今回は、資金決済法を勉強しようということで、資金移動業のうち利用者保護に関する規制について見てみたいと思います。
ではさっそく。なお、引用部分の太字、下線、改行などは管理人によるものです。
メモ
このカテゴリーでは、インハウスとしての法務経験からピックアップした、管理人の独学や経験の記録を綴っています。
ネット上の読み物としてざっくばらんに書いており、感覚的な理解を掴むことを目指していますが、書籍などを理解する際の一助になれば幸いです。
利用者保護措置(法51条)
資金移動業者は、利用者に対する情報提供などの、利用者保護措置を講じる義務がある(法51条)。
(利用者の保護等に関する措置)
第五十一条 資金移動業者は、内閣府令で定めるところにより、銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明、手数料その他の資金移動業に係る契約の内容についての情報の提供、利用者から受け入れた資金のうち為替取引に用いられることがないと認められるものを保有しないための措置その他の資金移動業の利用者の保護を図り、及び資金移動業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置を講じなければならない。
下線部を箇条書きにすると、
- 銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明
- 手数料その他の資金移動業に係る契約の内容についての情報の提供
- 利用者から受け入れた資金のうち為替取引に用いられることがないと認められるものを保有しないための措置
- その他の資金移動業の利用者の保護を図り資金移動業の適正かつ確実な遂行を確保するために必要な措置
となっており、概ねこのような内容に沿って、具体的な内容が、資金移動府令28条以下で定められている。
以下、順に見てみる。
なお、預り金に関する規制(滞留規制)(=「利用者から受け入れた資金のうち為替取引に用いられることがないと認められるものを保有しないための措置」の部分)については、別の記事にしています(▷記事はこちら)。
銀行等が行う為替取引との誤認防止(資金移動府令28条)
資金移動業者は、あらかじめ、銀行等が行う為替取引とは異なる旨の説明を行わなければならない(資金移動府令28条1項)。
つまり、銀行の行う送金でないことを説明せよ、ということである。
これは、資金移動業といっても、中身としては銀行等が行うのと同じ「為替取引」であるので、利用者からすると区別がつきにくいとも考えられるが、資金移動業者が破綻した場合の利用者保護の仕組みが銀行等とは異なるので、銀行等が行う為替取引との誤認を防止する必要があるためである。
(銀行等が行う為替取引との誤認防止)
第二十八条 資金移動業者等は、資金移動業の利用者との間で為替取引を行うときは、あらかじめ、当該利用者に対し、書面の交付その他の適切な方法により、銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明を行わなければならない。
説明事項は、以下のとおりである(2項)。
2 資金移動業者等は、前項に規定する説明を行う場合には、次に掲げる事項を説明するものとする。
一 銀行等が行う為替取引ではないこと。
二 預金若しくは貯金又は定期積金等(銀行法第二条第四項に規定する定期積金等をいう。)を受け入れるものではないこと。
三 預金保険法(昭和四十六年法律第三十四号)第五十三条又は農水産業協同組合貯金保険法(昭和四十八年法律第五十三号)第五十五条に規定する保険金の支払の対象とはならないこと。
四 その他銀行等が行う為替取引との誤認防止に関し参考となると認められる事項
ざっくりいえば、
- 1号は、銀行等とは違う、ということ、
- 2号は、預貯金とは違う、ということ、
- 3号は、(履行保証金の供託という資産保全制度はあるものの)預金保険制度の対象にはなっていない、ということ
- 4号は、その他参考事項
である。
4号の参考事項としては、資金移動ガイドラインに、以下のように履行保証金制度に関する事項が記載されている。
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-2-1-1-⑵
銀行等が行う為替取引との誤認を防止するための説明を行う際には、内閣府令第28条第2項第1号から第3号までに規定する事項に加えて、同項第4号に規定する事項として、以下の点を説明しているか。
① 利用者保護のため制度として履行保証金制度が設けられている旨
② 法第59条に基づく履行保証金についての権利の実行の手続において、還付を受けられる権利が送金依頼人から受取人に移転する時点
利用者に対する情報提供(資金移動府令29条~29条の3)
資金移動業者は、利用者に対して、為替取引(送金)に係る契約内容についての情報を提供しなければならない(資金移動府令29条)。
(利用者に対する情報の提供)
第二十九条 資金移動業者等は、資金移動業の利用者(資金移動業関係業者を除く。以下この条から第三十条までにおいて同じ。)との間で為替取引を行うときは、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法により、当該為替取引に係る契約の内容についての情報を提供しなければならない。
一・二 (略)
利用者への明示による情報提供事項(資金移動府令29条)
利用者に明示する方法によって情報提供すべき事項は、1回限りのサービスを提供する場合(1号)と、反復継続的なサービスを提供する場合(2号)に、分けて規定されている。
1回限りのサービスを提供する場合(1項1号)
