今回は、暴対法(暴力団対策法)ということで、違反に対する措置について見てみたいと思います。
暴対法は、指定暴力団員による暴力的要求行為(みかじめ料の要求や不当な下請け参入要求など)を禁止しています。では、もし暴力団員がこれらに違反して不当要求を行ってきた場合、警察(公安委員会)はどのような措置をとってくれるのでしょうか。順を追って見ていきましょう。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
行政処分
違反に対する措置としては、まずは行政処分です。
暴対法で禁止されている行為が行われた場合、原則として、いきなり罰則が科されるわけではなく、まずは公安委員会から行政処分である命令が出されます。状況に応じて、主に次の2つの命令が使い分けられます。
- 現在進行形のトラブルには中止命令:
暴力団員による禁止行為がまさに今続いており、被害者(企業や市民)の生活や業務の平穏が害されている場合に出されます。その行為すぐにやめることを命じるだけでなく、要求に使われた文書の廃棄を命じるなど、中止を確実にするための具体的な措置も命じられます - 終わっていても繰り返すおそれがあるなら再発防止命令:
すでに要求行為自体は完了していても、その暴力団員がまた同じような不当要求をしてくるおそれがあると認められる場合に出されます。1年を超えない範囲内で期間を定めて、二度と同じ行為を繰り返さないように命じる措置です
企業としては、不当要求を受けた際に警察に相談することで、これらの命令を発出してもらい、被害を未然に防ぐことが期待できます。
中止命令
中止命令は、現在進行形で被害が発生している場合に、相手方の生活や業務の平穏を守るため、その違反行為を直ちにやめるよう命じる行政処分です。暴対法に違反する特定の行為に対して発せられます。
中止命令の対象
対象となる禁止行為の中核である暴力的要求行為には数多くの類型が定められていますが、企業実務にも関わる代表的なものとしては、以下のような行為が挙げられます。
- 口止め料の要求:企業の不祥事やスキャンダルなど、人に知られていない事実を公表しないことの対価として金品を要求する行為
- 用心棒代や物品購入の要求:暴力団の縄張り内で営業する店舗に対し、用心棒の役務提供や、正月用品、興行のチケットといった物品の購入を強要する行為
- 不当なクレーム等による損害賠償の要求:購入した商品やサービスの欠陥をねつ造したり誇張したりして、損害賠償名目で不当に金品を要求する行為
これらの行為がまさに行われており、被害者の平穏が害されていると認められる場合、公安委員会は指定暴力団員に対して直ちに行為の中止を命じることができます。
中止命令の規定のされ方
なお、暴対法における中止命令は、「中止命令とはこういうものである」という一つの共通条文(総則)が独立して置かれているわけではありません。それぞれの禁止行為を定めた条文の直後や近接する箇所に、その禁止行為に対する措置としてセットで規定されるという構造になっています。
具体的には、ある条文で「指定暴力団員は、〇〇をしてはならない」と禁止行為を定めたうえで、別の条文で「公安委員会は、指定暴力団員が〇〇の規定に違反する行為をしており、(被害者の)生活の平穏等が害されていると認める場合には、当該行為を中止することを命じ、又は中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる」といった共通のフォーマットで個別に規定されています。
この行為の中止だけでなく、中止されることを確保するために必要な事項(要求に使った文書の廃棄など)もあわせて命じることができる点も、各条文に共通する特徴となっています。
具体的に、どの禁止行為に対してどの中止命令の規定が置かれているのか、主な対応関係を整理すると以下のようになります(※やや長いですので、適当にナナメ読みしてください)。
①暴力的要求行為
指定暴力団員によるみかじめ料の要求や下請け参入要求などの暴力的要求行為(法9条)を禁止し、これに対する措置として法11条1項で中止命令を規定しています。
(暴力的要求行為等に対する措置)
第十一条 公安委員会は、指定暴力団員が暴力的要求行為をしており、その相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該暴力的要求行為を中止することを命じ、又は当該暴力的要求行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
②暴力的要求行為の幇助
指定暴力団員以外の者などが暴力的要求行為を手助けする行為(法10条2項)を禁止し、これに対する措置として法12条2項で中止命令を規定しています。
