法務転職

弁護士の転職物語④|面接で大事なこと

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前回、「何で今のところやめるんですか?」という質問が重要であると書きましたが、もうひとつ、面接において大事だと思うことを書きたいと思います。

それは、

「ありのままの自分を見せるのは良いことではない」

ということです。

言い換えると、面接のときに聞かれた質問に対して、自分の思うところを正直にありのまま答えればそれでいい、というのは、面接に対する良い臨み方ではない、ということです(異論もあるとは思いますが)。

「ありのままの自分を見せる」というのは、いわば料理に例えると、泥も落とさず火も通していない野菜を相手に食わせるようなものです。

ちゃんと洗って、煮たり焼いたりして、味付けもして、相手に出す必要があります。

つまり、泥を落として(弱い部分をフォローして)、煮たり焼いたりして(十分に全体を整理して)、味付けもして(相手に響きそうな評価を加えて)、相手に出すべし、ということです。

なお当然のことながら、「答えを捏造してでも面接をパスすべし」などと言っているわけではないです。

料理の素材は事実です。そうでないと迫力が出ませんし、用意外の質問に答えることができません。

具体的には、要するにFAQを考えていくべし、ということです。

ちなみにFAQとはFrequently Asked Questionsの略。よくある質問のこと

転職の面接でのやり取りをイメージトレーニングしていくと、必ず1つや2つ、自分にとって苦しいところがあるはずです。
(一貫性の不足、過去の職歴の整合性、そこはアナタのワガママじゃないの?と思われそうなところ等)

しかし、「自分はこうしてきました。そしてこれからはこうしたいんです。だから御社に行きたいのです」というのを他人にもわかるように、しかも毅然と表明しなければなりません。

そのためには、事実をベースに、弱いところはさらっとフォローしつつ、いくつかの質問に対して整合性が破たんしたりしないように準備しておかなければならない、と言いたいのです。

これを自分で見出すのはかなり大変ですが(他人に相談してわかることではない)、よくよく考えていくと、自分でも気づかなかったような一貫性が見い出せます。

一人の人間が考えながら人生を送っているのだから、パッと見ではブレているように見えるところがあっても、必ず何かの想いがそこにあるはずです。

他方、応募先企業の立場にたってみた場合でも、応募者と行う面接のやり取りがある程度準備された「お約束含み」であることは、おそらく面接担当者もわかっているはずです(面接担当者も場数を踏んだプロなので)。

この人はすべてをありのまま正直に述べている、と思っているはずはなく、一定程度デコレーションされた答えであることは承知のうえで、面接のやり取りをしているわけです。

FAQを事前に考えているな、と感じさせる受け答えをすることは、仕事においても重要な「お約束どおりのステップ」を踏めるということでもあります。

逆の人と、一緒に仕事をしたいとは思わないでしょう。

つまり、仕事に絡めていえば、答えの内容以前に、「事前に質疑を考えて答えを準備していないという脇の甘さ」が問題視されるわけです。

ちなみに、こちらも慣れてくると、「この人、質問の仕方うまいな!」とか、「この会社は人事専門の担当者がいないんだな…」とか、担当者側の観察というか、悪くいえば値踏みみたいなこともできるようになってきます。
(2回目の転職活動の最後の方にはそういう状態になりました)

また、法律事務所の面接だと、弁護士が恐ろしいほど的確に質問をしてくる(つまり人事部がしてくるような質問を網羅的にしてくる)ことがあり、この人はすごい、きっと依頼者との打ち合わせでもこんな風に的確な聴き取りをしてるのだろう、と思う人に出会うことがあります。
(自分も弁護士なのですが…)

それで、FAQを考えるということについてですが、これはけっこう時間がかかります。

困るのは、現在の仕事を続けながらこれら質問に対する答えを練っていると、現在の仕事に対するモチベーションが驚くほど急激に下がっていくことです。

(なんせ、「なぜやめるんですか?」に対する答えを練っているのだから)

それでも仕事はきっちりやらねばならないし、転職活動が一般にしんどいとされるのは、転職活動が、メンタルに対してこういう歪みをもたらす性質を必然的に持っているからかもしれません。

いろんな人がいるとは思いますが、自分は、転職活動は期間を決めてガッとやるものだと思います。

現在の仕事を続けながら長期間活動するのは、大変にストレスです。

ちょっと話が逸れました。

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