今回は、商標法務ということで、商品の区分(第31類から第34類まで)についてざっと見てみたいと思います。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
商品・役務の区分とは
商品・役務の区分とは、世の中に無数に存在する個々の商品・サービスを一定の基準でカテゴリー分けしたものです。「類」とか「クラス」とも呼ばれます。
商標登録出願の際は、使用するマークだけでなく、どんな商品・サービスに使用するのかも決めなければなりません。
その際、
- マークを使用する商品・役務(=「指定商品」「指定役務」という)を指定して記載するとともに、
- それらが所属する区分も記載する ⇐コレが「区分」!
ことになっています。
つまり、商品・サービスを指定するとともに、その商品・サービスが属するグループ(⇐コレが「区分」!)も明示して出願してくださいね、ということです。
▽商標法5条1項3号、6条2項
(商標登録出願)
第五条 商標登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した願書に必要な書面を添付して特許庁長官に提出しなければならない。
一・二 (略)
三 指定商品又は指定役務並びに第六条第二項の政令で定める商品及び役務の区分
(一商標一出願)
第六条 商標登録出願は、商標の使用をする一又は二以上の商品又は役務を指定して、商標ごとにしなければならない。
2 前項の指定は、政令で定める商品及び役務の区分に従ってしなければならない。
全部で第1類~第45類までの45区分があり、第1類~第34類までが商品の区分、第35類~第45類までが役務(サービス)の区分となっています。
類似商品・役務審査基準が参照すべき基本資料であるものの、全体の雰囲気をざっと眺めやすいものが意外とないように思いますので(管理人の個人的感覚)、本記事でまとめてみました。
▽類似商品・役務審査基準|特許庁HP
-
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/index.html
www.jpo.go.jp
本記事では、商品の区分について、第31類から第34類までを見てみます。
商品の区分(第31類~第34類)
第31類(加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料)
第31類は、「加工していない陸産物、生きている動植物及び飼料」です。(施行令別表より)
第31類には、主として、食用の処理をしていない陸産物及び海産物、生きている動植物及び飼料を含みます。(類似商品・役務審査基準の「注釈」より)
代表的な商品
代表的な商品は、以下のとおりです。(類似商品・役務審査基準より)
生花の花輪,釣り用餌,ホップ,食用魚介類(生きているものに限る。),海藻類,野菜,糖料作物,果実,麦芽,あわ,きび,ごま,そば(穀物),とうもろこし(穀物),ひえ,麦,籾米,もろこし,飼料,種子類,木,草,芝,ドライフラワー,苗,苗木,花,牧草,盆栽,獣類・魚類(食用のものを除く。)・鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。),蚕種,種繭,種卵,漆の実,未加工のコルク,やしの葉
ただし、上記の記載は、商品をまとめた群の表示や、複数の群をまとめた表示(包括表示)を含むものとなっています。
第31類に属する商品
各区分に属する商品・役務は施行規則別表に記載されており、第31類に属する商品については、以下のとおりです。
これらを踏まえた、より詳細な商品の記載としては、類似商品・役務審査基準を参照することになります。
一 あわ きび ごま そば(穀物) とうもろこし(穀物) ひえ 麦 籾米 もろこし | |
二 漆の実 麦芽 ホップ 未加工のコルク やしの葉 | |
三 食用魚介類(生きているものに限る。) | 赤貝 あさり あわび いか いわし えび 牡蠣 かに こい ざりがに すずき すっぽん たい たこ はまぐり ムール貝 |
四 海藻類 | あおさ 昆布 てんぐさ のり ひじき わかめ |
五 獣類、魚類(食用のものを除く。)、鳥類及び昆虫類(生きているものに限る。) | |
六 蚕種 種繭 種卵 | |
七 飼料 | 魚かす 合成飼料 米ぬか 混合飼料 しょうゆかす 大豆油かす でん粉かす 肉粉 配合飼料 ペットフード |
八 釣り用餌 | 生き餌 |
九 果実 | アーモンド いちご オレンジ かき カシュウナッツ くり くるみ コーラナッツ ココナッツ すいか なし バナナ びわ ぶどう ヘーゼルナッツ 松の実 みかん メロン 桃 りんご レモン |
十 野菜 | 枝豆 かぼちゃ キャベツ きゅうり ごぼう さつまいも さやいんげん さんしょう しいたけ しそ じゃがいも しょうが ぜんまい 大根 たけのこ 茶の葉 とうがらし とうもろこし(野菜) トマト なす にんじん ねぎ はくさい パセリ ふき ほうれんそう まつたけ もやし レタス わさび わらび |
十一 糖料作物 | 砂糖きび てんさい |
十二 種子類 | 園芸用球根 園芸用種子 採油用種子類 種菌 農産用球根 農産用種子 |
十三 木 草 芝 ドライフラワー 苗 苗木 花 牧草 盆栽 | |
十四 生花の花輪 |
第32類(アルコールを含有しない飲料及びビール)
第32類は、「アルコールを含有しない飲料及びビール」です。(施行令別表より)
第32類には、主として、アルコール分を含まない飲料及びビールを含みます。(類似商品・役務審査基準の「注釈」より)
代表的な商品
代表的な商品は、以下のとおりです。(類似商品・役務審査基準より)
ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,ビール製造用ホップエキス,乳清飲料
ただし、上記の記載は、商品をまとめた群の表示や、複数の群をまとめた表示(包括表示)を含むものとなっています。
第32類に属する商品
各区分に属する商品・役務は施行規則別表に記載されており、第32類に属する商品については、以下のとおりです。
これらを踏まえた、より詳細な商品の記載としては、類似商品・役務審査基準を参照することになります。
一 ビール | 黒ビール 合成ビール スタウト ラガービール |
二 清涼飲料 | アイソトニック飲料 ガラナ飲料 コーヒーシロップ コーラ飲料 サイダー シャーベット水 シロップ ジンジャーエール 清涼飲料のもと 炭酸水 ミネラルウォーター ラムネ レモン水 レモンスカッシュ |
三 果実飲料 | オレンジジュース グレープジュース トマトジュース パインジュース りんごジュース |
四 飲料用野菜ジュース | |
五 乳清飲料 | |
六 ビール製造用ホップエキス |
第33類(ビールを除くアルコール飲料)
第33類は、「ビールを除くアルコール飲料」です。(施行令別表より)
第33類には、主として、アルコール飲料(ビールを除く。)、エッセンス及びエキスを含みます。(類似商品・役務審査基準の「注釈」より)
代表的な商品
代表的な商品は、以下のとおりです。(類似商品・役務審査基準より)
清酒,焼酎,合成清酒,白酒,直し,みりん,洋酒,果実酒,酎ハイ,中国酒,薬味酒
ただし、上記の記載は、商品をまとめた群の表示や、複数の群をまとめた表示(包括表示)を含むものとなっています。
第33類に属する商品
各区分に属する商品・役務は施行規則別表に記載されており、第33類に属する商品については、以下のとおりです。
これらを踏まえた、より詳細な商品の記載としては、類似商品・役務審査基準を参照することになります。
一 清酒 | 日本酒 |
二 焼酎 | 泡盛 |
三 合成清酒 白酒 直し みりん | |
四 洋酒 | ウイスキー ウォッカ ジン ブランデー ラム リキュール |
五 果実酒 | いちご酒 なし酒 ぶどう酒 りんご酒 |
六 酎ハイ | |
七 中国酒 | ウチャピーチュー カオリャンチュー パイカル ラオチュー |
八 薬味酒 | 梅酒 はちみつ酒 保命酒 松葉酒 まむし酒 |
第34類(たばこ、喫煙用具及びマッチ)
第34類は、「たばこ、喫煙用具及びマッチ」です。(施行令別表より)
第34類には、主として、たばこ及び喫煙用具、並びにそれらの使用に関する特定の付属品及び容器を含みます。(類似商品・役務審査基準の「注釈」より)
代表的な商品
代表的な商品は、以下のとおりです。(類似商品・役務審査基準より)
たばこ,電子たばこ,喫煙用具,マッチ
ただし、上記の記載は、商品をまとめた群の表示や、複数の群をまとめた表示(包括表示)を含むものとなっています。
第34類に属する商品
各区分に属する商品・役務は施行規則別表に記載されており、第34類に属する商品については、以下のとおりです。
これらを踏まえた、より詳細な商品の記載としては、類似商品・役務審査基準を参照することになります。
一 たばこ | かぎたばこ かみたばこ 紙巻きたばこ 刻みたばこ 葉たばこ 葉巻たばこ |
二 喫煙用具 | きせる きせる筒 たばこ入れ たばこ紙巻き器 たばこケース たばこホルダー たばこ盆 灰皿 パイプ パイプ掃除器 パイプ用吸収紙 ハッカパイプ 葉巻たばこ用カッター フィルター マッチ支持具 ライター ライター石 ライター用液化ガス入りボンベ |
三 マッチ | 安全マッチ 硫黄マッチ パラフィンマッチ |
四 電子たばこ |
施行規則別表に記載のない商品・役務の分類
なお、施行規則別表に記載のない商品・役務の分類については、別表の備考に以下のように記載されています。
▽施行規則別表備考
備考
一 別表に掲げられていない商品又は役務の分類に際しては、千九百六十七年七月十四日にストックホルムで及び千九百七十七年五月十三日にジュネーヴで改正され並びに千九百七十九年十月二日に修正された標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関する千九百五十七年六月十五日のニース協定第一条に規定する国際分類の一般的注釈に即するものとし、次のいずれかに従うこととする。
(一) 完成品である商品は、その機能又は用途に従って、別表に掲げられている比較の可能な他の完成品から類推して分類する。
(二) 原材料となる商品は、別表に掲げられている比較の可能な他の原材料から類推して分類する。
(三) 他の特定の商品の一部となることのみを用途とする商品は、当該他の特定の商品と同一の類に分類する。
(四) 商品は、その主たる原材料に従って分類する。
(五) 容器は、その収容する商品と同一の類に分類する。
(六) 役務は、別表に掲げられている比較の可能な他の役務から類推して分類する。
(七) 役務の提供の用に供される物品の貸与は、当該役務と同一の類に分類する。
(八) 助言、指導及び情報の提供は、その内容に対応する役務と同一の類に分類する。
結び
今回は、商標法務ということで、商品の区分(第31類から第34類まで)について見てみました。
以上で商品の区分は終わりです。第35類からは役務の区分になります。
[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
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