とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

下請法

2021/4/29

下請法を勉強しよう|取引の内容ー製造委託、修理委託

今回は、下請法を勉強しようということで、適用要件のうち取引の内容に関するものについて書いてみたいと思う。   下請法の適用対象となる取引の内容には、Ⅰ 製造委託、Ⅱ 修理委託、Ⅲ 情報成果物作成委託、Ⅳ 役務提供委託の4つがあるのだが、本記事ではIとIIを取り上げたい。   ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線は管理人によるものです。     製造委託 物品を販売し、または製造を請け負っている事業者が、規格、品質、形状、デザイン、ブランドなどを指定して、他の事業 ...

下請法

2022/12/15

下請法を勉強しよう|資本金区分(取引の主体に関する要件)

今回は、下請法を勉強しようということで、適用要件のうち取引の主体に関するもの、すなわち資本金区分について書いてみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 資本金区分(取引の主体に関する要件) 下請法では、資本金の大小を”優越的地位”の判断基準としていて、資本金の額が、親事業者と下請事業者を画する基準となっている。 ざっくり結論をいうと、画する基準には、 3億円基準(3億円の前後で分ける) 5000万円基準(5000万円の前後で分ける) 1000万円基準( ...

下請法

2022/12/15

下請法を勉強しよう|規制の仕組み【全体像】

今回は、下請法を勉強しようということで、まず規制の仕組み(全体像)を見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 規制の目的 下請法の正式名称は、「下請代金支払遅延等防止法」(昭和31年法律第120号)という。 下請法は、親事業者による下請事業者に対する優越的地位の濫用行為を取り締まるために制定された法律である。 目的規定は、以下のとおり「親事業者の下請事業者に対する取引を公正ならしめ」、「下請事業者の利益を保護」することである。 ▽下請法1条 (目的 ...

独占禁止法

2020/11/9

独占禁止法を勉強しよう|不公正な取引方法ー不当拘束

今回は、独占禁止法を勉強しようということで、不公正な取引方法のうち不当拘束について書いてみたいと思う。   ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線は管理人によるものです。     不当拘束 不当拘束は、独禁法2条9項6号ニに代表されるグループである。     不当拘束には、①再販売価格維持行為(法2条9項4号イ・ロ)、②排他条件付取引(一般指定11項)、③拘束条件付取引(一般指定12項)の3つがある。       法律 告示 ...

労働法 法改正

2020/10/22

同一労働同一賃金|行政ADR等の整備

今回は、同一労働同一賃金の解説ということで、「公正な待遇の確保」の3本柱のうち3つ目、行政による履行確保措置と行政ADRの整備について書いてみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線は管理人によるものです。 改正前後の法令比較 「行政による履行確保措置と行政ADRの整備」に関して、改正前後の法令を整理して表にすると、以下のとおり。 これは、いわゆる働き方改革関連法(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」平成30年法律第71号)の「公正な待遇の確保」の3本柱のうち、3つ目 ...

労働法 法改正

2020/10/21

同一労働同一賃金|派遣労働者の場合ー派遣先均等・均衡方式または労使協定方式

今回は、同一労働同一賃金の解説ということで、派遣労働者における「同一労働同一賃金」の内容について書いてみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線などは管理人によるものです。 改正前後の法令比較 いわゆる働き方改革関連法(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」平成30年法律第71号)で出来たわけだが、派遣労働者の同一労働同一賃金について、改正前後の法令を表で比較すると、以下のとおり。 非正規雇用の類型 同一労働同一賃金 改正前 改正後 派遣労働者 均等待遇 なし ➢派遣先 ...

労働法 法改正

2020/10/20

同一労働同一賃金|パート・有期労働者の場合ー均等待遇・均衡待遇

今回は、同一労働同一賃金の解説ということで、パート・有期労働者における「同一労働同一賃金」の内容について書いてみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線などは管理人によるものです。 改正前後の法令比較 いわゆる働き方改革関連法(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」平成30年法律第71号)で出来たわけだが、パート・有期労働者の同一労働同一賃金について、改正前後の法令を表で比較すると、以下のとおり(ここがごちゃごちゃしてわかりにくいところだと思う)。 非正規雇用の類型 同 ...

労働法 新判例

2020/10/19

非正規訴訟の解説|ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件最高裁判決

今回は、非正規訴訟の解説ということで、ハマキョウレックス事件と長澤運輸事件という2件の最高裁判決について書いてみたいと思う。 最近、非正規訴訟について一連の最高裁判決が出てニュースでも取り上げられているが、この2件の最高裁判決がいわゆる法理判例で先例になっている。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線は管理人によるものです。 改正前・労働契約法20条 判決を見る前に、いったい何の話をした判決だったのか?ということについて、少しだけ前置きを。 2件の最高裁判決は、同一労働同一賃金に関する法改正(いわゆる ...

労働法 法改正

2020/10/19

同一労働同一賃金|待遇に関する説明義務の強化

今回は、同一労働同一賃金を勉強しようということで、「公正な待遇の確保」の3本柱のうち2つ目、待遇に関する説明義務の強化について書いてみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線などは管理人によるものです。 改正前後の法令比較 「労働者に対する待遇に関する説明義務の強化」に関して、改正前後の法令を整理して表にすると、以下のとおり。 これは、いわゆる働き方改革関連法(「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」平成30年法律第71号)の「公正な待遇の確保」の3本柱のうち、2つ目であ ...

労働法 法改正

2020/10/18

同一労働同一賃金|働き方改革関連法、均等待遇・均衡待遇

今回は、同一労働同一賃金の解説ということで、働き方改革関連法と、均等待遇・均衡待遇の基本的な考え方について書いてみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字や下線などは管理人によるものです。 働き方改革関連法 同一労働同一賃金は、働き方改革関連法のなかのひとつなので、全体像を少し見ておきたい。(※なお、法改正で突然出てきたように見えるが、同一労働同一賃金(=Equal pay for equal work)という概念自体は労働法の基本理念として以前からある。) 働き方改革関連法の正式名称は、「働 ...

法務転職

2020/10/16

【弁護士の転職】転職のタイミングについて|退職するかどうかを相談するか?

今回は、転職のタイミングについて書いてみたいと思います。なお、タイトルは弁護士の転職としていますが(管理人個人の経験談という意味で)、弁護士とか特に関係ない話です。 ややバイアス(管理人の主観)の強い記事かな…?とも思うので、もし気になる方はブラウザバックしていただければと。 前向きの力と後ろ向きの力 退職は、人によって、次にやりたいことができたときとか、だいたい今のことを回したなと思うときとか、いまひとつ向いてない気がするなと思ったときとか、いろいろタイミングはあると思う。 それで、もちろん、好きなとき ...

労働法

2020/10/16

労働法を勉強しよう|労働市場法ー職業紹介、労働者供給

今回は、労働法を勉強しようということで、労働市場法のうち”労働者の需給”といわれる分野について書いてみたいと思う。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 労働者の需給に関する法規制 労働市場法のうち、職業紹介や労働者供給に関する法規制である。 労働市場においては求人側と求職側が何らかの形で結び付くわけだが(自力で結びつくor他者を介して結びつく)、そこに他者が介在する場合、あっせんの過程などに何の規制もなく介入できるとすると中間搾取等が行われるおそれがある。 そこで、 ...