特定商取引法

特商法解説|電話勧誘販売における「法定書面の記載事項」とは?~法定の5項目・省令の項目・クーリングオフの細目など

2024年12月15日

今回は、特定商取引法ということで、電話勧誘販売における法定書面の記載事項について見てみたいと思います。

本記事は記載事項に焦点を当てていますが、法定書面の交付義務全体については、以下の関連記事で解説しています。適宜ご参照ください。

関連記事
特商法解説|電話勧誘販売における「法定書面の交付義務」の内容~時期・記載事項・形式など

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ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。




記載事項の全体像

法定書面には①申込書面と②契約書面の2種類がありますが、法定書面における記載事項の全体像は、以下のようになっています。規則の条番号を含めて整理しています。

記載事項の全体像(根拠条文)

法定書面根拠(法)記載事項(施行規則)書き方の基準(施行規則)クーリング・オフ事項(施行規則)
①申込書面法18条1項第45条第46条第47条
②契約書面通常法19条1項第45条第46条第47条
簡略書面(現金取引)法19条2項第54条第46条第47条

法律が定める5項目(法18条1項1〜5号)

申込書面の場合

まず、法律が定める5項目から見ていきます(法18条1項)。6号で、省令に委任されています。

号内容
1号商品・権利・役務の種類
2号商品・権利の販売価格、または役務の対価
3号代金・対価の支払時期と方法
4号商品の引渡時期、権利の移転時期、役務の提供時期
5号クーリング・オフに関する事項(適用除外がある場合はその旨を含む)
6号上記のほか省令で定める事項 → 次項

▽特商法18条1項:申込書面

(電話勧誘販売における書面の交付)
第十八条
 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘行為により、電話勧誘顧客から商品若しくは特定権利につき当該売買契約の申込みを郵便等により受け、又は役務につき当該役務提供契約の申込みを郵便等により受けたときは、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、次の事項についてその申込みの内容を記載した書面をその申込みをした者に交付しなければならない。ただし、その申込みを受けた際その売買契約又は役務提供契約を締結した場合においては、この限りでない。
一 商品若しくは権利又は役務の種類
二 商品若しくは権利の販売価格又は役務の対価
三 商品若しくは権利の代金又は役務の対価の支払の時期及び方法
四 商品の引渡時期若しくは権利の移転時期又は役務の提供時期
五 第二十四条第一項の規定による売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又は売買契約若しくは役務提供契約の解除に関する事項(同条第二項から第七項までの規定に関する事項(第二十六条第二項、第四項又は第五項の規定の適用がある場合にあつては、当該各項の規定に関する事項を含む。)を含む。)
六 前各号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項

契約書面の場合

法19条1項の書面(契約書面)も、同じ項目です。ただし、5号は「解除に関する事項」に限られ、申込みの撤回の部分は含みません(契約書面は、締結が済んだ=すでに契約が成立した場面であるため)。

▽特商法19条1項:契約書面

第十九条 販売業者又は役務提供事業者は、次の各号のいずれかに該当するときは、次項に規定する場合を除き、遅滞なく、主務省令で定めるところにより、前条第一項各号の事項(同項第五号の事項については、売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項に限る。)についてその売買契約又は役務提供契約の内容を明らかにする書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。
一 電話勧誘行為により、電話勧誘顧客と商品若しくは特定権利につき当該売買契約を郵便等により締結したとき又は役務につき当該役務提供契約を郵便等により締結したとき。
二 電話勧誘行為により電話勧誘顧客から商品若しくは特定権利又は役務につき当該売買契約又は当該役務提供契約の申込みを郵便等により受け、その売買契約又は役務提供契約を締結したとき。

省令が定める項目(施行規則45条1〜9号)

続いて、省令が定める項目を見ていきます(規則45条)。

号内容
1号事業者の氏名又は名称、住所、電話番号、法人は代表者の氏名
2号契約の申込み(または締結)を担当した者の氏名
3号申込み(または締結)の年月日
4号商品名、商品の商標または製造者名
5号商品に型式があるときは型式
6号商品の数量
7号商品が種類・品質について契約内容に適合しない場合の責任について定めがあるときはその内容
8号契約の解除に関する定めがあるときはその内容
9号その他の特約があるときはその内容

