契約に基づく給付が継続的に行われるものになります(賃貸借は”貸し続ける ...

法務一般

法務の基礎を勉強しよう|期間の計算

今回は、法務の基礎を勉強しようということで、期間の計算について見てみたいと思います。 座学のときは地味すぎてあんまり真面目にやらない分野ですが、実務では意外と必要になるのが期間の計算方法です。 そんなに難しい話ではないので、一回しっかり見ておいても損はないかと思います。また、一回はしっかりと見ておかないと、意外と頭に入ってこない分野でもあります。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 期間の計算の全体構造 民法の条文 期間の計算についての一般的な方法を規定しているのは ...

不正競争防止法

不正競争防止法を勉強しよう|混同惹起行為と著名表示冒用行為

今回は、不正競争防止法を勉強しようということで、不正競争行為のうち混合惹起行為と著名表示冒用表示について見てみたいと思います。 混同惹起行為と著名表示冒用行為は、どちらも他人のマークにただ乗りする行為の規制(商標法とも関連する)ということで、セットで見た方がわかりやすいかと思います。 なお、ネットでも見られるテキストとして、経産省HPに「不正競争防止法テキスト」(スライド形式)と「逐条解説 不正競争防止法」が掲載されています。 ▷不正競争防止法(知的財産室)|経産省HP ではさっそく。なお、引用部分の太字 ...

不正競争防止法 営業秘密管理

不正競争防止法を勉強しよう|営業秘密に係る不正行為-行為類型

今回は、不正競争防止法を勉強しようということで、不正競争行為のうち営業秘密に係る不正行為について見てみたいと思います。 なお、ネットでも見られるテキストとして、経産省HPに「不正競争防止法テキスト」(スライド形式)と「逐条解説 不正競争防止法」が掲載されています。 ▷参考リンク:不正競争防止法(知的財産室)|経産省HP ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 基本構造 営業秘密に係る不正行為は、「営業秘密」の定義(3要件)と、これに関する「不正行為」の類型(6類型)が定 ...

法律コラム

結婚しないと「いけない」の?-「結婚」制度をシステム的に見たときの意味

先日、元でんぱ組.incの最上もがさんが妊娠を発表されてましたね。ニュースによれば、結婚する予定はないということでした。 理由はわからないですし、管理人自身は是とか非とかの感想はないですが、これからこういう選択をする男女も増えていくんだろうなぁと思いました。 実際のところ、結婚の法的な意味っていうところでいうと、実は、法定相続権を発生させること以外にさほど大きな意味はないんですよね。(←私見です) 結婚の社会的意味は普遍的になくなることはないと思うんですけど、価値観が多様化するなかにあって、結婚の社会的意 ...

インターネット 法改正

発信者情報開示制度の改正論|11月最終取りまとめ案

ネット誹謗中傷の問題に関して、発信者情報開示制度の改正論が引き続き注目されていますが、総務省の「発信者情報のあり方研究会」から、先日、11月を目途と言われていた最終取りまとめの案が出されていました。 ニュースとしては、たとえばこちら。 ▽ネット中傷、訴訟しなくても投稿者を開示 総務省が検討|朝日新聞デジタルhttps://www.asahi.com/articles/ASNCD6G17NCDULFA018.html 最終とりまとめ(案)の原文はこちらから。 ▽発信者情報開示の在り方に関する研究会(第10回 ...

内部通報

公益通報者保護法を勉強しよう|事業者における内部通報制度-整備と運用

今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、事業者における内部通報制度の整備・運用について見てみたいと思います。 適宜、令和2年改正前の内容にも触れています。 ▽令和2年改正の内容についてはこちら ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 内部通報制度の設計 何でもそうですが、社内の制度は仕組みの設計→規程化が基本になりますので、本記事ではそのスタンスでまとめてみたいと思います。 大きく「内部通報制度の設計」→「内部通報制度の規程化」の順に見ていきます まず、内部通 ...

内部通報

公益通報者保護法を勉強しよう|事業者における内部通報制度-法的位置づけ

今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、事業者における内部通報制度の法的位置づけについて見てみたいと思います。 令和2年改正によって新設されたものが多いですが、記事の後半部分では、令和2年改正前の内容にも参考として言及しています。 ▽令和2年改正の内容についてはこちら ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 内部通報制度の法的な位置づけ 内部通報制度の整備は、従業員が300人を超える事業者の場合には法的義務となっています(300人以下の事業者の場合は努力義務) ...

内部通報

公益通報者保護法を勉強しよう|事業者や行政機関の通報対応

今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、通報を受けた側の対応の話、すなわち事業者や行政機関の通報対応について見てみたいと思います。 令和2年改正により法定指針として内容が再整理されていますが、記事の後半では、改正前の内容も参考として残しています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事業者内部に通報があった場合 まず、事業者内部に通報があった場合の対応からです。 これについては、法定指針の中で、内部通報体制の一内容として規定されています。場所としては以下の ...

新判例

東京高判令和2年11月5日|モバゲー免責条項事件判決

今回は、先日、モバゲー免責条項事件の東京高裁判決(令和2年11月5日)が出ていたので、これについて見てみたいと思います。 免責条項というのは、要するに損害賠償責任を免除する条項のこと(債務不履行に基づく損害賠償責任と不法行為に基づく損害賠償責任がある)で、全部免責のケースや一部免責のケースがあります。 会員資格取消措置などをとったことで損害が生じても損害賠償には一切応じない、とするモバゲー規約の条項は、消費者契約法に違反する(事業者の全部免責を定める不当条項にあたる)との内容です。 ▽モバゲー規約、二審も ...

内部通報

公益通報者保護法を勉強しよう|公益通報の効果(公益通報者の保護)

今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、公益通報の効果(公益通報者の保護)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 解雇の無効など 労働者の場合(法3条) 公益通報の効果の1つ目は、公益通報したことを理由とした解雇の無効です(3条)。 ▽法3条 (解雇の無効)第三条 労働者である公益通報者が次の各号に掲げる場合においてそれぞれ当該各号に定める公益通報をしたことを理由として前条第一項第一号に定める事業者(当該労働者を自ら使用するもの ...

内部通報

公益通報者保護法を勉強しよう|公益通報の要件-通報先と保護要件

今回は、公益通報の4つの要件(①通報の主体、②通報の内容、③通報の目的、④通報先)のうち、④について見てみたいと思います。 ①~③については前の記事に書いています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線、改行などは管理人によるものです。 通報先の要件 通報先の要件は、以下のとおり、大きく2つに分かれます(①かつ②)。 【通報先の要件】 通報先の類型通報先が、①事業者内部、②権限のある行政機関、③その他の事業者外部のどれかであること(2条1項) 保護要件通報先の類型(3類型)ごとに決まっている保護要件を ...