今回は、フリーランス法ということで、発注事業者が守るべき7つの禁止行為について見ていたいと思います。
フリーランスとして働いていると、いきなり発注をキャンセルされたのに費用を払ってもらえない、何もミスしていないのに勝手に報酬を減らされたなど、トラブルに泣き寝入りしてしまった経験がある方もいるかもしれません。
令和6年11月1日に施行されたフリーランス法では、フリーランスが取引先からこうした理不尽な扱いを受けないようにするために、発注事業者に対して7つの禁止行為を課しています。本記事では、どんな行為がNGになるのか、その全体像を解説します。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
対象となるのは1か月以上の業務委託
まず大前提として、この7つの禁止行為のルールが適用されるのは、1か月以上の期間で行われる業務委託です。
もちろん、最初は2週間の単発契約だったとしても、更新を繰り返してトータルで1か月以上継続することになれば、その取引も対象になります。
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フリーランス法|期間が長いほどルールが増える?法律が適用される「業務委託の期間」を解説
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従業員を使っている発注事業者(特定業務委託事業者)は、対象となるフリーランスに対して、以下の7つの行為をしてはならないとされています。
7つの禁止行為とは
① 受領拒否の禁止
フリーランス側に責任がないのに、注文した物品や情報成果物の受け取りを拒否することです。
やっぱり社内で不要になったから受け取らないといった身勝手な理由での発注取り消しや、納期を一方的に延期して受け取らないことも、受領拒否にあたります。
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フリーランス法|取引適正化に関する遵守事項-発注者がやってはいけない「受領拒否」とは
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② 報酬の減額の禁止
フリーランス側に責任がないのに、あらかじめ約束していた報酬額を後から減らして支払うことです。
今月は会社の業績が悪いからとか何かと理由をつけて減額する、振込手数料を報酬の額から差し引くなど、どんな名目や理由であっても、減額に該当します。
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フリーランス法|"あとから減らされる…"はもうナシ!「報酬の減額の禁止」とは
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③ 返品の禁止
フリーランス側に責任がないのに、一旦受け取ったモノを後から返品することです。
イベントで売れ残ったから返品するねといった、発注者の都合による引き取り要請はNGです(※もちろん、納品物に明らかな不良品や不備があった場合の返品は認められます)。
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フリーランス法|納品したのに突き返される?発注者が守るべき「返品の禁止」とは
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④ 買いたたきの禁止
フリーランスにお願いする仕事に対して、世間一般の相場(通常支払われる対価)と比べて著しく低い報酬額を不当に定めることです。
予算がないからこの単価(超低単価)でお願いなどと、十分な話し合いもせずに一方的に金額を押し付けたり、急ぎの短納期のお願いなのに通常の単価のまま据え置いたりすることは、買いたたきになるおそれがあります。
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フリーランス法|安すぎる報酬は法律違反?発注者が守るべき「買いたたきの禁止」とは
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⑤ 購入・利用強制の禁止
仕事をお願いする条件として、正当な理由もないのに、発注者が指定する商品やサービスを強制的に買わせたり、利用させたりすることです。
うちの会社が扱っている保険に入ってくれないと次の仕事は回さない、自社関連のイベントのチケットを買ってくれといった押し売り行為が該当します。
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フリーランス法|”これ、買ってくれない?”はNG「購入・利用強制の禁止」とは
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⑥ 不当な経済上の利益の提供要請の禁止
発注者が自分の利益のために、フリーランスに対してお金や労力(タダ働き)を不当に提供させることです。
(荷物の運送しか頼んでいないのに)ついでに倉庫の片付けもタダでやってくれとか、会社の決算対策のために協賛金を出してくれといった、報酬とは関係のない負担を強いることはNGです。
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フリーランス法|"ついでにこれもタダでお願い"はNG「不当な経済上の利益の提供要請の禁止」とは
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⑦ 不当な給付内容の変更・やり直しの禁止
フリーランス側に責任がないのに、発注者の都合で注文内容を途中でコロコロ変えたり、納品後にやっぱりこうしてとやり直しをさせたりすることです。
もし発注者の都合でやり直しが発生した場合は、フリーランスが追加で負担した作業費用を、発注者が支払う必要があります。発注をキャンセルするからこれまでの作業費はナシでお願い、などももちろんNGです(契約の解除も給付内容の変更に含まれます)。
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フリーランス法|”またやり直し?”を防ぐ「不当な給付内容の変更・やり直しの禁止」とは
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結び
いかがでしたか?これら7つの禁止行為は、たとえフリーランス側が(断りきれずに)合意してしまったとしても、発注者が違法との意識を持っていなくても、本法違反となります。
発注者の側としては、立場の強さを利用して日頃から無理を言っていないか、自分たちの取引をチェックする意識をもつことが大切になります。そしてフリーランスの側としては、これは禁止行為にあてはまるのではないかと気づく知識を持つことが、自分自身を守る方法の第一歩になります。
[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
主要法令等・参考文献
主要法令等
- フリーランス法(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)(≫法律情報/英文)
- 施行令(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」)
- 公取施行規則(「公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」)
- 厚労施行規則(「厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」)
- 厚労指針(「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」(令和6年厚生労働省告示第212号))|厚労省HP(≫掲載ページ)
- 解釈ガイドライン(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」)|公取委HP(≫掲載ページ)
- 執行ガイドライン(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え方」)|公取委HP(≫掲載ページ)
- フリーランス法Q&A(「フリーランス・事業者間取引適正化等法Q&A」)|公取委HP
- フリーランス環境ガイドライン(「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」)|公取委HP(≫掲載ページ)
参考資料
- フリーランス法パンフレット(「ここからはじめる フリーランス・事業者間取引適正化等法」〔令和6年11月1日施行〕)(≫掲載ページ)
- 説明資料(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)説明資料」〔令和6年11月1日施行〕)(≫掲載ページ)
参考文献
- フリーランス・事業者間取引適正化等法(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課フリーランス取引適正化室、厚生労働省雇用環境・均等局総務課雇用環境政策室)
- 実務逐条解説 フリーランス・事業者間取引適正化等法(那須勇太、益原大亮 編著)
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