資金決済法

資金決済法を勉強しよう|前払式支払手段ー監督に関する規制

著作者:pressfoto/出典:Freepik

今回は、資金決済法を勉強しようということで、前払式支払手段のうち監督に関する規制について見てみたいと思います。

ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。

メモ

 カテゴリー「会社法務」では、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
 ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。

帳簿書類の作成・保存(法22条)

前払式支払手段発行者は、帳簿書類を作成・保存する義務がある(法22条)。

(帳簿書類)
第二十二条
 前払式支払手段発行者は、内閣府令で定めるところにより、その前払式支払手段の発行の業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

内閣府令は前払府令46条であり、帳簿書類の種類や保存期間について定めている。

帳簿書類の種類(前払府令46条1項)

帳簿書類の種類は、

  • 前払式支払手段とその支払可能金額等の種類ごとの発行数、発行量及び回収量を記帳した管理帳(←すべての前払式支払手段に共通)(1号)
  • 物品又は役務の1単位あたりの通常提供価格を記載した日記帳(←数量表示タイプの前払式支払手段の場合)(2号)
  • 前払式支払手段とその支払可能金額等の種類ごとの在庫枚数管理帳(←在庫がある前払式支払手段の場合)(3号)

となっている(前払府令46条1項)。

条文も確認してみる(※【 】は管理人注。以下同じ)。

(業務に関する帳簿書類の作成及び保存)
第四十六条
 法第二十二条に規定する前払式支払手段の発行の業務に関する帳簿書類は、次に掲げる帳簿書類とする。
 前払式支払手段及びその支払可能金額等の種類ごとの発行数、発行量及び回収量を記帳した管理帳
 法第三条第一項第二号に掲げる前払式支払手段【=数量表示タイプの前払式支払手段】に係る物品等又は役務の一単位当たりの通常提供価格を記帳した日記帳
 前払式支払手段及びその支払可能金額等の種類ごとの在庫枚数管理帳

「発行量」と「回収量」(2項~4項)

上記の「発行量」については2項に、「回収量」については3項・4項に定めがある。

発行量」は、

  • 金額表示タイプについては、発行時の金額(発行後に加算された金額も含む)を合計した数値
  • 数量表示タイプについては、発行時の物品又は役務の数量(発行後に加算された数量も含む)を合計した数値

である(2項)。

 前項第一号の前払式支払手段及びその支払可能金額等の種類ごとの発行量とは、これらの種類ごとに、法第三条第一項第一号に掲げる前払式支払手段【=金額表示タイプの前払式支払手段】にあってはその発行時において代価の弁済に充てることができる金額(その発行後に加算型前払式支払手段に加算された金額(金額を度その他の単位により換算していると認められる場合にあっては、当該単位数を金銭に換算した金額)を含む。)を、同項第二号に掲げる前払式支払手段【=数量表示タイプの前払式支払手段】にあってはその発行時において給付又は提供を請求することができる物品等又は役務の数量(その発行後に加算型前払式支払手段に加算された物品等又は役務の数量を含む。)を合計した数値とする。

回収量」は、金額表示タイプについては、使用された金額を合計した数値、数量表示タイプについては、使用された物品又は役務の数量を合計した数値、である(3項)。

回収量に関しては、支払可能金額等の種類ごとに把握することが困難な場合は、前払式支払手段の種類ごとにまとめて記帳することも可能とされている(4項)。

 第一項第一号の前払式支払手段及びその支払可能金額等の種類ごとの回収量とは、これらの種類ごとに、法第三条第一項第一号に掲げる前払式支払手段【=金額表示タイプの前払式支払手段】にあっては代価の弁済に充てられた金額を、同項第二号に掲げる前払式支払手段【=数量表示タイプの前払式支払手段】にあっては当該前払式支払手段の使用によって請求した物品等又は役務の数量を合計した数値とする。
 第一項第一号の回収量を前払式支払手段の支払可能金額等の種類ごとに把握することが困難と認められる場合には、前払式支払手段の種類ごとにまとめて記帳することをもって足りる。

保存期間(5項)

保存期間は、いずれの帳簿書類も、帳簿の閉鎖の日から5年である(5項)。

 前払式支払手段発行者は、帳簿の閉鎖の日から少なくとも五年間、第一項に掲げる帳簿書類を保存しなければならない。

起算点である「帳簿の閉鎖の日」とは、各事業年度の最終日に帳簿を締める日をいい、発行業務の廃止等により最後の記帳が発生した日を指すのではない(平成22年2月23日パブコメNo.58)。

