契約の一般条項

契約の一般条項|トラブル時の強い味方「解除条項」を解説~無催告解除・解除事由の定め方など

2025年3月28日

今回は、契約の一般条項ということで、解除条項について見てみたいと思います。

※「契約の一般条項」というのは、ここでは、いろんな契約に共通してみられる条項、という意味で使っています

取引先が代金を支払わない、約束した目的物が引き渡されないなど、ビジネスにおいてトラブルはつきものです。そのような場合も含め、あらかじめいくつか指定した事態に陥ったときに、即座に関係を断ち切る(「もうこの会社とは取引をやめる!」と契約関係を終わらせる)ためのルールが、この解除条項です。

本記事では、なぜわざわざ契約書に書く必要があるのか、実務で気をつけるべきポイントはどこかなどを、できるだけわかりやすくまとめていきます。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

解除の種類

はじめに、そもそも解除にはどんな種類があるのか(=解除条項の解除はその中でどういう位置づけになるのか)を見ておきます。

法律に基づく解除は①法定解除と呼ばれますが、そのほかにも、②約定解除、③合意解除があり、大きく3種類があることになります。解除条項に基づく解除は、このうち②約定解除にあたります

解除の種類(解除権の発生原因による分類)

法定解除契約類型に共通の解除(民法)(例:債務不履行による解除)
契約類型に個別の解除(民法)(例:請負契約における注文者の解除)
民法以外の解除
約定解除契約に埋め込んだ解除
合意解除都度の合意による解除(解除自体を合意する)

また、法定解除と約定解除は一方的解除、合意解除は双方の合意による解除になります。

法律上の原則

では、契約に解除条項がなかった場合はどうなるか(=法律上の原則)というと、上記の表のうち、約定解除にあたるものが何もないという状況になります。

つまり、法定解除か、合意解除のみを検討することになります(逆にいうと、そのどちらにもよることができない状況ならば、解除はできないということになる)。

合意解除ができるような場合は、そもそもそんなにシビアな状況ではないということですので、比較的容易に解決しますが、相手が解除に応じておらず、一方的解除によらざるを得ない場合には、法定解除を探すしかなくなるわけです。

法定解除の典型で実際にもよく使われる解除は、いわずもがなですが、債務不履行による解除です。詳しくは以下の関連記事で解説していますが、ここでも簡単に見ておきます。

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契約の一般条項|債務不履行による解除(法定解除)~解除条項に関連して

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催告解除と無催告解除

債務不履行による解除は、民法上、「催告解除」と「無催告解除」に分けて規定されています。

▽民法541条:催告解除

(催告による解除)
第五百四十一条
 当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

債務者が債務を履行しない場合に、債権者が相当の期間を定めて履行の催告をし、その期間内に履行がないときに解除権が発生します(本文)。

▽民法542条:無催告解除(※【 】は管理人注)

(催告によらない解除)
第五百四十二条
 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。
  債務の全部の履行が不能であるとき。【=全部の履行不能
  債務者がその債務の全部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。【=債務者による明確な履行拒絶
  債務の一部の履行が不能である場合又は債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示した場合において、残存する部分のみでは契約をした目的を達することができないとき。【=一部の履行不能または一部の履行拒絶が契約目的達成不能をもたらす場合
  契約の性質又は当事者の意思表示により、特定の日時又は一定の期間内に履行をしなければ契約をした目的を達することができない場合において、債務者が履行をしないでその時期を経過したとき。【=定期行為における履行遅滞(改正前民法542条に対応)】
  前各号に掲げる場合のほか、債務者がその債務の履行をせず、債権者が前条の催告をしても契約をした目的を達するのに足りる履行がされる見込みがないことが明らかであるとき。【=その他契約目的達成不能の場合
 次に掲げる場合には、債権者は、前条の催告をすることなく、直ちに契約の一部の解除をすることができる。
  債務の一部の履行が不能であるとき。
  債務者がその債務の一部の履行を拒絶する意思を明確に表示したとき。

無催告解除は、契約全部の無催告解除(1項)と、契約の一部の無催告解除(2項)に分けて規定されています。1号~5号まで無催告解除事由が列挙されていますが、これらはいずれも、債務不履行により契約目的の達成が不可能になったと評価できるという考え方に基づきます。

