契約の一般条項

契約の一般条項|契約書の「通知方法条項」をわかりやすく解説

今回は、契約書の一般条項ということで、通知方法条項について見てみたいと思います。

契約書の最後の方に、他の一般条項と一緒に、「本契約に関する通知は、以下の宛先に対して、書面により…」といった規定が入っていることがあります。一見すると単なる連絡先のメモのように見えるかもしれませんが、これはいざという時の権利行使にもかかわる手続的なルールです。本記事では、この条項がなぜ必要なのか、実務上どのような工夫がされているのかなどをまとめています。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

通知方法条項とは:なぜ通知のルールを決めておくのか

通知方法条項とは、契約上必要な連絡を確実に行うために、通知の宛先(部署や担当者)や手段(書面、メール等)、その効力発生のタイミングなどをあらかじめ定めておく条項のことです。

契約においては、契約解除や損害賠償の請求、契約の更新拒絶、あるいはコベナンツにおける義務の履践なども含め、相手方に対して何らかの通知を行うことが求められる場面があります。

このような重要な連絡において、「確かに送った」「いや、そんなものは受け取っていない」といったトラブルが発生したり、定められた期限内に通知がなされたかどうかが事後的に争われるトラブルも考えられます。

こうした通知の有無やタイミングに関する紛争を未然に防止するために設けられるのが、通知方法条項です。

通常の取引契約ではあまり見られませんが、M&Aや大型の不動産取引、金額の大きい融資の契約書などでは、連絡を確実にするために入っていることが多いです

通知の宛先:ピンポイントで指定する

たとえば、会社宛てに通知を送る場合、単に会社の代表宛てにしてしまうと、全く関係のない部署に届いてしまい、本来の担当者に適時に情報が届かない可能性もあります。最悪の場合は、紛失して届かない可能性もゼロではありません。

そのため、通知方法条項においては、あらかじめ通知を受け取る部署担当者、住所、FAX番号、メールアドレスなどをピンポイントで明記しておくのが一般的です。

また、国際取引などの重要な契約においては、念のために相手方の法律顧問となっている法律事務所の担当弁護士を、写し(あるいはCC)の送付先として指定しておくこともあります。国際取引の場合には、通知に使用する言語(契約書と同じ言語に限るなど)を限定しておくことも有効です。

通知の手段

契約書で規定される通知の方法としては、クラシックなものから順に以下の4つが挙げられます。

  1. 直接持参による交付
  2. 郵送または国際宅配便
  3. ファクシミリ(FAX)
  4. 電子メール

郵送を用いる場合は、配達された日時や送達の過程が証拠として残るように、書留郵便が指定されることが多いです。また、FAXや電子メールでの通知を認める場合でも、改ざんを防いだり正式な書面を証拠として残すために、後からハードコピーを持参や郵送で送り直すことを要求するケースもあります。

いつ届いたことになるのか(みなし規定の工夫)

法律上の原則では、通知(意思表示)の効力は相手方に到達した時に発生します(到達主義。民法97条1項)。しかし、郵送の場合はいつ相手に届くかを発信者が正確に予測しづらいという不便さがあります。また、FAXやメールについても、どの時点をもって到達したと判断するかが必ずしも明確ではない場合があります。

そこで、契約書において以下のようなみなし規定を設けて、到達のタイミングをできる限り明確にするための工夫が併せて行われることがあります。

  • 持参した場合は、交付時に到達したとみなす
  • 書留郵便で送付した場合は、発送から〇営業日後に到達したものとみなす
  • FAXの場合は、送信当日に到達したとみなす

結び

通知方法条項は、単に連絡先を載せたものではなく、契約関係を動かすための手続のルールを定めた条項になります。

いざという時に、指定された部署・方法で送っていなかったせいで契約解除の効力が認められないといった失敗を防ぐためにも、この条項が定められるような取引においては、実務上の連絡手段をあらかじめ意識しておきましょう。

契約の一般条項 - 法律ファンライフ
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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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