社内規程

社内規程|どの部署が何をやる?「業務分掌規程」の作り方とポイント

今回は、組織規程に続いて、社内規程のうち業務分掌規程について見てみたいと思います。

業務分掌規程は、会社の中でどの部署がどんな業務を担当するのかという、組織の”横の役割分担”を明確にする規程です。それはうちの課の仕事じゃないとか、あの業務は誰がやっているのかなど、社内の混乱やお見合い(なすり合い?)を防ぐためにも、この規程は欠かせません。

本記事は、そんな業務分掌規程の作成時に押さえておきたいポイントなどについて解説します。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

業務分掌規程とは

業務分掌規程とは、部や課、係など、会社組織を構成する各部門が分担すべき業務内容(横の分担領域)を明文化した規程のことです。

簡単にいうと、どこの部署が何をやるのか(=業務分掌)を決めておく規程のことです

どの部門が何をどこまで取り扱うかを明確にすることで、業務の重複や漏れを防ぎ、効率的な業務運営を実現することを目的としています。

組織の機構や部門を定める組織規程や、各職務に伴う権限と責任を定める職務権限規程とあわせて整備することで、立体的でスムーズな組織運営を可能にする、組織関連規程のひとつです。

業務分掌規程のポイント

モレなく、ダブりなく

各部署の業務を洗い出す際、重要な業務がスッポリ抜けてしまったり、逆に複数の部署で同じような業務(ダブり)が発生したりしないように注意しましょう。

たとえば、販売部門の業務課、管理部門の企画課、経理部門の計算課などで、全く同じような統計資料を作ってしまうような、スタッフ業務の重複といった事態が起こらないよう留意が必要です。

担当者の申告や作成者の一存だけで決めるのではなく、関連部署(必要に応じて専門家も)を交えて協議しながら洗い出すのが抜け漏れを防ぐコツになります。

表現は具体的に(そして「体言止め」で)

一つの項目に欲張ってあれもこれもと詰め込むと、何を言いたいのかわかりにくくなります。項目を見ただけで業務の明細が即座にイメージできるような、具体的でわかりやすい表現が望ましいです。

また、分掌項目は短い文章で多くの内容を的確に伝えるため、体言止め(例:「〇〇に関する業務」など)で記載することが多く、実務上の基本となっています。

質と量のバランスを保つ

特定の課にばかり難しい仕事が集中したり、仕事量が多すぎたりといった片寄り(アンバランス)が生じないようにすることも大切です。

ありがちな失敗としては、規程の担当者が自分の得意な管理部門(総務や経理など)の業務は細かく扱うのに、あまり詳しくないライン部門(営業や製造など)の業務については簡単に済ませてしまう(「販売に関する事項」ほか数行で済ませてしまう)ことなどがあります。

最近はひな型も多くありますので極端な偏りが生じることは少ないと思いますが、自社に合った内容に修正していくときも同様のことは起こり得ますので、該当部門とよく連携して、どの部門も公平なボリュームと詳しさで記載するのが大切です。

部門間の矛盾をなくす

営業部と製造部、経理部と営業部など、関連する部門間で業務の方針に矛盾が生じていないかも重要なチェックポイントです。

代金回収や新製品開発といった部門をまたぐ業務について、基本方針のすり合わせ(調整)が不十分なまま分掌を決めてしまうと、実際の業務でトラブルの原因になり得ます。全体の整合性をしっかりと確認しましょう。

現状だけでなく未来業務も盛り込む

今現在やっている仕事だけを羅列するのではなく、近いうちに取り組みたいとか、会社のビジョン達成や合理化のために必要だという未来業務も盛り込むことができます。

機会があればやりたいと考えている業務を一種の目標基準として明文化しておくことで、担当者や組織全体のモチベーションにつながる面もあります(規程づくりもそのような期待を込めつつやるということ)。

