フリーランス法

フリーランス法|突然の契約打ち切りを防ぐ「中途解除等の事前予告・理由開示」とは

2024年11月12日

今回は、フリーランス法ということで、発注事業者が守るべきルールのひとつである中途解除等の事前予告・理由開示について見てみたいと思います。

フリーランスとしては、続いていた契約がある日突然打ち切られる、契約更新されない理由を聞いても教えてもらえないといったことになると、翌月からの収入が途絶えてしまい、死活問題になります。フリーランス法は、こうした事態からフリーランスを守るため、また、次の仕事へスムーズに移行できるようにするために、発注者に対して中途解除等の事前予告・理由開示を義務付けています。

就業環境整備に関する遵守事項

義務
① 募集情報の的確表示
② 育児介護等と業務の両立に対する配慮
③ ハラスメント対策に係る体制整備
中途解除等の事前予告・理由開示

本記事では、発注者(特定業務委託事業者)はどのような対応をしなければならないのかなどを、具体的に解説します。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

中途解除等の事前予告・理由開示とは(法16条)

フリーランス法における中途解除等の事前予告・理由開示とは、継続的業務委託の場合に、発注者が契約の中途解除(契約の不更新を含む)をするには、少なくとも30日前までにその予告をしなければならず、またその予告期間において中途解除の理由を尋ねられたら、理由を開示しなければならない、というルールです。

大前提として、このルールが適用されるのは、6か月以上の期間で行われる業務委託(継続的業務委託)です。最初から6か月以上の契約を結んでいる場合はもちろん、短い期間の契約であっても、契約の更新によって結果的に6か月以上継続して行うこととなる場合や、基本契約を結んで継続的に個別の発注を行っている場合も対象になります。

【ポイント】6か月以上の期間とは

 継続的業務委託にあたるのは、最初から期間6か月以上という契約を結んでいる場合だけではありません。以下のような場合も該当します。

基本契約を結んでいる場合

 業務委託の基本的な事項を定める基本契約を結んで継続的に個別の発注を行っている場合、基本契約自体の期間が6か月以上であれば、基本契約も、その下で行われる個別の業務委託も、すべて予告義務の対象になります。

契約の更新で6か月以上になった場合

 短い期間の契約でも、更新を繰り返して通算6か月以上になる場合は対象です。 ただし、契約の更新とみなされるには以下の2つの条件を満たす必要があります。

  1. 契約の同一性があること:
    前後の仕事内容が同じ分類(原則として日本標準産業分類の小分類・3桁分類で判断)であることです。ただし、別分類の仕事(例:大工工事と内装工事)であっても、これまでの取引状況から見て通常、一体のものとして発注されていると認められれば同一とみなされます
  2. 空白期間が1か月未満であること:
    前の契約の終了日の翌日から、次の契約締結日の前日までの間が1か月未満であることです(※このルールから逃れるために、わざと空白期間を1か月と1日空けるような行為はNG)
関連記事
フリーランス法|業務委託の類型と業務委託の期間

続きを見る

対象となる継続的業務委託において、発注事業者(従業員を使用する特定業務委託事業者)が契約を中途解除したり、更新しない(不更新)と決めたりした場合、これらの義務が発生することになります。

事前予告義務(1項)

継続的業務委託の場合に、発注者(従業員を使用する特定業務委託事業者)が契約の中途解除(不更新)をするには、少なくとも30日前までにその予告をしなければなりません(1項)。

これは、一定期間継続している取引が急に終わってしまうと、フリーランスが次の仕事を見つけるまでの収入が途絶え、時間的・経済的に損失を被ってしまうため、次の取引へ円滑に移行するための準備期間を確保することを目的としています(フリーランス法Q&A〔令和8年1月1日版〕【問106】参照)。