平成22年2月23日パブコメNo.58(▷掲載ページはこちら

 前払式支払手段府令第46条第5項「帳簿の閉鎖の日」とは、前払式支払手段の発行に係る業務等の廃止等により、「最後の記帳が発生した日」という理解でよいか。

 「帳簿の閉鎖の日」とは、各事業年度の最終日に帳簿を閉める日を指します。

基準日報告書の作成・提出(法23条)

前払式支払手段発行者は、基準日(3/31と9/30)ごとに、報告書を作成し提出する義務がある。

(報告書)
第二十三条
 前払式支払手段発行者は、基準日ごとに、内閣府令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した前払式支払手段の発行の業務に関する報告書を作成し、内閣総理大臣に提出しなければならない。
 (略)

報告書の様式は、別紙様式第23号による(前払府令47条1項)。提出期限は、基準日の翌日から2か月以内(3/31の場合は5/31まで、9/30の場合は11/30まで)である。

(報告書の様式等)
第四十七条 
法第二十三条第一項の報告書は、別紙様式第二十三号により作成して、当該基準日の翌日から二月以内に金融庁長官に提出しなければならない。

報告書の記載事項(1項)

報告書の記載事項は、法23条1項各号に定めがあり、

  • その基準期間での発行額(1号)
  • その基準日における基準日未使用残高(2号)
  • 上記の基準日未使用残高から算出される発行保証金の額(3号)
  • その他内閣府令で定める事項
    • 上記①の発行額に関し、前払式支払手段とその支払可能金額等の種類ごとの内訳(前払府令49条1号)
    • 上記②の基準日未使用残高に関し、前払式支払手段の種類ごとの内訳(2号)
    • その基準期間における前払式支払手段の回収額と、その回収額に関し、前払式支払手段とその支払可能金額等の種類ごとの内訳(3号)

となっている。

条文も確認してみる。

▽法23条1項各号

 当該基準日を含む基準期間において発行した前払式支払手段の発行額
 当該基準日における前払式支払手段の基準日未使用残高
 当該基準日未使用残高に係る発行保証金の額
 その他内閣府令で定める事項

  ↓ 前払府令49条

(報告事項)
第四十九条
 法第二十三条第一項第四号に規定する内閣府令で定める事項は、次に掲げる事項とする。
 法第二十三条第一項第一号の発行額についての前払式支払手段及びその支払可能金額等の種類ごとの内訳
 法第二十三条第一項第二号の基準日未使用残高についての前払式支払手段の種類ごとの内訳
 法第二十三条第一項の報告書に係る基準日を含む基準期間における前払式支払手段の回収額並びに当該回収額についての前払式支払手段及びその支払可能金額等の種類ごとの内訳

報告書の添付書類(2項)

基準日報告書には、最終の貸借対照表および損益計算書等など、所定の添付書類を添付しなければならない(法23条2項)。

 前項の報告書には、財務に関する書類その他の内閣府令で定める書類を添付しなければならない。

  ↓ 前払府令47条2項

 法第二十三条第二項に規定する内閣府令で定める書類は、次に掲げる書類とする。
一 最終の貸借対照表(関連する注記を含む。)及び損益計算書(関連する注記を含む。)
二 法第十四条第一項の規定による供託をした場合には、供託に係る供託書正本の写し
三 令第九条第一項又は第二項の規定により発行保証金の取戻しをした場合であって、当該取戻しが内渡しであるときは、供託規則第四十九条第一項の規定により当該内渡しに係る供託金の額又は供託した債券の名称、枚数、総額面及び券面額(振替国債については、その銘柄及び金額)に関する事項につき証明を受けたことを証する書面
四 発行保証金保全契約の内容の変更又は更新をした場合には、当該変更若しくは更新に係る契約書又は当該変更若しくは更新をした旨を証する書面の写し
五 発行保証金信託契約の内容の変更又は更新をした場合には、当該変更若しくは更新に係る契約書又は当該変更若しくは更新をした旨を証する書面の写し
六 信託契約前払式支払手段発行者である場合には、信託会社等が発行する信託財産の額を証明する書面

自家型発行者で基準日未使用残高が基準額以下である間の免除(3項)