1回限りのサービスを提供する場合(=為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結することなく為替取引を行う場合)、情報提供事項は、
- 標準履行期間(1号イ)
- 利用者が支払うべき手数料、報酬もしくは費用の金額もしくはその上限額またはこれらの計算方法(ロ)
- 利用者からの苦情または相談に応ずる営業所の所在地および連絡先(ハ)
- 為替取引が外国通貨で表示された金額で行われる場合においては、その金額を本邦通貨に換算した金額(為替換算額)およびその換算に用いた標準(為替換算レート)またはこれらの計算方法(ニ)
- 資金移動業者が講じている金融ADR措置の内容(ホ)
- その他為替取引の内容に関し参考となると認められる事項(へ)
とされている。
上記⑥の参考事項に関しては、資金移動ガイドラインに以下のように記載されている。
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-2-1-1-⑶-④
(注)内閣府令第29条第1項第1号ヘに基づき説明する事項としては、例えば、以下の事項が考えられる。
・ 為替取引に係る資金の入金の方法
・ 為替取引依頼後の当該為替取引に係る資金の状況を確認する方法
条文も確認してみる。
▽法29条1項1号
一 為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結することなく為替取引を行う場合 為替取引に係る指図を行う利用者に対して次に掲げる事項を明示する方法
イ 標準履行期間
ロ 利用者が支払うべき手数料、報酬若しくは費用の金額若しくはその上限額又はこれらの計算方法
ハ 利用者からの苦情又は相談に応ずる営業所の所在地及び連絡先
ニ 為替取引が外国通貨で表示された金額で行われる場合においては当該金額を本邦通貨に換算した金額及びその換算に用いた標準又はこれらの計算方法
ホ 次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める事項
⑴ 指定資金移動業務紛争解決機関(特定信託会社にあっては、指定特定資金移動業務紛争解決機関。ホにおいて同じ。)が存在する場合 当該資金移動業者等が法第五十一条の四第一項第一号(法第三十七条の二第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に定める手続実施基本契約を締結する措置を講ずる当該手続実施基本契約の相手方である指定資金移動業務紛争解決機関の商号又は名称
⑵ 指定資金移動業務紛争解決機関が存在しない場合 当該資金移動業者等の法第五十一条の四第一項第二号(法第三十七条の二第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に定める苦情処理措置及び紛争解決措置の内容
ヘ その他当該為替取引の内容に関し参考となると認められる事項
反復継続的なサービスを提供する場合(1項2号)
反復継続的なサービスを提供する場合(=為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結する場合)、情報提供事項は、
- 取り扱う為替取引の額の上限(2号イ)
- 標準履行期間(2号ロ→1号イ)
- 利用者が支払うべき手数料、報酬もしくは費用の金額もしくはその上限額またはこれらの計算方法(2号ロ→1号ロ)
- 利用者からの苦情または相談に応ずる営業所の所在地および連絡先(2号ロ→1号ハ)
- 為替取引が外国通貨で表示された金額で行われる場合においては、その金額を本邦通貨に換算した金額(為替換算額)およびその換算に用いた標準(為替換算レート)またはこれらの計算方法(2号ロ→1号ニ)
- 資金移動業者が講じている金融ADR措置の内容(2号ロ→1号ホ)
- 契約期間(2号ハ)
- 契約期間の中途での解約時の取扱い(手数料、報酬又は費用の計算方法を含む)(2号ニ)
- 為替取引の内容に関し参考となると認められる事項(2号ホ)
となっている。
上記⑨の参考事項に関しては、
・ 為替取引に係る資金の入金の方法
・ 為替取引依頼後の当該為替取引に係る資金の状況を確認する方法
・ 暗証番号の設定その他のセキュリティに関する事項
・ 口座開設契約等により、利用者ごとに資金移動業者が受け入れられる金額に上限がある場合には、当該上限金額
とされている(資金移動ガイドラインⅡ-2-2-1-1-⑶-⑤参照)。
条文も確認してみる。
▽法29条1項2号
二 為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結する場合 当該契約の相手方となる利用者に対して次に掲げる事項を明示する方法
イ 取り扱う為替取引の額の上限
ロ 前号イからホまでに掲げる事項
ハ 契約期間
ニ 契約期間の中途での解約時の取扱い(手数料、報酬又は費用の計算方法を含む。)
ホ その他当該契約の内容に関し参考となると認められる事項
為替証書等に所定事項を記載している場合の明示の省略(2項)
ただし、資金移動業者が為替証書等を発行して為替取引を行う場合、その証書等に以下の所定事項を表示しているときは、上記の情報提供は不要とされている(法29条2項)。
2 資金移動業者がその行う為替取引に関し負担する債務に係る権利を表章する証書その他の物(以下「為替証書等」という。)を発行して為替取引を行う場合であって、当該為替証書等に次に掲げる事項を表示したときは、前項の規定は、適用しない。
一 当該為替証書等によって権利を行使することができる額又はその上限
二 当該為替証書等によって権利を行使することができる期間又は期限が設けられている場合は、当該期間又は期限
三 前項第一号ロからホまでに掲げる事項
四 当該為替証書等によって権利を行使することができる施設又は場所の範囲