▽フリーランス法16条1項

(解除等の予告)
第十六条
 特定業務委託事業者は、継続的業務委託に係る契約の解除(契約期間の満了後に更新しない場合を含む。次項において同じ。)をしようとする場合には、当該契約の相手方である特定受託事業者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、少なくとも三十日前までに、その予告をしなければならない。ただし、災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合その他の厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

予告期間の「少なくとも30日前まで」とは、予告をした日(当日)から、解除日(または契約満了日)の前日までの間に、丸30日間が確保されていることを指します。

▽フリーランス法Q&A〔令和8年1月1日版〕【問107】

 本法第16条の中途解除等の事前予告について、「30日前」はどのようにカウントすればよいでしょうか。

 特定業務委託事業者は、6ヶ月以上の期間行う業務委託に係る契約を解除する場合、解除日(不更新の場合は契約満了日。以下同じ。)の少なくとも30日前までに、その旨の予告を行わなければなりません。予告日(当日)から解除日の前日までの期間が30日間確保されている必要がありますので、例えば、8月31日に解除する場合には8月1日までに予告が必要です

中途解除等の範囲(定義)

どんな終わり方でも予告が必要なわけではありません。予告が必要なのは、発注事業者の一方的な意思表示に基づく契約の解除と、不更新(更新しないこと)をしようとする場合です。

契約の解除

契約の解除」とは、特定業務委託事業者からの一方的な意思表示に基づく契約の解除をいい、フリーランスからの一方的な意思表示に基づく契約の解除は含まれません。

該当するか気になるいくつかのケースとしては、以下のようなものがあります(解釈ガイドライン 第3部-4-⑵参照)。

  • 合意解除の場合
    お互いの合意に基づく解除は対象外ですが、フリーランス側が自由な意思で合意したことが明確でなければなりません
  • 予告なく解除できるとの特約
    契約書に一定の事由があれば事前予告なく解除できると書いてあっても、法律で定められた例外事由(後述)に該当しない限り、直ちに予告が不要になるわけではありません
  • アカウントの一時停止
    プラットフォーム等で仕事をする際、ルール違反等でアカウントが一時停止されることがありますが、停止の理由や解除条件が明示された一時的な停止であれば、契約の解除には該当しません

▽フリーランス法Q&A〔令和8年1月1日版〕【問110】

 特定受託事業者が事前にアカウントを登録した上で業務委託を行う場合、業務の遂行にあたって、アカウントの一時停止を行うことが想定されるが、こうしたアカウントの一時的な停止は「契約の解除」に該当するのでしょうか。

 上記の事例において、一時停止となる理由や一時停止の理由に照らして適切な一時停止の予定期間、一時停止の解除条件など、一時停止であることが明らかである事由を特定受託事業者に明示した上で、アカウント利用等を一時停止とする場合は、「契約の解除」に該当せず、予告義務等の対象になりません。

不更新

不更新とは契約満了日から起算して1か月以内に次の契約を締結しないことを指しますが、予告義務の対象となる不更新を「しようとする場合」とは、不更新をしようとする意思をもってその状態になった場合をいいます。

不更新に該当する・しない例としては、以下のようなものが挙げられています(解釈ガイドライン 第3部-4-⑵参照)。

  • 該当する例: いつも切れ目なく更新されていた契約を、今回は更新しない場合
  • 該当する例: 断続的に発注していたが、今後はもう発注しない(取引停止)と決めた場合
  • 該当しない例: もともと1回限りの特別な仕事であることが明らかな場合
  • 該当しない例: 次の発注ができるかどうかが、現時点では客観的にわからない場合(※ただし、発注しないことが確定した時点で伝達することが望ましい)

事前予告の方法

口頭や電話で伝えるだけの方法は認められていません。言った・言わないのトラブルを防ぐため、以下のいずれかの方法で行う必要があります。

  • 書面の交付
  • ファクシミリ(FAX)
  • 電子メール等(SMS、LINE等のSNSメッセージ、Slack等のチャットツールを含む)
    • 出力による書面作成(プリントアウト)可能なものに限る