【ポイント】民法改正の影響

 2020年4月施行の改正民法により債務不履行による解除のルールが変わっていますが、主なポイントは次の2点です。

  • 帰責事由は不要に:以前は、解除するためには違反した側に故意・過失(帰責事由)が必要だと解釈されていましたが、改正により、相手方の帰責事由に関わらず解除できるとされました。これは、解除という制度を「相手への制裁」ではなく「債権者を契約の拘束力から解放するための手段」と位置づけたためです
  • 軽微な違反では解除できない:催告をして解除しようとする場合でも、その違反が「契約や取引上の社会通念に照らして軽微」であるときは、解除できないというルールが条文に明記されました(軽微性の抗弁。541条ただし書)

 後者については、契約書を作成・チェックする際は、いざという時に「この違反は軽微だから解除できない」と反論されるのを防ぐため、自社にとって重要な義務違反については「軽微であるか否かにかかわらず解除できる」と明記したり、違反が重大なものであることを具体的に規定したりする工夫も考えられます。

解除条項の法的意味

契約書における解除条項は、民法上の法定解除(履行遅滞や履行不能に基づく解除)とは別に、あらかじめ当事者間で「このような事態が生じたら契約を解除できる」と定めておく合意です。また、法定解除の手続要件(相当期間の催告など)を緩和し、機動的かつ迅速に契約関係から離脱することも目的として設けられます。

相手が約束を破ったら、法律(民法)のルールで解除できるんだから、わざわざ契約書に書かなくてもいいのでは?と思うかもしれません。確かに、先ほど見たように、契約書に解除条項がなくても法定解除を検討することはできます。

しかし、解除の実質的要件(解除事由)、解除の手続的要件(催告の要否)の両面について、法定解除のみでは解除をしたい当事者にとって不十分な場合があります。

くり返しになりますが、「合意解除すればいいや」では話は済まないことがほとんどです。当然ですが、相手が解除に応じなければ、合意解除はできないためです

シビアな状況では、一方的解除をしないといけないですが、それには法定解除か、あらかじめ契約に埋め込んだ約定解除しかないわけで、そのときに法定解除しかなければ、手札が詰むことになります。そこで、あらかじめ契約書で「こういうトラブルが起きたら解除できる」というルール(解除事由)を具体的に定めておき、契約関係から離脱できるようにしておく必要があります。

また、民法の原則に従って解除しようとすると、基本的には相当の期間を定めて催告し(まずは履行を促す)、それでも期間内に履行がないなら解除するというステップを踏まなければなりません。これでは、急を要する事態では非常に不便な場合があります。

そのため、事前の準備としては、解除事由を列挙し、かつ手続面も考慮に入れた約定解除をあらかじめ契約書に埋め込んでおくべき(=解除条項を定めておく)ということになります。

では、実際に解除条項の記載内容について見ていきましょう。

解除条項の記載内容:手続的要件(催告の要否)

無催告解除の定め

まず、手続面の修正からです。契約書の解除条項でよく見るのが、「以下のいずれかに該当したときは、何らの催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる」といった無催告解除の規定です。

無催告解除は、法定の無催告解除以外にもこれを可能とするために定められますが、相手方に猶予を与えずに即座に契約を終わらせる手段なので、適用される事由は、相手の信用状態が悪化した場合など、債務の履行がおよそ期待できない重大な事態に絞られるのが通常です。具体的には以下のようなケースがよく規定されます(※詳しくは後述)。

  • 信用不安:支払停止や支払不能に陥った、手形が不渡りになった、差押えを受けた、租税公課を滞納したなど
  • 倒産手続:破産、民事再生、会社更生、特別清算などの申立てがあったとき
  • 行政処分:監督官庁から営業の取消しや停止処分を受けたとき

