フリーランス法には、大きく分けて、取引の適正化(お金や契約のルール)と就業環境の整備(働きやすさのルール)の2本柱があります。
本記事は、その2本柱のうちの1つ、就業環境の整備にフォーカスして、発注事業者が守るべき4つのルールをまとめて解説します。
契約のトラブルだけでなく、就業環境も法律で守られるのかと気になっているフリーランスの方、そして、自社はどんな環境を整えればいいのかを確認しておきたい発注者の方は、まずこの記事で全体像を掴んでいただければと思います。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
はじめに:このルールを守るべき発注事業者とは
就業環境整備のルールを守る義務があるのは、業務委託事業者のうち、従業員を使用している事業者(特定業務委託事業者)です。法人・個人は問いません。
この特定業務委託事業者が、従業員を使用していないフリーランス(特定受託事業者)に業務を委託する場合に、以下の4つのルールが適用されます。
業務委託の期間によって適用されるルールが異なりますので、それぞれの適用条件と一緒に見ていきましょう。
就業環境の整備に関する遵守事項
01|募集情報の的確表示義務(法12条)
適用条件:期間に関係なくすべての募集に適用
フリーランスに仕事をお願いするために、広告やSNS、クラウドソーシングサイトなどで募集をかける際のルールです。
募集情報について、虚偽の表示(ウソの条件)や誤解を生じさせる表示をしてはならず、また、情報を正確かつ最新の内容に保たなければなりません。
実際の報酬よりも高く見せかけたり、実際の業務内容とかけ離れた職種名を書いたりすることはNGです。募集が終わったら速やかに掲載を終了することも求められます。
👉 「どんな情報を含めればいいのか?」「仲介サイトを使う場合はどうなる?」といった疑問は、詳細解説記事をチェック!
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フリーランス法|虚偽・誤解を招く求人はNG「募集情報の的確表示」とは
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02|育児介護等と業務の両立に対する配慮義務(法13条)
適用条件:「6か月以上」の継続的な業務委託に適用(※6か月未満は努力義務)
フリーランスが、妊娠、出産、育児、または家族の介護に直面しても、キャリアを諦めずに働き続けられるようにするためのルールです。
特定業務委託事業者は、フリーランスからの申出に応じて、育児や介護等と業務を両立できるよう、必要な配慮をしなければなりません。
ここがポイント:「介護のために特定の曜日をオンライン会議にしてほしい」「子の急病で数日間だけ納期をずらしてほしい」といった申出があった場合、発注者はその内容を検討し、可能な範囲で配慮を実施する必要があります,。やむを得ず配慮できない場合も、その理由をしっかり説明する義務があります,。
👉 「配慮を断ってもいいケースとは?」「配慮を理由に報酬を減らすのはアリ?」といった現場の疑問は、詳細解説記事で深掘りしています!
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フリーランス法|フリーランスの育児・介護等をサポート「育児介護等との両立への配慮義務」とは
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03|ハラスメント対策に係る体制整備義務(法14条)
適用条件:期間に関係なくすべての業務委託に適用
フリーランスは、発注事業者のオフィスに常駐したり、社員と密にコミュニケーションを取ったりすることがありますが、立場の弱さからハラスメントを受けやすい実態があります。それを防ぐためのルールです。
セクシュアルハラスメント、妊娠・出産等に関するハラスメント(マタハラ)、パワーハラスメントにより、フリーランスの就業環境が害されることのないよう、相談対応のための体制整備などの措置を講じなければなりません。
相談窓口の設置→方針の明確化と周知→事後の迅速かつ適切な対応、などが求められます。また、相談したことを理由に契約解除などの不利益な扱いをすることはNGです。
👉 「これってパワハラになる?」「発注者が講ずべき4つの措置とは?」など、具体的な基準や対策は詳細解説記事でおさらいしましょう!
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フリーランス法|ハラスメントから守る「ハラスメント対策に係る体制整備」とは
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04|中途解除等の事前予告・理由開示義務(法16条)
適用条件:「6か月以上」の継続的な業務委託に適用,
長期間続いていた仕事が突然打ち切られると、フリーランスは収入が途絶え、死活問題にもなりかねません。次の仕事へ円滑に移行するための準備期間を作るルールです。
6か月以上続く契約を途中で解除したり、更新しないと決めたりした場合は、原則として解除日(または契約満了日)の少なくとも30日前までに、その旨を予告しなければなりません。
予告は口頭ではなく、メールや書面など記録に残る方法で行う必要があります。また、予告日から契約満了日までの間に、フリーランスから、なぜ解除するのかと理由を聞かれた場合は、遅滞なくその理由を開示する義務もあります,。
👉 「予告なしで即時解除できる例外とは?」「LINEでの予告はOK?」など、より実践的な内容は詳細解説記事でご確認ください
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フリーランス法|突然の契約打ち切りを防ぐ「中途解除等の事前予告・理由開示」とは
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結び
フリーランス法の就業環境の整備に関する4つのルールは、フリーランスが尊重され、健康に、そして安心して能力を発揮し続けられる環境を作るためのものです。
- 的確表示:募集の時点から誠実に向き合う
- 体制整備:ハラスメントを許さない環境を作る
- 育児介護等の配慮:ライフイベントに寄り添う
- 事前予告・理由開示:契約の終わり際も丁寧に対応する
適用がある場合、発注事業者側としては、自社の体制がこれらのルールに沿っているかチェックする必要があります。そして各ルールのさらに詳しい解説や具体的なNG事例を知りたい方は、リンク先の詳細記事を順番に読んでみてください。
フリーランス法全体を知りたい方はこちら
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【保存版】フリーランス法のガイドマップ~全体像・対象者・ルールを総まとめ
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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
主要法令等・参考文献
主要法令等
- フリーランス法(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)(≫法律情報/英文)
- 施行令(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」)
- 公取施行規則(「公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」)
- 厚労施行規則(「厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」)
- 厚労指針(「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」(令和6年厚生労働省告示第212号))|厚労省HP(≫掲載ページ)
- 解釈ガイドライン(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」)|公取委HP(≫掲載ページ)
- 執行ガイドライン(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え方」)|公取委HP(≫掲載ページ)
- フリーランス法Q&A(「フリーランス・事業者間取引適正化等法Q&A」)|公取委HP
- フリーランス環境ガイドライン(「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」)|公取委HP(≫掲載ページ)
参考資料
- フリーランス法パンフレット(「ここからはじめる フリーランス・事業者間取引適正化等法」〔令和6年11月1日施行〕)(≫掲載ページ)
- 説明資料(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)説明資料」〔令和6年11月1日施行〕)(≫掲載ページ)
参考文献
- フリーランス・事業者間取引適正化等法(公正取引委員会事務総局経済取引局取引部取引企画課フリーランス取引適正化室、厚生労働省雇用環境・均等局総務課雇用環境政策室)
- 実務逐条解説 フリーランス・事業者間取引適正化等法(那須勇太、益原大亮 編著)
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