以上の例外として、自家型発行者の場合は、基準日未使用残高が基準額以下となっている間は、基準日報告書の作成・提出義務が免除される(法23条3項)。

 自家型発行者については、基準日未使用残高が基準額以下となった基準日の翌日から当該基準日以後の基準日であって再び基準日未使用残高が基準額を超えることとなった基準日の前日までの間の基準日については、第一項の規定は、適用しない

ちょっと読みにくいですが、基準額以下となった基準日の「翌日」から、となっているので、基準日未使用残高が基準額を割ったその基準日・・・・・については、基準日報告書の作成・提出義務があります。

また、その後、次に再び基準額を超えたその基準日・・・・・についても、やはり基準日報告書の作成・提出義務があります(超えることとなった基準日の「前日」までの間の基準日、となっているため)。

これは、自家型発行者は、いったん届出をした以上、基準日未使用残高が基準額以下となったとしても依然として自家型発行者であり(以下の括弧書き参照)、資産保全に関する規制を含む行為規制を受けるものの、基準日未使用残高が基準額以下となっている間は資産保全義務がないので(法14条1項)、資産保全義務の履行状況を確認する必要がないためである。

▽法3条6項

 この章において「自家型発行者」とは、第五条第一項の届出書を提出した者(第三十三条第一項の規定による発行の業務の全部の廃止の届出をした者であって、第二十条第一項の規定による払戻しを完了した者を除く。)をいう。

上記の定義からして、いったん自家型発行者の届出をした以上、発行業務の廃止等に係る手続(=廃止の届出(法33条)+払戻義務の履行(法20条))を完了するまでは、たとえ基準日未使用残高が基準額以下となったとしても、依然として自家型発行者ということになります。

報告徴求・立入検査等(法24条)

前払式支払手段発行者に対する報告徴求・立入検査等(1項)

発行業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要があると認められる場合は、報告徴求・立入検査等がなされる(法24条)。

上記の基準日報告書は、年2回の定期的な状況把握であり、報告徴求・立入検査等は随時に必要に応じて行われる調査である。

(立入検査等)
第二十四条
 内閣総理大臣は、前払式支払手段発行者の発行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要があると認めるときは、当該前払式支払手段発行者に対し当該前払式支払手段発行者の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該前払式支払手段発行者の営業所、事務所その他の施設に立ち入らせ、その業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。

委託先に対する報告徴求・立入検査等(2項、3項)

また、委託先に対しても、同様の報告徴求・立入検査等がある(2項)。委託先で不備が発生する可能性もあるからである。

ただし、委託先の場合、正当な理由があるときは、これらを拒むことが認められている(3項)。

 内閣総理大臣は、前払式支払手段発行者の発行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため特に必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該前払式支払手段発行者から業務の委託を受けた者その者から委託(二以上の段階にわたる委託を含む。)を受けた者を含む。以下この条及び第三十二条において同じ。)に対し当該前払式支払手段発行者の業務若しくは財産に関し参考となるべき報告若しくは資料の提出を命じ、又は当該職員に当該前払式支払手段発行者から業務の委託を受けた者の施設に立ち入らせ、当該前払式支払手段発行者の業務若しくは財産の状況に関して質問させ、若しくは帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
 前項の前払式支払手段発行者から業務の委託を受けた者は、正当な理由があるときは、同項の規定による報告若しくは資料の提出又は質問若しくは検査を拒むことができる

業務改善命令(法25条)

発行業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要があると認められる場合は、業務改善命令がなされる(法25条)。

例えば、各種の行為規制(情報提供に関する規制、資産保全に関する規制、情報の安全管理に関する規制etc)に違反している場合などである。

(業務改善命令)
第二十五条
 内閣総理大臣は、前払式支払手段発行者の前払式支払手段の発行の業務の健全かつ適切な運営を確保するために必要があると認めるときは、その必要の限度において、当該前払式支払手段発行者に対し、業務の運営又は財産の状況の改善に必要な措置その他監督上必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

業務改善命令がなされたときは、業務改善計画の提出とその後の履行状況の報告が求められる(前払ガイドラインⅢ-3-⑸参照)。

▽前払ガイドラインⅢ-3-⑸

 法第25条の規定に基づき業務改善命令を発出する場合には、当該命令に基づく前払式支払手段発行者の業務改善に向けた取組みをフォローアップし、その改善努力を促すため、原則として、当該前払式支払手段発行者の提出する業務改善計画の履行状況の報告を求める。…(略)…

