現代の企業法務において、反社排除(暴排)は避けては通れないコンプライアンスの基本業務のひとつとなっています。
反社会的勢力と関係を持つことは、レピュテーション(信用)の失墜だけでなく、銀行取引の停止や上場廃止にもつながる深刻な経営リスクであり、反社会的勢力への対応は企業の存続に関わる重要なテーマです。
しかし、意外と全体をさらっと押さえることのできる資料は見当たりません。そこで、本記事では、ルールの根拠(法律・条例等)と実際のアクション(規程・チェック・有事対応)に大きく分けて、実際によく使う部分の知識を体系的に整理しました。知りたい項目から順に読み進め、実務や学習に役立てていただければと思います。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
【初心者の方へ】まずはこの4記事で要点をチェック
たとえば、新しく法務担当になり早急に反社対応の体制を整えなければならないとか、今まさに取引前のチェックで悩んでいるという方は、実務に直結する以下の4記事から優先してご覧ください。
- 意外と知らない「反社会的勢力」の定義を解説~属性要件と行為要件・周辺者など
💡 読むべき理由: そもそも「反社会的勢力」とは何か、暴力団だけでなく、共生者など実務上どこまでが排除対象者として捉えられているかの基準がわかります - 契約書に必須の「反社排除条項」(暴排条項)を徹底解説
💡 読むべき理由: いざというときに契約を解除し、自社を守るための平時からの備えです。契約書に入れるべき暴排条項の内容や意味を解説しています - 企業を守る「反社チェック」(属性審査)の実務とポイントを解説
💡 読むべき理由: 新規取引を開始する際、どのようなツールや手法を用いて相手が反社でないかを見極めるのか、具体的な実務フローを学びます - 不当要求への対応
💡 読むべき理由: もし反社(あるいはそれに準ずるクレーマー)から理不尽な要求を受けた場合、やってはいけないNG行動と、警察・弁護士との連携手順を確認します
全体のルールやより詳細な実務フローを知りたい方は、以下のマニュアルから該当記事を辞書のように引いてご活用いただけます。
体系別・反社排除マニュアル(全記事一覧)
反社排除法務は、根拠となる3つの土台(法律・指針・条例)をある程度理解したうえで、自社の対応(平時・有事)を検討するという手順を踏むと、理解しやすくなります。
というのは、平時・有事の対応に関する実務解説は、それ自体でも一応理解はできるものの、なぜそうなっているのかの前提部分(土台となっている法令の部分)は端折られていることも多いためです
反社排除の土台:暴対法・政府指針・暴排条例
反社排除実務のベースとなっている法的根拠です。これらを概観しておくと、なぜ企業が厳格に対応しなければならないのかという背景や、課せられている義務の全体像がわかります。
① 暴対法(暴力団対策法)
警察や公安委員会による直接的な暴力団規制のルールです。
「暴力団」(※「指定暴力団」とは異なる)や「暴力的要求行為」といった用語は実務的な解説でもよく出てきますが、そもそも暴対法の基本概念であることを知らないと、ずっと何となく読んでしまうことになりますので、ここで意味を押さえておきましょう。
- 暴対法の全体像(規制の仕組み)
暴力団対策法|暴対法の全体像と規制の仕組みを解説~暴力団の定義・暴力的要求行為の禁止など
② 政府指針(「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」)
平成19年に政府が公表した、反社排除実務の根本(古典的なバイブル)ともいえる重要なガイドラインです。
- 政府指針の意義
反社排除法務|今さら聞けない「政府指針」って何?法的性格や企業に果たす意義を解説 - 反社会的勢力の定義
反社排除法務|意外と知らない「反社会的勢力」の定義を解説~属性要件と行為要件・周辺者など - 基本原則と平時・有事対応
反社法務排除|政府指針が教える反社対策の「5つの基本原則」と「平時・有事対応」を解説
③ 暴排条例(暴力団排除条例) ※東京都暴排条例を例に
全国の各都道府県で制定されており、企業(市民)に対して、反社に利益供与をしてはならない等の義務を課している条例です。
- 全体像
反社排除法務|暴力団排除条例(暴排条例)の全体像を解説~東京都暴排条例を例に - 適用対象者
反社排除法務|暴力団排除条例は誰に適用される?適用対象者を解説 - 規制対象行為
反社排除法務|暴排条例で県民(都民)等が守るべきルール「義務と禁止行為」を解説 - 違反に対する措置等
反社排除の実務:平時・有事の対応
法令や指針の要求事項が実際の企業活動にどう組み込まれ、運用されているのかを、平時(予防)と有事(トラブル発生時)に分けて解説しています。
平時の対応
反社との接点を持たないための社内体制構築と、入り口でのシャットアウト機能です。
- 反社排除規程(社内規程)
社内規程|組織で取り組む「反社会的勢力排除規程」作成のポイントを解説 - 反社排除条項(契約条項)
契約の一般条項|契約書に必須の「反社排除条項」(暴排条項)を徹底解説 - 反社チェック(暴力団関係者でないことの確認)
- 取引先の反社チェック
反社排除法務|企業を守る「反社チェック」(属性審査)の実務とポイントを解説 - 取引先以外の反社チェック
- 取引先の反社チェック
- 関係遮断(反社と判明した際の関係遮断の手法)
反社排除法務|取引先が反社かも?端緒から「関係遮断」までの具体的手順を解説
有事の対応
すでにトラブルに巻き込まれた、あるいは脅迫や不当な要求を受けた際の危機管理対応です。
- 不当要求への対応
結び
反社対応の実務は、一歩間違えれば担当者自身も危険に晒される可能性がある業務です。属人的な対応ではなく、平時から、会社としてのルール(組織的対応)を敷いておくことが重要となります。
本記事にまとめた基本知識や実務フローを、自社のコンプライアンス体制の構築・見直し、学習などにぜひお役立てください。日々の業務で迷いが生じた際の確認用に、ブックマークもおすすめです。
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反社排除 - 法律ファンライフ
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[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
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主要法令等・参考文献
主要法令等
- 暴対法(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)※法律情報はこちら
- 暴対法施行令(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行令」)
- 暴対法規則(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則」)
- 政府指針(「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」)|犯罪対策閣僚会議HP(≫掲載ページ)
- 指針解説(「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説」)|犯罪対策閣僚会議HP(≫掲載ページ)
- 組織犯罪対策要綱|警察庁HP(≫掲載ページ)
- 東京都暴排条例|東京都例規集データベース
- 東京都暴排条例Q&A(「東京都暴力団排除条例 Q&A」)|警視庁HP
参考文献
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