条文も確認してみます。

▽厚労規則3条(※【 】は管理人注)

(法第十六条第一項の厚生労働省令で定める予告の方法)
第三条
 法第十六条第一項の規定による予告は、次のいずれかの方法により行わなければならない。
 書面を交付する方法
 ファクシミリを利用してする送信の方法
 電子メール等の送信の方法(特定受託事業者が当該電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるものに限る。第五条第一項第三号【=理由開示の方法】において同じ。)
 前項第二号の方法により行われた予告は、特定受託事業者の使用に係るファクシミリ装置により受信した時に、同項第三号の方法により行われた予告は、特定受託事業者の使用に係る通信端末機器等により受信した時に、それぞれ当該特定受託事業者に到達したものとみなす。

電子メール等(3号)とは、電子メールのほか、SMSやSNSのメッセージ機能などのうち、送信者が受信者を特定して送信することのできるものをいいます。ブログやウェブページなどへの書き込みなどのように、特定の個人が第三者に閲覧させることを主な目的とする手段(第三者が特定の個人に情報を伝達することができる機能は結果としてこれに付随するにすぎないもの)は含まれません(解釈ガイドライン 第3部-4-⑶-ア参照)。

3号:出力要件

注意が必要なのは、電子メール等(3号)で予告する場合、出力することにより書面を作成することができるものであることが要件になっている点です。つまり、フリーランス側がそのメッセージや添付ファイルをプリンター等で紙に印刷できる必要があります。

もし、SMSやアプリの仕様でファイル添付ができない場合は、スクリーンショット等の機能により保存できる方法であれば例外的に認められます。逆に、音声データやメッセージ消去機能(消えるメッセージ)を使った予告、スクショを制限しているアプリでの予告は、記録に残せないためNG(無効)となります。

▽フリーランス法Q&A〔令和8年1月1日版〕【問114】

 事前予告の方法のうち電子メール等の送信の方法について、「電子メール等の記録を出力することにより書面を作成することができるもの」とは、具体的にどのような要件を満たしている必要があるのでしょうか。

 「出力することにより書面を作成することができる」とは、電子メール等の本文又は電子メール等に添付されたファイル等が出力できることを指します。
 なお、トラブル防止の観点から、記録に残すことができる方法で事前予告を行うことが重要です。このため、本文や添付ファイルが出力できるサービスによる方法が望ましいですが、事業者間の取引実態に鑑み、SMSや自社アプリ等のファイル添付ができないサービスにより事前予告を行う場合は、予告された内容をスクリーンショット等の機能により保存できる方法で伝達する場合も、例外的に要件を満たすものと考えています。
 一方、例えば、音声データの送付による方法による予告やメッセージ消去機能を用いた方法による予告、何らかの機能制限によって随時の確認ができない方法による予告、スクリーンショット等の機能を制限した方法による予告など、記録に残すことができない方法による事前予告等は認められません。

また、SNSなどで事前予告する場合は、情報の保存期間が一定期間に限られている場合もあることから、発注事業者はフリーランスに対し、ファイルをダウンロードしておくなどして情報を保存するよう伝えることがトラブル防止のために有効なプラクティスとされています(フリーランス法ガイドブック 3-第16条参照)。

【ポイント】予告の到達の考え方

 なお、メッセージは相手の端末等で受信した時に到達したとみなされます(上記厚労規則の2項参照)。ウェブメールやクラウドなど、必ずしも相手方の使用する機器に到達しない方法もありますが、このような場合は、通常であればフリーランスが内容を確認し得る状態になれば到達したものとみなされると解されています(解釈ガイドライン 第3部-4-⑶-ウ参照)。