催告解除の定め方の2パターン

なお、催告解除の定め方に関しては主に2つのパターンがありますので、ここで一緒に見ておきます。

パターン1:催告解除と無催告解除を別々の項で規定するパターン

1つめは、一般的な契約違反に対する催告解除と、信用不安等に対する無催告解除を、1項と2項に分けて規定する形です(オーソドックスな定め方)。

たとえば、1項で、催告しても相当期間内に履行がなかったときには解除できるなどとし、是正の機会を与える催告解除を定めます。これに続けて2項で、「相手方が次の各号のいずれかに該当したときには、何らの通知催告を要しないで本契約を解除できる」とし、支払停止、手形不渡り、破産や民事再生などの法的倒産手続の申立て、監督官庁からの営業停止処分といった、猶予を与えずに即時に関係を清算すべき無催告解除事由を列挙します(※1項と2項の順序が逆になっていることもあります)。

このパターンは、事前の催告(是正の要求)を必要とする違反と、直ちに契約関係を断ち切るべき重大な事由とが見た目にもわかりやすく区別して記載されているといえます。

パターン2:全体を無催告解除の形とし、その1号に実質的な催告解除を規定するパターン

2つめは、解除に関する条項を1つの項にスッキリとまとめ、柱書(柱書き)を無催告解除の形にしたうえで、列挙する各号の中に実質的な催告解除の要件を組み込むパターンです。

具体的には、柱書で「相手方が次の各号のいずれか一つに該当したときは、何らの通知、催告を要せず、直ちに本契約を解除することができる」などと規定します。そして、その1号に「本契約に定める条項に違反し、相手方に対し催告したにもかかわらず〇〇日以内に当該違反が是正されないとき」といった事由を定めます。2号以降には、監督官庁からの営業許可取消処分、支払停止、差押え、倒産手続開始の申立てなど、本来の意味での無催告解除事由を列挙していきます。

このパターンの論理構造としては、柱書で「無催告で直ちに解除できる」としつつも、1号の要件自体に「あらかじめ催告し、一定期間内に是正されなかった」という事実が組み込まれているため、1号に基づく解除は実質的には催告解除として機能しています。

まとめた書きぶりにしたいときには役立つ一方、催告解除が無催告解除の中に紛れているような見た目になるため、慣れていない人が読んだ場合には若干わかりにくいという面もあります。

もちろん、どちらのパターンを採用する場合であっても、契約関係の継続が困難となるような事由が発生した場合に、迅速かつ機動的に契約を解除できるようにするという目的は共通しています

解除条項の記載内容:実質的要件(解除事由)

解除条項の記載内容のメインは、もちろん、どのような場合に解除できるかという解除事由です。

一般条項としての約定解除条項には、主に以下のような解除事由が列挙されることが多いといえます。

解除事由

  • 信用不安を生じさせる事由
    • 支払停止、支払不能の状態となったこと
    • 手形交換所から取引停止処分を受けたこと、または手形・小切手が不渡りとなったこと
    • 差押、仮差押、仮処分の申立てを受けたこと、競売(担保権実行)の申立てを受けたこと、公租公課の滞納処分を受けたこと
  • 法的な倒産処置手続が開始される事実
    • 破産手続、民事再生手続、会社更生手続、特別清算手続の申立てを受けたこと、自ら申立てを行ったこと
  • 事業遂行に影響を与える事由
    • 解散、合併、会社分割、事業譲渡が決議されたこと
    • 監督官庁から許可・登録等の取消し処分を受けたこと、業務の停止等の処分を受けたこと
  • 包括的な事由
    • 資産または信用状態に重大な悪化が生じ、債務の履行が困難と認められること
    • その他これらに準じる事態が生じたこと

以下では、それ以外も含めつつ、個別の事由をできるだけ網羅的に解説します。

契約上の義務違反に関する事由

一般的な義務違反(催告解除)

「相手方が本契約の条項に違反し、相当の期間を定めて催告したにもかかわらず、その期間内に是正されないとき」といった事由です。

これは先ほど見たように、相手方の債務不履行に対し、まずは是正の機会を与え、それでも直らない場合に解除を認める基本的な条項です(催告解除)。

ただし、いかなる違反でも解除できるわけではなく、判例上、その違反が付随的義務の不履行にすぎない場合など、契約の目的達成に影響しない軽微な違反であるときは解除が認められない傾向にあり、また民法改正でこの点が明確化された点には留意が必要です。