1号の氏名・名称は、登記簿上の名称などを記載します。通称や屋号は認められません。電話番号は、確実に連絡が取れるものが必要です(逐条解説参)。

▽施行規則45条

(電話勧誘販売における書面の交付等)
第四十五条
 法第十八条第一項第六号の主務省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあつては代表者の氏名
二 売買契約又は役務提供契約の申込み又は締結を担当した者の氏名
三 売買契約又は役務提供契約の申込み又は締結の年月日
四 商品名及び商品の商標又は製造者名
五 商品に型式があるときは、当該型式
六 商品の数量
七 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
八 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
九 前二号に掲げるもののほか特約があるときは、その内容

クーリング・オフに関する記載(施行規則47条)

法律(法18条1項)が定める5項目のうち、クーリング・オフに関する事項(5号)については、さらに記載すべき細目が、規則47条に定められています。

まず、第1項は、商品(1号)・権利(2号)・役務(3号)ごとに、記載内容を定めています。

記載すること商品(1号)権利(2号)役務(3号)
書面受領から8日間、書面または電磁的記録で撤回・解除できるイイイ
事業者の不実告知・威迫で行使できなかった場合は、改めて交付した書面の受領から8日ロロロ
通知を発した時に効力が生じるハハハ
損害賠償・違約金を請求できないニニニ
引取り・返還の費用は事業者負担ホホ-
使用利益・権利行使利益の請求不可ヘヘ-
提供済みの役務の対価等の請求不可--ホ
工事等で現状変更があれば、無償の原状回復を請求できる-トト
受領済み代金・金銭の全額返還トチヘ

▽施行規則47条1項(※【 】は管理人注)

第2項以下は、クーリング・オフができない場合(自動車の売買、電気・ガス等、使用した消耗品、少額の現金取引など)に、その旨を追加記載する定めです。

第6項は、これらの事項を赤枠・赤字で書くことを定めています。

▽施行規則47条2項~6項

2 当該売買契約又は役務提供契約に係る商品又は役務の提供が法第二十六条第四項第一号の政令で定める商品又は役務の提供に該当する場合において、その売買契約又は役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約又は役務提供契約の解除を行うことができないこととするときは、前項の書面には、次の各号に掲げる内容を記載しなければならない。
一 商品又は役務の名称その他当該商品又は役務を特定し得る事項
二 当該商品又は役務については契約の申込みの撤回又は契約の解除を行うことができないこと。
3 当該役務提供契約に係る役務の提供が法第二十六条第四項第二号の政令で定める役務の提供に該当する場合において、その役務提供契約の申込みの撤回又はその役務提供契約の解除を行うことができないこととするときは、第一項の書面には、次の各号に掲げる内容を記載しなければならない。
一 役務の名称その他当該役務を特定し得る事項
二 当該役務については契約の申込みの撤回又は契約の解除を行うことができないこと。
4 当該売買契約に係る商品が法第二十六条第五項第一号の政令で定める商品に該当する場合において、当該商品を使用し又はその全部若しくは一部を消費したときはその売買契約の申込みの撤回又はその売買契約の解除を行うことができないこととするときは、第一項の書面には、同項の表第一号の下欄に掲げる内容のほか、次の各号に掲げる内容を記載しなければならない。
一 商品の名称その他当該商品を特定し得る事項
二 当該商品を使用し又はその全部若しくは一部を消費したとき(当該販売業者が当該申込者等に当該商品を使用させ、又はその全部若しくは一部を消費させた場合を除く。)は契約の申込みの撤回又は契約の解除を行うことができないこと。
5 法第十九条第二項に規定する場合であつて、当該売買契約に係る商品若しくは特定権利の代金又は当該役務提供契約に係る役務の対価の総額が法第二十六条第五項第三号の政令で定める金額に満たない場合において、その売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回又はその売買契約若しくは役務提供契約の解除を行うことができないこととするときは、第一項の書面には、その契約の申込みの撤回又は契約の解除を行うことができない旨を記載しなければならない。
6 前各項に掲げる事項は赤枠の中に赤字で記載しなければならない。

書き方の基準(施行規則46条)

以上のような記載事項に対して、規則46条は、書き方の基準を定めています。

まず第1項では、内容の基準を定めており(第1項の表を参照)、

  • 契約不適合責任を負わない旨
  • 消費者からの解除を認めない旨
  • 事業者に責任がある解除で、民法より消費者に不利な内容
  • 法令に違反する特約

といった定めは、置くことができないとされています。

▽施行規則46条1項

第四十六条 法第十八条第一項又は法第十九条第一項若しくは第二項の規定により交付する書面(以下この条において「書面」という。)は、次の表の上欄に掲げる事項について、それぞれ同表の下欄の基準に合致したものでなければならない。