業務分掌規程の記載内容

続いて、具体的にどんな形式で・どんな項目を・どのような順番で書いていけばいいのかという構成について見ていきます。

誰がどの業務を担当するのかを明確にするのが業務分掌の役割ですが、そのまとめ方にはいくつかの大まかなパターンやコツがあります。

パターン:業務分掌の定め方の3つの形式

まずそもそも論ですが、業務分掌を社内規程のうちどこに記載するかは、会社の規模や管理のしやすさによって、大きく3つの形式があり得ます。

  • 組織規程の一部として組み込む
    「第1章 総則」「第2章 組織」「第3章 業務分担(分掌)」といったように、会社全体の組織ルールを定めた総合規程の中に一つの章として盛り込む形式です
  • 業務分掌規程として単独で作る(個別規程)
    組織規程では大枠だけを定めて詳細は別規程に委ねる、つまり業務分掌だけを独立した一つの規程として作成する形式です
  • 組織図に書き込む
    そのほか、組織図の各部署の横に主要な分掌事項を書き込む形式もあり得ます。一目でわかるのがメリットですが、書き込める文字数に限界があるため、規模が大きく組織が複雑な会社にはあまり向きません

実務上は上記2の形式(=個別の業務分掌規程をつくる)が一番多く用いられており、本記事もその解説になります。

どの単位で書くか:基本は部or課単位

実際に規程に業務を落とし込む際には、部、室、課、係、班など、どの組織単位を基本的な単位とするかが問題になります。

どの単位でまとめても構いませんが、通常、一般的なのは部(あるいは課)単位での定め方かと思います。「○○部」といった見出しや(全体を箇条書きにする場合)、条文の条あるいは項ごとに、部・課の具体的な業務をまとめていく構成がよく使われます。

記載順序のコツ:同種のものをまとめる

では、特定の部(あるいは課)の業務を列挙していく際、どのような順番で並べればよいでしょうか。思いついた順に無秩序に並べたり、重要度順に並べたりする方法もありますが、実際上は同種、同性格のものを集める方法がベーシックです。

つまり、担当業務グループ別(課の中の係別くらいのイメージ)くらいのまとまりで業務を洗い出していくのがスッキリするかと思います。たとえば、総務部や人事部の業務分掌を考える場合、以下のようなまとまりと粒度で検討します。

業務分掌の例

  • 総務部
    庶務・文書関係:
    • 株主総会、取締役会等諸行事の庶務
    • 公印の制定管理
    • 社内報の編集、発行 など
  • 人事部
    人事・労務関係:
    • 人事関係制度、方針の立案及び維持
    • 社員の採用
    • 昇格、昇給等の評価事務 など

このように、同じ性格の業務ごとにブロックを分けて考えていくことで、業務を洗い出しやすくなり、また誰が読んでも理解しやすい内容にすることができます。

業務表現の基本:短く的確な「体言止め」

最後に、各項目の文章の書き方です。組織規程の一部として業務分掌を定める場合などで「○○の業務を分掌する」と文章で書くような例外もありますが、作成のポイントのところで見たように、業務分掌規程の各項目は体言止めで具体的に表現するのが多数です(例:「○○に関する事項」「○○の実施」など)。

短い文章の中で的確に内容を伝えるため、言葉の選択や順序にはこだわって、スッキリとした体言止めで統一して並べていきましょう。

まとめ

このように業務分掌規程は、①自社に合った形式(単独規程など)を選び、②(あるいは課)単位を基本として、③その中で業務の性格別にグループ分けして、④体言止めでリストアップしていく、という構成で考えていくと、見やすく実用的なものに仕上げやすくなります。

結び

他の規程もそうですが、業務分掌規程も一度作ったらそれで終わりではありません。機能的な組織づくりのためには、経営方針の変更・組織機構の改革・外部環境の変化などに合わせて、適時・柔軟に規程をアップデートしていくことが重要です。

誰が何をやるかがスッキリ整った業務分掌規程の作成を通じて、風通しが良く効率的な組織を目指しましょう。

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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