今回は、商標法を勉強しようの最初の記事ということで、まず全体像の概観について見てみたいと思います。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
全体像
まず大掴みにするために、商標法をいくつかの塊に分けてみます。
- 商標権
- 登録要件
- 出願などの手続
- 商標権の効力
- 特殊の商標
だいたいこんな感じで、5つぐらいの塊に分けることができます。
そして、これらの塊は、以下のような感じの「流れ」で捉えることができるかと思います。
商標権とは何か?商標権をとると、どんないいことがあるのか?
→①商標権
では、その商標権を登録するための要件は何か?
→②登録要件
では、要件満たすとして、どんな手続で登録されるのか?
→③出願などの手続
では、登録した商標はどんな効力があって、ビジネス的にはどんな利用があるのか?侵害されたときはどうするのか?
→④商標権の効力
最後に特殊なものをまとめて、
→⑤特殊の商標や国際条約など
以下、順にこれらの中身をざっと見てみます。
商標権
「商標権」の主な項目は、以下のような感じです。
商標権
1 商標とは
2 商標の機能
3 商標法の目的
4 商標権
登録主義
指定商品・指定役務(区分)
商標権をとるメリット
商標権のコスト
5 商標の概念
標章の概念
商標の種類
商品・役務の概念
6 使用の概念
商品についての使用
役務についての使用
広告的使用
商標的使用論
1~3までは、プロローグみたいな部分です。本質的には重要ですが、“すぐに使える・役立つ”ものではないので、当ブログではさらっと流しています。
ここでの重要パートは、5と6の部分、つまり「商標の概念」と「使用の概念」の2つです。
「商標権」という概念は、ざっくりいうと、主として「商標」と「使用」という2つの概念で出来ていることから、この2つについて掘り下げていくことになります。
登録要件
「登録要件」の主な項目は、以下のような感じです。
登録要件
1 自己の業務に係る商品役務について使用する商標であること
2 自他識別力があること
普通名称
慣用商標
記述的表示
ありふれた氏・名称
極めて簡単でかつありふれた標章
バスケット条項
┗識別性論
3 不登録事由の不存在
公益的な不登録事由
私益的な不登録事由
┗類似性論
商標権の登録要件は、大きくいって3つです。
- 自己の業務に係る商品役務について使用する商標であること(3条1項柱書)
- 自他識別力があること(3条1項各号参照)
- 不登録事由(4条1項各号)に該当しないこと
このなかには、「識別性論」と「類似性論」という、他の部分でも顔を出す二大重要論点が含まれています。ここでは、この2つを重点的に勉強するのがよいと思います。
出願などの手続
「出願などの手続」の主な項目は、以下のような感じです。
出願などの手続
1 先行調査
2 出願手続
出願
審査
補正
分割
変更
出願公開
3 登録異議申立て
4 審判(8種類)
査定系
当事者系
5 審決取消訴訟
出願などの手続(制度論)は、座学的には出願手続から始まりますが、実際上は、それに先行する調査手続をどうするかという話がほぼ必須なので、項目立てとしては上記のような感じになります。
先行調査して、問題なければ出願に進み、審査され、ときには補正したりしながら、登録に進むというのが基本形です。
異議申立て以下は、何らかの理由で不服が申し立てられたときの手続きです。
こういった手続論を勉強するパートです。
商標権の効力
「商標権の効力」の主な項目は、以下のような感じです。
商標権の効力
1 商標権の効力
専用権と禁止権
商標権の共有
存続期間と更新制度
商標権の消滅
2 商標権の利用
商標権の移転
商標権の分割
商標使用権
3 商標権の侵害
3要件
間接侵害
抗弁
侵害に対する救済
「商標権の効力」の部分では、商標権の法的な効力や、商標権が生まれた後(登録後)から死ぬ(消滅)までの流れを見ます。
そして、「商標権の利用」は、どのようにビジネス的に利用されるのかという話、「商標権の侵害」は、商標権を侵害されたあるいは侵害してしまったときの話です。
特殊の商標など
「特殊の商標など」の主な項目は、以下のような感じです。
特殊の商標など
1 特殊の商標
防護商標
団体商標
地域団体商標
2 国際条約
マドリッド協定議定書
国際登録出願
国際商標登録出願
この部分は、実際に仕事のうえで遭遇することは多くないと思われますので、ひとまずは項目の意味ぐらいがわかるようになれば十分と思われます。
結び
今回は、商標法を勉強しようということで、全体像の概観について見てみました。
[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
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