2 公安委員会は、第十条第二項の規定に違反する行為が行われており、当該違反する行為に係る暴力的要求行為の相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該違反する行為をしている者に対し、当該違反する行為を中止することを命じ、又は当該違反する行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
③準暴力的要求行為
元組員や共生者などの一定の周辺者が暴力団の威力を示して不当要求を行う準暴力的要求行為(法12条の5)を禁止し、これに対する措置として法12条の6第1項で中止命令を規定しています。
(準暴力的要求行為に対する措置)
第十二条の六 公安委員会は、前条の規定に違反する準暴力的要求行為が行われており、その相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該準暴力的要求行為をしている者に対し、当該準暴力的要求行為を中止することを命じ、又は当該準暴力的要求行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
④暴力団への加入強要や脱退妨害
少年や一般人に対する加入の強要や脱退の妨害行為(法16条)を禁止し、これに対する措置として法18条1項で中止命令を規定しています。この場合は、相手方の生活の平穏が害されていることの代わりに「相手方が困惑していると認める場合」が発令要件として規定されています。
(加入の強要等に対する措置)
第十八条 公安委員会は、指定暴力団員が第十六条の規定に違反する行為をしており、その相手方が困惑していると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項(当該行為が同条第三項の規定に違反する行為であるときは、当該行為に係る密接関係者が指定暴力団等に加入させられ、又は指定暴力団等から脱退することを妨害されることを防止するために必要な事項を含む。)を命ずることができる。
⑤指詰めの強要等
他の組員に対して指詰めを強要したり、器具を提供して補助したりする行為(法20条)を禁止し、これに対する措置として法22条1項で中止命令を規定しています。
(指詰めの強要等に対する措置)
第二十二条 公安委員会は、指定暴力団員が第二十条の規定に違反する行為をしている場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
⑥少年に対する入れ墨の強要等
少年に入れ墨を施したり、強要・勧誘したりする行為(法24条)を禁止し、これに対する措置として法26条1項で中止命令を規定しています。
(少年に対する入れ墨の強要等に対する措置)
第二十六条 公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をしており、かつ、当該行為に係る少年が困惑していると認め、又は当該行為が当該少年の保護者の意思に反していると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
⑦事務所等における禁止行為
事務所の外周に組の名前や代紋を掲示して威圧したり、周辺で粗野な言動をして住民に不安を与えたりする行為(法29条)を禁止し、これに対する措置として法30条で中止命令を規定しています。
(事務所等における禁止行為に対する措置)
第三十条 公安委員会は、指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をしており、付近の住民若しくは通行人又は当該行為の相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
⑧損害賠償請求等の妨害
暴力団員に対して損害賠償請求の裁判などを起こそうとする被害者などに付きまとったりする妨害行為(法30条の2)を禁止し、これに対する措置として法30条の3で中止命令を規定しています。
(損害賠償請求等の妨害に対する措置)
第三十条の三 公安委員会は、指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をしている場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
⑨縄張りに係る禁止行為
指定暴力団員が縄張り内の飲食店などに対して用心棒の役務を提供したりする行為(法30条の6第1項前段)を禁止し、これに対する措置として法30条の7第1項で中止命令を規定しています。
(縄張に係る禁止行為に対する措置)
第三十条の七 公安委員会は、指定暴力団員が前条第一項前段の規定に違反する行為をしている場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
⑩特定危険指定暴力団等の指定暴力団員の禁止行為