五 当該為替証書等の利用上の必要な注意
六 電磁的方法(電子的方法、磁気的方法その他の人の知覚によって認識することができない方法をいう。)により金額を記録している為替証書等にあっては、その残高又は当該残高を知ることができる方法
3 第一項の為替取引について当該為替取引に係る電子決済手段等取引業者が利用者に対し同項の規定に準じて情報を提供したときは、資金移動業者等は、同項の規定にかかわらず、当該利用者に対し、同項の規定により情報を提供することを要しない。
書面の交付等による情報提供事項(法29条の2)
書面の交付等による方法によって情報提供すべき事項(法29条の2)は、
- 資金移動業の種別(1項1号)
- 資産保全方法の別および保全契約または信託契約によっている場合はこれらの契約相手方(2号)
- 資金移動業の種別ごとの算定期間および供託期限(3号)
- 第三者資金移動業者が預貯金等による資金の管理を行っている場合、預貯金等管理割合および法第59条第1項但書に規定する権利の内容(4号)
- 無権限取引により発生した利用者の損失の補償その他の対応に関する方針(5号)
- その他参考となると認められる事項(6号)
とされている。
上記⑤の補償方針については、後述の資金移動府令31条4号と合わせて、資金移動ガイドラインに以下のように記載されている。
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-6-1
② 補償方針には、少なくとも以下の事項が定められているか。
イ.資金移動サービスの内容に応じて、損失が発生するおそれのある具体的な場面毎の被害者に対する損失の補償の有無、内容及び補償に要件がある場合にはその内容
ロ.補償手続の内容
ハ.連携サービスを提供する場合にあっては資金移動業者と連携先の補償の分担に関する事項(被害者に対する補償の実施者を含む。)
ニ.補償に関する相談窓口及びその連絡先
ホ.不正取引の公表基準
(注)ハに定める事項については、内閣府令第29条の2第1項第5号及び第31条第4号に基づき、当該事項に関する連携先との契約内容の全てについて利用者への情報提供等を行う必要まではないが、少なくとも、被害者に対する補償の実施者については利用者への情報提供等を行う必要があることに留意する。
条文も確認してみる。
▽法29条の2第1項(※【 】は管理人注)
第二十九条の二 資金移動業者等は、資金移動業の利用者との間で為替取引を行うときは、当該利用者に対し、書面の交付その他の適切な方法により、次に掲げる事項(特定信託会社にあっては、第二号から第四号までに掲げる事項を除く。)についての情報を提供しなければならない。
一 その営む資金移動業の種別(特定信託会社にあっては、法第三十七条の二第二項の規定により読み替えて適用する法第四十条の二第一項に規定する額を超える資金の移動に係る特定信託為替取引を業として営むときは、その旨)
二 履行保証金の供託、履行保証金保全契約又は履行保証金信託契約の別及び履行保証金保全契約又は履行保証金信託契約を締結している場合にあっては、これらの契約の相手方の氏名、商号又は名称
三 その営む資金移動業の種別ごとの算定期間及び供託期限
四 法第四十五条の二第一項の規定【=第三種資金移動業者における預貯金等による資金の管理】の適用を受けている場合にあっては、預貯金等管理割合及び法第五十九条第一項ただし書に規定する権利の内容
五 為替取引に係る業務に関し利用者の意思に反して権限を有しない者の指図が行われたことにより発生した利用者の損失の補償その他の対応に関する方針
六 その他前各号に掲げる事項に関し参考となると認められる事項
また、電子決済手段の発行による為替取引を行う場合には、上記の情報提供事項に加えて、以下の事項も併せて情報提供しなければならないとされている(2項)。
2 資金移動業者等は、資金移動業の利用者との間で電子決済手段の発行による為替取引を行う場合又は電子決済手段等取引業者が当該利用者との間で当該為替取引に係る法第二条第十項第四号に掲げる行為を行う場合において、前項各号に掲げる事項についての情報を提供するときは、同時に、次に掲げる事項についての情報も提供しなければならない。
一 当該資金移動業者等その他の者の業務又は財産の状況の変化を直接の原因として損失が生ずるおそれがあるときは、その旨及びその理由
二 前号及び次条第二項第二号に掲げるもののほか、当該資金移動業について利用者の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事由を直接の原因として損失が生ずるおそれがあるときは、その旨及びその理由
三 その他当該資金移動業の内容に関し参考となると認められる事項
3 前二項の為替取引について当該為替取引に係る電子決済手段等取引業者が利用者に対しこれらの規定に準じて情報を提供したときは、資金移動業者等は、当該規定にかかわらず、当該利用者に対し、当該規定により情報を提供することを要しない。
電子決済手段の場合ー電子決済手段の内容に関する説明(法29条の3)
電子決済手段(法2条5項)とは、大まかにいうと、法定通貨との連動によって価値の安定を図るタイプのステーブルコインのことである。
▷参考サイト:電子決済手段等取引業・電子決済等取扱業を営もうとするみなさまへ|金融庁HP
電子決済手段の発行による為替取引を行う場合、電子決済手段の内容に関する説明を行わなければならない(法29条の3)。
(電子決済手段の内容に関する説明)
第二十九条の三 資金移動業者等は、資金移動業の利用者との間で電子決済手段の発行による為替取引を行うときは、あらかじめ、当該利用者に対し、書面の交付その他の適切な方法により、電子決済手段の内容に関する説明を行わなければならない。