ちなみに、単なる支払遅滞も契約違反ですが、金融機関による融資の場合はそれが特に重要なものなので、別立てで記載されることも一般的です

重大な義務違反・表明保証違反(無催告解除)

これは、「重大な過失又は背信行為があった場合」や、M&Aや投資契約などにおいて「相手方が行った表明及び保証が重要な点において真実かつ正確でなかったとき」といった事由です。

契約の根幹に関わる重大な違反や、事前の前提事実(表明保証)に虚偽があった場合は、是正を待つ意味が薄いため、催告を経ることなく直ちに解除できるもの(無催告解除事由)として規定されます。

信用状態・財産状態の悪化に関する事由

取引先の信用不安は、債権回収や将来の履行に重大な懸念を生じさせるため、解除事由の核心部分を構成します。

支払停止、支払不能、手形等の不渡り

たとえば、「支払停止若しくは支払不能の状態に陥ったとき、又は手形交換所から不渡り処分を受けたとき」などと規定されます。

支払不能は弁済能力を欠き継続的に弁済できない客観的状態、支払停止はその旨を外部に表示する行為(夜逃げや不渡りなど)を指します。

これらは取引先の信用悪化の定型的・典型的な徴候であるため、無催告解除の事由として広く合理性が認められます。ただし、不渡り等が銀行の取扱錯誤や偽造等によるもので、実質的な信用異常によらない場合は、解除の効果は生じないと解されます。

強制執行、保全処分、公租公課の滞納処分

たとえば、「第三者より差押え、仮差押え、仮処分若しくは競売の申立て、又は公租公課の滞納処分を受けたとき」などと規定されます。

相手方の資産が他の債権者によって差し押さえられたり、税金を滞納して処分を受けたりすることは、信用悪化の強い兆候です。

もっとも、取引と無関係な財産に対する仮処分や、ごく軽微な滞納処分など、ただちに信用悪化や債権保全の必要性に結びつかないケースにおいては、解除が認められない(制限される)と解すべき余地もあります。ドラフトのなかでこの点を明確化するようなこともあります。

法的倒産手続の申立て(倒産解除条項)

たとえば、「破産手続開始、民事再生手続開始、会社更生手続開始、特別清算開始の申立てを受け、又は自ら申立てを行ったとき」などと規定し、近時は「私的整理(任意整理)手続」を含めることもあります。

これはいわゆる倒産解除特約です(※後述)。しかし、実際に相手方が民事再生や会社更生などの再建型倒産手続を申し立てた場合、債権者平等の原則や、管財人が持つ双務未履行債務の選択権(事業継続のために有益な契約を維持する権利)を害するとして、最高裁によってこの特約に基づく解除は無効とされる傾向にあります。したがって、契約書に書いてあっても必ずしも解除できるとは限らない点に注意が必要です。

事業継続に重大な影響を及ぼす事由

監督官庁からの行政処分

たとえば、「監督官庁より営業の許可取消し、停止等の処分を受けたとき」などと規定します。

営業停止や許可取消しは、契約の履行そのものを法的に不可能にさせるおそれがあり、また取引先の甚だしい信用悪化の定型的徴候でもあるため、合理的な解除事由となります。

組織再編・実質的支配関係の変更(チェンジ・オブ・コントロール)

たとえば、「解散、会社分割、事業譲渡又は合併の決議をしたとき」などと規定し、ほかに「株主構成、役員の変動等により会社の実質的支配関係が変化し、従前の会社との同一性がなくなったとき」などを記載するケースもあります。

相手方が別会社に吸収されたり、経営権が全く別の第三者(競合他社など)に移ったりした場合、信用状況や経営方針が大きく変化するため、取引を強制されるのを防ぐ目的で規定されます。M&Aの文脈やライセンス契約、代理店契約等でチェンジ・オブ・コントロール条項として特に重視されます。

信頼関係の破壊・背信的行為

背信的行為

たとえば、「相手方に対する詐術その他の背信的行為があったとき」「甲乙間の信頼関係が破壊されたと甲が認めたとき」などと規定します。

継続的契約(取引基本契約、代理店契約、賃貸借契約など)においては、当事者間の信頼関係が取引の基礎となります。そのため、特定の義務違反として明記されていなくとも、競合品の無断販売(利益相反行為)などの信頼関係を覆す背信的な行為があった場合には、無催告での解除が認められることがあります。