特定危険指定暴力団等に指定された組織の組員が、不当要求を行う目的で面会を要求したりつきまとったりする行為(第30条の9)を禁止し、これに対する措置として法30条の10第1項で中止命令を規定しています。
(特定危険指定暴力団等の指定暴力団員の禁止行為に対する措置)
第三十条の十 公安委員会は、特定危険指定暴力団等の指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をしており、その相手方の生活の平穏又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。
このように、中止命令は現在進行形で発生している被害をピンポイントかつ即座に食い止めるための緊急措置であるため、それぞれの禁止行為の性質や場面に応じた発令要件(「平穏が害されている」「困惑している」「住民に不安を覚えさせている」など)に合わせて、各規定に付随する形できめ細かく網羅的に定められています
再発防止命令
再発防止命令は、暴力団員による不当な行為がすでに完了している場合であっても、その指定暴力団員がさらに反復して同種の禁止行為を行うおそれがあると認められる場合に、都道府県公安委員会が発出する行政処分です。
期間は1年を超えない範囲内で定められ、将来に向けて禁止行為の再発を防止するために必要な事項が命じられます。
意見聴取の手続
再発防止命令を発出するにあたっては、緊急性が高く、また要件該当性も明白である中止命令と異なり、原則として対象者に対する公開の意見聴取手続を経る必要がありますが(法34条1項)、緊急性が高い場合には意見聴取を経ずに仮の命令を発することも認められています(法35条)。
再発防止命令を無視して違反行為を続けた場合には直ちに刑事罰の対象となり、3年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはその両方が科せられるという法的拘束力(抑止力)を持っています。
▽暴対法34条1項
(意見聴取)
第三十四条 公安委員会は、第十一条第二項、第十二条第一項、第十二条の二、第十二条の四第一項、第十二条の六第二項、第十五条第一項(同条第三項において準用する場合を含む。次条、第三十九条及び第四十二条第一項において同じ。)、第十八条第二項若しくは第三項、第十九条、第二十二条第二項、第二十三条、第二十六条第二項、第二十七条、第三十条の四、第三十条の五第一項、第三十条の七第二項から第四項まで、第三十条の十第二項又は第三十条の十一第一項の規定による命令をしようとするときは、公開による意見聴取を行わなければならない。ただし、…(略)…個人の秘密又は事業上の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、意見聴取を公開しないことができる。
再発防止命令の対象
再発防止命令の対象となる禁止行為の代表例としては、やはりまず暴対法9条で禁じられている暴力的要求行為が挙げられます。たとえば、
- 企業の不祥事やスキャンダルなどにつけこんで金品を要求する口止め料の要求
- 縄張り内で営業する店舗に要求するみかじめ料や用心棒代の要求
- 商品やサービスの欠陥をねつ造・誇張して金品を要求する不当なクレーム等による損害賠償の要求
- 土木建築工事や廃棄物処理などにおいて下請参入等を要求する行為
などが含まれます。
また、これらの暴力的要求行為だけでなく、暴力団員以外の共生者などが暴力団の威力を示して不当要求を行う準暴力的要求行為や、少年や一般人に対する加入の強要や脱退妨害、他の組員に対する指詰めの強要、少年に対する入れ墨の強要、さらには縄張り内の飲食店等に対して用心棒の役務提供などを行い、あるいは約束する縄張りに係る禁止行為なども再発防止命令の対象となります。
再発防止命令の規定のされ方
再発防止命令の規定のされ方も、中止命令と同じです。
「再発防止命令とはこういうものである」という独立した一つの共通条文(総則)が置かれているわけではありません。それぞれの禁止行為を定めた条文の直後や近接する箇所において、その個別の禁止行為に対する措置としてセットで付随する形をとって規定されています。
具体的には、ある条文で指定暴力団員に禁止行為を定めたうえで、「公安委員会は、指定暴力団員が〇〇の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、同条の規定に違反する行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる」といった共通のフォーマットで個別に定められています。
大方のイメージは中止命令の場合と同様ですので、個々の条文についてはここでは割愛します
状況に応じたその他の命令
中止命令や再発防止命令のほかにも、事案の性質に応じて、被害者を守るための様々な命令(及び指示)が用意されています。