 また、トラブルを防ぐために、フリーランス側に「確認しました」と返信を求めるのが、良いプラクティスとされています。

▽フリーランス法ガイドブック 3-第16条-中途解除の事前予告に関するQ&A【Q1】

 予告の到達時点はどのように考えれば良いでしょうか。

 ファックス装置または通信端末機器に到達した時を指します。
 ウェブメールサービス、クラウドサービスなど、必ずしも機器に到達しない方法による場合は、通常であればフリーランスが内容を確認し得る状態になった場合に予告がフリーランスに到達したものとみなします。
 なお、争いが生じることを避ける観点からは、例えば、フリーランスに返信を求める等、事前予告が到達したことを両者で認識できるようにすることも有効です。

事前予告の例外:5つの例外事由

発注事業者にも守るべきビジネスがあるため、どんな事情があっても絶対に30日待たなければならないわけではありません。以下の5つの例外事由に当てはまる場合は、30日前の予告なしに契約を解除できます。

事前予告の5つの例外事由

  • 災害などのやむを得ない事由
    天災地変など、どうしようもない不可抗力により予告が困難な場合
  • 元請けからの契約解除(再委託の場合)
    フリーランスに再委託(孫請け)していた仕事で、元請けから急に契約を切られ、フリーランスに頼んでいた仕事の大部分が不要になってしまった場合など、直ちに解除せざるを得ない場合
  • 期間が30日以下の個別契約
    基本契約を結んでいる場合や更新している場合でも、今回の個別発注分(期間30日以下)だけを解除する場合
  • フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合
    フリーランス側に、30日前の予告という保護を与える必要がないほど重大または悪質な過失や違反があった場合
  • 長期間発注がない場合
    基本契約を結んでいるものの、フリーランス側の事情で相当な期間(概ね6か月以上)発注が行われていなかった場合

根拠条文は厚労省施行規則4条になりますので、内容を確認してみます。

▽厚労規則4条(※【 】は管理人注)

(法第十六条第一項の厚生労働省令で定める場合)
第四条
 法第十六条第一項に規定する厚生労働省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
1号:災害などのやむを得ない事由
 災害その他やむを得ない事由により予告することが困難な場合
2号:元請けからの契約解除(再委託の場合)
 他の事業者から業務委託を受けた特定業務委託事業者が、当該業務委託に係る業務(以下この号において「元委託業務」という。)の全部又は一部について特定受託事業者に再委託をした場合であって、当該元委託業務に係る契約の全部又は一部が解除され、当該特定受託事業者に再委託をした業務(以下この号において「再委託業務」という。)の大部分が不要となった場合その他の直ちに当該再委託業務に係る契約の解除(契約期間の満了後に更新しない場合を含む。以下この条において同じ。)をすることが必要であると認められる場合
3号:期間が30日以下の個別契約
 特定業務委託事業者が特定受託事業者と業務委託に係る給付に関する基本的な事項についての契約(以下この条において「基本契約」という。)を締結し、基本契約に基づいて業務委託を行う場合(以下この号において「基本契約に基づいて業務委託を行う場合」という。)又は契約の更新により継続して業務委託を行うこととなる場合であって、契約期間が三十日以下である一の業務委託に係る契約(基本契約に基づいて業務委託を行う場合にあっては、当該基本契約に基づくものに限る。)の解除をしようとする場合
4号:フリーランスの責めに帰すべき事由がある場合
 特定受託事業者の責めに帰すべき事由により直ちに契約の解除をすることが必要であると認められる場合
5号:長期間発注がない場合
 基本契約を締結している場合であって、特定受託事業者の事情により、相当な期間、当該基本契約に基づく業務委託をしていない場合

4号のフリーランスの責めに帰すべき事由(重大な過失・悪質な違反)は、単なる小さなミスではなく、業務委託契約の内容などを考慮の上で、総合的に判断し、30日前の事前予告の保護を与える必要のない程度に重大または悪質なものであるかで判断します(解釈ガイドライン 第3部-4-⑷-エ参照)。具体的には、以下のようなケースが該当するとされています(限定列挙ではありません)。