2 資金移動業者等は、前項に規定する説明を行う場合には、次に掲げる事項を説明するものとする。
一 電子決済手段は本邦通貨又は外国通貨ではないこと。
二 電子決済手段の価値の変動を直接の原因として損失が生ずるおそれがあるときは、その旨及びその理由
三 電子決済手段は代価の弁済を受ける者の同意がある場合に限り代価の弁済のために使用することができること。
四 発行する電子決済手段の概要及び特性(当該電子決済手段の移転の確定する時期及びその根拠を含む。)
五 当該資金移動業者等に対する償還請求権の内容及びその行使に係る手続
六 その他電子決済手段の内容に関し参考となると認められる事項
3 第一項の為替取引について当該為替取引に係る電子決済手段等取引業者が利用者に対し前二項の規定に準じて第一項に規定する説明を行ったときは、資金移動業者等は、同項の規定にかかわらず、当該利用者に対し、同項に規定する説明を行うことを要しない。
4号(発行する電子決済手段の概要及び特性)と、6号(参考となると認められる事項)に関しては、資金移動ガイドラインに以下のような具体例が記載されている。
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-2-1-1-⑷-②
⑷ 電子決済手段の発行による為替取引を行うときの説明
② 内閣府令第29条の3第2項第4号に規定する「発行する電子決済手段の概要及び特性(当該電子決済手段の移転の確定する時期及びその根拠を含む。)」及び同項第6号に規定する「電子決済手段の性質に関し参考となると認められる事項」としては、例えば、以下の事項が考えられる。
・ 電子決済手段の主な用途
・ 電子決済手段の保有又は移転の仕組みに関する事項
・ 電子決済手段の総発行量及び発行可能な数量に上限がある場合はその上限
・ 電子決済手段の流通状況
・ 電子決済手段に内在するリスク
・ 償還請求に係る債務者、執行方法、性質(資金移動業者が破綻した場合における当該請求権の取扱いを含む。)や償還を受ける方法、償還に要する期間、償還手数料等の償還に関する事項
受取証書の交付(資金移動府令30条)
書面の交付(1項・2項)
資金移動業者には、金銭等受入時の受取証書の交付義務がある(資金移動府令30条1項)。
これは、資金移動業者が破綻した場合に、利用者は還付の手続を受けることになるが、利用者側にも権利の証明書類を残すため(利用者が資金を入れたことを証明するため)である。
受取証書には、資金移動業者の名称と登録番号(1号)、受領した資金の額(2号)、受領年月日(3号)、を記載しなければならない。
ただし、為替証書等を発行する場合は交付義務が免除されているほか(1項但書)、預貯金口座への払込みの場合は、利用者の請求があったときに交付すれば足りるとされている(2項)。受取証書以外でも、権利の証明手段があるためである。
(受取証書の交付)
第三十条 資金移動業者等は、その行う為替取引に関し、資金移動業の利用者から金銭その他の資金を受領したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を当該利用者に交付しなければならない。ただし、資金移動業者が、為替証書等を発行して為替取引を行う場合は、この限りでない。
一 資金移動業者等の商号及び登録番号(特定信託会社にあっては、届出受理番号)
二 当該利用者から受領した資金の額
三 受領年月日
2 前項の規定は、預金又は貯金の口座に対する払込みにより資金を受領する場合にあっては、当該利用者の請求があったときに限り、適用する。
電磁的方法による提供(3項以下)
また、受取証書に代えて電磁的方法で提供することも可能であり、電磁的方法による場合に関しては、3項以下に定めがある。
要件としては、利用者の承諾を得ることが必要であり(3項)、あらかじめ、利用者に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示して、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない(4項)。
いったん承諾があった場合でも、利用者から撤回する申出があったときは電磁的方法によることはできなくなるが(5項)、そういった申出がない限りは電磁的方法による提供を続けることができる。
3 資金移動業者等は、第一項に規定する書面の交付に代えて、次項の規定により当該利用者の承諾を得て、第一項各号に掲げる事項を電磁的方法により提供することができる。この場合において、資金移動業者等は、同項に規定する書面の交付を行ったものとみなす。
4 資金移動業者等は、前項の規定により第一項各号に掲げる事項を提供しようとするときは、あらかじめ、当該利用者に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
5 前項に規定する承諾を得た資金移動業者等は、当該利用者から書面又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該利用者に対し、第一項各号に掲げる事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該利用者が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
また、利用者の承諾等については記録をしなければならないとされている。
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-2-1-1-⑸-②
⑸ 受取証書の交付
② 書面の交付に代えて電磁的方法により提供することについて、承諾又は撤回の意思表示を受ける場合には、利用者の承諾等があったことを記録しているか。