事項基準
一 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の責任に関する事項引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合に販売業者がその不適合について責任を負わない旨が定められていないこと。
二 契約の解除に関する事項イ 購入者又は役務の提供を受ける者からの契約の解除ができない旨が定められていないこと。
ロ 販売業者又は役務提供事業者の責めに帰すべき事由により契約が解除された場合における販売業者又は役務提供事業者の義務に関し、民法に規定するものより購入者又は役務の提供を受ける者に不利な内容が定められていないこと。
三 その他の特約に関する事項法令に違反する特約が定められていないこと。

第2項は、「書面の内容を十分に読むべき旨」を、赤枠の中に赤字で書くべきことを定めています。

第3項は、JIS Z 8305の8ポイント以上の文字・数字を使うべきことを定めています。

▽施行規則46条2項・3項

2 書面には書面の内容を十分に読むべき旨を赤枠の中に赤字で記載しなければならない。
3 書面には日本産業規格Z八三〇五に規定する八ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いなければならない。

ここまでの書き方のルール(形式・内容)をまとめると、以下のようになります。

ルール内容
赤枠・赤字「書面の内容を十分に読むべき旨」と「クーリング・オフに関する事項」を、赤枠の中に赤字で書く
文字の大きさ8ポイント以上(JIS Z 8305)
定めてはいけない内容契約不適合責任を負わない旨、消費者からの解除を認めない旨、民法より消費者に不利な解除条項、法令違反の特約
クーリング・オフの書き方書面受領から8日間、書面又は電磁的記録で行える、通知を発した時に効力が生じる、損害賠償・違約金は請求できない、商品の引取費用は事業者負担、代金は全額返還、など。権利・役務は追加事項あり
クーリング・オフ例外の明記自動車リース等、消耗品を使った場合、少額の現金取引などでクーリング・オフできない場合は、その旨も書く

簡略書面(法19条2項)の場合

簡略書面は、契約締結の場で商品を引き渡し、代金も全額受領している場合(「現金取引」と呼ばれます)の書面です(法19条2項)。

記載するのは、法18条1・2号、5号のうち解除に関する事項、および規則54条が定める事項です。

▽特商法19条2項

2 販売業者又は役務提供事業者は、前項第二号に該当する場合において、その売買契約又は役務提供契約を締結した際に、商品を引き渡し、若しくは特定権利を移転し、又は役務を提供し、かつ、商品若しくは特定権利の代金又は役務の対価の全部を受領したときは、直ちに、主務省令で定めるところにより、前条第一項第一号及び第二号の事項並びに同項第五号の事項のうち売買契約又は役務提供契約の解除に関する事項その他主務省令で定める事項を記載した書面を購入者又は役務の提供を受ける者に交付しなければならない。

規則54条の内容は、第45条と同型(事業者情報、締結を担当した者、締結の年月日、商品情報、契約条件)です。

引渡時期や支払時期の記載は不要です(逐条解説参照)。

▽施行規則54条

(電話勧誘販売における契約締結時交付書面の記載事項)
第五十四条
 法第十九条第二項の主務省令で定める事項は、次のとおりとする。
一 販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称、住所及び電話番号並びに法人にあつては代表者の氏名
二 売買契約又は役務提供契約の締結を担当した者の氏名
三 売買契約又は役務提供契約の締結の年月日
四 商品名及び商品の商標又は製造者名
五 商品に型式があるときは、当該型式
六 商品の数量
七 引き渡された商品が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合の販売業者の責任についての定めがあるときは、その内容
八 契約の解除に関する定めがあるときは、その内容
九 前二号に掲げるもののほか特約があるときは、その内容




結び

今回は、特商法の電話勧誘販売における法定書面の記載事項について見てみました。

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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

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主要法令等

消費者庁「特定商取引法ガイド」に法令等の一覧ページがあります ⇨特定商取引法の条文

参考資料

リンクをクリックすると、特定商取引法ガイドのページに遷移します
  • 逐条解説(「特定商取引に関する法律の解説(逐条解説)」)(消費者庁)

参考サイト・関連団体

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