最近、法制執務の本を読んでいる。
読みたくて買ってはいたが、時間がなくて積読(つんどく)状態になっていた。買いだめがかなりの量に達していたため、一度ゆっくり読む時間がとれてよかった。
「法制執務」というのは立法技術に関するジャンルで、自治体の職員が条例を立案するときのための参考書として書かれているものが多い。著者は、内閣法制局、衆議院法制局、参議院法制局等の経験者が多い。
普段、条文などは見ているので、ある程度の内容は経験的に掴んではいるが、しっかり読むと、頭の中が整理される感じがして気持ちが良い。
林修三氏(※)の法制三部作(「法令作成の常識」「法令解釈の常識」「法令用語の常識」)などは、古典の名著、といった趣で、昔の人はすごいな!と感じる。明治以来脈々と受け継がれた、行政官たる法律家たちのアイデンティティみたいなものが滲み出ていて、感動的である。
(※)内閣法制局長官在任10年。平成元年6月没。
ちょっと話が逸れるが、法律関係の本は、昔の人の本の方が、読んでいてわかりやすい気がする。学者先生の本(基本法(六法)含む個別法令の本)でも、最近の学者先生の本は細かく分析的で緻密だが、自分のような人間には小難しく、大原則みたいなものが見えにくい。上記の林修三氏の本は、芦部先生や我妻先生の本を読んでいるときと同じような感覚を覚える。
法制執務の技術は、基本的に「箇条書きで物事を記述する」ときのベースとなるので、社内規程や契約書の作成にあたってもベースとなる。たとえば、法令用語としての用語の使い方は、社内規程や契約書も基本的に共通する。全体の構成や配列の論理も共通する。法令が最もフォーマルなものであるのだから、当然かもしれませんが。