(注)書面の交付に代えて電磁的方法により提供することについて、利用者から承諾の意思表示が受けられない場合又は承諾の撤回の意思表示を受けた場合であっても、当該利用者が不利益を被らないよう留意すること。
「電磁的方法」の内容については、6項に定められている。
6 前三項の「電磁的方法」とは、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める方法とする。
一 電磁的方法による提供を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合 次に掲げる方法
イ 承諾若しくは申出を受ける者又は同意を得る者の使用に係る電子機器に備えられたファイルにその旨を記録する方法
ロ 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルにその旨を記録したものを交付する方法
二 前号に掲げる場合以外の場合 次に掲げる方法
イ 電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの
⑴ 送信者の使用に係る電子機器と受信者の使用に係る電子機器とを接続する電気通信回線を通じて送信し、当該受信者の使用に係る電子機器に備えられたファイルに記録する方法
⑵ 送信者の使用に係る電子機器に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて受信者の閲覧に供し、当該受信者の使用に係る電子機器に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
ロ 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
利用者保護及び適正・確実な業務遂行のために必要なその他の措置
為替取引について犯罪行為が行われた疑いがある場合に為替取引の停止等を行う措置(資金移動府令31条1号)
資金移動府令31条には、その他の必要な措置が定められており、そのうち1号は、振り込め詐欺等の対策である。
(その他利用者保護を図るための措置等)
第三十一条 資金移動業者等は、資金移動業の利用者の保護を図り、及び資金移動業の適正かつ確実な遂行を確保するため、次に掲げる措置を講じなければならない。
一 その行う為替取引について、捜査機関等から当該為替取引が詐欺等の犯罪行為に利用された旨の情報の提供があることその他の事情を勘案して犯罪行為が行われた疑いがあると認める場合には、当該為替取引の停止等を行う措置
インターネットにより為替取引を行う場合の措置(2号・3号)
2号と3号は、インターネット取引における措置である。
2号は取引相手の誤認防止のための措置、3号は利用者が送金指図の内容を容易に確認、訂正することができるようにするための措置である。
二 電気通信回線に接続している電子計算機を利用して、資金移動業の利用者と為替取引を行う場合にあっては、当該利用者が当該資金移動業者等と他の者を誤認することを防止するための適切な措置
三 資金移動業の利用者から電気通信回線に接続している電子計算機を利用して為替取引に係る指図を受ける場合にあっては、当該指図の内容を、当該利用者が当該指図に係る電子計算機の操作を行う際に容易に確認し及び訂正することができるようにするための適切な措置
資金移動ガイドラインには、以下のように記載されている。
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-2-1-1-⑻
⑻ インターネット取引を行う場合の措置
① ホームページのリンクに関し、利用者が取引相手を誤認するような構成になっていないか。また、フィッシング詐欺対策については、利用者がアクセスしているサイトが真正なサイトであることの証明を確認できるような措置を講じる等、業務に応じた適切な不正防止策を講じているか。
② 利用者が為替取引に係る指図内容を資金移動業者に送信する前に、当該指図内容を表示した上で利用者に対して内容の確認を求めるなど、利用者が為替取引に係る指図内容を容易に確認・訂正できるような対応を行っているか。
不正取引に関する補償方針を周知する措置(4号)
4号は、利用者以外の者に損失が発生した場合における補償その他の対応方針の周知措置、である。
四 為替取引に係る業務の内容及び方法に照らし必要があると認められる場合にあっては、当該業務に関し資金移動業の利用者以外の者に損失が発生した場合における当該損失の補償その他の対応に関する方針を当該者に周知するための適切な措置
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-6-1
(注2)内閣府令第31条第4号に規定する「為替取引に係る業務の内容及び方法に照らし必要があると認められる場合」とは、例えば、銀行等の提供する口座振替サービスと連携した資金移動サービスを提供する場合など、資金移動業者の提供する資金移動サービスの内容及び方法に照らし、資金移動業の利用者以外に損失が発生するおそれのある場合をいう。
補償方針に関しては、
・利用者に対する情報提供事項(前述の法29条の2第5号)として、利用者の損失への補償方針
・その他の必要な措置(本号)として、利用者以外の者に発生する損失への補償方針の周知
という、2箇所で出てきています。
ガイドライン上、資金移動ガイドラインⅡ-2-6-1で一緒に解説されています。
不適切な電子決済手段を発行しないための措置(5号)
5号は、不適切な電子決済手段を発行しないための措置である。
五 資金移動業の利用者との間で電子決済手段の発行による為替取引を行う場合にあっては、電子決済手段の特性及び自己の業務体制に照らして、利用者の保護又は資金移動業の適正かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる電子決済手段を発行しないために必要な措置
