独立開業

【弁護士の独立】レアな選択肢?インハウス→独立というパターン

Photo by Michael Liao on Unsplash

今回は、インハウスへの転職ではなく、インハウスからの独立について書いてみたいと思います。

管理人個人はいろいろ考えてみて当時はそれがベストに思えたので、インハウス→独立をとりあえず”やってみた”人なんですが、たぶんそのパターンの人はまだあんまりいないと思いますので(ただ、頭の中をチラつく人も中にはいるかなと)、いち事例として記事にしてみました。

単に率直な感想

さて、さほどポジティブな要素がないことを先に注意喚起しつつ(笑)、率直な感想を書き連ねると、次のような感じですかね。

感想

①事務員さんがいないときつい

②コネがないと始めはきつい

③カンが戻るのにちょっと時間がかかる

④初期コストをかけすぎないように気をつけるべき(なるだけ小さく始める)

⑤事件の種類をコントロールするのは可能とは思うが、長い時間がかかる

①は、やっぱり諸々の庶務も自分でやると、事前に予想していたよりも時間や気力が薄く長く削られるなー、という感じはあります。郵送も記帳もセルフになるので。

②は、起業と一緒なので、コネがない限りは最初は「資金が減っていくだけ」のフェーズがあるので、精神的にクルかと思います。ただ、事前にわかっていることではありますし、ここは何だかんだいって何とかなると思います。もちろん周りの温かいご支援のおかげもあってのこと、ですが。

ちゃんと時間はだんだんなくなってくるので、そのときしかできない何かを見つけてやっておいてもいいと思います。遊びでも、トレーニングでも。あるいは、一息ついてプチ旅行にでも行くとか。

③も、車の運転みたいなもので、やっているうちにカンは戻ってきます。

④は、イソ弁のときのことを思い出すと、最低限これはいるな、あれもいるな…という発想になりますが(もちろんワクワク感もありますので)、たぶん「最低限の揃え」というのはそれよりももっと低いところにあるので、さらに絞ってよいと思います。

たとえば突き出し看板とか、依頼者が来るときに(物理的な目印として)必要だろうとか体裁的にも要るだろうと思ったりしますが、けっこうなお値段しますので、最初はシール(入口ドアのガラスにネームを貼る)だけにするとか、そういうコスト削減の意識を厳に持っていた方が利益は出ると思います。一事が万事なので。

⑤は、当然といえば当然ですが、もうちょっとコントロールできるかなと思っていたんですが、個人的な感覚としては事前に思っていたよりも難しかった気がします。

インハウスからの独立に固有の要素はあるか?

とりあえずやってみて思ったのは、インハウスからの独立ということに固有の要素というのは、基本的にはないと思います。

  • コネなし→即独とパラレル
  • コネあり→イソ弁からの独立とパラレル

という感じで、既存のパターンとほぼパラレルと言っていいだろうと思います。

仮に固有のものがあるとすれば、考えられるのは「自分が在籍していた会社またはグループ会社、あるいは支店や営業所に外部弁護士あるいは業務委託として関与し続ける」というパターンですが、実際にはあんまりないんじゃなかろうかと。

やめればそれで終了、というパターンがほとんどではないかと思います。自分も同僚も含めて、まだそのパターンを実際に見たことはないです。ただ、世間では例はあるはずで、可能性ゼロではないです。

例えば、経理とかで決算時に欠かせない人材とか、退職した後も業務委託で関係を残すケースとかありますよね。そういう感じならあり得そうな気がします。

まあ、インハウスからの独立という括りで見るより、状況は即独と同じ場合が多いと思いますので、即独の人の話を聞いた方が参考になるような気はします。管理人の頃は、ググってもあまり独立体験系の記事はヒットせず(あまり検索で出てこない)、それまでの諸々の経験プラス本を読みながらでやった感じです。

もちろん、インハウスとして特定分野で有名になるとか、そういうパターンで何らかのコネクションをもって独立する場合は、イソ弁からの独立に似てくると思います。

NewsPicksのProPickerとかでたまにそういう感じの人を見かけますけど、ただ、かなりレベルの高い話だし、あんまりそういうパターンは多くないんじゃないかと。普通にインハウスとして働いていて、そういうことになりそうな雰囲気やきっかけは感じなかったですね。同僚のインハウスも含めて。

渉外的なこととか、相当専門性高いことやっている人も中にはいたんですが。まあ、後日譚を聞き回ったわけでもないですので、その後どうだったのかはよくわかりませんが。

なぜ独立してみようと思ったか?

