とある法律職

法律を手に職にしたいと思って弁護士になったが、法律って面白いと割と本気で思っている人。イソ弁、複数社でのインハウスローヤー(企業内弁護士)、独立開業など経験。運営情報はこちら

法務トーク(動画)

【法令用語】「その他」と「その他の」は違う、だから何?

本記事では、「A、B、Cその他D」と「A、B、Cその他のD」は、法令用語としては意味が異なる(書き分けられている)という話と、実際上の違い(実益)としては、下位法令に委任する際に違いが出てくる、という話をしています。 「その他」と「その他の」の違いは、インターネット検索でもこのテーマの解説が山ほど出てきますので、もうコモディティ化したような感じもする一方、だから何?(so what?)という点についてはあまり触れられていないような気もしますので、そこも押さえておいて損はないかと思います(下位法令に委任する ...

組織再編

組織再編|新設分割における「株主総会決議」と簡易分割について解説

今回は、組織再編ということで、新設分割の手続のうち、株主総会決議と簡易分割(例外的に株主総会決議が不要となる場合)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 新設分割計画承認の株主総会決議 新設分割計画を作成した後、通常、株主総会決議で承認する必要があります。 新設分割には、分割会社(分割する側)と設立会社(分割により設立される側)がありますが、株主総会決議は分割会社のみです。 当然ながら、設立会社はまだ成立していないためです ▽会社法804 ...

組織再編

組織再編|新設分割における「事前備置書類」を解説~必要記載事項・備置期間など

今回は、組織再編ということで、新設分割手続における事前備置書類について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 事前備置書類とは 新設分割を行う場合、分割会社(分割する側)は、株主や債権者などの利害関係者に対し判断の資料を提供するため、一定の書類を分割計画承認の株主総会の前などに本店に備え置く義務があります。 この書類を、事前備置びち書類と呼びます。要するに、事前の情報開示です。 他の手続として「事後備置書類」というのもありますが、何の「事前」「事 ...

法学部生向け 法律コラム

「狭義の○○」と「広義の○○」って何? 教科書の最初のページで迷子にならないために

法学部の教科書を開くと、最初の方(総論)でよく出てくるフレーズがあります。「狭義の○○」と「広義の○○」という、法律の名前の説明です。 狭義(きょうぎ)の刑法とは刑法典を指し、広義(こうぎ)の刑法とは犯罪と刑罰に関する法規範の総体を指す…… 正直、「どっちも刑法じゃないか! なぜわざわざ使い分けるの?」と思いませんか? 商法でも同じような説明が続き、無味乾燥で眠くなってしまう学生もいるかもしれません。 しかし、この使い分けは、法律家として会話をする上で避けては通れない言葉の定義(作法)なのです。今回は、こ ...

組織再編

組織再編|新設分割における「新設分割計画の作成」~法定・任意的記載事項などを解説

今回は、組織再編ということで、新設分割のうち新設分割計画について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 新設分割計画の作成 新設分割を行う場合、分割会社(分割する側)は新設分割計画を作成しなければなりません(新設分割計画書)。 「分割計画書・・・」というのは聞き慣れない感じもしますが、新設分割に特有のものになります。まだ相手会社がいない(設立会社が成立していない)ためです。 ちなみに、吸収分割の場合に作成するのは「吸収分割契約書・・・」です(相手 ...

組織再編

組織再編|吸収合併における「合併契約」の締結~法定・任意的記載事項などを解説

今回は、組織再編ということで、吸収合併における合併契約について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 合併契約の締結 吸収合併をする場合、合併当事会社(消滅会社と存続会社)は、吸収合併締約を締結しなければなりません。 ▽会社法748条 (合併契約の締結)第七百四十八条 会社は、他の会社と合併をすることができる。この場合においては、合併をする会社は、合併契約を締結しなければならない。 合併契約の法定記載事項 吸収合併契約には、法定記載事項が定められ ...