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-2-1-1-⑼
⑼ 不適切な電子決済手段を発行しないための措置
資金移動業者は、内閣府令第31条第5号に規定する利用者の保護又は資金移動業の適切かつ確実な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる電子決済手段を発行しないために必要な措置を講じるにあたっては、以下の点に留意するものとする。
① 発行する電子決済手段について、権利の移転時期やその手続きが明確になっているか。
(注)例えば、契約書や利用約款等において電子決済手段の移転の手続きや、移転の確定する時期及びその根拠を記載するとともに、これらの事項について利用者に対して十分な説明が行われているか。
② Ⅱ-2-1-2に定める態勢が適切に整備されているか。
③ 資金移動業者や電子決済手段等取引業者の破綻時や技術的な不具合等(サイバー攻撃のほか、事務処理ミス、内部不正、システムの不具合等を含むがこれに限られない。)が生じた場合において、資金移動業者や電子決済手段等取引業者による電子決済手段等取引業に係る取引の解除・取消し(原状回復を含む。)や損害の補償等が確保されているなど、利用者の権利が適切に保護されているか。
④ 利用者が電子決済手段の償還請求をする場合、速やかに適切な償還が行われる態勢として、例えば以下の措置を講じているか。
イ. 受付窓口の設置
ロ. 利用者に対する適切な情報提供
(注)例えば、上記⑷②に定める事項を利用者に提供することが考えられ、償還手数料については合理的に算出された適切なものであることを要する。
ハ. 利用者への償還手続きに係る社内規則等の策定等
特定信託会社が信託財産の全額を預貯金により管理するための措置(6号)
6号は、特定信託会社が、3号電子決済手段に係る信託財産の全額を預貯金等により管理するための措置である(※以下の【 】は管理人注)。
六 特定信託会社にあっては、その発行する特定信託受益権【=法2条5項3号の電子決済手段(信託受益権の形式によるステーブルコイン)】に係る信託財産の全部を令第十六条第一項に定める要件【=履行保証金保全契約を締結することができる銀行等が満たすべき要件】を満たす銀行等に対する預貯金により管理するための適切な措置
社内規則の制定およびこれに基づき業務を行うための十分な体制の整備(資金移動府令32条)
資金移動府令32条では、資金移動業者全般に対し、社内規則の制定と体制整備義務が課されている。
(社内規則等)
第三十二条 資金移動業者等は、その業務の内容及び方法に応じ、資金移動業の利用者の保護を図り、及び資金移動業の適正かつ確実な遂行を確保するための措置(当該資金移動業者等が講ずる法第五十一条の四第一項(法第三十七条の二第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)に定める措置の内容の説明及び犯罪を防止するための措置を含む。)に関する社内規則等を定めるとともに、従業者に対する研修、委託先に対する指導その他の当該社内規則等に基づいて業務が運営されるための十分な体制を整備しなければならない。
履行保証金保全契約を締結している資金移動業者に求められる措置(資金移動府令30条の3)
履行保証金保全契約を締結している資金移動業者に対しては、利用者から受け入れた資金を原資として貸付け又は手形の割引を行うことを防止するための措置が求められている(資金移動府令30条の3)。
(利用者から受け入れた資金を原資として貸付け等を行うことを防止するための措置)
第三十条の三 履行保証金保全契約を締結している資金移動業者は、利用者から受け入れた資金を原資として貸付け又は手形の割引を行うことを防止するための措置を講じなければならない。
資産保全方法として金融機関等との履行保証保全契約を選択している場合、実際には資金移動業者の負担は契約に基づき金融機関等に支払う保証料であるため、利用者から受領した資金を与信に使うこと(つまり融資を行うこと)も物理的には可能である。
しかし、それはまさに固有の銀行業務(受信と与信を両方行うこと。つまり預金を利用して融資を行い利ザヤを稼ぐ事業)を営んでいることになるので、当然、銀行法により禁止されるが、資金決済法上も、その防止措置を講じる義務が課されている(左記の銀行法の観点のほか、流動性リスクの観点)、ということである。
▽資金移動ガイドラインⅡ-2-2-1-1-⑺
⑺ 利用者から受け入れた資金を貸付等の原資として用いることを防止するための措置
資金移動業者が利用者資金の保全方法として履行保証金保全契約を利用する場合であって、利用者資金を貸付に活用したときは、銀行業の免許を受けることなく、実質的に信用創造を行うことが可能となり問題であるほか、為替取引を行うために受け入れた利用者資金を流動性が低い資産である貸付金に転換することにより流動性リスクを抱えることになり、資金移動業の適正かつ確実な遂行の観点から問題である。これらの問題点を踏まえ、利用者から受け入れた資金を原資として貸付又は手形の割引を行うことを確実に防止するための措置を講じているか。
他の種別の資金移動業を営む資金移動業者に求められる措置(資金移動府令30条の4)
他の種別の資金移動業を営む資金移動業者に対しては、種別ごとの利用状況を容易に知ることができるようにするための措置が求められている(資金移動府令30条の4)。
(二以上の種別の資金移動業を営む場合等に必要な措置)
