とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。

法務転職

2016/3/15

弁護士の転職物語⑦-訟務と法務の違い-

前回(転職物語⑥)に続いて,インハウス転職のポジティブな面を指摘したい。 前回,「法律事務所ではできない経験ができる」と書いたが,「訟務」(訴訟業務の意)と「法務」の違いを,2点,対比的に書いてみたい。 ① 隣接分野との関わりの多さ ひとつは,法務の方が訟務よりも法律外の隣接分野との関わりが多い,ということである。 もちろん訟務の方も,事実認定レベルにおいて,あらゆる部分社会の経験則に精通しなければ(首を突っ込まねば)ならないので,法律外の分野との関わりはある。 ただ,個別事例の処理に必要な限度で切り取る ...

法務転職

2016/3/15

弁護士の転職物語⑥-インハウス転職のポジティブ面-

今回はインハウス転職の,ポジティブな面を指摘したい。 それは端的にいうと,「法律事務所ではできない経験ができる」ということである。 (※ここでは「法律事務所」=「紛争処理」という前提) 法務にいくというと,よく周りからある反応は,「紛争のことよくわかってないと法務もできないでしょ」というものであるが,それは違う。 違う,とまでいうと言い過ぎなのだが,法務には法務固有の性質のようなものがあり,紛争からの逆算だけを考えれば良い訳ではない。 トラブルになったときはこうだから…というのは考慮要素のひとつにすぎず, ...

法務転職

2016/3/12

弁護士の転職物語⑤-インハウス転職のネガティブ面-

今回はインハウス転職の,ややネガティブな面を指摘したい。 最近はインハウスローヤー(組織内弁護士)の数も急激に増え(自分もその1人だったが),JILA(ジャイラと読む。日本組織内弁護士協会)の会員も増えて,「インハウス盛り上がってる!」という風潮である。 それはそれで結構なことであるし,よくもわるくも何らかの変化は生まれるだろう。 ただ,なぜ現在こういう風に世の中が動いているのかというと,それは残念ながら端的にいって,弁護士の大量発生による弁護士の値崩れである。 要は会社で勤務するときの年収とそんなに変わ ...

法務転職

2016/3/12

弁護士の転職物語④-面接で大事なこと-

前回,「何で今のところやめるんですか?」という質問が重要であると書いたが,もうひとつ,面接において大事だと思うことを書きたい。 それは, 「ありのままの自分を見せるのは良いことではない」 ということである。 言い換えると,面接のときに聞かれた質問に対して,自分の思うところを正直にありのまま答えればそれでいい,というのは,面接に対する良い臨み方ではない,ということである。(異論もあるとは思うが。) 「ありのままの自分を見せる」というのは,いわば料理に例えると,泥も落とさず火も通していない野菜を相手に食わせる ...

法務転職

2016/3/11

弁護士の転職物語③-最も重要な質問- 

今回は,弁護士の転職の面接について書いてみたい。 といっても,おそらく,弁護士以外の職業の方の面接と大きく異なることはないのだろうと思う(両方を実体験している訳ではないのではっきりとはわからないが。) 自分は今までに2回転職活動を行ったことがあるが,転職の面接で絶対に聞かれるのは次の質問である。これに対する答えが,転職全体についての最も重要なエッセンスになる。 その質問とは, 「何で今のところ辞めるんですか?」 である。 どこの誰と話しても絶対に聞かれるので,企業との面接以前に,エージェントとの面談にもこ ...

法務転職

2016/3/9

弁護士の転職物語②-エージェントの付き方ー

転職するときはエージェント会社に登録する,という話を前回書いたが,エージェント会社によって担当者の付き方が違うことを補足したい。 自分が経験した中では担当者の付き方に2種類あって, がある。 「企業側に担当者がついている場合」は,こちらが出した履歴書や職務経歴書を見て,求人案件の担当者からめいめい連絡がくる。 案件紹介のスピードはこちらの方が早いが,違う人をその都度相手にすることになるし,時間差でどんどん紹介のメールがくるので,対応するのが結構大変である。 (電話をもらった瞬間,この人はどの案件の人だった ...