組織再編

組織再編|吸収合併における「株主総会決議」と略式・簡易合併について解説

今回は、組織再編ということで、吸収合併の手続のうち、株主総会決議と略式・簡易合併(株主総会決議が不要となる場合)について見てみたいと思います。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 吸収合併契約承認の株主総会決議 吸収合併契約を締結した後、通常、株主総会決議で承認する必要があります。 これは原則としていわゆる特別決議になります(会社法309条2項12号)。特別決議とは、議決権の過半数を有する株主が出席し、そのうち3分の2以上の賛成を得る必要がある決議です。 ▽法309 ...

印紙税法

印紙税法|「顧客紹介契約書」の印紙税について解説~第2号・第7号・請負と成果完成型委任の区別など

今回は、印紙税法ということで、顧客紹介契約書の印紙税について見てみたいと思います。 結論からいうと、顧客紹介契約書(ビジネスマッチング契約書、顧客紹介基本契約書など)の印紙税については、原則として印紙税の課されない不課税文書であり、収入印紙を貼る必要はありません。本記事では、直接的な裏付けがあるかどうか、どのような法的ロジックによるかなどを検討していきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 基本通達や問答による直接的な根拠の有無 まず、基本通達や印紙問答(質疑応 ...

印紙税法

印紙税法|「人材紹介契約書」の印紙税について解説~第2号・第7号・請負と成果完成型委任の区別など

今回は、印紙税法ということで、人材紹介契約書の印紙税について見てみたいと思います。 人材紹介契約書(有料職業紹介基本契約書など)の印紙税については、結論からいうと、印紙税が課されない不課税文書であり、収入印紙を貼る必要はありません。本記事では、法令や基本通達などに直接的な根拠があるかどうかや、どのような法理に裏付けられているかを検討していきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 基本通達や問答による直接的な根拠の有無 まず、基本通達や印紙問答(質疑応答事例など) ...

法学部生向け 法律コラム

客観は”証拠がある”という意味ではない?~法学の論点「主観説」と「客観説」の意味

法学部の授業や基本書で、よく出てくる対立軸があります。 それが主観説と客観説の対立です。 日常用語で客観的というと、何をイメージしますか? データや証拠に基づいていることや、誰が見ても明らかな事実であることを思い浮かべる人が多いでしょう。 しかし、法律の学説で客観説という言葉が出てきたとき、その多くは日常用語とは全く違う意味で使われています。これを知らないと、解説などを読んでも意味が頭に入ってきません。 今回は、法学特有の「客観」という言葉の意味を解き明かし、典型的な例を通じてその感覚をマスターしましょう ...

印紙税法

印紙税法|第1号の1文書「不動産等の譲渡に関する契約書」を解説~基本定義・対象となる財産の範囲など

今回は、印紙税法ということで、第1号の1文書(不動産、鉱業権、無体財産権、船舶若しくは航空機又は営業の譲渡に関する契約書)について見てみたいと思います。 本記事では、その定義、対象となる財産の範囲、記載金額の算定方法、および実務上の注意点などを、順に解説していきます。 ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。 第1号の1文書の基本定義 第1号の1文書は、印紙税法別表第一に掲げられている課税文書であり、特定の財産や権利を譲渡(移転)させる契約がこれに該当します。 なお、印紙 ...

法学部生向け 法律コラム

「パンデクテン方式」って何だ?~民法が総則から始まる理由

法律の勉強を始めたころにとっつきにくい用語の代表格は、パンデクテン方式ではないでしょうか。 まず響きがいかついですし、管理人も学生時代に目にしたとき、いろいろな用語のすべてがなんだか高尚で難解に聞こえる中で、「パンデクテン」とか言われるともうトドメ(?)みたいな感じだったような気がします笑。教科書読んでも当時よくわからなかったですし。 ただ、わかってしまうとそんなに難しい話ではなく、結論から言ってしまうと、これは目次の組み立て方(情報の整理の仕方)のことで、内容的には因数分解のロジックを使ったものです(深 ...