「弁護士国保」って知ってますか?
noteを書いている弁護士「くらげ」さんの記事に、こんな記事が…。
弁護士国保?知らんかった…(;゚Д゚)(←私)
はじめから東京圏で弁護士やっている人にはおそらく常識なんでしょうが、私はそうではなく知りませんでした…。
弁護士国保とは
上記の記事を見ていただければわかりますが、要するに弁護士業界にある国保組合ですね。そして確かに保険料安い…。
「東京都弁護士国民健康保険組合」のホームページを見ると、在野法曹界唯一の国民健康保険組合、とあります。「東京都」という名称ですが、東京、神奈川、埼玉、千葉と、そのほかいくつかの単位会の一部エリアで加入できるようです。分布をみると、基本的には関東圏中心という感じですかね。
ネットで調べると、この弁護士国保に加入できるエリア以外の単位会の弁護士のなかには、税理士登録をして、税理士国民健康保険組合に加入しているような方もいるようです(固定費の削減)。意識高いですね…。
インハウス退職時の健康保険選び
インハウスを退職すると、退職時に、健康保険の任意継続をしますかどうしますか?と聞かれます(普通に会社員の退職と同じなので、お約束)。
希望すれば、退職後2年間、企業の健保を継続できるってやつです。退職後すぐ企業に転職しない場合、任意継続しないなら、いったん国保になります。主なパターンまとめるとこうなりますかね。
パターン | 基本ルート | もう一つの選択肢 |
---|---|---|
a)退職後すぐ企業に転職する場合 | 次の企業で健保を継続 | |
b)退職後すぐ法律事務所に転職する場合 | 事務所による(国保or協会けんぽ) | 任意継続OK |
c)上記以外(退職後独立する場合、及び、次までブランクがある場合) | 基本的に国保 | 任意継続OK |
任意継続でもこの国保の手続きでも、自分でやらないといけないのでご注意を。まあ多かれ少なかれ退職時に普通は説明してくれますけど。
市町村の国保にする場合、その保険料を調べて、任意継続の場合の保険料と比べて、普通は安い方を選択することになります。
なお私は最初の退職のときに、よく調べずに「退職するのに任意継続するって、変に縁が残りそうで嫌だな…」というよくわからない理由で市町村の国保にしましたが、その後調べて後悔したことがあるので、みなさまは最初にお調べください。言われるまでもないですかね…。
ざっくり補足説明
少しわかりにくい方もいるかもしれないので、補足まで、前提知識をざっくり説明します(←恥ずかしながら、過去の私はわかっていなかったため)。
○ まず、当然ながら、個人事業者なら⇒国民健康保険(国保)、被用者なら⇒健康保険(健保)になる。
○ 例えば、独立するなら国保だし、インハウスは健保。イソ弁は、基本的に国保(事務所が健保に任意加入している場合は健保)だが、弁護士法人の場合は基本的に健保。
○ 健保には、「組合健保」(=健康保険組合)と「協会けんぽ」の2種類がある。
○ 「組合健保」は、比較的規模の大きい事業者が運営するイメージ。大企業が企業グループ全体で組合を形成したり、あるいは、業界を同じくする企業が集まって業界団体として組合を形成したりする。
○ 「協会けんぽ」は、規模の小さい事業者が全国的に集まって運営するイメージ。「全国健康保険協会」が運営主体。
○ 現状、弁護士業界には、「組合健保」(=健康保険組合)が存在しない。なので、法律事務所がイソ弁を健保にするなら、「協会けんぽ」になる。
○ こういった状況のなか、主に関東をエリアとする圏だけは、国民健康保険の組合を形成できている(「東京都弁護士国民健康保険組合」)。そのため、国保でも保険料が安い。
ということですね。
まとめ
上記の記事をあわせると、インハウスを退職後すぐ企業(又は協会けんぽの法律事務所)に転職しない場合、それぞれの状況に合わせて、
A.市町村の国保
or
B.任意継続
に加えて、
C.弁護士国保(←主に関東圏とその他一部エリアの、ある意味特権)
という、3つの選択肢があり得るということになりますかね。
私と同じ轍を踏まれぬよう、簡単な記事にしてみました。転身するときは都道府県をまたぐことも多いと思いますので、参考になれば幸いです。
[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。