商標法

商標法を勉強しよう|商標の機能

著作者:Freepik

今回は、商標法を勉強しようということで、商標の機能について書いてみたいと思います。

そもそも論として重要な話ですが、抽象的な話で、一般の法務にすぐ役立つものではないので、飛ばしてもよいかと思います。ただ、基本書にも実務書にも普通載っているので、一応書いてみます。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 本カテゴリ「法務情報」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いていますので、感覚的な理解を掴むことを目指しているのですが、書籍などを理解する際の一助になれれば幸いです。

商標の機能

商標の機能としては、自他識別機能から、①出所表示機能、②品質保証機能、③宣伝広告機能の3つの機能が派生する、といわれている。

  • 出所表示機能
  • 品質保証機能
  • 宣伝広告機能

上記3つは、商標の三大機能と呼ばれている。

「自他識別機能」というのは、機能というか商標の根本そのもののことで(管理人の理解)、自分の商品・役務と他者の商品・役務とを区別できる機能、のことである。(役務とは、サービスのこと)

これは、前の記事に書いたような、”特定の文字やロゴなどを見たときに、特定の商品が思い浮かぶ”という機能をイメージすればよいと思う。

前の記事で、ツッパリとヤンキーの例え話をしましたが、ヤンキーはツッパリの髪型(というトレードマーク)をすることで、ヤンキーとその他大勢を区別している、ということです。
(現実の世界ではなくマンガの世界をイメージしていただければと。以下同じ)

ツッパリを見るとヤンキーが思い浮かぶ、つまり、ヤンキーとその他大勢が区別されている、ということです。

特許庁の知的財産権制度入門テキストでは、以下のように説明されている。

商標は、実際の取引において商品又は役務を識別するための標識として使用することによって、以下のような役割(※管理人注:①出所表示機能、②品質保証機能、③宣伝広告機能)を果たします。これを「商標の三大機能」といいます。

(「知的財産権制度入門テキスト」〔2022年度〕(特許庁)80頁)

出所表示機能

「出所表示機能」というのは、同じ商標が使用されている商品・役務は、常に同じ出所(メーカーなど)から出ていることを示す機能、のことである。

例え話の続きをすると、ツッパリ(というマーク)をしているので、おれはヤンキーだぜ、ということです。

アッサリとした説明になるが、結局、出所表示機能が最も重要である。

なお、出所というと、商品のメーカーやサービス事業者が思い浮かぶが、これらに限らず、流通ルートつまり商品の販売業者なども含まれる。

品質保証機能

「品質保証機能」というのは、同じ商標が使用されている商品・役務の品質は、いつも同じであることを示す機能、のことである。

なお、語感が紛らわしいが、「品質が良いこと」を保証する機能ではない。良かろうが悪かろうが、「品質が同一であること」を示す機能のことである。

いわゆる"高級品"とか"中級品"とか"廉価品"とかいった言葉があるが、どの品質水準であれ、同じ商標のついた商品を買っているのに、買うたびに品質がバラバラということは普通ない。そういうことである。

例え話の続きをすると、ツッパリ(というマーク)をしている人はヤンキーなので、教師のいいなりにならない、その他大勢にも流されない、といったパーソナリティが保証されている、ということです。

特許庁の知的財産権制度入門テキストでは、以下のように説明されている。

一定の品質や質を保った商品や役務を提供することにより、需要者から信用や信頼が得られ、その商品や役務につけられている商標を見ただけでどのような品質の商品か、又は、どのような質の役務かが分かるようになります。

(「知的財産権制度入門テキスト」〔2022年度〕(特許庁)80頁)

なお、役務の場合は、厳密にいうと質、というのはおかしいので、「質保証機能」と呼ばれることもあるようである(「新・商標教室」(小谷武)35頁)。

宣伝広告機能

「宣伝広告機能」というのは、商標がくり返し使用されることにより、需要者に記憶され、商品・役務の需要を増大させる機能、のことである。

例え話の続きをすると、ツッパリ(というマーク)をしているヤンキーを見て、”教師の言いなりにならず、その他大勢にも流されない…。ヤンキーってかっこいい!”とか、”おれもヤンキーになりたい!”と思わせる、ということです。

特許庁の知的財産権制度入門テキストでは、以下のように説明されている。

テレビや新聞等で自己の商標を付した商品・役務を広告することは、今までその商品・役務を利用していた需要者に対しては、さらにその信用・信頼を深く印象付けることになります。また、今までに利用したことのない需要者に対しても、そのイメージを深く印象付けることによって購買意欲を持たせることになります。

(「知的財産権制度入門テキスト」〔2022年度〕(特許庁)80頁)

結び

今回は、商標法を勉強しようということで、商標の機能について書いてみました。

商標法で法的に保護しようとしている機能はどこまでか、といったような議論もありますが、即戦力的な知識ではないので触れず、さらっと流しています。


主要法令等

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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

  • この記事を書いた人

とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。
経歴:イソ弁、複数社でのインハウスローヤー、独立開業など。
自分の転職経験、会社法務や法律相談、独立開業の話などをアウトプットしています。

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