その他の命令(および指示)の具体例
その他の命令の具体例としては、以下のようなものがあります。
①損害賠償等の妨害を防止するための命令(法30条の4)
暴力団員に対して損害賠償請求などの裁判等を起こそうとした被害者などに対し、指定暴力団員が嫌がらせや危害を加えるおそれがある場合に出される命令です。
公安委員会は当該指定暴力団員に対し、1年を超えない範囲内で期間を定めて、嫌がらせ等を防止するために必要な事項を命ずることができます。
②暴力行為の賞揚等を禁止する旨の命令(法30条の5)
指定暴力団員が、対立抗争や暴力的要求行為、損害賠償請求の妨害などのために犯罪を敢行し、刑に処せられた場合に出される命令です。
公安委員会は、他の指定暴力団員に対して、当該犯罪の敢行を褒め称えたり(賞揚)、慰労したりする目的で、刑に処せられた組員に金品等を提供することを禁じ、同時に当該組員に対してもそれを受け取ることを禁ずる命令を出すことができます。
③事務所の使用方法を制限する旨の命令(法15条、30条の11)
指定暴力団等同士や組織内部で対立抗争が発生した場合や、凶器を用いて重大な危害を加える危険な組織として特定危険指定暴力団等に指定された場合に発令されます。
公安委員会は、当該事務所を管理・使用している組員に対して、3か月以内の期間を定めて、多数の組員の集合、抗争のための謀議・指揮命令、凶器の保管、あるいは当該組織の活動の用に供することなどを禁止するよう命ずることができます。
④少年を脱退させるための命令(法18条3項)
指定暴力団員による加入強要や勧誘などによって、少年(20歳未満。法16条1項)が自らの意思に反して指定暴力団等に加入し脱退しなかった場合、または少年の保護者が少年の脱退を求めている場合に出されます。
公安委員会は当該指定暴力団員に対し、その少年を指定暴力団等から脱退させるために必要な事項を命ずることができます。
⑤準暴力的要求行為を禁止する旨の指示(法12条の4第2項)
命令に付随する行政措置として指示があります。指定暴力団員が他の者に対して準暴力的要求行為を行うよう要求・依頼・教唆をし、それに対して公安委員会が再発防止命令を出す場合、当該要求等を受けた相手方に対しても準暴力的要求行為を実行してはならない旨の指示を出します。
これにより、指示を受けた相手方はそこから3年間、準暴力的要求行為を行うことが禁止されます。
その他の命令の規定のされ方(中止命令・再発防止命令との違い)
これらその他の命令は、中止命令や再発防止命令とは異なる構造(規定のされ方)を持っています。
先ほど見たように、中止命令や再発防止命令は、法律上あらかじめ「指定暴力団員は〇〇をしてはならない」と具体的な禁止行為(みかじめ料の要求など)が定められており、その「禁止規定に違反した行為が行われた場合」の措置としてセットで規定されています。
これに対し、「暴力行為の賞揚等を禁止する旨の命令」や「事務所の使用方法を制限する旨の命令」などは、法律によってあらかじめ一律に「金品を慰労目的で渡してはならない」「事務所に多数で集合してはならない」と禁止行為として定められているわけではありません。公安委員会からこれらの命令が出されてはじめて、その行為(金品の授受や特定の用法での事務所使用)が禁止されるという独自の規定のされ方となっています。
また、「損害賠償等の妨害を防止するための命令」や「少年を脱退させるための命令」なども、過去に完了した違反の反復を防ぐというよりは、「被害者が賠償請求の声を上げた時点での危害発生のおそれ」や「少年が加入してしまったという具体的な事態」に直面して、被害者保護や少年の健全育成といった緊急の必要性に応じて、個別機動的に発令される形をとって規定されています。
罰則(刑事罰)
警察からのこれらの命令が出されたにもかかわらず、暴力団員がそれを無視して違反行為を続けた場合、いよいよ罰則(刑事罰)が科せられることになります。
- 暴力的要求行為の中止命令・再発防止命令違反:3年以下の懲役、もしくは500万円以下の罰金、またはその両方
- その他の命令違反:3年以下の懲役、もしくは250万円以下の罰金、またはその両方
このように、暴対法における違反に対する罰則(刑事罰)は、主に公安委員会からの命令に違反した場合に科されるものと、命令を経ることなく直接刑罰が科される直罰規定、そして行政の調査に対する非協力や標章の損壊といった行為に対するものに分けられます。
刑罰の重さに応じて、具体的には以下のように規定されています。
3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金(法46条)
最も重い罰則として、「3年以下の拘禁刑若しくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科」が科されるケースがあります。