日記

2023/8/10

事務所看板完成

やっとこさ,事務所の看板ができた。ようやく正式オープンといったところ。 内装工事をしてくれた業者さんが紹介してくれた看板業者が良くて,ほどよいデザインのある看板と,玄関ドアのサイン工事を施してくれた。 事前に開業準備のイメージは作っておいたつもりだったが,思ったより作業量が多くて,やはり開業準備には2か月ぐらいはかかるものだと感じた。 なかなかこの2か月は大変だった。 ハード面では,内装工事して,什器備品を選定してレイアウトを決めたり,やっぱりこっちの配置の方がいいか…など試行錯誤して模様替えをしたり。 ...

法務転職

2016/3/9

弁護士の転職物語①-転職活動の開始-

弁護士の転職、というのは最近ホットな話題であると思う。 よくもわるくも弁護士激動の時代に、新しい道を求めて弁護士の働き方も多様化しており、人材の流動性も上がっている。 自分自身も、人材の流動性(特に企業界と弁護士界の間)が上がるのは良いことだと思っている。 雑誌など商業的な記事も、ポジティブな論調で書いた方が格好良いに決まっているので、「インハウス盛り上がってる!」という風潮が見て取れる。 ただ、一側面からの論調であるとも感じるので、いち事例として、自分の転職物語を題材に、弁護士の転職(特にインハウスへの ...

日記

2023/8/10

事務所開設

弁護士会のレターケースに事務所開設の挨拶文を投函してきた。 年末にいろいろとリストアップしたのだが,「事務所を開設するときに必要なもの」は,一般的に言っても大体は以下のような感じではなかろうか(物件関係を除く)。 これまでの自分の経験や,インターネットで調べたり,本を読んだり,自営業を営む知り合いの人に教えてもらったりして,気づいた都度リストアップしていった。 事務所まわり 事務所まわりは、以下のようなものを揃えていった。 ITインフラ ITインフラは、以下のようなものを揃えていった。 開設マニュアル本 ...

法律コラム

2015/11/14

法制執務の本

最近,法制執務の本を読んでいる。 読みたくて買ってはいたが,時間がなくて積読(つんどく)状態になっていた。買いだめがかなりの量に達していたため,一度ゆっくり読む時間がとれてよかった。 「法制執務」というのは立法技術に関するジャンルで,自治体の職員が条例を立案するときのための参考書として書かれているものが多い。著者は,内閣法制局,衆議院法制局,参議院法制局等の経験者が多い。 普段,条文などは見ているので,ある程度の内容は経験的に掴んではいるが,しっかり読むと,頭の中が整理される感じがして気持ちが良い。 林修 ...

法律コラム

2015/11/13

弁護士が自由なのは「一国一城の主」だから?

弁護士になったのは,「一国一城の主」になりたかったから。「やっぱり自由がいいよね!」という話を聞くことが多かった気がする。 でも,弁護士が自由っていうのは,本当にそういう意味なのだろうか?猫も杓子もみんなそう言ってるなーと思いつつ,自分としては全くといっていいほどそういう感覚はなかったし,そういう話を聞いても自分の中から何も反応はなかった。 一国一城の主=自由業,っていうのは,なんだか単純すぎませんかね?もちろんそれを目指して頑張る人がいるのは全く良いことだし,かっこいい人もいっぱいいる。 ただ,異なる考 ...

基礎知識

2015/11/8

法務の仕事ってどんなの?|全体像を7つの分類で見てみる

法務の仕事はだいたい7つに分類できる,と思う。 もちろん私分類にすぎず,私論である(だからブログで書いてるわけだが)。いくつか本を読んだり,仕事したりした中での自分の整理。という前提で,以下。 法務部でやっている業務は,ざっくり二分できる。ひとつは「訟務」,もうひとつは「法務」。前者の「訟務」は,紛争処理や訴訟管理で,いわゆる臨床法務である。後者の「法務」は,コンプライアンス等々のいろいろな法律事務で,いわゆる予防法務である。 そして,後者の「法務」を整理すると, 1.契約法務 2.コンプライアンス 3. ...