とある法律職
法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。
今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、公益通報の4つの要件のうち、①通報の主体、②通報の内容、③通報の目的について見てみたいと思います(④通報先の要件については次の記事にて)。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 通報の主体 通報の主体(つまり保護される人)は、 労働者(つまり、通報時現在において雇用されている人) 退職者(ただし、退職後1年以内の通報に限る) 役員(ただし、外部通報の場合には、原則として内部での調査是正措置を前置することが必要) となっ ...
今回は、公益通報者保護法を勉強しようということで、規制の仕組み(全体像)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 法の目的・内容 「公益通報者保護法」(平成16年法律第122号)は、これが正式名称となっています。 法律の分量としては実は22条までしかなく、もし全部を読んでもそれ程の分量はありません(ほかの法律に比べればという意味)。 法の目的は、以下のとおりとされています。 ▽法1条 (目的)第一条 この法律は、公益通報をしたことを理由とす ...
今回は、独占禁止法を勉強しようということで、不公正な取引方法のうち取引妨害、内部干渉について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 取引妨害・内部干渉のグループ 取引妨害・内部干渉は、告示類型のみとなっています。 ①競争者に対する取引妨害(一般指定14項)と②競争会社に対する内部干渉(一般指定15項)があります。どちらも、競争相手に対するものです。 全体像は以下のとおりです。 「取引妨害・内部干渉」のグループ(6号ヘ参照) 行為類型細分類法定類型 ...
今回は、独占禁止法を勉強しようということで、違反に対する措置のうち刑事罰と民事責任について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 違反に対する措置(エンフォースメント)の全体像 独禁法の違反に対する措置・制裁には、行政・刑事・民事の3種類全てが存在します。 ちなみに、違反に対する措置(実効性確保のための諸制度)のことを「エンフォースメント」といったりしますが、これは「執行」という意味で、普通の言葉でいうと"実現"という意味です。 例えば、民事執行 ...
今回は、独占禁止法を勉強しようということで、企業結合審査について見てみたいと思います。 企業結合規制の類型については、前の記事に書いています。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 企業結合審査 企業結合審査に関する主な法令等は、以下のようになっています。 法律公取規則解釈・運用独占禁止法➢届出等規則(「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第九条から第十六条までの規定による認可の申請、報告及び届出等に関する規則」)➢意見聴取規則(「公正取引委員会の意見聴取に関 ...
今回は、独占禁止法を勉強しようということで、違反行為に対する措置のうち行政措置について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 違反に対する措置(エンフォースメント)の全体像 独禁法の違反に対する措置・制裁には、行政・刑事・民事の3種類全てが存在します。 ちなみに、違反に対する措置(実効性確保のための諸制度)のことを「エンフォースメント」といったりしますが、これは「執行」という意味で、普通の言葉でいうと"実現"という意味です。 例えば、民事執行とい ...
芸能人で俳優の方の件が話題になっていますが、以前は女性アイドルの方の事件も話題になったりして、ひき逃げの事件はたまにニュースになっている印象があります。 「ひき逃げ」という呼び方はよく聞きますし、ニュースでもそのように報道されますが、これは法律的には何なのか?ということを書いてみたいと思います。 なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 道交法上の救護義務違反 結論からいうと、「ひき逃げ」というのは社会的な通称で法律上の名称ではなく、法律上は、道路交通法上の救護義務違反・報告義務違反と ...
今回は、独占禁止法を勉強しようということで、企業結合規制について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 企業結合規制 企業結合規制は、競争を制限することとなるような企業の組織変更を規制するものです。 会社の株式取得、合併、分割、共同株式移転、事業の譲受けなどによって競争が実質的に制限されることとなる場合に、こうした企業結合が禁止されます。 なお、独禁法全体の位置づけから見ると、企業結合は、私的独占に対する規制の補完的・予防的規定といわれます。 と ...
今回は、独占禁止法を勉強しようということで、不公正な取引方法のうち地位の不当利用(=優越的地位の濫用)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 地位の不当利用のグループ 地位の不当利用(=優越的地位の濫用)には、法定類型と告示類型の両方があります。 法定類型には、①取引に関係ない商品・役務の購入(購入要請)、②金銭役務・経済上の利益提供(利益提供要請)、③取引条件の不利益変更の3つがあります(法2条9項5号)。 告示類型は、④取引の相手方に ...
今回は、下請法を勉強しようということで、下請法の違反行為に対する措置等について見てみたいと思います。 違反行為がないかどうかの調査→違反行為に対する措置→違反行為や調査忌避に対する罰則、の順に見てみます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 調査(報告徴収、立入検査) 調査の方法 調査の方法としては、報告徴収と立入検査が下請法に規定されていますが(法9条)、実際は、任意の書類提出や任意の実地調査があります。 任意の調査 任意の書類提出は、実務上最も多く行われているも ...
今回は、下請法を勉強しようということで、親事業者の義務のうち取引記録書類(5条書類)の作成・保存義務について見てみたいと思います。 下請法の適用対象になったとき、親事業者には以下のような4つの義務が課せられます。 【親事業者の4つの義務】 ① 発注書面の交付義務 (第3条) ② 取引記録書類の作成・保存義務 (第5条)←本記事③ 支払期日を定める義務 (第2条の2) ④ 遅延利息の支払義務 (第4条の2) その中で、本記事は黄色ハイライトを引いた箇所の話です。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改 ...
今回は、下請法を勉強しようということで、親事業者の禁止行為のうち4条2項のグループについてざっと見てみたいと思います。 下請法の適用対象になったとき、親事業者には以下のような11の禁止事項が課せられます。 【親事業者の11の禁止事項】(4条1項のグループ)①受領拒否の禁止②下請代金の支払遅延の禁止③下請代金の減額の禁止④返品の禁止⑤買いたたきの禁止⑥購入・利用強制の禁止⑦報復措置の禁止(4条2項のグループ)←本記事⑧有償支給原材料等の対価の早期決済の禁止⑨割引困難な手形の交付の禁止⑩不当な経済上の利益の提 ...