これには、みかじめ料の要求などの暴力的要求行為に対する中止命令や再発防止命令に違反した場合が含まれます。また、上記のように、極めて危険な組織に対する直罰規定もこの重い罰則の対象となります。
▽暴対法46条
第四十六条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 第十一条の規定による命令に違反した者
二 第十五条の三の規定に違反した者
三 特定危険指定暴力団等の指定暴力団員で、第三十条の八第一項に規定する警戒区域において又は当該警戒区域における人の生活若しくは業務の遂行に関して、暴力的要求行為又は第三十条の二の規定に違反する行為をしたもの
3年以下の拘禁刑若しくは250万円以下の罰金(法47条)
次に「3年以下の拘禁刑若しくは250万円以下の罰金、またはこれらの併科」が科されるケースです。
これは、暴力的要求行為以外の多くの禁止行為に関する命令違反に適用されます。たとえば、少年や一般人への加入強要・脱退妨害、指詰めの強要、少年に対する入れ墨の強要、対立抗争時の事務所の使用制限、損害賠償請求等の妨害を防止するための命令、暴力行為の賞揚等を禁止する命令など、多岐にわたる中止命令や再発防止命令等の違反が該当します。
▽暴対法47条
第四十七条 次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の拘禁刑若しくは二百五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一~十七 (略)
その他の刑罰(法48条~52条)
「1年以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科」が科されるのは、指定暴力団員が縄張り内で用心棒の役務を提供するなどの縄張りに係る禁止行為を行い、それに対する中止命令や再発防止命令等に違反した場合です(法48条)。
また、行政の調査権限を担保するための罰則として「1年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」があります。これは、公安委員会からの報告や資料提出の要求、あるいは警察職員による立入検査や質問に対して、正当な理由なく拒否・妨害・忌避したり、虚偽の報告や陳述を行ったりした場合に適用されます(法49条)。
さらに「6か月以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金」が科されるケースとして、縄張りに係る禁止行為(用心棒の依頼など)を行った営業者等が、その行為に対する再発防止命令等に違反した場合や、都道府県暴力追放運動推進センターの役職員が相談業務等で知り得た秘密を漏らした場合(秘密保持義務違反)が挙げられます(法50条)。
このように、暴対法では違反行為の性質や悪質性、さらには指定暴力団の危険度に応じて段階的できめ細かい罰則が設定されており、暴力団の活動を抑止する仕組みとなっています
結び
暴対法における違反への措置は、基本的には中止命令・再発防止命令 → 刑罰というステップを踏みますが、危険な組織には直罰という切り札も用意されています。
不当要求を受けたときは、相手のペースに巻き込まれる前に、速やかに警察や暴追センターに相談しましょう。暴対法に基づく命令を出してもらうという法的手段を使うことで、暴力団の不当な介入を強力にシャットアウトすることができます。
[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
主要法令等・参考文献
主要法令等
- 暴対法(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)※法律情報はこちら
- 暴対法施行令(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行令」)
- 暴対法規則(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律施行規則」)
- 政府指針(「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針について」)|犯罪対策閣僚会議HP(≫掲載ページ)
- 指針解説(「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針に関する解説」)|犯罪対策閣僚会議HP(≫掲載ページ)
- 組織犯罪対策要綱|警察庁HP(≫掲載ページ)
- 東京都暴排条例|東京都例規集データベース
- 東京都暴排条例Q&A(「東京都暴力団排除条例 Q&A」)|警視庁HP
参考文献
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