第三十条の四 二以上の種別の資金移動業を営む資金移動業者は、各利用者(資金移動業関係業者を除く。以下この項及び次項において同じ。)に対して負担する資金移動業の種別ごとの為替取引に関する債務の額その他の各利用者の資金移動業の種別ごとの利用状況を当該各利用者が容易に知ることができるようにするための措置を講じなければならない。
2 資金移動業及び特定資金移動業を営む特定信託会社は、各利用者に対して負担する資金移動業及び特定資金移動業のそれぞれの為替取引に関する債務の額その他の各利用者の資金移動業及び特定資金移動業のそれぞれの利用状況を当該各利用者が容易に知ることができるようにするための措置を講じなければならない。
3 (略)
指定紛争解決機関との契約締結義務等(法51条の4)
指定紛争解決機関が存在する場合と存在しない場合
資金移動業には金融ADR制度の適用があり、資金移動業者には、指定紛争解決機関が存在する場合と存在しない場合に分けて、以下の義務が課せられている(法51条の4第1項)。
場面分け | 義務の内容 | 用語の定義 |
---|---|---|
指定紛争解決機関が存在する場合(1項1号) | 手続実施基本契約の締結義務 | 「指定資金移動業務紛争解決機関」:指定紛争解決機関であってその紛争解決等業務の種別が資金移動業務であるもの(法51条の4第1項第1号) 「手続実施基本契約」:紛争解決等業務の実施を内容とする契約(法51条の4第1項第1号→法99条1項8号) |
指定紛争解決機関が存在しない場合(1項2号) | 苦情処理措置及び紛争解決措置を講じる義務 | 「苦情処理措置」:利用者からの苦情処理業務に従事する従業員に対する助言・指導を消費生活の専門家(資金移動府令32条の3)に行わせること又はこれに準ずるものとして内閣府令で定める措置(法51条の4第4項参照) 「紛争解決措置」:利用者との紛争の解決をADR促進法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)に基づく認証紛争解決手続により図ること又はこれに準ずるものとして内閣府令で定める措置(法51条の4第5項参照) |
金融ADRについては、以下のページが参考になります。
▷金融ADR制度(金融分野における裁判外紛争解決制度)|金融庁HP
※本記事公開日2023/11/08現在、資金移動業に関する指定紛争解決機関は存在していません
条文も確認してみる。
(指定資金移動業務紛争解決機関との契約締結義務等)
第五十一条の四 資金移動業者は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める措置を講じなければならない。
一 指定資金移動業務紛争解決機関(指定紛争解決機関であってその紛争解決等業務の種別が資金移動業務であるものをいう。以下この条において同じ。)が存在する場合 一の指定資金移動業務紛争解決機関との間で資金移動業に係る手続実施基本契約(第九十九条第一項第八号に規定する手続実施基本契約をいう。次項において同じ。)を締結する措置
二 指定資金移動業務紛争解決機関が存在しない場合 資金移動業に関する苦情処理措置及び紛争解決措置
2 資金移動業者は、前項の規定により手続実施基本契約を締結する措置を講じた場合には、当該手続実施基本契約の相手方である指定資金移動業務紛争解決機関の商号又は名称を公表しなければならない。
苦情処理措置のうち、消費生活の専門家として認められる者は、以下の資金移動府令32条の3に定めがある。
(消費生活に関する事項について専門的な知識経験を有する者)
第三十二条の三 法第五十一条の四第四項に規定する内閣府令で定める者は、次に掲げるいずれかの資格を有し、かつ、消費生活相談(消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)第十三条第三項第五号イに規定する消費生活相談をいう。)に応ずる業務に従事した期間が通算して五年以上である者とする。
一 独立行政法人国民生活センターが付与する消費生活専門相談員の資格
二 一般財団法人日本産業協会が付与する消費生活アドバイザーの資格
三 一般財団法人日本消費者協会が付与する消費生活コンサルタントの資格
苦情処理措置・紛争解決措置として内閣府令で定める措置は、以下の資金移動府令32条の4にそれぞれ定めがある(1項・2項)。
(資金移動業に関する苦情処理措置及び紛争解決措置)
第三十二条の四 法第五十一条の四第四項に規定する苦情処理措置として内閣府令で定める措置は、次の各号のいずれかとする。
一 次に掲げる全ての措置を講じること。
イ 資金移動業関連苦情(法第百一条第一項において読み替えて準用する銀行法第二条第二十八項に規定する資金移動業等関連苦情のうち法第二条第二十五項(法第三十七条の二第二項の規定により読み替えて適用する場合を含む。次項第一号において同じ。)に規定する資金移動業務(法第三十七条の二第二項の規定により読み替えて適用する場合にあっては、特定資金移動業務。同号において同じ。)に関するものをいう。以下この項及び第三項において同じ。)の処理に関する業務を公正かつ的確に遂行するに足りる業務運営体制を整備すること。
ロ 資金移動業関連苦情の処理に関する業務を公正かつ的確に遂行するための社内規則(当該業務に関する社内における責任分担を明確化する規定を含むものに限る。)を整備すること。
ハ 資金移動業関連苦情の申出先を利用者に周知し、並びにイの業務運営体制及びロの社内規則を公表すること。
二 認定資金決済事業者協会が行う苦情の解決により資金移動業関連苦情の処理を図ること。
三 消費者基本法(昭和四十三年法律第七十八号)第十九条第一項又は第二十五条に規定するあっせんにより資金移動業関連苦情の処理を図ること。
四 令第二十四条各号に掲げる指定を受けた者が実施する苦情を処理する手続により資金移動業関連苦情の処理を図ること。