監督処分

自家型発行者に対する業務停止命令(法26条)

自家型発行者に対する監督処分は、業務停止命令(6か月以内の期間)である(法26条)。

自家型発行者の場合、届出のみで参入できるので、登録の取消しといった監督処分は存在しない。

▽法26条(※【 】は管理人注)

(自家型発行者に対する業務停止命令)
第二十六条
 内閣総理大臣は、自家型発行者が次の各号のいずれかに該当するときは、六月以内の期間を定めてその発行の業務の全部又は一部の停止を命ずることができる。
 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
 その発行する前払式支払手段に係る第三十一条第一項の権利の実行【=発行保証金の還付】が行われるおそれがある場合において、当該前払式支払手段の利用者の被害の拡大を防止することが必要であると認められるとき。

第三者型発行者に対する登録の取消し・業務停止命令(法27条)

第三者型発行者の場合は、自家型発行者の場合と異なり登録制なので、登録の取消し業務停止命令(6か月以内の期間)が監督処分になる(法27条1項)。

▽法27条1項(※【 】は管理人注)

(第三者型発行者に対する登録の取消し等)
第二十七条
 内閣総理大臣は、第三者型発行者が次の各号のいずれかに該当するときは、第七条の登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその第三者型前払式支払手段の発行の業務の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。
 第十条第一項各号【=登録拒否事由】に該当することとなったとき。
 不正の手段により第七条の登録を受けたとき。
 この法律若しくはこの法律に基づく命令又はこれらに基づく処分に違反したとき。
 その発行する前払式支払手段に係る第三十一条第一項の権利の実行【=発行保証金の還付】が行われるおそれがある場合において、当該前払式支払手段の利用者の被害の拡大を防止することが必要であると認められるとき。

所在不明の場合は、公告のプロセスを経る(2項・3項)。

 内閣総理大臣は、第三者型発行者の営業所若しくは事務所の所在地を確知できないとき、又は第三者型発行者を代表する役員の所在を確知できないときは、内閣府令で定めるところにより、その事実を公告し、その公告の日から三十日を経過しても当該第三者型発行者から申出がないときは、当該第三者型発行者の第七条の登録を取り消すことができる。
 前項の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章の規定は、適用しない。

登録が取り消されたら、登録は抹消される。抹消というのは第三型発行者登録簿(法9条)からの抹消のことだが、登録が取り消されれば、(抹消の有無にかかわらず)第三者型発行者ではなくなる。

(登録の抹消)
第二十八条
 内閣総理大臣は、前条第一項若しくは第二項の規定により第七条の登録を取り消したとき、又は第三十三条第二項の規定により第七条の登録がその効力を失ったときは、当該登録を抹消しなければならない。

ただし、発行した前払式支払手段に係る債務の履行を完了する目的の範囲内においては、なお第三者型発行者とみなされる。

(登録の取消し等に伴う債務の履行の完了等)
第三十四条
 第三者型発行者について、第二十七条第一項若しくは第二項の規定により第七条の登録が取り消されたとき、又は前条第二項の規定により第七条の登録が効力を失ったときは、当該第三者型発行者であった者は、その発行した第三者型前払式支払手段に係る債務の履行を完了する目的の範囲内においては、なお第三者型発行者とみなす

監督処分の公告(法29条)

以上のような監督処分がなされたときは、その旨の公告がなされる。

(監督処分の公告)
第二十九条
 内閣総理大臣は、第二十六条【=自家型発行者に対する業務停止命令】又は第二十七条第一項若しくは第二項の規定【=第三者型発行者に対する登録の取消し・業務停止命令】による処分をしたときは、内閣府令で定めるところにより、その旨を公告しなければならない。