管理人個人は、弁になりたてのころは自分が独立する局面などは想像できませんでしたが(さほど「一国一城の主」志向はなく、単に法律で飯を食っていきたいという願望)、インハウス中に子会社の設立とそこへの出向を経験したことがあり、会社の作り方みたいなものが細かいところまで含めて何となく感覚としてわかったため(オフィス機器の揃え方みたいなところも含め)、そこで、あ、これ自分にもできるかも…という漠然とした感触をもちました。それが独立への心理的ハードルをかなり下げていた気がします。

もちろん、そんな経験がなくても、イソ弁から独立あるいは即独してる人もいっぱいいますので(というかむしろそれが普通)、管理人の心持ちが未熟だっただけかもしれませんがまあこういう人もいるっていう一例です。

上記が独立の許容性だとすると、独立の必要性(動機)というのは、以下のような感じですかね。

インハウスして3年ぐらいたつと、何となく、「あ、これこのままだともう準備書面とか書けなくなりそうだな…」という感じで、以前の感覚が消えかかってくるタイミングがあったんですね(自分はそうだった)。

何というか勝手なもんでというか、紛争処理オンリーが不毛という動機でインハウス転職した割には(それはそれで自分にとってはとても良かったのですけど)、インハウス世界にずっと居続けるというのにも違和感が出てきたわけです。

別に紛争処理の世界が恋しいとかそういう感じではなく。また、法律事務所の世界が恋しいというのでもない。

また厨二病みたいなことを言いますが、「紛争処理もするけど平時の世界のバックアップもする」「距離感として当事者感(感というより勘?)の強い弁」みたいものが、自分の向かいたいおぼろげな弁護士像だったので、弁護士機能のコア部分(=訴訟機能)が消えてしまうことに一種の恐怖があったという感じ、ですかね。

もし同じ感覚を持つ人がいるとすれば、そのときに「このまま続けるか、否か」という問いがムクムクと湧いてくるのでは、と思います。

そのほかにもいろいろ状況を考えた上で、自分の場合は、よしここはもう独立してみちゃおうという感じになりました。もちろん、インハウスでいこう!という結論もいいと思います。自分が1番いいと思うことをするべきだろうと。

結び

ただ、独立する場合、当然ただの起業なので、ビジネスプランとか商才みたいなものは意識せざるを得なくなってきます。逆にいうとそれに優れる人はやっぱりいて、必ずしもこう、弁護士力というのは法律関係ないなと(笑)。

弁に転身する裁判官とかも、うまくいく人とそうでない人がいるのは、やっぱりそういう民間の商売だからですよね。だって、法的能力は最強のはずですからね(平均的には)。

あとは、当事者の憤りをいい意味で表現できるかとか(裁判官と違って中立の立場ではない)、依頼者対応(アピール)や、商才(販路)、そういうもので差がつく感じだろうと思います。

そして、自分に合わない人もいるが、ある意味、意外にも、ちゃんと合う人もいる、という感じもします。昔、ボス弁が“歴20年ぐらいでようやく自分に合う依頼者が残るようになる”という話をしていたことがありましたが、何となくそれを思い出すようなタイミングがあったりなかったりします。

という感じですかね!w

まとまりが良くないですが、ひとまず何となく書きたいことは書いたので、本記事はこれで終わりにしたいと思います。

[注記]
本記事は管理人の私見であり、管理人の所属するいかなる団体の意見でもありません。また、正確な内容になるよう努めておりますが、誤った情報や最新でない情報になることがあります。具体的な問題については、適宜お近くの弁護士等にご相談等をご検討ください。本記事の内容によって生じたいかなる損害等についても一切の責任を負いかねますので、ご了承ください。

-独立開業

S
目次へ