五 資金移動業関連苦情の処理に関する業務を公正かつ的確に遂行するに足りる経理的基礎及び人的構成を有する法人(法第九十九条第一項第一号に規定する法人をいう。次項第四号において同じ。)が実施する苦情を処理する手続により資金移動業関連苦情の処理を図ること。
2 法第五十一条の四第五項に規定する紛争解決措置として内閣府令で定める措置は、次の各号のいずれかとする。
一 弁護士法(昭和二十四年法律第二百五号)第三十三条第一項に規定する会則若しくは当該会則の規定により定められた規則に規定する機関におけるあっせん又は当該機関における仲裁手続により資金移動業関連紛争(法第百一条第一項において読み替えて準用する銀行法第二条第二十九項に規定する資金移動業等関連紛争のうち法第二条第二十五項に規定する資金移動業務に関するものをいう。以下この条において同じ。)の解決を図ること。
二 消費者基本法第十九条第一項若しくは第二十五条に規定するあっせん又は同条に規定する合意による解決により資金移動業関連紛争の解決を図ること。
三 令第二十四条各号に掲げる指定を受けた者が実施する紛争の解決を図る手続により資金移動業関連紛争の解決を図ること。
四 資金移動業関連紛争の解決に関する業務を公正かつ的確に遂行するに足りる経理的基礎及び人的構成を有する法人が実施する紛争の解決を図る手続により資金移動業関連紛争の解決を図ること。
日本資金決済業協会と協会に加入している資金移動業者は、苦情処理措置と紛争解決措置として、以下のような対応を行っている。
▷資金移動業に係る金融ADR制度における措置|日本資金決済業協会HP
指定紛争解決機関の存在・不存在の変化
指定紛争解決機関は、存在していたが存在しなくなる(1号)、複数の指定紛争解決機関が存在している場合に自己が加入していた指定紛争機関が存在しなくなる(2号)、存在しなかったが存在するようになる(3号)、といった状況の変化が生じることがあり得るので、それぞれの状況に応じて、移行に必要な期間は違反とならないものとされている(法51条の4第3項)。
存在しなくなるパターンには、指定紛争解決機関の業務廃止の場合と、指定の取消しの場合がある(1号参照)。
3 第一項の規定は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間においては、適用しない。
一 第一項第一号に掲げる場合に該当していた場合において、同項第二号に掲げる場合に該当することとなったとき 第百一条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の八十三第一項の規定による紛争解決等業務の廃止の認可又は第百条第一項の規定による指定の取消しの時に、同号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間
二 第一項第一号に掲げる場合に該当していた場合において、同号の一の指定資金移動業務紛争解決機関の紛争解決等業務の廃止が第百一条第一項において読み替えて準用する銀行法第五十二条の八十三第一項の規定により認可されたとき、又は同号の一の指定資金移動業務紛争解決機関の第九十九条第一項の規定による指定が第百条第一項の規定により取り消されたとき(前号に掲げる場合を除く。) その認可又は取消しの時に、第一項第一号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間
三 第一項第二号に掲げる場合に該当していた場合において、同項第一号に掲げる場合に該当することとなったとき 第九十九条第一項の規定による指定の時に、同号に定める措置を講ずるために必要な期間として内閣総理大臣が定める期間
結び
今回は、資金決済法を勉強しようということで、資金移動業のうち利用者保護に関する規制について見てみました。
利用者保護措置については、日本資金決済業協会HPに以下の解説ページがあります。
▷利用者保護について|日本資金決済業協会HP
[注記]
本記事を含む一連の勉強記事は、過去の自分に向けて、①自分の独学や経験の記録を見せる、②感覚的な理解を伝えることを優先する、③細かく正確な理解は書物に譲る、ということをコンセプトにした読みものです。ベテランの方が見てなるほどと思うようなことは書かれていないほか、業務上必要であるときなど、正確な内容については別途ご確認ください。また、法改正をはじめとした最新の情報を反映しているとは限りませんので、ご注意ください。
参考文献・主要法令等
参考文献
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主要法令等
リンクをクリックすると、e-Gov又は金融庁HPの資料(▷掲載ページはこちら)に遷移します
- 資金決済法(「資金決済に関する法律」)
- 資金決済法施行令(「資金決済に関する法律施行令」)
- 前払府令(「前払式支払手段に関する内閣府令」)
- 資金移動府令(「資金移動業者に関する内閣府令」)
- 協会府令(「認定資金決済事業者協会に関する内閣府令」)
- 発行保証金規則(「前払式支払手段発行保証金規則」)
- 前払ガイドライン(金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 5.前払式支払手段発行者関係)」)
- 資金移動ガイドライン(金融庁「事務ガイドライン(第三分冊:金融会社関係 14.資金移動業者関係)」)
- 令和2年パブコメ(令和2年4月3日付「令和元年資金決済法等改正に係る政令・内閣府令案等に対するパブリックコメントの結果等について」)
- 令和3年パブコメ(令和3年3月19日付「『令和2年資金決済法改正に係る政令・内閣府令案等』に関するパブリックコメントの結果等について」)
業界団体のガイドライン等