公告の方法は、官報による(前払府令50条)。

(公告の方法)
第五十条
 法第二十七条第二項及び第二十九条の規定による公告は、官報によるものとする。

監督に関する規制に違反した場合の刑事罰

監督に関する規制に違反した場合は、刑事罰がある。

規定ぶりとしては、

  • 行為者(以下の条文の「違反行為をした者」)に対して
  • 法人等(以下の条文の「法人」または「」)に対して

ともに定めがあり、行為者と法人等の両方に刑事罰を科すもの(いわゆる両罰規定)となっている。

内容としては、まとめると、以下のとおりである。

監督に関する規制行為者(「違反行為をした者」)法人等(「法人」または「人」)
帳簿書類の作成・保存義務に違反した場合6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、またはこれらの併科
(法112条5号)
法人は1億円以下の罰金、人は50万円以下の罰金
(法115条1項3号)
基準日報告書の作成・提出義務に違反した場合6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、またはこれらの併科
(法112条6号)
法人は1億円以下の罰金、人は50万円以下の罰金
(法115条1項3号)
報告徴求・立入検査等に反した場合6か月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金、またはこれらの併科
(法112条7号・8号)
法人は1億円以下の罰金、人は50万円以下の罰金
(法115条1項4号)
業務改善命令に違反した場合30万円以下の罰金
(法114条4号)
30万円以下の罰金
(法115条1項4号)
業務停止命令に違反した場合1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、またはこれらの併科
(法110条1号)
法人は1億円以下の罰金、人は100万円以下の罰金
(法115条1項3号)

条文も確認してみる。

行為者に対する刑事罰

▽法112条5号~8号(※【 】は管理人注)

第百十二条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、六月以下の懲役若しくは五十万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 第二十二条の規定による帳簿書類の作成若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類の作成をしたとき【=帳簿書類の作成・保存義務に違反したとき】。
 第二十三条第一項の規定による報告書若しくは同条第二項の規定による添付書類を提出せず、又は虚偽の記載をした報告書若しくは添付書類を提出したとき【=基準日報告書の作成・提出義務に違反したとき】。
 第二十四条第一項若しくは第二項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき【=報告徴求に反したとき】。
 第二十四条第一項若しくは第二項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又はこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避したとき【=立入検査等に反したとき】。

▽法114条4号(※【 】は管理人注)

第百十四条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、三十万円以下の罰金に処する。
 第二十五条の規定による命令【=業務改善命令】に違反したとき。

▽法110条1号(※【 】は管理人注)

第百十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
 第二十六条【=自家型発行者に対して】又は第二十七条第一項【=第三者型発行者に対して】の規定による業務の全部又は一部の停止の命令に違反したとき

法人等に対する刑事罰

▽法115条1項3号・4号(※【 】は管理人注)

第百十五条 法人(人格のない社団又は財団であって代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この項において同じ。)の代表者若しくは管理人又は法人若しくはの代理人、使用人その他の従業者が、その法人又はの業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、そのに対して各本条の罰金刑を科する。
 第百十条又は第百十二条(第一号、第二号及び第九号から第十六号までを除く。) 一億円以下の罰金刑
 第百七条、第百八条第一号若しくは第十号、第百九条第一号、第百十二条第一号、第二号若しくは第九号から第十六号まで、第百十三条又は前条 各本条の罰金刑

結び

今回は、資金決済法を勉強しようということで、前払式支払手段のうち監督に関する規制について見てみました。

本記事の内容を全体的なイメージでいうと、

  • 普段は、帳簿書類を作成させ、
  • 年2回の基準日報告書で定期的にモニタリングしつつ、
  • 必要に応じて随時に、報告徴求・立入検査等を行って調査し、
  • 必要であれば業務改善命令を下す、
  • 甚だしい場合には、業務停止命令を下したり、最終的には登録取消しもやむなし、

という感じになります。

[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。

参考文献・主要法令等

主要法令等

リンクをクリックすると、e-Gov又は金融庁HPの資料(▷掲載ページはこちら)に遷移します

  • 資金決済法(「資金決済に関する法律」)
  • 資金決済法施行令(「資金決済に関する法律施行令」)
  • 前払府令(「前払式支払手段に関する内閣府令」)
  • 資金移動府令(「資金移動業者に関する内閣府令」)
  • 協会府令(「認定資金決済事業者協会に関する内閣府令」)
  • 発行保証金規則(「前払式支払手段発行保証金規則」)
  • 前払ガイドライン(金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 5.前払式支払手段発行者関係)」)
  • 資金移動ガイドライン(金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 14.資金移動業者関係)」)
  • 令和2年パブコメ(令和2年4月3日付「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について」)
  • 令和3年パブコメ(令和3年3月19日付「『令和2年資金決済法改正に係る政令・内閣府令案等』に関するパブリックコメントの結果等について」)

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