ただし、「背信的行為」は評価的概念であるため、事後的に裁判でその該当性が争われやすい点にも留意が必要です。

反社会的勢力への該当(反社排除条項)

これは反社該当の場合、つまり自ら又は自らの役員が反社会的勢力に該当したときや、脅迫的な言動又は暴力を用いる行為をしたときなどですが、通常は反社排除条項が別途規定されているため、当該条項にあたる「第〇条に違反したとき」といった形で定められす。

コンプライアンスおよび各都道府県の暴力団排除条例の要請に基づき、相手方が反社会的勢力であることが判明した場合に、無催告で直ちに契約関係を断ち切るための必須条項です。

反社該当性による解除は、反社排除条項に個別に規定される場合が多いですが、このように解除の部分だけ一般的な解除条項の中で巻き取っているケースもしばしば見かけます(解除事由の一つとして反社該当性を規定する)

包括的規定(キャッチオール条項)

たとえば、「その他前各号に準ずるような本契約を継続し難い重大な事由が発生した場合」、「資産又は信用状態に重大な変化が生じ、本契約に基づく債務の履行が困難になるおそれがあると認められるとき」などと規定します。

契約締結時には想定しきれなかった新たな信用不安の事態やトラブルを拾い上げるためのバスケット条項キャッチオール条項)です。

前述のように倒産解除特約が裁判所で無効とされる場合でも、このキャッチオール条項を根拠に「契約を継続し難い重大な事由が発生した」として解除を試みる余地もあります(ただし、実質的に倒産解除と同じだとして争われるリスクは残ります)。

実務上の注意点

なお、契約書に書いておけば、どんな時でも必ず解除できるとも限りません。実務上、以下の点には注意が必要です。

倒産解除特約は無効になることもある

相手が破産や民事再生を申し立てた時に無催告で解除できるとする倒産解除特約は、ひな型に必ずといっていいほど入っています。

しかし、実際に相手が民事再生や会社更生などの法的倒産手続に入った場合、会社を再建しようとしているのに重要な契約を打ち切られては困るため、裁判所が、倒産手続の趣旨(企業の再建)に反するとしてこの特約に基づく解除を無効(認めない)と判断するケースがあります。特約があるからといって安心せず、普段からの与信管理やリスクヘッジが重要です。

この考え方は、譲渡担保法(「譲渡担保契約及び所有権留保契約に関する法律」)ではすでに立法化されていますので、あわせて留意が必要です。

▽譲渡担保法110条

(再生手続開始の申立て等を解除事由とする特約等の無効)
第百十条
 次に掲げる場合に所有権留保契約(第二条第十六号イに規定するものに限る。以下この条において同じ。)が解除される旨の特約又は次に掲げる場合に該当することを理由として留保売主等に対し所有権留保契約の解除権を付与する特約は、無効とする
一 留保買主等について再生手続開始の申立て又は更生手続開始の申立てがあったとき。
二 留保買主等に再生手続開始の原因となる事実又は更生手続開始の原因となる事実が生じたとき。

継続的契約は簡単には解除できない

単発の売買ではなく、取引基本契約や代理店契約、不動産の賃貸借契約のように長期間継続する取引関係の場合、当事者間の信頼関係や相手方の期待が重視されます。

そのため、契約書に「1回でも違反があれば無催告で解除できる」と書いてあっても、それだけで機械的に解除しようとすると、裁判では、それくらいで解除するのは酷である(信頼関係は破壊されていない、やむを得ない事由がない)として、解除が認められないことがあります。

結び

今回は、契約の一般条項ということで、解除条項について見てみました。

約定解除条項も、単なるひな形のコピペで済ませるだけではなく、自社が当該取引において、どのような事態に陥ったときに即座に関係を断ち切りたいかを具体的に想定し、要件をカスタマイズして規定することが大切です。

契約の一般条項 - 法律ファンライフ
契約の一般条項 - 法律ファンライフ

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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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主要法令等・参考文献

主要法令等

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民法(債権関係)改正の資料

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