  • 業務に関連して、窃盗、横領、傷害などの犯罪行為をした
  • 業務とは関係ないプライベートな犯罪や行為(賭博、反社会的勢力との関わりなど)であっても、それによって発注事業者の名誉・信用が著しく失墜したり、取引関係が壊れたりした場合
  • 契約の前提となる経歴や能力、資格をウソをついていた(詐称していた)、または資格や運転免許証等が有効期限切れ・取り消しになっていた
  • 正当な理由がないのに、契約した仕事を全く(ほとんど)やらない
  • 契約から大きく外れた悪質な行為(配達中の商品を勝手に触る、顧客の個人情報を不正利用する、客への暴言など)をわざと行い、注意しても全く改善しない

理由開示義務(2項)

予告がされた日から契約が満了するまでの間に、フリーランス側から中途解除(不更新)の理由の開示を請求された場合、発注事業者(従業員を使用する特定業務委託事業者)は、遅滞なくその理由を開示しなければなりません。

▽フリーランス法16条2項

 特定受託事業者が、前項の予告がされた日から同項の契約が満了する日までの間において、契約の解除の理由の開示を特定業務委託事業者に請求した場合には、当該特定業務委託事業者は、当該特定受託事業者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なくこれを開示しなければならない。ただし、第三者の利益を害するおそれがある場合その他の厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。

中途解除の理由を開示する義務が設けられた趣旨としては、大きく3つの目的があります(フリーランス法Q&A〔令和8年1月1日版〕【問106】参照)。

  1. 契約存続に向けた交渉のため:
    理由がわかれば、その理由なら、こう改善するので契約を続けてもらえませんかとフリーランス側から交渉する余地が生まれます
  2. 自分の事業の見直しのため:
    もし自分のスキルや納品物の質が理由だった場合、それを知ることで次の仕事に向けた改善や準備に活かすことができます
  3. トラブルの防止:
    理由がブラックボックスになっていると不信感が募りますが、明確に開示されることで、お互いのトラブルを未然に防ぐことにつながります

【ポイント】いつ・どうやって請求するのか

 発注事業者は、自ら進んで理由を言わなければならないわけではありません。フリーランス側から請求された場合に開示する義務が発生します。

 また、請求できる期間が決まっています。 フリーランスが理由開示を請求できるのは、事前予告がされた日から、契約が満了する日までの間です。契約が終わってしまってから「そういえばあの時の理由って…」と聞いても、法律上の開示義務の対象外となってしまうので注意しましょう。

 そして、フリーランスから理由を請求された場合、発注者は遅滞なく開示しなければなりません。明確な日数の決まりはありませんが、フリーランスが次の準備をする時間を確保するためにも、スピーディーに対応する必要があります。

理由開示の方法

理由を電話や打ち合わせの場で口頭で伝えるだけでは、言った・言わないのトラブルになるためやはりNGです。事前予告と同様に、理由の開示は、以下のいずれかの方法で行う必要があるとされています。

  • 書面の交付
  • ファクシミリ(FAX)
  • 電子メール等(SMS、LINE等のSNSメッセージ、Slack等のチャットツールを含む)
    • 出力による書面作成(プリントアウト)可能なものに限る

電子メール等で理由を開示する場合も、事前予告の方法と同様に、出力することにより書面を作成することができるものであることが要件です。 また、音声データや、閲覧後に消えてしまうようなメッセージ機能での開示は認められないことなどについても同様です。

▽厚労規則5条(※【 】は管理人注)

(法第十六条第二項の厚生労働省令で定める開示の方法)
第五条
 法第十六条第二項の規定による開示は、次のいずれかの方法により行わなければならない。
 書面を交付する方法
 ファクシミリを利用してする送信の方法
 電子メール等の送信の方法【←※書面への出力要件については厚労規則3条に規定あり】
 前項第二号の方法により行われた開示は、特定受託事業者の使用に係るファクシミリ装置により受信した時に、同項第三号の方法により行われた開示は、特定受託事業者の使用に係る通信端末機器等により受信した時に、それぞれ当該特定受託事業者に到達したものとみなす。

理由開示の例外:2つの例外事由

では、フリーランスから求められたら、発注事業者はどんな理由であっても答えなければならないのでしょうか。これにも例外があり、以下の例外事由にあてはまる場合は、理由を開示しなくてもよいとされています。

理由開示の2つの例外事由

  • 第三者の利益を害するおそれがある場合:
    契約解除の理由を開示することで、発注事業者とフリーランス以外・・の人の利益を害するおそれがある場合
  • 他の法令に違反することとなる場合:
    契約解除の理由を開示すること自体が、他の法律に違反してしまう場合

①の具体例としては、顧客からのクレームが原因で契約解除することになった場合などが挙げられます。フリーランスにその理由とクレームの内容を伝えると、フリーランスが顧客に対して報復や嫌がらせをする可能性(蓋然性)が高いと認められる場合などです。

②の具体例としては、法令上、守秘義務が課されている事業を営む発注事業者が、その守秘義務に関わる情報を出さないと解除の理由を説明できず、開示することで法律違反になってしまう場合などが該当します。

条文も確認してみます。

▽厚労規則6条

(法第十六条第二項の厚生労働省令で定める場合)
第六条
 法第十六条第二項に規定する厚生労働省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
 第三者の利益を害するおそれがある場合
 他の法令に違反することとなる場合

【ポイント】事前予告をしなかった場合の扱い

 一つ注意点としては、理由開示は予告期間(予告から・・・・契約満了までの間)に行われるものであるため、事前予告の例外事由にあてはまって予告なしに開示された場合は、理由開示の請求対象とはなりません。

 しかし、もし発注事業者が、本来は30日前に予告しなければならなかったのに、法律に違反して(予告義務違反をして)予告なしに解除してきたような場合は別です。この場合、フリーランスは発注事業者に対して、契約解除の理由開示を請求することができると解されています(解釈ガイドライン 第3部-4-⑹参照)。

結び

フリーランス法における中途解除等の事前予告・理由開示義務は、フリーランスが予期せぬ契約の打ち切りによって時間的・経済的損失を被ることを軽減し、安心して次の仕事の準備ができるようにするためのセーフティネットです。

発注事業者は、明日で契約終了、といった理不尽な打ち切りをすることはできません。 フリーランスの側としては、もし急に契約を切られそうになったら30日前の予告がルールであることを伝える、また、理由を尋ねるといった対応が可能になります。

次の記事は、違反行為に対する措置等についてです。

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

主要法令等

リンクをクリックすると、法令データ提供システム、公正取引委員会HPまたは厚生労働省HPに遷移します
  • フリーランス法(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」)(≫法律情報/英文
  • 施行令(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行令」)
  • 公取施行規則(「公正取引委員会関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」)
  • 厚労施行規則(「厚生労働省関係特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律施行規則」)
  • 厚労指針(「特定業務委託事業者が募集情報の的確な表示、育児介護等に対する配慮及び業務委託に関して行われる言動に起因する問題に関して講ずべき措置等に関して適切に対処するための指針」(令和6年厚生労働省告示第212号))|厚労省HP(≫掲載ページ
  • 解釈ガイドライン(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律の考え方」)|公取委HP(≫掲載ページ
  • 執行ガイドライン(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律と独占禁止法及び下請法との適用関係等の考え方」)|公取委HP(≫掲載ページ
  • フリーランス法Q&A(「フリーランス・事業者間取引適正化等法Q&A」)|公取委HP
  • フリーランス環境ガイドライン(「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」)|公取委HP(≫掲載ページ

参考資料

リンクをクリックすると、公正取引委員会HPに遷移します
  • ガイドブック(「ここからはじめる フリーランス・事業者間取引適正化等法」〔令和6年11月1日施行〕)(≫掲載ページ
  • 説明資料(「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)説明資料」〔令和6年11月1日施行〕)(≫掲載ページ

参考文献

-フリーランス法